米国関連

モノポリー状態の米防衛産業界、言い値での調達を強要される国防総省

米CBSの番組に出演した元国防次官は「ロッキード・マーティンも、ボーイングも、レイセオンも、トランスダイムも国防総省や納税者に過剰請求をおこなっている犯罪者の1人だ」と明かし、防衛産業企業による価格吊り上げの実態を暴露した。

参考:Weapons contractors hitting Department of Defense with inflated prices for planes, submarines, missiles
参考:Senators urge Pentagon to investigate price gouging by military contractors after 60 Minutes report

ロッキード・マーティンも、ボーイングも、レイセオンもパトリオットシステムで国防総省と同盟国に過剰請求

CBSの60Minutesに出演したシェイ・アサド氏はレイセオンで契約交渉を担当する副社長を経て国防総省で働き始め、2011年には調達担当する国防次官に昇進し、米軍が調達するあらゆる装備やサービスの契約に関わってきた人物で、約40年間も武器契約の交渉に携わってきた経験から「国防総省は殆どの調達で過剰な支払いを行っており、ロッキード・マーティンも、ボーイングも、レイセオンも、トランスダイムも国防総省や納税者に過剰請求をおこなっている犯罪者の1人だ」と明かし注目を集めている。

出典:Lockheed Martin

アサド氏は2015年にパトリオットシステムの契約見直しを指示、陸軍の担当者はPAC-3弾についてロッキード・マーティンと下請け企業(ボーイング)が国防総省と同盟国に数億ドルの過剰請求(7年間で数億ドル)を行っていたことを発見、ロッキード・マーティンとの契約を改定して国防総省は5.5億ドルを節約することに成功、さらに古巣のレイセオンがパトリオットシステムのレーダーと地上装置の製造コストを大幅に膨らませていた事実も告発、現在司法省が調査を行っている最中だがレイセオンは最大3億ドル分の責任を負う可能性があると投資家に説明しているらしい。

このような防衛産業の価格吊り上げについてアサド氏は「当該装備の供給元が1つしなく類似装備の供給=競争がないことが原因で、1993年に国防総省がコスト削減のため防衛産業の合併を促したことが問題(51の企業が5の巨大企業に再編)の根源だ。さらに国防総省も契約業務に関わる職員13万人(監視役、交渉役、技術者、プログラムマネージャーなど)を50%以上も削減し、企業に自らを監視(品質やコストの証明)する前例のない自由裁量権を認めてしまった」と指摘。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Rachel K. Young

国防総省は組織のスリム化で大幅な経費削減に成功したように見えたが、直ぐに全ての調達コストが信じられないスピードで上昇し始め、1991年に2.5万ドルで調達していたスティンガーミサイルは現在40万ドル以上もかかり、インフレ率や多少の性能改良を加味しても値上がり幅は7倍以上で、空軍で装備調達を担当してきたボグダン元中将も「産業界は競争の中で生き残って利益を上げるために働き、我々は可能な限り早く安価に装備を手に入れることを考えているため、そもそも両者は対極の存在なのだ」と述べている。

60Minutesのビル・ウィテカー氏が「しかし我々の社会システム上、利益を得ることに何も問題はない」と指摘すると、ボグダン元中将は「確かにそうだが、しかし極端に言えば産業界は政府の利益のため最善の決定を下さないかもしれない。この影響を我々は感じはじめている過ぎない」と主張し、自身が関わったF-35の調達を例に上げて「最終的にF-35のサポートとメンテナンスに1兆3,000億ドル=約182兆円の資金がかかる可能性がある」と明かした。

出典:U.S. Air Force photo by Courtesy by Kyle Larson

この問題はケンドール長官が言及した「買収上の悪習慣」に関連する話で、F-35プログラムを獲得したロッキード・マーティンは機体の重要なデータを所有する権利が認められているため「製造」「運用」「維持」「アップグレード」に関する作業を独占でき、ウィテカー氏は「何十億ドルもの金を支払って作った戦闘機は国防総省のものではないのか?」と尋ねると「兵器システム自体は国防総省に属しているものの、設計に関するデータは我々のものではない」と述べているのが興味深い。

