コンステレーション級フリゲートはデル・トロ米海軍長官が命じた調査によって「1番艦の完成が最大3年遅れるかもしれない」と判明したが、米政府説明責任局は29日「設計変更で計画外の重量増を招き、将来のアップグレードを受け入れる重量的余裕が無くなった」と指摘した。
参考:Unstable Design Has Stalled Construction and Compromised Delivery Schedules
参考:Constellation Frigate ‘Unplanned Weight Growth’ Could Limit Service Life, Says GAO
コンステレーション級フリゲートは沿海域戦闘艦やズムウォルト級駆逐艦と同じ運命を辿るのかもしれない
デル・トロ米海軍長官は今年1月「パンデミック後の状況が造船業界とサプライヤーに影響を及ぼし続けており、これがコンステレーション級フリゲートやコロンビア級原潜に与える影響を懸念している」と表明し、包括的な造船計画の見直しを命じていたが、この調査によってコンステレーション級の1番艦完成が最大3年、コロンビア級の1番艦完成が12ヶ月~16ヶ月ほど遅れる可能性があると判明した。
コンステレーション級フリゲートはベースとなったFREMMの設計と85%の共通性を保ち、海軍は詳細設計の進捗が80%に達した2022年8月に建造を開始したが、、欧州基準よりも高いレベルの生存性を要求されためコンステレーションとFREMMの共通性は15%まで低下、造船所も沿海域戦闘艦の艤装工事、サウジアラビア向けの多目的水上艦(フリーダム級の改良版)、コンステレーション級の建造の3つを同時並行で進めているため労働者不足に陥り、1番艦完成が最大3年遅れる可能性があるらしい。
この問題について米政府説明責任局(GAO)は29日に発表したレポートの中で「設計上の変更は計画外の重量増(10%以上)を招き、耐用年数を満たすのに必要な近代化工事を受け入れる重量的余裕が無くなった可能性がある」「近代化工事の受け入れに必要な重量的余裕を確保するには推進能力を削減して最高速度の低下を受け入れなければならない」と指摘した。
“海軍は十分成熟していない設計でコンステレーション級の建造を承認し、Fincantieriが鋼板の切り出しを始めた後も設計変更を続け、兵器システム、よりも強固なダメージ・コントロールシステム、新設計の上部構造を組み込むため「contract data requirements list items(CDRL項目)」と呼ばれる511の機能設計文書に独自の仕様を盛り込んだ。そのため海軍とFincantieriはコンステレーション級建造と同時並行でCDRL項目(3Dモデルと詳細設計に必要な図面、図表、仕様、構成)の作業を進めている”
“この設計上の変更は計画外の重量増(10%以上)を招き、この問題に対処するため海軍は速度要件の引き下げを検討し始めた。計画外の重量増を招いたのは艦艇設計の要素が不完全なまま建造を承認したこと、海外設計に海軍の要求要件を組み込むリスクを過小評価していたことに原因がある。この問題解消はFincantieri側の設計作業に追加の負担をもたらし、困難な建造スケジュールの見通しをより不明瞭なものにするだろう。もはやコンステレーション級とFREMMの共通性は遠い親類程度にしか見えなくなった”
因みにUSNI Newsも「海軍はコンステレーション級計画の遅れを説明する際『造船所の労働者が不足している』と繰り返して来たが、GAOは計画遅延の原因に未成熟な設計を挙げている」と指摘しており、もしかするとコンステレーション級フリゲートは沿海域戦闘艦やズムウォルト級駆逐艦と同じ運命(失敗作)を辿るのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Fincantieri
グダグダすぎるだろー
まともなプロマネいないのかよー
同盟国として不安になるわ
本当に仰る通りです。
超大国の軍隊が、足腰がダメになった、おじいちゃんのように見えてきました。
米国民ではありませんが、アジア太平洋の安全保障に直撃する事を考えるともういい加減にしてくれと言いたくなりますわ
米海軍の戦闘艦のタフさと優秀なダメコンは伝説級ですからね。太平洋戦争中の不死鳥エンタープライズとか、日本海軍にボコボコにされて放棄した空母(艦名忘れた)を処分するために、駆逐艦が魚雷や砲撃加えても沈まず。日本海軍がやってきたため已む無く逃走。日本海軍は拿捕を試みるも、単なる燃える浮かぶスクラップ状態で無理となって、日本が誇る高性能酸素魚雷数発でやっと沈めたとか。
日本は、もがみ級である程度割り切った節がありますが、それまでは米海軍同様の堅牢な水密構造と、ダメコン体制維持で多くの乗員乗せてました。米軍は、継続的な移民政策で(クオリティはともかく ー 強襲揚陸艦ボクサーのグダグダ)頭数の確保はできるため、思想の転換は出来ないんでしょうね。
一方ヨーロッパの軍艦は、座礁してあっさり沈んだフィンランドのイージスフリゲートでもわかる様に、乗員が脱出する時間を稼げれば良い程度の水密構造で、被弾した場合に戦闘を継続することや艦を救うことのプライオリティは高くない印象ですね。基本沿岸海軍に特化した艦艇設計な気がします。イタリアも主戦場は地中海だし。
失礼ながら座礁して沈んだのはノルウェーのフリチョフナンセン級イージス艦ではないでしょうか?
