台湾はAndurilが開発した低コスト巡航ミサイル=Barracuda500の地上発射型を現地生産する意向だが、Andurilは23日「艦艇発射に対応したBarracuda500のテストに成功した」と発表し、ブースターを追加したBarracuda500の存在を公開した。
参考:Why We’re Building Surface-Launched Barracuda-500
Barracuda500はJASSM-ERと競合関係ではなく、高価で量を確保するのが困難なJASSM-ERの弱みを補完する存在
Andurilが開発したBarracuda100/250/500は「超大規模生産」と「大量使用」を前提に設計された低コスト巡航ミサイルで、Barracuda100はAH-64、AH-1Z、C-130、地上発射を想定した小型の巡航ミサイル、Barracuda250はF-35A/B/Cのウェポンベイ、F-15E、F-16、F/A-18E/F、爆撃機、水上艦艇からの発射を想定した中型の巡航ミサイル、Barracuda500はF-15E、F-16、F/A-18E/F、空中投下型弾薬パレットを使用したC-130やC-17の発射を想定した大型の巡航ミサイルだ。
Barracudaが既存の巡航ミサイル(というよりも従来の兵器)と大きく異なるのは「組み立てに必要なツールが10個以下」「共通サブシステムは市場で入手可能なもの」「商用向けサブコンポーネントを素早く統合できるミッションシステムの採用」で、Barracudaは伝統的な防衛部門の生産アプローチを否定している点だろう。
“我々がBarracudaでやろうとしていることは伝統的な防衛部門とは正反対で、従来の武器生産は高度に専門化された労働力、防衛産業へ特化した特定のサプライチェーン、手作業による製造手法に依存し、非常に複雑で精巧なシステムを要求されるためプログラム全体の拡張性が制限され、このような生産方法で軍が要求している数を揃えるのは不可能に近い。Barracudaはガレージにあるようなツール、つまりドライバーやペンチで組み立てられるシステムで、高度なツールも生産プロセスも必要なく、高度に専門化された労働力による生産上の制限もない”
Successful flight test of Barracuda-100M for the @USArmy‘s High Speed Maneuverable Missile program.
Delivering high-G maneuvers, speeds over 500 knots, and 10x the range of the Hellfire missile. pic.twitter.com/rvAYqodvku
— Anduril Industries (@anduriltech) July 16, 2025
“基本的なアプローチは商用向けサプライチェーンを可能な限り活用すること、システムの製造と組み立てを可能な限りシンプルすること、労働力に求める条件を少なくして生産拡大を容易にすることだ。この考え方はシステムを低コストで大量に生産するだけではなく、戦争が長期化した場合に高い生産効率を長期間維持するのにも役立つ。Barracudaの生産時間は既存の競合するシステムに比べて50%減、必要な生産ツールは95%減、部品点数は50%減、価格も他のシステムより平均して30%ほど安い”
BarracudaはJASSM-ERに匹敵する高度な能力を備えているわけではないが、Barracudaは専用品ではなく市場で入手できるもので構成され、組み立て作業も特殊な技能や工具を必要とせず、システム全体も緻密な精巧で組み上げられていないため拡張が容易で、高度な労働力が不要なため増産に対するリードタイムも短く、唯一無二の性能を追求するため専用品だらけで生産効率の悪い兵器システムとは対極に位置する存在だ。
Shown: successful flight test of Barracuda-500, with vertical launch, autonomous flight, and precision target engagement. pic.twitter.com/kngqq09TQt
— Anduril Industries (@anduriltech) March 5, 2025
Barracuda100は米陸軍のHigh-Speed Maneuverable Missile programに選ばれ、Barracuda500は米空軍と防衛イノベーションユニットのEnterprise Test Vehicleに選ばれ、台湾もBarracuda500の取得、大量生産、地上発射への対応でAndurilと協定を締結しており、国家中山科学研究院は「Barracuda500を生産するためのサプライチェーン全体が台湾に構築される」「我々の目標は戦争や封鎖が始まっても自国を守る武器を自国で製造できるようにすることだ」「1発あたり25万ドル以下で生産したい」と明かしている。
さらにAndurilは23日「艦艇発射に対応したBarracuda500のテストに成功した」「兵器システムに関する技術的ソリューションの開発は全体の半分に過ぎない」「新しい能力を大規模に導入する際の課題を認識して検討することも同じぐらい重要だ」と述べ、Barracuda500の優位性について以下のように述べた。
Successful test of a prototype surface-launched Barracuda-500.