買収上の悪習慣はF-35プログラムに限った話ではなく、これまでに開発してきた全ての航空機に共通する問題で、過去の戦闘機は次々と新型機が開発されていたためアップグレードを行う必要もなく、何十年も飛行させる必要がないのでサポートやメンテナンスにかかるコストも大して問題にならなかったが、現在の戦闘機は運用期間が20年を越えることも珍しくなく、ライフサイクルコストに占める運用・維持コストの方が大きくなればなるほどデータの権利は価値が出てくる。

出典:Lockheed Martin NGAD

つまり競争入札でF-35のようなプログラムを獲得さえすれば、プログラム全体に関わる作業から他社を締め出して独占することができ、国防総省は出来上がったシステム全体に対する権利を持っていても、システムを構成する各技術について所有権がないため、アップグレード作業やサポート作業に競争原理を導入するのが困難で、ケンドール長官は「技術的データの大部分を政府所有にしてオープンな設計に改め、今後のプラットホーム開発は誰をインテグレーターに選んでも新規サプライヤーの参加を可能にする」と言っているのだ。

因みにアサド氏は「トランスダイムによるAH-64の部品価格の吊り上げ」にも言及しており、供給企業が1つしかなく「競争の原理」が機能しない独占状態の危うさが強調されている。

出典:U.S. Army photo by Sgt. Oscar Toscano

トランスダイムは軍がスペアパーツを調達している企業を次々と買収、この中にはAH-64の重要なバルブを製造する企業も含まれており、同社は買収後にバルブの供給価格を約40%(747ドル)も値上げしたらしい。そのため創業者のニック・ハウリー氏は価格に吊り上げ疑惑で2度も議会に召喚され、もっと価格を下げても十分利益を確保できるのではないかという議員の質問に「我々は法律に従い請求しているに過ぎず、国防総省に製品を安く提供するのは我が社の問題ではない」と主張。

この公聴会に出席したアサド氏は「イラクにあるAH-64を飛ばすのにバルブが必要なんだ」と訴えたが、ハウリー氏は「貴方たちが提示する価格を受け入れるまでバルブを出荷しない」と言い返し、最終的にバルブの価格は12,000ドルまで値上がりしたが、代替バルブを提供できる企業がないのでトランスダイムが提示する価格で調達するしかなく、国防総省は報告書の中で「これは強要だ」と指摘しているらしい。

追記:米上院議員の超党派グループはオースティン国防長官に「防衛産業企業が価格を釣り上げている実態を調査せよ」と要請している。

関連記事:米空軍長官、次期戦闘機の開発ではF-35で直面した悪習慣を排除する
関連記事:デジタルエンジニアリングの落とし穴、誰もT-7Aの完成時期が分からない

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. Alexandra Shea

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コメント

    • かくさん
    • 2023年 5月 27日

    この手の話って、軍需産業に限らずどこにでもある話。
    ここでは悪者になってる納品側もサポートや新たな物の開発、後に生じるかもしれないリコールやそれに備える社内や法的な体制等など…
    不等な利益と様々な経費は、実際のところ本音を探るほど線引が難しくなる。

    オマケに燃料の高騰や部品供給の不安定さも相まって更にややこしい話に。

    41
    • emp
    • 2023年 5月 27日

    アメリカの軍需産業が独占っていうなら、競争市場になってる国なんてどこにもないぞ
    軍需産業は外交が大きく影響するから、国際競争も限られるし
    この人の言い方だと、国有企業にするしか無くなるけど

    26
      • TKT
      • 2023年 5月 27日

      まあだからこそロシアから戦闘機を買うという国も多いということでしょうね。こないだ日本に来たロシア空軍のSu-30もそうですし、スーダンにいたエジプト空軍のMiG-29もそうです。エチオピア空軍もSu-27を使っています。

      インドと敵対してF-16を装備するパキスタン空軍は、中国とFC-1を共同開発し、台湾空軍はF-16を装備する一方で、フランスのミラージュ2000と、国産戦闘機の経国を使っています。

      とにかくアメリカ製兵器は、独占状態で競争原理が働かないために高価過ぎる上に、政治的圧力で買わせることが多いので性能がいいとも決して限らないのです。日本のF-2の開発でも外交的な圧力がありましたし、F-35の国内組み立ての話でもそうです。