そうでした。失礼しました。
>米海軍の戦闘艦のタフさと優秀なダメコンは伝説級
LCSはどうでしたっけ。
実際コニーを堅牢にしようとしているのは判りますが、そのために設計を大幅に変え、遅延とコスト上昇を引き起こしているので、これは過去の失敗から何も学んでいないということの証左です。
最初のコメ主のおっしゃる通り、米海軍にはまともなプロマネはいないのか、という不満と不安が多くの方々の率直な感想なんですよ。
もがみ型で堅牢な水密構造を放棄した根拠は何ですか?出来ればソースを出して貰いたいですが。なんかタンカー等が商船構造だから弱いだろうみたいな言い方のような感じを受けます。
人員が多いのはダメコン対策もあるでしょうが継戦能力を上げるために展開先で可能な限りの対策をする想定と冗長性を持たせた設計にしていた事、装備が多ければそれだけ担当する人が必要ですので一つだけの理由ではありません。
応急工作作業のために人員が必要とは言いますが、あれは段取り8分みたいなマンパワーより事前の準備が9割ぐらいの想定です。人が多く居ようが艦自体のダメージが大きい時・乗員に多大な被害を受けた時・スペースや機材のキャパで最適な人員が決まっている(5名で対応したら30分だけど10倍の乗員で対応すれば3分になる訳でもない)とかはあるんでそんな単純な話でもないです。実際に被弾したDEとFFMどっちが生存率が高いかなんて検証してるんでしょうか。
もがみ型は機関室の乗員を無くす事(少なくともメンテフリー含めて信頼性が高くないと無理)、艦上で当たり前のようにやっていた仕事を寄港時にする(陸にアウトソース)、艦の状態確認するために人を使っていた物を機械でするとか乗員のコンディション確認をデジタル化とかして削っています。
そこには積み重ねの技術の進歩や新しいツールがなければ為し得なかった削減もあるので、昔と比べて脆弱ですとは単純に言えないとは思います。
>太平洋戦争中の不死鳥エンタープライズとか
エンタープライズが沈まなかった点については、運の部分も大きい様です。
エンタープライズを含むヨークタウン級の防御は、水平装甲は38mmと薄く、爆弾だと500ポンド級の急降下爆撃に対応としています。
日本の爆撃の体系だと250kg級に相当。
水中防御は、幅を必要とする米海軍式なのに全幅が狭いため、TNT換算で150kg級で妥協しています。
ちなみに、日本の航空魚雷は200kg級。
航空魚雷被弾で早々に動力を喪失し、且つ沈没まで時間があったのに最期まで動力が復旧しなかったヨークタウンが示す様に、
仮にエンタープライズが日米が拮抗した戦場で被雷していた場合、恐らく致命傷となっていたでしょう。
エンタープライズは250kg爆弾の至近弾爆発の衝撃で、行動能力や航空機運用能力の一時喪失を度々経験している艦ですから、水中防御は案外脆弱でした。
エンタープライズが直接被弾したのは、急降下爆撃だと250kg止まり、
500kg爆撃の被弾は貫通力の乏しい(浅い所で炸裂する)特攻によるもので、その時の被害は航空機運用能力を復旧する事が出来ずに本国回送の憂き目となっています。