We’re investing our own resources to deliver more affordable, producible, and flexible long range precision fires to the U.S. and our allies. pic.twitter.com/nwhc5EctC0
— Anduril Industries (@anduriltech) September 23, 2025
“Barracuda500を艦艇発射に対応させる設計変更は僅かで、本体後部に追加されるブースターの固体ロケットモーターも専用設計ではなく、西側諸国の産業基盤で製造可能なロケットモーターと互換性をもつように設計されている。これにより大規模生産や迅速な納品の妨げとなるサプライチェーンのボトルネックを解消できる。さらにBarracuda500は導入済みの発射インフラ(HIMARS、ハープーン、パトリオットなど)との統合をサポートしており、要員の訓練、教義、兵站を大きく変更することなく導入できる”
要するにBarracuda500を水上艦艇に導入する際「専用の発射インフラを新規導入しなくても搭載済みのものに統合して使用できる」という意味で、ブースターを追加した艦艇発射バージョンを流用すれば台湾が要求している地上発射への対応も短期間で完了するだろう。

出典:Lockheed Martin AGM-158 Xtreme Range
因みにBarracuda500はJASSM-ERと競合関係ではなく「高価で量を確保するのが困難なJASSM-ERの弱みを補完する存在」なので、低コスト巡航ミサイルと能力重視の巡航ミサイルは別物であり、低コスト巡航ミサイルで量を確保できるなら、能力重視の巡航ミサイルは価格や生産効率を気にすることなく尖った性能を追求しやすくなるのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Anduril





















25万ドルの兵器が超大量生産される未来が来るわけない。相変わらず軍需産業は感覚が麻痺してますねー
それはソビエトの馬鹿みたいな量生産された各種兵器の事を……
御値段的に年千発程度取得しても500億円届かない(1ドル150円換算で1発4000万円程)のでプラットホームさえあるならば一度に千発単位で飽和攻撃も何回も出来そうではある
今の西側には必要な装備だな
色んな国や地域である程度工業力があれば作れる巡航ミサイルは、台湾は勿論バルト三国とかにも望まれてるだろう
25万ドルは高く感じるかもしれないけど、F-35一機分で400発くらいと考えたらいいと思う
25万ドルで生産したいって言って実際に25万ドルになることは
まあ無いだろうと考えると、バラクーダ程度でもそれ以上する訳だ。
じゃあ一発100万ドルの巡航ミサイルってそんなにぼってる訳じゃないな
と思っちゃうけどね、ずっと強力だし。
俺達はガレージにいる生のエンジニアだ、みたいな主張が強いけど
Andurilって別にコスト的には全然大した製品作ってなくないか。
Roadrunnerもbarracudaも普通に高価だし…結局マーケティングが
上手いだけだろ。
本体の値段とは別に運用する上での容易性や部品の入手性、生産能力、整備に必要な工具費用等一見したら見えないコストもあると思われ……無論今の段階では何とも言えませんが
そもそも性能に妥協したというのも具体的にどのレベルの妥協なのかという話でもありますし
スタート時の価格は50万ドルくらいしそう
鶏と卵の関係で量産効果が発揮されないとコストは下がらないけどコストが下がらないと誰も買わないという
国産より安い米製兵器とか辞めてくれよ。財務省がやる気出すやんけ。
時代は空母よりもミサイルキャリア艦なので、低価格ミサイルは大歓迎ではないですかね?採用条件に日本企業に技術移転して貰う事を条件にして、船はステルス徘徊型無人船(沿海域戦闘艦位のサイズ)でミサイルはコンテナでランチャー込み交換出来て、リモート攻撃出来て、大量生産される前提の‥徘徊型潜水艦も有っていいですよ。
部品が市場から調達可能という主張がちょっと疑問なんですが。
特にジェットエンジンなんか、普通の市場で売ってるのか?
汎用品なんてあるんでしょうか?
ラジコン用とかプライベートジェット用とかならまあまああるかな
制御もラズパイクラスならありふれてるし、そこまで非現実的な話じゃないと思う
川崎のKJシリーズはカタログとかも配布されてますよ。
関連して。
民生品て陳腐化を防ぐためや、売り上げ向上のために頻繁にバージョンアップやモデルチェンジを繰り返しているイメージがあります。
調達部品がモデルチェンジや仕様変更があっても、柔軟に対応できる設計てことなんでしょうかね?
何気にBarracuda250がF-35Bのウエポンベイに入るってのはポイント高いような
F-35Bに対地攻撃の手段が増えるよ、やったね
…そもそもJSMすら撃てない今じゃ、このミサイルが撃てるようになるのは何時になるか分からないですが…
低コスト巡航ミサイル、艦載型も海軍がある程度しっかりしている国からは欲しがられるでしょうが、地上発射型もデコイも含めてまとまった数欲しいですよね···
1個目の動画、着弾時の映像もあるけど、え?こんだけ?みたいな感じがしたんだけど、テスト用だから火薬抜いてるとかそういうのかな?