      もともと国営工場で行われていたロシアの戦闘機の開発は、アメリカの戦闘機に対抗することで、競争原理が働いているとも言えます。金持ちでない小国への輸出や供与が多かったことから、国営であったのにコスト意識が働き、安く実用的な設計にもなっています。需要も多かったのです。

      32
        • だら
        • 2023年 5月 31日

        「もともと国営工場で行われていたロシアの戦闘機の開発は、アメリカの戦闘機に対抗することで、競争原理が働いているとも言えます。金持ちでない小国への輸出や供与が多かったことから、国営であったのにコスト意識が働き、安く実用的な設計にもなっています。需要も多かったのです。」

        経済学的にも、歴史的にも間違いが多数あると思います。

      • 名無しさん
      • 2023年 5月 28日

      そういう事情だと「安い・早い・融通が利く」韓国製品の需要が高まるのも理解できますね。
      個人的には軍事部門は日本と競合する分野でもないと思っていますし、アメリカ・欧州・ロシアが独占している市場を食い荒らしてくれれば、日本の調達価格にもメリットがあると言えるのでは。
      それどころか、将来、自衛隊が韓国から装備を輸入する可能性だってあり得ると思いますよ。

      9
        • 匿名ちゃん
        • 2023年 5月 28日

        左翼政党に政権取り返されたら実質仮想敵国なので、流石にそれはないと思われ

        19
        • バーナーキング
        • 2023年 5月 28日

        工場でスマホで動画見ながら自動車組み立てて、政府の反日アピールで支持率急上昇して、国民も嬉々として不売活動に勤しむお国柄ですからね。
        単一仕様でバンバン作る小銃くらいならともかく「日本向け」とはっきり分かる航空機や車両を生産する、となった時に全ての作業員が真面目に完璧に仕事をする、とは到底思えないですね。

        18
        • Whiskey Dick
        • 2023年 5月 28日

        高度なノウハウが必要な航空機なら兎も角、地上兵器に関しては韓国とトルコの方が上手くやっている。近年の欧米諸国の軍用車両の開発・調達は悉く失敗しており、例えばドイツの新型装甲車は故障が頻発、英国の装甲車は振動が酷く、そのくせ価格は1両10億円以上するのだ。
        こんなもの貧乏国や中小国が導入できるわけがなく、最近の兵器調達の入札では韓国、トルコ製が引き合いに出されることが多い。価格を抑えなくてはならない兵器(練習機や低速ドローンなど)はこの両国が独占する日も近い。

        6
          • Whiskey Dick
          • 2023年 5月 29日

          欧州最大の陸軍国であるポーランドや極めて裕福な国であるノルウェーでも入念なテストを行ったうえで韓国製装甲車両が採用されているのだから、品質は欧米製と遜色ないはずです。主力戦車K2や自走砲K9に初期不良が多かったのは事実だが、開発から10年以上が経過しており欠陥は大部分解消されている。使い物にならないほど深刻な初期不良なら支援戦闘機F2やF35、V22でも発生していますが、現在これらの兵器を欠陥品呼ばわりするのでしょうか。
          因みに装軌装甲車両は変速機に大きな負担がかかるので、1時間走行させたら小休憩して兵員に車両を点検させます。ウクライナ侵攻の緒戦にロシア軍戦車は速く移動しすぎたため、前線で多くの戦車が故障しウクライナに鹵獲されてしまいました。小泉氏によれば戦車は自家用車より遥かに故障が多い代物なんだそうです。

          もう一つ、最近装甲車の製造から撤退したコマツですが、コマツ製装甲車の駆動系の品質は高く、訓練や海外派遣でもノートラブルだったようです。(文谷談)

          3
        • Natto
        • 2023年 5月 28日

        身近な物だと韓国の家電やスマホはかなり入ってるけど、使い勝手はどうなんでしょ?
        車だとヤフーでアイオニックを国沢光宏センセイが妙にマンセーしてるのが答えだとは思いますが。

