鳴り物入りで登場したT-7Aは新型射出座席が設計通りに機能せず、ソフトウェア開発も難航、構成部品の品質問題にも悩まされ、マイルストーンCの達成=量産許可を2022年から2025年に延期していたが、米空軍のハンター次官補はT-7AのマイルストーンCを1年延期(2025年→2026年)すると明かした。
参考: Air Force reworking approach for T-7A Red Hawk, delaying production by 1 year
テストスケジュールの消化を加速することで遅れをカバーする計画だが、、、
米空軍とボーイングは2018年に次期高等練習機=T-7Aの契約を締結、2022年後半までにマイルストーンC達成、2023年に量産機の引き渡し開始を予定していたものの、T-7Aの特徴の1つ=対応できる体格条件が拡張された新型射出座席が設計通りに機能せず、飛行制御用のソフトウェア開発が難航、構成部品の品質問題にも悩まされ、2023年4月「T-7AのマイルストーンC達成は2025年2月、IOC宣言は2026年から2027年春にずれ込むだろう」と報じられていた。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Christopher Ornelas Jr.
米空軍はソフトウェアの完成度に不満が残る量産型プロトタイプを2023年11月に受け入れ、2024年春に提出した予算案の中で「IOT&E完了とマイルストーンCは2025年5月、ローレイト生産の開始は2026年4月、IOCに向けたテスト&評価の開始は2026年1月、IOC宣言を2028年に予定している」と報告したが、まもなく退任する米空軍のハンター次官補(調達・兵站担当)はBreaking Defenseの取材に「T-7Aの開発方針を変更し、2025年に予定されていたマイルストーンC達成を1年延期する」「設計変更と引き換えにボーイングへ新たな資金獲得の機会を提供する」と言及。
この新しいアプローチについてハンター次官補は「積極的管理戦略の一環」「固定価格契約時に想定されていなかった問題に対処するためボーイングとインセンティブ契約に相当な資金を割り当てる」「ボーイングに要求する設計変更はT-7Aを納入するのに不可欠なものではない」「これはT-7Aが効果的な練習機として機能するのに必要なもの」と説明。

出典:U.S. Air Force photo by Adam Bowles
さらにマイルストーンC達成の延期に対応するため量産型プロトタイプを新たに4機取得し、テストスケジュールの消化を加速させて「IOC宣言を2027年に達成できるようにする」とも述べているが、この新しいアプローチにおけるIOC宣言は「2027年11月」を予定しているため、マイルストーンCの遅れをテストスケジュールの圧縮でカバーし、2024年春に報告した2028年のIOC宣言を守ると言いたいのだろう。
因みにハンター次官補は「T-7Aが効果的な練習機として機能するための設計変更」について「T-7Aはテストの中で航続距離を大幅に拡張できると判明したが、この変更は契約に含まれておらず、設計を変更するには実費用がかかる。それでも比較的簡単な変更で航続距離を拡張できるならそうすべきだ」と述べており、そのための資金をインセンティブ契約で供給することが「新たな資金獲得の機会になる」という意味だ。
関連記事:開発に手間取るT-7A、米空軍はIOC宣言を2027年から2028年に延期
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※アイキャッチ画像の出典:Air Force photo by Giancarlo Casem
ボーイングは、官需・民需ともに厳しく、増資の話がでるまで追い込まれていました。
F35も納期の問題を抱え続けていますが、航空機の製造開発は、ロマンを感じますが難しいものですね…。
(2024年10月28日 ボーイングが増資、2.9兆円調達へ-ジャンク級への格下げ回避図る Bloomberg)
(2025.1.15 ボーイング、昨年納入数はコロナ禍後最低 6年連続でエアバス下回る ロイター)
T-50とM-346のつなぎ導入したほうがいいとおもうよ。
つなぎが本命になるかもしれんが
M-346!元ネタはYak-UTK(後のYak-130)ですな。まあ、エンジンは米製だしT-7他とのコンペに出たことあるしいいと思うんだけど。
ならM-345
T-50は有り得ないね
>設計変更
>新しいアプローチ
>テストスケジュールの圧縮
…典型的症例に見えるのは俺だけか?
よくあるアメリカ兵器開発の「手間を省こうとして、余計手間になる」パターンですね
何で練習機すら普通に開発しないのか…
ボーイングだから…としか…
>マイルストーンCの遅れをテストスケジュールの圧縮でカバーし
契約に合わせてテストの内容減らしたら運用上で思わぬ障害が炙り出されそう……
>テストスケジュールの圧縮でカバー
上手く行った試しなしの気が…。大体においてかえって高くつき、更に遅延したり配備されてもしょっちゅう運用停止になったり。
目先の都合やメンツに負けて問題を先送りし、自分で自分を追い込んでいるね。偉い人が四半期思考で回しているっぽい。
せめて5か年計画で考えればいいのに。
>テストスケジュールの圧縮でカバー
前工程の遅延を何とかやりくりして帳尻合わしてるわい涙
お疲れ様です
アメリカの製造業が死につつあるのがよくわかるね。
アメリカを再び偉大に、と掲げてなりふり構わず自国産業保護に腐心するトランプに人気が集まるのもむべなるかな、といった感想。
それに振り回される同盟国としてはたまったものではないが。もうちょっとこう、スマートにやれません?
