米海軍は2024年に9年近く放置してきたロサンゼルス級原潜ボイシのオーバーホールを開始したものの、コードル海軍作戦部長は24日「このままでは2029年9月の再就役に間に合わない」「ボイシの早期退役も選択肢の一つ」と述べ、造船産業の能力不足でどんどん戦力が失われている状況だ。
参考:CNO nominee Adm. Caudle says he’ll look ‘hard’ at whether to ‘walk away’ from sub Boise
このままHIIでのオーバーホールを継続したとしても再就役は2030年代になる見込みで、計12億ドルのオーバーホール費用がそれに見合うのかは甚だ疑問
2023年1月に開催された海軍協会年次総会で米海軍上層部の不満が爆発し、大西洋海域を管轄するダリル・コードル大将は「私にとってCOVID‑19やサプライチェーンといった問題もどうでもいい。SM-6や魚雷をスケージュール通りに納品して欲しいだけだ。我々は10隻の潜水艦を発注したのに手元に届いたのは6隻だけで、残りの4隻はどこに消えたのか?私の部隊は潜水艦が不足している」と不満をぶち撒けた。

出典:U.S. Navy photo courtesy of Newport News Shipbuilding/Released
米造船業界は年2隻づつ発注されるバージニア級原潜を年1.2隻のペースでしか建造できず、年10隻のオーバーホール作業もスケジュール通りに進捗していないため、コードル大将は「現在19隻の潜水艦が整備中か整備待ちの状態だ。もしスケジュール通りにオーバーホールが行われていれば潜水艦艦隊の戦力は9隻も増えていた」と述べていたが、米海軍は2024年2月「ロサンゼルス級原潜ボイシのオーバーホール契約を12億ドルで締結した」と発表。
2015年に哨戒任務を終えたボイシはノーフォーク海軍造船所でオーバーホールを行う予定だったものの、オハイオ級原潜の核燃料棒交換、空母のオーバーホール、ロサンゼルス級原潜のラホーヤとサンフランシスコを繫留訓練艦に変更する作業に取り組んでいたため、攻撃型原潜のオーバーホールは先送りされ、2018年にニューポート・ニューズ造船所に移動し「ボイシは2021年までオーバーホールを終えて復帰する」と報じられていたが、実際には資金不足でオーバーホール契約を締結出来なかった。

出典:U.S. Navy photo by Chief Mass Communication Specialist Darryl I. Wood/Released 係留中の2018年に行われたボイシの指揮官交代
海軍は2020年9月にボイシのオーバーホールの初期費用として約3.5億ドルを支払い、当時のギルディ作戦部長は「ニューポート・ニューズ造船所でスペースされ確保されれば直ぐにオーバーホールが始まる」と議会に報告していたものの、この時もオーバーホールは開催されず、2024会計年度予算の中で「今年度中にボイシのオーバーホールが始まる」と言及し、2024年2月に発表された契約によって「ニューポート・ニューズ造船所はオーバーホールを開始することが可能になった」という意味だが、どうやら米海軍の海軍作戦部長はボイシの退役を検討しているらしい。
新しく海軍作戦部長に就任したダリル・コードル大将は24日「海軍長官から承認を得られればボイシ問題に取り組みたいと考えている。ボイシを放棄するかどうかの決定は重要問題だが、現在の状況を上院議員の方々が受け入れられないこと、ボイシが造船所で長期間放置されていることを懸念していると十分理解している」「私もボイシのオーバーホール遅延は容認できないし、潜水艦士官としてボイシの状況は胸に突き刺さる刃のようなものだ」「この事態を招いたのは国防総省が1990年代~2000年代にかけて造船産業界への投資を放棄したことにある」と言及。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Justin E. Yarborough/Released
原潜のオーバーホールは伝統的に国営の海軍造船所が担当し、造船所のスペースと能力の問題でボイシのオーバーホールを民間のHIIに移管したものの、これを実際に行うためにニューポート・ニューズ造船所は原潜のオーバーホール方法について1から学ぶ必要があり、ボイシ以降のオーバーホール需要も確約されていないためHIIの学習態度は効果的ではなく、仮にHIIでのボイシのオーバーホールを継続したとしても再就役の目標=2029年9月に間に合う見込みがないらしい。