        1
    • 折口
    • 2023年 5月 27日

    この案件、米国製兵器を多数導入している同盟国も実質的には被害者という事なんでしょうね。米国製兵器はこれがなくてもインフレと人件費高で元から仰天するような値段のものがちらほらありますし、そもそもの話米国の製造業自体が「競争力を失う」→「政治的に自国企業を優遇する枠組みを作る」→「競争力を失う」という破滅のループにだいぶ以前から突っ込んでしまっているので、正直今更という気もします。ただ、ペンタゴンが主導して防衛・航空産業の統合をしていた時期の事は覚えてますが、あれをやっていなかったら今頃もっと別の問題で大騒ぎになっていたはず(いくつかの資本は中国企業に渡っていた可能性すらある)で、さじ加減の難しさを感じますね。

    造船分野だとインド太平洋に展開する米海軍の船舶の整備や一部建造業務を現地の造船所にアウトソーシングするという話が出ていますが、陸上兵器や航空機や弾薬についても同じ事をしないと軍の戦力基盤の維持もこの先難しくなっていくのかもですね。まぁ航空機製造はアメリカ産業界に残った殆ど唯一の牙城で、中でも軍用機は聖域ですからそれらを手放す時は米国政界が産業界を完全に見捨てた時なんでしょう。

    52
      • TA
      • 2023年 5月 27日

      造船は日経に載ってましたねぇ
      韓国からの弾薬の調達も併せて米軍も国内の産業界には匙投げだしたんでしょうか
      しかしここまで高価だと米軍の装備はうかうか調達できないですね
      また各国自前主義に戻りそうな気がします

      17
        • 折口
        • 2023年 5月 28日

        世界的な兵器需要増大とくれば、それこそ以前の米国なら雇用創出の機会と見て需要を囲い込むくらいの事はしていたんじゃないかと思うんですが、ある時点でもう米国は産業政策を福祉か何かの延長でしか見なくなってしまったんでしょうね。

        6
      • STIH
      • 2023年 5月 27日

      実際金融業界は、アメリカの兵器産業なんて儲からないんだからさっさと辞めろ、くらい思ってんじゃないでしょうか。彼らからすりゃアメリカの国防なんてどうでも良いし、アメリカがなくなりゃ他所に逃げりゃよいくらいのこと考えてるんじゃないでしょうか。

      14
    • 匿名さん
    • 2023年 5月 27日

    >1993年に国防総省がコスト削減のため防衛産業の合併を促したことが問題(51の企業が5の巨大企業に再編)の根源だ。

    >「我々は法律に従い請求しているに過ぎず、国防総省に製品を安く提供するのは我が社の問題ではない」

    話し合いでなんとかなる問題でもなさそうだから、実力行使しかないのでは。

    アメリカ政府は、これら巨大企業の株式をある程度保有して、
    適正価格の監視に実効性を持たせるなり、
    競争原理を働かせるために企業分割するなり、
    早急に解決してほしいですね。

    この問題は、アメリカだけではなく、日本の納税者も含め、同盟国全体に関係する話だから。

    18
      • RAAF
      • 2023年 5月 27日

      2大政党の国で現政権の民主党が出来ないと共和党政権じゃ出来ないよね・・・
      上院下院でねじれ状態ですし

      7
        • 匿名さん
        • 2023年 5月 28日

        日本の議会だとそうなるけど、
        アメリカの議会はその辺りが柔軟で、委員会が中心になって超党派グループで法案成立させる印象が強い。

        11
    • 主計兵
    • 2023年 5月 27日

    アサド氏「国防総省は契約業務に関わる職員13万人を50%以上も削減し、企業に自らを監視する前例のない自由裁量権を与えてしまった」

    調達価格を査定するには経験・ノウハウが必要なので、国防総省の査定能力が下がってきているのは問題だと思える

    18
      • STIH
      • 2023年 5月 27日

      査定したって売ってくれる会社自体が少ないからねえ。それ高くない?って聞いても、じゃあ売らない、って返されるだけですから。どっちにしろ言い値に従わざる得ないわけで。