彗星とかの500kg爆弾による急降下爆撃を受けていたら、恐らく致命傷となっていたでしょう。
エンタープライズが沈まずに済んだのは、被弾したのが耐久力の範疇で、
且つ、限界ギリギリな規模の被弾は米軍優先の時だった、
といった具合に、運の要素も大きい様です。
食うな、痩せろ
提督はデカい船を指揮したがるのさ
米海軍でここ最近で成功してる(計画通りになってる)のってもしかして無いのでは…
空軍もちょっと怪しいところはありますし、陸軍も世代交代する気があるのか分からないくらい新型作ってないし、世界最強の放漫さもここまで来ると心配になるレベルですね。
まぁアメリカ人は劣等人に言われたくないって言うでしょうが…
米海軍で最近成功してるのは…アメリカ級?かなぁ。あんまり失敗してないように見えます。設計変更はありましたが今の所問題は聞きませんね。
米陸軍は20年ぶりに戦闘車両(M10ブッカー)を採用しましたが、M10ブッカーの価格は約1,300万ドルもするので計画通りの調達ができるかどうか。
陸軍は世代交代に失敗し続けているだけなので…
FCSにもはや数えるのも面倒なくらい数の多い失敗したBFVの更新 etc…
あのさぁ…もう新造艦はいいから。
アーレイバーク級再生産やってもらってさ、終わりでいいんじゃない?(振り出しに戻る)
記事にも書いてますがFREMM(カルロ・ベルガミーニ級)という実績のある艦をベースにしてこの体たらくというのが問題なんですよ…
共通性が15%まで低下してしまっては、もう実績もクソもありませんね…
共通部分が15%しかないなら、ベースにしたメリットなさそう。
法律分野では立法爆発という言葉がある。
単純に法改正などの増加を指し、最近ではAIの進歩で、
雪崩的な状態となることが懸念されている。
同じように軍事技術や環境でも、その急変に耐えられなくなったとき、
もはやそれは軍事革命ではなく軍事爆発(自爆?)とでも呼ぶのだろう。
巨大なコストをかけて、1つの完成された兵器を造るのは時代遅れなのかもしれない。
中国の空母みたいにちょっとずつ仕様を追加していきなよ
あれもこれも要求する全部盛りはズムウォルトとか他の兵器で散々痛い目みたじゃんか
ここまでグタグタだと中国やロシアのスパイが
サボタージュさせたり内部から破壊する弱体化工作を仕掛けているんじゃないのか?と疑ってしまうよ
あのさぁ……マジで日本が作った方がマシなもん作れんじゃないの?
経済と軍事が強いだけのバカなんだからそれを失わないように頑張れよ
乗組員の質か違うから同じ艦あっても、同等の能力を発揮できるか判らんのよね。
あとごく一部のアメリカ人は同じ人類かと思えないぐらい優秀なのが居るのよ。
ならその頭脳を活かしてこのグダグダを是正してもらおうかぁ…
上が優秀でも結局下が実行出来なきゃ意味が無いんだよ
優秀なのはこんな仕事せずにテック企業で大儲けしてるから来ないよ
日本人は100%の凡人で、米国人は99%のバカと1%の天才で出来ている。
もがみ型「呼んだ?」
もがみ君、まずはVLSを積んでからにしようね。
もがみ型がVLSを最初から積む予定が無いならともかく設計の話してんだから関係なくないか?