ヘリテージ財団のアナリストは「現在の艦艇不足を考慮するとボイシの退役は最後の選択肢であるべきだ。それでもボイシの状況を招いた根本的な原因、つまり原子力を動力源とする艦艇の保守作業能力が不足しているのに焦点を当てるのが重要だ。海軍は冷戦終結後の予算を削減しすぎているため、国営の海軍造船所への投資を増やす必要がある」と、ハドソン研究所のアナリストは「現在の産業能力を考えるとボイシの早期退役は恐らく正しい決断だ。運用状態にないボイシも艦の安全を確保するため水兵を配置する必要があり、今は運用可能な艦艇にリソースを集中させる必要がある」と指摘した。
まだボイシの未来は定まっていないものの、2015年に哨戒任務を終えたボイシは10年近く可動状態になく、このままHIIでのオーバーホールを継続したとしても再就役は2030年代になる見込みで、計12億ドルのオーバーホール費用がそれに見合うのかは甚だ疑問だというしかない。
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※アイキャッチ画像の出典:Photo by Petty Officer 1st Class Todd Schaffer






















生産を学んだ人には常識だけど一般の人とか畑の違う専門家の人って生産には技術者だけじゃなく技能者が必要なことを知らないんだよね
だから設計部門さえ残せば技術を維持できると思い込む
でもそれだとモノを生産するために必要な条件の半分にしかなってない
ウォール街がInetlに送り込んだリストラCEOのおかげで、アメリカは半導体も失いそうになってる。
馬鹿につける薬って無いんだなぁ。
逆に日本じゃ生産は技能者だけと思ってる人が多いですね
生産技術も生産管理も技術者の仕事です
トヨタをはじめ日本企業が生き残ってきたのはこの部門が強いからですよね
アメリカの造船に関しては難しい問題ですねとしか言えない…
そもそも自由主義VS国家介入主義のどちらがいいかという問題を含んでいる。
国営企業は無能で非効率だしイノベーションも出来ないから市場に任せるのが
一番良いという意見も一理ある。問題は確かに自由放任で経済は成長するけど、
安全保障に必要な産業が成長するとは限らない。
むしろ、そういう産業は衰退して兵器が作れなくなるという問題がほぼ必発する。
対策は国家介入主義かもしれないが、政府のカネ頼りの腐敗と汚職にまみれた
業界を生み出し、それで本当に止めを刺すことにもなりかねない。
税金がないとやっていけない造船業は果たして頼りになるのかというと非常に疑問。
正直どうすればいいのか全く分からないし、解決策なんてない気がする。
現実的には造船できる他所の国から買うしかないんじゃないかな…?
>国営企業は無能で非効率だしイノベーションも出来ないから市場に任せるのが
バランスの問題だと思うけどね
中国は社会主義で今でも基幹産業はほとんど国有か3割以上の議決権を持ってる国有支配企業だけど細かい生産計画まで中央の行政組織で決めてたソビエトとはやり方が全く違って
所有はしてるけど日々の生産活動自体は現場の裁量でやってるし
そういう意味ではマリアナ・マッツカート氏が言ってるような賢い投資家国家を一番やってるのが中国だと思う
国家が厳しく管理をしながらも、あれだけのイノベーションを出し続けて凄まじい生産性と技術力を維持、発展させている中国はまさしく化け物ですね。
よほど官僚が優秀なのか、組織づくりが上手いのか。
あやかりたいものです。
失敗して損失出したら、官吏なら敵対派閥の槍玉になり、民間なら競合業者にあっという間に押しやられて消えるっていう凄まじいプレッシャーに耐えながらやってるので、やはり鞭と鞭と鞭で人を追い込むってのはかなり優れた方法なんだなと。
成功すれば立身出世っていう最高の飴が用意されてますし。
開発独裁というやつですね。
あの国は中の人たちが幸せとは限らないという、大きな問題がありますけどね。
失敗もなかったことにできたりとか。
我々が考える、優秀というのとはちょっと違う気がしますが。。。
そりゃ、先進国ではあり得ないほど安全マージンを無視してやっているからな
韓国もだけど、後進国型の事故が多発することになる
全く羨ましくないです
日本や欧米の企業と取引があるような中国企業は発注側が品質検査をやってるから安全を犠牲にしたようなものは作ってない
ただまあ自動運転とかドローン配送とか日本じゃ安全で雁字搦めになるようなものでも技術の完全な成熟を待たずに見切り発車で社会実装してるところはあるね