      8
        • baru
        • 2023年 5月 29日

        かと言って買ってくれる組織も米軍(と同盟国の軍隊)だけなので「じゃあ売らない」ってなったら困るのはメーカー側も同様では?
        まさかゲリラやマフィア相手に売るわけにもいかないし
        米軍は同盟国の兵器も購入選択肢に入れるべきなのかもしれないね、競争原理を働かせるならそれしかない

      • DEEPBLUE
      • 2023年 5月 28日

      まあ空軍に限らず陸軍も海軍調達もやらかしまくっているのは、冷戦終了で組織の弛緩と質の低下があるのでしょうね

      2
    • STIH
    • 2023年 5月 27日

    アメリカ国防総省がそれ言っちゃうかよ。独占の独占による独占のための上院だっていわれますが、資本主義を突き詰めれば、独占で高騰するなるのは自明のことでしょう。
    まあ価格高騰は独占だけじゃなくて、アメリカの製造業が死んでいて部品調達ば難しくなって、さらに人件費が第三次産業に引っ張られて上がっているせいでもあるが、それだって日独に対抗できなかったアメリカが第三次産業を優遇した結果なんだから、正直短期的な解決策は無いんじゃないでしょうか。それこそ韓国製やトルコ製の兵器を買うくらいじゃないかと。
    こう見ると、バブル崩壊で金融業に力が無くなった結果だろうけど、意地でも製造業を維持しようとした日本の方針というのは間違ってなかったと思う。

    32
    • あああ
    • 2023年 5月 27日

    今思えば1.2億の96式2型や0.3億のLAVって滅私ご奉公の賜物なのかなあと。国産開発の単純装備で中身で国内製の民生品の多用だと主計局の原価計算で嘘はむずい。もしそれが同等品のライセンス生産であるなら適正価格はブラックボックス化も可能でしょうが為替の影響がより増大もする。
    とは言え正式採用には競争入札でより安い手段を提示する必要もかつてはあった。官側の要求性能はごくありきたりで無いに同じ。ならばの海外勢ですが国内協力企業もつけずに参入する余地は無いのが随契市場。
    そんなわー国があの米国国防総省さんが大手企業に足元見られてる状態で米製装備を相互運用面から整備拡大は価格も供給も不安になる。しかし内製比率を復活させようにも国内メーカーは撤退ずみが多々。戦争予期のエクスパンド体制で戦争準備を今し始めてる今に米国メーカーさん依存はやはり危ういのは非常に困る。

    11
    • 774545
    • 2023年 5月 27日

    過剰請求かと思いきや、実情はそうでもしないと防衛産業側が事業を継続出来ない状況なんじゃないか?
    国防の根幹に関わる企業とはいえ実態は営利企業だ。
    じゃあ軍需やめます、と言われたら最終的に困るのは軍や政府だろううし、まずは互いに腹を割って話し合うことが必要だ。

    19
      • paxai
      • 2023年 5月 27日

      同意する。
      会計報告みたら軍需8割かつ超好景気のはずのロッキード・マーティンでも純利益率8.6%だからね。
      純利益率24.5%のアップルさんの方がよっぽど暴利貪ってる。
      トヨタは6.6%だけどさ。
      恐らく値切る余地は少ないのだろう。

      26
        • shkk
        • 2023年 5月 28日

        細かい支出も「スティンガーに上乗せする」「ついでにF-35の開発費に上乗せ請求する」って感じでやってたのかな?

        「個別に請求するね。○○で必要だから1億ドルください。できないなら撤退します」ってなるだけだったりして

        6
    • 匿名
    • 2023年 5月 27日

    対ロシアで兵器・弾薬が枯渇してる今だからこそ各メーカーも「増産しろ!」とせっつかれ高価で商売出来る訳ですが、どうせウクライナ情勢が沈静化すれば「喉元過ぎれば熱さ忘れる」の言葉通りどの国も国防費削減に走るのは目に見えてますしね…

    そりゃあ最大限の利益獲得にも動きますわ

    20
    • ミリオタの猫
    • 2023年 5月 27日

    >「技術的データの大部分を政府所有にしてオープンな設計に改め、今後のプラットホーム開発は誰をインテグレーターに選んでも新規サプライヤーの参加を可能にする」
    これって、実はモノ作りにおける「製造ライセンスに関わる権利を蔑ろにする」話になるので(技術的データは作った側の権利だから)、もしもそんな事になったら米国内の企業は全部防衛装備開発から手を引きかねない危険性が有ると思いますよ
    そうしたくなければ、旧ソ連みたいに研究開発をやる企業(旧ソ連だと設計局)と製造を担当する工場を分離するか、さもなければ日本海軍の空技廠みたいに政府が兵器開発を直接手掛けるしか無いと思います
    どっちにしても、今後の兵器開発に資本主義のルールを適用させるのはデメリットの方が大き過ぎるのでは?

