米陸軍は2024年12月「155mm自走砲と超高速砲弾を組み合わせた防空砲=マルチドメイン砲(MDAC)に関する契約をBAEシステムズと締結する」と発表していたが、BAEシステムズは今月15日「マルチドメイン砲システムは適応型砲兵の未来そのものだ」と述べ、マルチドメイン砲の実機を公開した。
参考:BAE Systems
米陸軍のMDAC構想はトランプ政権が進める調達改革の中でも生き残っている可能性が高い
米海軍はレールガン向けの専用砲弾として低抗力設計を取り入れたHyper Velocity Projectile=HVP(超高速発射体)を開発し、これを通常の大砲でも使用可能な高速多目的弾(装薬使用)として発展させ、開発元のBAEシステムズはHVPについて「レールガン、陸軍や海兵隊の155mm砲、海軍の5インチ(127mm)砲などで使用出来る次世代の低抗力誘導弾だ」「実行可能な任務はHVPを使用する大砲とプラットフォームによって異なるものの、水上艦艇で使用すれば弾道ミサイルや巡航ミサイルの迎撃、航行中の艦艇、地上目標の攻撃に活用できる」と説明。

出典:U.S. Navy photo by John F. Williams/Released HVP
HVPは通常の大砲で使用しても低抗力設計の効果で高速性、機動性、目標到達時間の短縮を実現、さらに標準砲弾の数倍以上とも噂される到達距離をロケットモーターのアシストなしで実現しており、米陸軍は2020年9月「M109A6がHVPを使用して巡航ミサイルの動きを模倣した標的機=BQM-167の迎撃に成功した」と発表。
この結果を受けて米陸軍は「155mm装輪式自走砲」と「HVP」を組み合わせたMulti-Domain Artillery Cannon=MDAC(マルチドメイン砲)に関する情報提供依頼書を2024年7月に発行、WarZoneは「MDACは弾道ミサイル、巡航ミサイル、自爆型無人機などから拠点を守る低コストの防空システムだ」「155mm榴弾砲を使用しているためMDACは必要に応じて防空以外の用途にも使用されるかもしれない」「MDACは単独で機能することを期待されておらず、既存の防空レイヤーに追加の保護レイヤーを提供する」と指摘。
米陸軍の早期能力重要技術室(RCCTO)は2024年12月「MDACのプロトタイプ契約をBAEシステムズと締結する予定だ」と発表し、RCCTOはMDACシステム一式について「マルチドメイン砲×8門、多機能精密レーダー×4基、戦闘管理システム×2基、HVP×144発で構成され、無人機、巡航ミサイル、固定翼機、回転翼機、高度な航空機やミサイルの脅威から固定及び半固定の地域を防御可能で、既存の対空迎撃やミサイル防衛を補完するもの」と説明していた。
BAEシステムズも2025年10月「米陸軍と共同で行われたScorpio-XR砲弾の試射で目標への誘導と着弾に成功した」「Scorpio-XR砲弾は試射目標の要件を大幅に上回った」「この試射でScorpio-XR砲弾と52口径155mm榴弾砲との互換性が実証された」「Scorpio-XR砲弾は高度なセンサーと組み合わせることで砲兵砲弾の射程を2倍以上上回る距離で精密射撃能力を獲得でき、戦闘環境下における155mm榴弾砲の殺傷能力を向上させる」「これまでにScorpio-XR砲弾は39口径から58口径までの様々な155mm榴弾砲で記録的な距離にある標的との交戦に成功している」と発表。
The Multi-Domain Artillery Cannon System (MDACS) is built to move fast and hit hard. Air transportable and armed with Hypervelocity Projectiles, it delivers rapid, high-rate firepower wherever the fight demands. This is the future of adaptable, unstoppable artillery. #MDACS… pic.twitter.com/3djixFCx4N
— BAE Systems, Inc. (@BAESystemsInc) May 14, 2026
Scorpio-XRは低抗力設計を取り入れたHVPのことで、今月15日「Multi-Domain Artillery Cannon System=マルチドメイン砲システム(MDACS)は、素早く動き強力な打撃を叩き込むために設計された次世代の砲兵システムだ。航空輸送が可能で超高速弾=HVPを主武装とし、戦闘が要求する場所であればどこにでも瞬時に高連射の火力を叩き込むことができる。これは柔軟性に優れ、誰にも止められない「適応型砲兵」の未来そのものだ」と述べてMDACSの実機を公開した。
米陸軍のMDAC構想はトランプ政権が進める調達改革の中でも生き残っている可能性が高く、第二次大戦時とは技術的アプローチが大きく異なるものの、このまま行けば現代に「(移動可能な)防空用の高射砲」が舞い戻ってくるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:BAE Systems





















一発いくらなんでしょうか?