アメリカ弱くなりましたね。
造船所の稼働に影響がでるのであれば、玉突きで、あらゆる艦種の建造計画・修理計画に影響がでることになります。
艦船のような大きい物は、段取り替えに莫大な時間が必要になるからです。
アメリカ海軍弱体化が酷すぎて、極東・東アジア情勢、なんかもう決着つきそうな気がしてきました。
>「海軍はコンステレーション級計画の遅れを説明する際『造船所の労働者が不足している』と繰り返して来たが、GAOは計画遅延の原因に未成熟な設計を挙げている」
ちゃんと決めとこ要件定義
やめろ見切り発車と製造中の仕様変更
フリゲートなんて大量に作ってなんぼの艦種で手古摺るとかさあ
しかもアーレイバーグと比べてもそこまで大きさに差がないし、それだったらアーレイバーグでよかったんでないという
本気で製造業に関わるすべての面でダメだわね
護衛すべき空母が30kt以上なのですから。
意地でも速度は落とさないのでは。存在意義が薄れます。
計画もベース艦も26ktですよ。VLSにSM-2積んでますけど個艦防衛用のふれ込みだし。とはいえ、イージスシステム搭載で艦上構造物と電線含む電装系全取っ替え、発電機強化に伴い艦体延長、備砲も57mmに換装して艦首ソナー撤去でしょ。原型のままなのは対艦ミサイルの搭載数だけじゃなかろうか(ミサイルそのものは変わるはず)。最初の計画時点でこれだけ変えておいて互換性85%は何かを誤魔化そうとしたとしか思えませんね。
計画速度が26ktであったとは!。
よくは知りませんでしたが、確かにそのようです。
素人は、その時点で不合格(笑)ではないか、と思います。
米海軍は、一体どうしたのでしょうね。
これでは海自の新造船の方がマシに見えます。
想定護衛対象が空母ではなく揚陸艦や輸送艦その他の補助艦艇なのだと思いますよ。機関の構成もアメリカ級あたりと良く似てますし。
どうなのでしょう。
前任とされる沿岸戦闘艦は40kt以上、
そのまた前任のOHペリー級は公称28.5ktでしたが、
公試で30ktオーバーを普通に記録しています。
素人には、やっぱりおかしい、と思えます。
海自のもがみ級で満載5,500t、30ktなのですから。
冗談抜きに海自艦をアメリカ海軍式に艤装した方が良いんじゃないのフォード級とSSBだけ自前で作って
>欧州基準よりも高いレベルの生存性を要求されため
イタリア「最 初 か ら 言 え」
共通性が15%未満だともはや機関構成くらいしか似てる部分はないな
外見とかぶっちゃけFREMMより李舜臣級の方が似てるし
既存の艦艇をベースにして保守的なのフリゲート艦を作ります、LCSやズムウォルトの二の舞にはなりませんとアピールして予算を通したけど
実際はノウハウ不足の造船所に任せたり米海軍の要求に合わせて新規設計と変わらんレベルで設計を変えたりして失敗が明るみに出たという事かな?
下手したら予算が通っている分以外は建造が中止するかも、最初からベースライン毎に徐々に改良するようにすればよかったのにね
最近のアメリカが繰り返してる「設計未了で開発推進、必要な検査を省略、仕様後付け」
これの根っこはどこにあるんでしょう?繰り返しているというより同じ体制で開発開始されて、今になって問題が顕在化してきただけかもしれませんが・・・
現在進行形の戦争に負けそう、とか切羽詰まっている訳でもないのに一足飛びの開発を目指して失敗。全く意味不明で自滅願望でもあるのかと。
IT業界仕草に脳が侵されているのだよ
あとケチだから、上記と併せて目先のカネと手間を惜しむと
この世に魔法なんか無いのだがな。魔法に見えたモノが現れても、その足元には無数の屍が埋まっているだけだ
海洋システムコマンドとか本邦では言われるNAVSEAが予算通すべく議会に対して「○○と共通にして費用押さえます」と言ってGOでたはいいけど
その後実運用考えると米海軍がアレが基準に合わないこれが足りないとなったのかね
LCSの代わりに早急な整備求められて必死だったのだろうが詳細設計完結してから建造開始でその後はフライト2以降に任せるべきだったと、ほんと後知恵だけどな。
この艦も見切り発車で建造開始してるとは思わなかったですね…
散々失敗してまだやるとは…