米海軍はT-45後継機の最終提案依頼書を発行し、T-7A、M-346N、TF-50Nが競合すると予想されていたが、ロッキード・マーティンは4月「入札に参加しない」と表明、そしてボーイングも12日「T-7AはT-45後継機の要件を満たしていないと判断したので入札しない」と発表した。
参考:Statement on U.S. Navy’s Undergraduate Jet Training System program
参考:Boeing bows out of Navy’s new trainer jet competition
M-346Nの競合はダークホース扱いされてきたシエラ・ネヴァダ主導のFreedom Trainerだけ
米海軍はパイロット養成に使用しているT-45 Goshawkの後継機(Undergraduate Jet Training System=UJTS)探しを2020年に開始し、UJTSに関する情報提供依頼書(RFI)の中で「アレスティングワイヤーによる着艦能力」や「タッチアンドゴー対応」を要求しないという謎仕様で注目を集めたが、これは自動着艦技術の成熟に加え「もうパイロットの着艦資格取得や維持に(ドック入り前や海外展開前の)空母を費やす贅沢が許されない」という事情に起因している。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Huey D. Younger Jr./Released
これまでの艦載機パイロットは空母着艦のための最終アプローチを手動で制御する必要があり、パイロットに着艦資格を取得させるためには膨大な訓練が必要だったものの、F-35Cには最終アプローチを安全に行うためのDelta Flight Path(DFP)が採用されているため、パイロットは経験や能力に頼った最終アプローチから解放され、この技術をベースにMagic Carpetと呼ばれる精密着艦モード(Precision Landing Mode=PLM)が開発されたことでF/A-18E/FやEA-18Gの着艦作業も劇的に容易になった。
PLMを使用しないと最終アプローチ(平均18秒間)中に300回近いコース修正が行われるが、PLMを使用すると着艦経験の少ない新人パイロットでも20回程度のコース修正で着艦でき、既に着艦資格取得訓練(Carrier Qualifications=CQ)からも手動による最終アプローチが廃止済みで、グレゴリー・ハリス少将も「運用に費用がかかる空母を使用して着艦資格の取得や維持を行うという贅沢(ドック入り前や海外展開前の空母を訓練空母に指定すること)はもう許されない」と述べていたが、2024年6月に発行したRFIの中で再び「着艦訓練の必要性を慎重に検討している」と述べ、UJTSの入札開始を2024年から2026年に延期。

出典:Air Force photo by Bryce Bennett
UJTSには有力な3つの競合(T-7A、M-346N、TF-50N)が浮上しており、T-7Aは新型射出座席が設計通りに機能せず、飛行制御用のソフトウェア開発が難航し、構成部品の品質問題にも悩まされ、2026年から2027年にIOC宣言がずれ込むと予想されていたが、空軍は予算案の中で「2028年にずれ込む」と明かし、M-346Nを提案しているテキストロンとレオナルドに「新聞やメディアのニュースを読む限りT-7Aが有利だと思っていない」と言われる始末で、もはやT-7AをUJTSの競合相手とすら見ていない雰囲気だった。
しかし、UJTSの入札開始が2年先送りされたことでボーイングはT-7Aの問題を解消して成熟する時間を与えられた格好で、2025年12月に初のT-7A=EMD5号機が試験評価部隊ではなく実際の運用部隊(第12飛行訓練航空団の第99飛行訓練飛行隊)に引き渡され、2026年1月にはT-7A=EMD3号機も同部隊に引き渡され地上訓練シミュレーターも稼働を開始し、海軍は3月末にUJTSに関する最終提案依頼書(RFP)を発行した。