近接ミサイルより安くて連射が効き部隊といっしょに移動できれば、多層防空の1枚として日本でも欲しいなぁ
1発1000万という、パトリオットと比較して超安価な砲弾なので、1機10万とか20万とかのドローンを撃墜するのに最適なんですよ。
2018年の米議会が発表した所によれば、HVPは一発当たり
8.5万ドルを見込んでいるそうです。
どうせ見積もりは甘いし、当時よりだいぶインフレも
していますから実際は3倍と考えていいでしょう。
25.5万ドルだから一ドル150円なら3800万円くらい。
91式携SAMを撃ちまくった方がいいっすね。
そのHVPは最低でも射程が50kmと91式の10倍の射程があるので、単純計算でSAM-Bの1/100の数で同じ範囲を防空できます
91式のミサイル本体の価格が1000万円強なので同じ範囲を防空するために必要な価格は10億円
非常に単純な計算ですが、HVPを配備した方がいいですね
等速直線運動で一定航路を飛翔する目標だけではないので……
50kmとなれば索敵するためのレーダー、標定するためのレーダー、計算するユニットなどなどめちゃくちゃシステムとしてデカくなるので、ミサイルのみで完結するPSAMの方が安いかと。
このシステムが無駄というわけではないけどね
そういう意味では艦艇向きの砲弾なのかもしれませんね。
レーダー等システム一式揃ってますから。
それを言い出したらPSAMの方が数千万の発射ユニット+1000万超のミサイル本体で、ようやく人間が目視で見える範囲の目標しか狙えないので文字通り安いだけですね
とうか昨今のMANPADSは単体で使えないことは無いですが、基本的にレーダーや通信と組み合わせて機能する兵器なのでそもそもミサイルのみで完結するというのは間違いです
皆さん、教えて下さってありがとうございました。
思ったより高かった(笑)
155mmアインスフュンフフュンフ…!!
そいつは素敵だ 大好きだ
巡航ミサイル迎撃した玉って実配備に進んでたんだな
しかしあれって正確な弾道予測で命中させたのか、レーダー誘導だかで当てたのかどっち?
誘導ですね。マッハ5といえども、秒速1.7キロなので、同じ速度で飛んだとして(コレ自体が有り得ない想定)も、51キロ先には30秒掛かりますんで。
そして、超高速で飛ぶ軽量構造で、その中に誘導装置と姿勢制御装置も入っているので、たぶん炸薬はほぼ入って無くて、直撃に近い精密誘導じゃないと当たらないと思われます。
一応直撃方式と本のちょっとだけ炸薬が入っててタングステンペレットをぶちまける方式の二種類があるらしい
皆さん、教えて下さってありがとうございます。
…思っていたより高かったです(笑)
いいアイディアだとは思えないですよね。
砲弾であっても誘導弾である以上、対空ミサイルと
電子機器に要する性能は一緒じゃないですか。
シーカー搭載しないで地上レーダーの誘導に任せるから
安価っても、それは対空ミサイルだってできる話。
ロケットモーターのコスト自体は大したことはないのだし、
要するに対空ミサイルより安価になる理由がないんですよね。
そういえば陸自でも155ミリ用の対空信管を新規開発するという話がありましたが(砲弾は従来の榴弾のまま)、これくらい軽便なら専用の砲があってもいいのかもしれないですね。
最初にこの話題が出た時は”自走砲でミサイルを撃墜!?”とか変なお薬でもやってるのかと思ったのを思い出しましたね
ウクライナ戦争を経て意外とこんなのもありかな?なんて気もして来ましたが果たして結果は如何に
これ水上艦にとっても魅力的ですよね。迎撃するミサイルの種類によってVLS内のミサイルと使い分けすれば単純に継戦維持能力上がりますから。
将来的に複数砲塔搭載した防空艦が復活するかもしれませんね。ロマンあります。
あっトランプ級戦艦…
ドライバー席が窮屈そうだ…と言うか丸見え
C-130縛りのしわ寄せがここに出ちゃったのか
年寄りしか覚えて無いかも知れませんが、LOSATを仰角45度で射出して、レーザー通信では無く電波指令誘導とGPSで的に当てるって解釈で良いのでしょうか?
アレは120mmAPFSDS比5倍(4kg✕5?)の運動エネルギーでしたからサイズ感もそんなモノかと。
確か車体はハンビーでしたよね。砲身で加速した方が安い?、本当に?。
このままM777の代わりになるのかな?。
空ばかり撃つわけではないだろうし。
なんとなく、アーチャーの車体を縮めたようにも見えます。
機甲部隊用には装軌式のものを開発して、などと思います。
この写真は輸送検証用のモックアップだったりするのかな?見る限りあまり仰角がとれなさそうなので。