ヒト遺伝子のゲノム編集とかやるなら中国が最初だろうと思ってた
さすがにあれはちょっとスピードオーバーで学会発表した直後に捕まったけどね
もう中国は何もしなくてもあと十年待てば覇権握れそうですね…
アメリが勝手に軍縮してくれて、質量ともに中国が一番になりそうです。
工業力って本当に大事……
日本造船業は、民間企業の経営努力で何とかなり、ラッキーでしたね。
アメリカ海軍の事を何も言えないくらい、日本政府は何の役にも立っていません。
中国韓国の造船業界が、補助金ジャブジャブの中で、日本造船業界が自力で何とか生き残れてよかったなと。
追記です。
造船業界=傭船業界は、海事クラスターの両輪なわけですが、どちらも一見すると業績好調です。
コンテナ船業界でも、中国企業が躍進しているうえに、日系オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(日本郵船・商船三井・川崎汽船の合弁)の地位が低下しています。
業界地位維持の為に、大規模投資を行っています。
海上自衛隊にとって、日本の造船業界に資金が流れ込むわけですから、非常にポジティブと思います。
(2025/3/3 コンテナ海運、日系「ONE」が3.7兆円投資 輸送力3割増【イブニングスクープ】 日経新聞)
本邦の造船業は本当によく生き残ってくれたという感じですね
ようやく政府が支援に動き始めたけど、技能継承という意味では割とギリギリな気がしています
ラピダスはギリセーフっぽい滑り出しになっているので造船業もこれを機に成長していってくれると嬉しいです
ラピダスは今のところ事業としては何とも言えない……。
まあ箱がきちんと完成してEUVの納入とテストウェハが流れてるのは本当みたいだし、遅れがないのは立派だと思う。
ラピダスが、微細化プロセスを、一気に飛び越えるのは野心的な話しではあるのですが…
徐々に微細化していく中で、別々のノウハウを蓄積していったという点で、難しさがあるというのを見た記憶があります。
商業採算ベースに乗せるのであれば、歩留まりを高めつつ、高価な装置を購入しながら・減価償却に耐える必要がありますからね、
仰る通り、(商売としては)まだまだ何とも分からないというのが現状ですかね…
ラピダス最大の懸念は自社、というか自国で作るべき製品を全く持っていないということだよ。Intelから仕事がもらえればいいのだが…
むしろ今のIntelは受託生産する上で競合相手ですよ?
ところがインテルは14Aで脱落という線が濃厚になってきたので2nm以降まで鼻血出して事業が続けられればワンチャン。
仰る通り、ギリギリだったかもしれませんね。
造船業は、好不況の波が激しい業種ですが、仰るように上手に成長していって欲しいですね。
10年も非稼働だと各種配管や隙間にフジツボだの何だのが詰まりそう
システムだって10年放置すりゃ旧式化・陳腐化しているだろうし、今更に改修とかいうのも考えないといけなくなるから負の連鎖だな
原子力動力艦のオーバーホールは韓国や日本へ外注出来ない案件だけにまずい状況。
豪州政府が原潜ボイシに熱い視線(無理無理
一瞬日本や韓国が支援すれば少しはマシになるかなと思ったけどよく考えると日本にも韓国にもノウハウなかった・・・
オーバーホールは手が打てないですからね…
とはいえ米空母の修理を横須賀でやっているわけで、米企業の負荷を分散させるという点ではオーバーホールまでいかない修理作業を日韓で引き受けるという道はあるのかなと思いました
別に今を考えずとも将来に繋げるような流れでも良い。幾ばくかの代償を払えばノウハウ供与をすると言うなら韓国なら自国での装備開発含めて喜んで原潜事業に手を出すでしょう。
日本にあるのはむつの枯れた知見と原子力発電所製造のノウハウのみ。東芝が買収した時にはウェスティングハウスに軍用原子炉事業は残っていなかったから純軍事だけ考えたらノウハウは無い。
空母打撃群に1隻はSSNを張り付けていないといけないわけでクルーはブルーとレッドで交代できても艦本体はメンテのローテーションがあるわけで相当苦しいやりくりなんでしょうねえ。
ナンバードフリートの削減も視野に入ってきそう。
そりゃあAUKUSで余所に原潜提供しているどころではないよねえと。
じゃあなんすか
アタック級は無駄死にだったって事すか
アメリカの安全保障上の脅威は、他国の軍隊では無く自国の株主資本主義にあったと…
こういう制度疲労が出ると大国の老いを感じさせますな…
海洋国家が造船捨てるとか正気の沙汰じゃないなと