出典:Lockheed Martin
この中で「UJTSは空母への着艦を想定して設計する必要はない」「艦載機パイロットが実施している陸上での空母離着陸訓練(FCLP)についてUJTSではタッチダウンを行わず、ウェーブオフまでの実施にとどめる」「代わりにUJTSは空母着艦をシミュレーションする独自の機能を備える」と説明し、ロッキード・マーティンはBreaking Defenseの取材に「RFPを慎重に分析した結果、T-45後継機入札に参加しないことを決めた」「UJTS入札要件を満たす(米国製と海外製の)構成要素に関する供給割合や他の理由から、当社の提案はUJTSにとって最適な解決策ではないと判断した」と明かした。
ロッキード・マーティンがT-45後継機争いから撤退し、T-7Aは4月23日に待望のマイルストーンCが承認され、5月上旬に低率初期生産(LRIP)の生産ロット1として14機が発注(関連費用込みで2.19億ドル)されたため、T-45後継機はT-7AとM-346Nによって争われると思われたが、ボーイングは12日「慎重な評価の結果、T-7Aは米海軍が進めているUJTSの要件を満たしていないと判断し、今回のRFPには入札しないことを海軍に通知した」と発表。
こうなるとM-346Nの競合はダークホース扱いされてきたシエラ・ネヴァダ主導(ノースロップ・グラマン、ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ、CAEも参加)のFreedom Trainerだけになり、M-346Nは非常に有利な立場にあるといえる。
Freedom Trainerは完全な新規設計で「海軍が技術データを完全に所有できるシステム」として売り込まれているが、実機が存在しないため性能予測も全て解析・シミュレーションの数値に過ぎず、一般的には「Freedom Trainerを選択すると開発リスクに直面する可能性が高い」と考えられている。ただし、海軍が「将来的な訓練ニーズに最適化できる機体」や「データ主権」を重視してくるとFreedom Trainerもノーチャンスではなくなってくるものの、やはり手堅い選択肢はM-346N以外に考えられない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Zelideth Rodriguez





















もうM-346Nにしましょうよ。
そしたら日本も何の気兼ねもなく採用できて、GCAPでもイタリアとの連携高められますし。
米軍は不確定要素が多過ぎますから、練習機は堅実に行ったほうがいいです。
支援艦も韓国と日本に作らせて、不安要素減らしましょうよ。
日本も双発の方が良いだろうし。普通にM-346でいいとおもうな
冷戦期の低信頼なエンジンの機体ならともかく、いまさら調達もメンテもコストが2倍掛かる割高な双発機を優先する優先順位、あるのかなあ。T
洋上の安全性のため、絶対に双発機を採用すると言われていた米軍機すら、主力機を単発機に切り替える時代だけど。
日本の都合しか書いてない感じのコメントになっているのがw
でも、まあ米海軍も開発リスク背負ってまで独自路線貫く理由も無いでしょうね。
そこまでしてM-346を導入する理由を米国頼みにする理由がどこにあるんですか?日本は一応独立国であって、今何を選ぼうが関係無いでしょう。
しかも空自は装備的に米空軍に右倣えなのに、米海軍仕様のM-346Nをわざわざ米国から輸入するかライセンス生産するなら導入に関して歪んでいるとしか思えない。大人しくイタリアからのライセンス生産とか購入の方が全然良いでしょう。
M-346を導入する理由だけなら米国には殆どプラスの要素は有りません、わざわざ米国に媚びる為に海軍仕様のM-346Nを導入すると言うなら相応の理由が居るでしょう。F-35Bのパイロットが使用するだろうと言うならいつから空自は海兵隊に右倣えなったんだと言う疑問しか有りませんし、イタリアF-35A/Bのパイロット育成にはM-346を使用しています説得力が全く無い。
仮に米国としてT-7AとM-346Nを選択したから、日本はど米国に利益をもたらす為にちらも選択するのにも十分な理由が出来たなんて思う人なんて居ないでしょう。普通なら米国に媚びるならT-7A一択でしかなく、M-346を選択するなら米国なんて全く無視した選択にしかならない。
流石に「練習空母を作れ」とは思わないが、米海軍は中国みたいに砂漠の真ん中に空母の実物大訓練施設とか建造しないのかな
空母の数が足りてないのに着艦訓練復活させたいのなら、一番手っ取り早い方法だと思うのだが
スクラップにしてしまった通常型空母でもコンクリートで固めておけば良かった、のかも。
硫黄島航空基地など民間への配慮が余り必要で無い所で、塗装でも使って滑走路の長さを制限して、訓練するのは如何でしょうか?
FCLP(陸上空母離着陸訓練)を行う基地はそれなりにあります。以上。
ほぼ有人機サイズの無人機(MQ-25)を運用するんですから着艦が自動なのは当然の前提ですよね。と言うか、A-6で出来た仕事はアレで出来るんじゃないか思います。
エンブラエルKC-390の時も思いましたが、軍用航空機メーカー第三位のノースロップ・グラマンの仕事が増えると2社独占状態よりは受注競争での選択しが増えて良い気がします。
どうなのでしょうね。
ボーイングとノースロップ/グラマンの準備が出来るまで、
入札を延期するのでは?。
完成品が1機種だけでは、入札が成立しないと思えます。
海軍の着艦補助装置は、機体側につけるものだそうですが、
メーカーはどこだろう。
判らないのだけど、ひょっとして、ボーイング製?、かな?。
初等から使えるジェット練習機をまた作って欲しい
プロペラ練習機はダサい