米国関連

米空軍大学で中国戦略を教えていた准教授、中国当局との関係隠匿について有罪を認める

米空軍戦争大学で働いていた中国系米国人の准教授は立場を利用して中国当局から情報を収集しようとしたが、この行為を報告せず虚偽の陳述を繰り返して「中国当局との関係を隠匿していた」と米司法省が発表して注目を集めている。

参考:Former Air War College Professor Pleads Guilty to Making False Statements About Relationship with Government Official in China

米空軍戦争大学で中国及び東アジアに関する戦略を教える准教授が情報を収集するため中国当局に接触か

米国に帰化した中国系米国人のXiaoming Zhang氏は2003年7月、米空軍戦争大学(AWC)で部隊の指揮を任される佐官クラスに中国及び東アジアに関する戦略を教える准教授として働き始めたが、機密レベルの情報にアクセスするためのセキュリティライセンスに必要な行為=外国政府機関や特定国の外国人との接触状況を報告する義務を怠り中国当局との関係を隠匿、捜査機関に誤解を与える虚偽の陳述を何度も行った罪を認めたと米司法省は発表して注目を集めている。

Zhang氏はAWCで准教授として働いていた期間に研究目的や親族を尋ねるという理由で何度も中国を訪問、2012年頃には上海で中国当局のある人物との関係(2017年までに最低でも6回直接接触し40通のメールをやり取りしたことが確認されている)を築くことに成功が、中国当局が上海の人物とZhang氏との関係を利用して米軍の機密情報を手に入れようとしていることに気づきながらもこれをAWCに報告せず中国での情報収集を継続。

出典:DoD photo by Mass Communication Specialist 1st Class Daniel Hinton, U.S. Navy/Released

最終的にFBIから目を付けられ中国当局との関係を否定していたものの最終的に「上海の人物との関係を隠していたのは不誠実で、この行為がセキュリティライセンスの保持にとって不適切であったことを知っていたため関係を隠匿した」と認め、Zhang氏は米国政府や政府の業務を請負う業者から得ていた職を全て辞任+今後同類の仕事に応募しないことに同意したらしいが、連邦捜査官に対する虚偽の陳述の罪で起訴されているため最大5年間の懲役刑が科される可能性があると米司法省は指摘している。

つまり米空軍戦争大学で働いていたZhang氏は中国当局に米軍の機密情報を漏らしたのではなく、機密レベルの情報にアクセスできる立場をいかして自身の専門である中国の情報を収集過程で「セキュリティライセンスに抵触する行為」を行い関係を隠すため虚偽の報告を行っていたという意味だ。

もし彼が中国の情報を入手するため米軍の機密情報を漏らしていればもっと酷い目にあっていただろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo

米空母フォードが2022年に実戦配備、兵器運搬用エレベーターも11基全てが稼働予定前のページ

戦争を回避するには戦争の準備が必要、ポーランドが軍を14万人→30万人以上に増強すると発表次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米海軍、次期駆逐艦DDG-Xでタイコンデロガ級とアーレイ・バーク級の更新を想定

    米議会調査局(CRS)は海軍のDDG-Xについて「1万2,700トン前…

  2. 米国関連

    空母不足が続く米海軍、空母打撃群を「空母なし」という異例の編成で派遣

    米海軍の原子力空母「ハリー・S・トルーマン(10万3,800トン)」を…

  3. 米国関連

    米ミサイル防衛局、将来のイージス・アショアは固定式ではなく移動可能なシステムが望ましい

    米ミサイル防衛局の長官を務めるジョン・ヒル海軍中将は日本が導入を断念し…

  4. 米国関連

    ボーイングが空中給油機に革命を起こす? KC-46A空中給油作業無人化に繋がる技術を開発

    もしかすると日本も導入する空中給油機「KC-46A ペガサス」の空中給…

  5. 米国関連

    HIMARSで500km先の目標を攻撃可能、米陸軍へのPrSM納入が始まる

    米陸軍は8日「11月に実施したテスト結果を受け、初期運用能力を獲得した…

  6. 米国関連

    F-22よりも価格が高い?米海兵隊が開発した「世界で最も高価」なヘリコプター

    B-2爆撃機や、エアフォースワンなど大型の軍用機以外で、最も高価な軍用…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 10月 26日

    ん?掟破りの逆スパイってこと?

    2
      • 匿名
      • 2021年 10月 26日

      中国の機密情報を盗むために、勝手に非公式にアメリカのスパイになった。そしてそれを報告せず(虚偽の陳述だった)、アメリカの機密情報を危険に晒した。要するにスパイごっこ。
      ミッションインポッシブルみたいのを実際にやっちゃったね。

      21
      • 匿名
      • 2021年 10月 26日

      アメリカのスパイのふりした中国のスパイという、いわゆる二重スパイ

      4
    • 匿名
    • 2021年 10月 26日

    空軍戦争大学の字面が強過ぎる

    35
    • 匿名
    • 2021年 10月 26日

    ミイラ取りがミイラになりましたな…。

    5
      • 匿名
      • 2021年 10月 26日

      実際、敵国に情報を漏らす奴ってこういう奴だろ
      よかれと思ってやってることが、実際は敵に利する行為だった
      自分を愛国者だと思い込んでる奴が一番騙されやすい

      18
    • 匿名
    • 2021年 10月 26日

    中国当局が逆利用しようとしてたてことなら未然に発覚して良かったのか。

    11
    • 匿名
    • 2021年 10月 26日

    大陸アジア系は帰化先の国や文化、風習に溶け込み同化して帰属しようとせず
    同人種で固まって帰化先と同等以上に出身国や出身国の人間、文化に固執する傾向が強い
    おまけに隙を見せたらすぐ知人縁者呼び寄せる
    本当に機密漏らしてないならむしろ随分マシな方

    33
    • 匿名
    • 2021年 10月 27日

    >立場を利用して中国当局から情報を収集しようとしたが、
    当然相手は引き換えに米国の情報の提供を求めるに決まってるわけで、だから機密情報にアクセスできる人は誰が誰と接触しているか管理されなければならない。
    公にしたのもこうどなじょうほうせんの一部。

    2
      • 匿名
      • 2021年 10月 27日

      >立場を利用して中国当局から情報を収集
      >機密レベルの情報にアクセスできる立場をいかして
      立場を利用しようとしたのはある人物ないしある人物も位までしか参考元にないがここのコメ欄が全くの別内容になっているのも、こうどなじょほうせんの一部()

      2
    • 匿名
    • 2021年 10月 27日

    >最低でも6回直接接触し40通のメールをやり取りしたことが確認されている
    何も得られないままで、6回も会うかな?
    メールだけでもネタがなきゃ40通も続かないでしょ

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
PAGE TOP