    14
      • 名無し
      • 2023年 5月 28日

      >さもなければ日本海軍の空技廠みたいに政府が兵器開発を直接手掛けるしか無いと思います

      旧海軍の場合、航空機関係は海軍が直接開発していない民間技術でも、(三菱↔中島のような)競合他社への水平展開してたみたい。
      金星4型で導入した新構造を、栄(試験落ちして海軍テコ入れで作り直しした際)に持ち込んだり。
      吸排気バルブについては、三菱が責任を持って他社にも供給する旨交渉して、例外的に海軍経由でのノウハウ水平展開を回避したようだけど。

      3
    • NHG
    • 2023年 5月 27日

    米防衛産業「いいね!」

    2
    • A29
    • 2023年 5月 27日

    全従業員を繋ぎ止めるには報酬を出すか、廃業するしかないからだろ
    他所のヘマや新規調達で生産数を勝手に削減されるんだから。言い値で買うだけ米国政府はマシなのかもね
    生産数が多いLAVも外国産なんだからな・・・辞めたもん勝ちだね!

    4
    • ブルーピーコック
    • 2023年 5月 27日

    アメリカの商習慣に起因する問題なのか、専門性が高くて、そうしないとおまんま食えないのか。アメリカしか持ってない兵器もあるし、妥当な金額が分からず結局、高止まりするんじゃないかな。
    予算と納期で圧力かけまくった結果、墜落が相次いだオスプレイみたいな事例が出ても困るだろうし。

    1
    • 戦略眼
    • 2023年 5月 27日

    結局、工廠で作るしかないのか。

    4
    • チェンバレン
    • 2023年 5月 28日

    そんなに需要あるなら、新規参入が促進しそうなものだが、やはりライセンス絡みで囲われてしまっているのだろうか
    競争原理を働かせられないのは不健全だが、製品が複雑高度化するほどプレイヤーが減ってしまうのも必然
    ちょうどいい競争状態になるのが価格的にも性能的にも良いのだろうけど

    3
      • STIH
      • 2023年 5月 28日

      認証関係が面倒で入る企業がないんでしょう。MIL規格は丈夫の象徴みたいになってますが、実際は試験が面倒なわけで。認証をなくせば新規参入が増えるでしょうけど。

      6
    • ホテルラウンジ
    • 2023年 5月 28日

    ミクロ経済的な分析は色々ありますが、記事読んでますとふと
    確かアイゼンハワー大統領が言い出したと思うんですが「軍産複合体」って今どうなってるんかな?と思いました。
    今で言えばトランプ前大統領が好きなディープステートみたいな位置づけで軍と産が裏で結託して自分達が儲ける為に戦争を作り出している!みたいな感じやったと思います。
    なんかこの記事読んでますと軍が「高いねん」と産を批判してますし、軍と産は分離してますよねw
    いつごろから国家を裏で操る組織の相場が軍産複合体からディープステートに変わったのか

    4
      • 匿名さん
      • 2023年 5月 28日

      >いつごろから国家を裏で操る組織の相場が軍産複合体からディープステートに変わったのか

      よく知りませんが、ディープステートの一画が軍産複合体じゃないかな。

      アメリカは常時、戦争に加担してるから、軍産複合体の翳りは全く感じません。

      3
    •  
    • 2023年 5月 28日

    軍需に限った話じゃないだろ
    マイクロソフトもアップルもアマゾンもグーグルも独占を推し進めてるのはアメリカ自身じゃないか
    そしてそんな独占的な企業をグローバルスタンダードの名の下に多国にも強要して各国の税制の外で活動するそれら企業は当然税制下にある企業より有利で独占体制を構築する
    そうやって成長してきたのがアメリカだろ