歴史上の大帝国がなんか急に負けて衰退する事象の裏側はこんな感じなんですかね。
国家の興亡を指導者の良し悪しで語るのもよいし、気候の変化や技術の革新なんかに原因を求める考察も楽しい。
だけど実際は覇権国が自滅一短期的には制度や経済の合理性を追求していたはずなのに、長期的には自ら優位を捨てた一しただけなんてことも意外と多いのかもしれない。未来の歴史家はアメリカが海軍力を減勢させるに任せた理由が分からず苦労することでしょう。
究極的には間違った理論に依拠したからだと思う
アメリカというか西側が半世紀以上経済の指針にしてた新古典派経済学には安全保障という概念がないからね
一言でいえば新古典派経済学が唯一目指してるのは世の中に流通する財やサービスが最大化された財やサービスが最も安く買える世界だから
リカードの比較生産費説も自由貿易をした結果として自国に戦争で勝つために必要な産業が育ったり維持されたりなんて全く言ってないし
「我が国は世界最強である」という慢心とその慢心の元に肥大化した利益第一主義が、緩やかに国の安全保障を弱体化させるのは歴史の必然なのかもしれませんね
世界が大軍拡している中でアメリカだげ軍縮していて草
アメリカの貿易赤字削減のために
我が国に原潜を売ってくれないですかね
攻撃型でいいですから
あと島嶼防衛用核ミサイルもセットで
買うもなにも、生産能力が足りないのだから、金で解決はしないと思います。
仮にオーバーホール待ちの原潜なんかもらっても、それこを粗大ごみ以下ですよ。
造船能力が足りないので、日本へ輸出する余裕は無いでしょ。
バージニア級もコロンビア級もトライデントD5も、日本でライセンス生産させてくれれば良いんだよ。
技術はあるんだから、ライセンス料で儲けてくれって話だ。
米国は価格面から民間造船業が衰退してしまい、造船も修繕能力
も落ちてること。それに増して成果主義が行き過ぎてるから、低賃金の単なる組立工と高級取りの少数の技能職に二分されてしまい、特に技能職は自分たちの地位や高い給与水準を維持したいので、技術の継承(教育)をせず、人員減少が激しく、人数が揃わない状態なのでは?
特に造船や航空機などの製造は、技術職の率が高くないといけないし、特にオーバーホールは技能職が必要だから、どうにもならない状況に陥ってしまってるのかと。
こういうのオーストラリアに譲渡したら?なんだったら日本が買い取ってもいいし
造船能力の部分に関しては日本から協力しないとどのみちいけないとは思うけども。
アメリカの物作りの力の衰えは本当に酷すぎる。これも金融系が高額な年収で理工系の人間も引っ張ってしまうため。
本気で製造業を復活させたいなら、今のアメリカが金融や保険などの業種で異常な高収入を約束するシステムを壊さないとダメだと思う。
熟練工とか現場要員を真面目に育てるしかないよ。韓国から近代的な造船技術を導入するとかやっても業種間の収入格差を是正しないかぎり復活なんて無理。
そういえばちょっと前にアメリカ最大の保険会社のCEOに天誅を下して英雄になった青年がいたね
彼が逮捕された後も金融機関のトップのターゲットリストが出回って当局が必死に火消ししてたけど
>熟練工とか現場要員を真面目に育てるしかない
金融機関もだけど製造業でも経営者が異常な報酬を取ってるから製造業でもまずはそれを是正する必要があると思う
どれだけ真面目に努力してもその地道な努力の成果は全て経営者の異常な高額報酬と株主への配当に消えると思ったら誰だってやる気なくして当然だし
この記事とは関係ないけどスタバのCEOの6666倍とかもはや異常というより異様
あれ3Dプリンターで出力したゴーストガンで射殺したというのがなんというかサイバーパンク感。
次はFPSドローンを使用した市街地での暗殺ですかね。
トランプ狙撃ってドローンだったら成功してたんじゃないだろうか。
衰退というか、SC21計画が頓挫していろんな艦船が後継を作る前に退役してしまって、その後釜を大急ぎで揃えようとしたしわ寄せでしょ
コンステレーションの遅延も設計変更の話ばかり話題にされるが、他の船作ってて人員が足らないって記事あったよな
トランプが出てきて勇ましい話が多くなった。
ソビエトの源泉と同じ話がアメリカから出てきた。
韓国にチャンスが出てきた、ただ韓国の政治にはそれだけの機動性がない。
巷では北の軍事力の話が多いが、北の金正恩は軍事オタクで何もできない。
韓国がうまく立ち回れるチャンスが来たようだ。
老いたなぁ、アメリカ。
だが老いるにしたって早すぎやあしないか?
生みの親の大英帝国はおろかローマ帝国よりも早く衰えたように思うぞ。