    16
      • 匿名さん
      • 2023年 5月 28日

      >トランスダイムは軍がスペアパーツを調達している企業を次々と買収、

      同業者を買収して独占することが問題で、
      IT業界でいうと、(旧社名)Facebookによるインスタグラム買収がそれに近い。

      >マイクロソフトもアップルもアマゾンもグーグルも独占を推し進めてる

      これらの4企業は、プラットフォーマーによくある先行者優位の市場原理が働いているだけで、買収による独占ではないと思います。
      アップルやグーグルが嫌なら、ガラケーやファーウェイのオリジナルOSを選択できるはず。

      8
    • そら
    • 2023年 5月 28日

    詳しくないから難しいことは言えないけど、こういう既得権に本気で言及し出すのって、時代が変わるんだなぁって思った。

    4
    • DEEPBLUE
    • 2023年 5月 28日

    せめてATFをノースロップにしておくべきだった。ロッキード・マーチンの政治力で殿様にさせてしまった結果、国防総省をも超える化け物になってしまった

    2
    • れんちゃ
    • 2023年 5月 29日

    アパッチはもう時代遅れかな…高すぎる割にそれほど効果的とも言い難い。その癖にやたらと吊り上げてくるし、すぐに生産も打ち切られる。ちょっと相手にしてられないよね…もっと手堅い量産攻撃ヘリプラットフォームを共同開発するべきだろう。
    ヘリ閥が居る事に調子に乗って好き放題やり過ぎてるよね。投入環境を選びすぎる上にまともな軍隊出てくると満足に使えないってのに高過ぎ&打ち切りもマッハで配備寿命も短すぎ…

    2
      • Whiskey Dick
      • 2023年 5月 29日

      対戦車専用ヘリコプターの欠点は以下の通り。
      ・超低空ホバリング、接近戦(交戦距離 数km以内)は自殺行為(携帯式SAMでやられる)
      ・交戦距離 最低5km以上、高度数十メートル以上から攻撃を行う必要がある。
      ・長時間ホバリングしていると敵に狙われる可能性が高いので、常に移動する必要がある。
      ・燃費が悪く行動半径が狭い、兵器を満載すると垂直離陸ができない、整備コスト大。
      陸自及びドイツ軍は対戦車専用ヘリコプターの運用を諦め、汎用ヘリ武装若しくは武装ドローンで代替するという。
      ここで「敵が強力な電子戦機材を保有している」かつ「運用コストを抑えたい」「行動範囲の大きい機体が欲しい」という要望があるとすれば、武装複葉機なんてものもアリかもしれません。ターボプロップならば最高速度500km/hは可能だろうし、離着陸距離も200m以内で済むでしょう。速度と燃費はヘリコプター以上で超低速飛行も可能、射出座席も装備可能なので対戦車専用ヘリコプターより生存性も高いかもね。

      1
    • k.ziro
    • 2023年 5月 29日

    なかなか楽しいボードゲームになりそうなのでぜひ製品化して頂きたいです。

    • daishi
    • 2023年 5月 29日

    WW2の頃の話ですが、B-24はコンソリデーテッド開発ですが、コンソリデーテッド以外にもダグラス、フォード(自動車メーカー)、ノースアメリカンの3社で生産してましたし、B-17も開発したボーイング以外にダグラスやロッキード傘下のベガで生産してました。

    今回はWW2の頃のライセンス生産的な戦時生産体制というよりは、知的財産を政府とメーカーで共有する契約形態に移行して機能向上部分のみを他社に委託できるようにしたい、という思惑だとは思うのですが、ソフトウェア業界でもこの手のやり方が成功したケースはほとんどない(企業買収の時は開発チームごと買い取ってる)ので、仕組み作りも含めてそう簡単ではないし、本記事だと米軍の発注者能力もガタガタなので天下りならぬ天上りか引退した人材でも民間から登用しないとなかなか難しそうです。

    今の体制ではイージスシステムのウェイン・マイヤー提督のような傑物が出るのも難しいでしょうし、すぐに解決できる問題ではなさそうです。

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