米は、かつてはA-12アベンジャーⅡステルス攻撃機とか、実験機まで作っていたのに開発費爆増でぶん投げるなど思い切りもあった。
戦技と軽攻撃機としての輸出に色気を出した高等練習機ということなんだろうけど、このT-7もよせばいいのにハイテクを色々盛り込み過ぎてコケているのだろう。
実用機との橋渡しだからインターフェイス他もハイテクにしたいとかあるのだろうが、ボーイングおよび米国の今の実力に見合っていないのだろうね。
かつて英国のTSR2やカナダのCF-105アローがこけたことを連想させる。航空機産業の規模と実力に比して高望み過ぎて実現できなかったのだ。※当時の英国の規模はボーイングの油圧部門よりも小さかったという。
所詮、練習機なんだから実力相応に割り切ってシンプル&堅実に作ればよかった(70年前の設計のT-38超音速練習機を使って来たんだし)。F-8、A-6,A-4などの既存機をベースにして軽攻撃機を作った海軍軽攻撃機計画(A-7に結実)のようにね。
でも、ロシア兵らが指摘するように米欧系兵器は実用以前に儲けるための商品、もっと言えばなるべく多くの税金を身内に流すためのネタだから、高くつくように過剰にゴージャス、複雑になり、えてして実用性がどこかに行ってしまう。
ペッター(ナット)やハイネマン(A-4)、ボイド大佐(YF-16)らの慧眼は今も正しいままに見える。
米軍と言うなら直近で将来型攻撃偵察機の計画中止してるし、それに絡んで既存回転翼への新型エンジン搭載も無期延期で思い切りがあると思うんだけどね。T-7は空軍だから関係無いと言うなら例に出したA-12は海軍と海兵隊用の機体だし固定翼機じゃないから省いたと言う話だろうか?
T-7は高等練習機と言うパイロットを育成する為に簡単に諦められない用途の機体で、艦上運用に問題があり採用する意味があるのか疑問符が付いたA-12とは違う話だと思うけど。
下の記事と合わせてアメリカ航空産業の凋落が見える
やっぱさ、手を動かす人にお金渡さないと製造業はダメになるんすよ
しかもガスタービンエンジンの需要が逼迫している。ジェットエンジンの生産が遅れるかも。
✗アメリカ航空産業の凋落
◎ボーイングの凋落
LMもNGもRaytheonも順調でしょう
F-35が順調とかいう世界線、そうだったらよかったけどな(白目)
ここのコメントに毒されすぎ、十分に順調だわ
TR3だって今年からフルレート生産だし737MAXくらい燃えてから言って欲しい
夜飯吹き出したわw
2024年生産のTR3機なんて訓練飛行しかできんのだぜ?2025年現在でも戦闘ソフトウェアが完成したってアナウンスもないし
TR3構成のブロック4なんて実用化時期は2030年代“予定”だし
どこかどう順調なんだよw
不具合の改善も出来てないTR3のフルレート生産て、現状米空軍に受け取り拒否されて置物状態のF-35が積み上がってんのにこれ以上置物増やしてどうすんねん
かと言いつつ、F-35 TR2以上の実力と生産性のある戦闘機を作れる国なんてないし、F-35の問題はあれこれ詰め込みすぎた事だろうに。文句があるならGCAPを早く作る他ない。
ボーイングはそもそも単独でステルス機さえろくに作れてないが、比較になるのか…
なんだかんだで日欧米の主要国を中心に1000機以上売れてるんだけどね…
空自が採用してなくて本当に良かった・・・。ボーイングはもう737以外の旅客機だけ作ってれば良いんじゃない?
でも初等訓練機はT-6テキサンIIに決定してるし、T-4訓練機もアメリカと共同開発する事が決まってるんですよ。
アメリカが訓練機として提供してくるのはT-50かT-7Aでしょうから、多分T-7A系になるでしょうね。
空自戦闘機パイロットのカリキュラムは以下の機体でやってるので、T-4の退役は中等訓練機と高等訓練機の見直しとイコールなんですよね。
スケジュール的にはF-35とF-3の両方を訓練できる機体にするのが妥当なところですが、T-7AになるのかM-346または新型機になるかは注目です。
・初等訓練機:SUBARU T-7
・中等訓練機:KAWASAKI T-4
・高等訓練機:KAWASAKI T-4
米空軍
・初等訓練機:T-6 テキサンII
・中等訓練機:T-6 テキサンII
・高等訓練機:T-38 → Boeing T-7Aへ移行予定
T-6の数が大して増えてない上でFMSオンリーなので
自衛隊の防府北基地の公式HPを参考に
初級訓練課程T-7→T-6
↓
基本操縦前期課程T-7→T-6
↓
基本操縦後期課程T-4
↓
戦闘機操縦基礎課程・救難操縦課程 T-4・UH-60J
↓
戦闘機操縦課程 F-15DJ F-2B
が現状と確定してるだろう予定ですね。
更新されるとしたら基本操縦課程~新機種が入ると思われます。
まあ、米軍教育課程のSR20(T-53)の代わりにT-6入れて余ったT-7を基本操縦課程に回す可能性はありますが。
T-6 テキサンIIはT-7や競合のPC-7 MKXに対し大幅に強力なパワープラントを搭載しており、空自は現行の基本操縦課程(T-4)を米空軍と同じT-6ないし相当機に置き換えたい意向が元々あったのでは。
承知と思いますが、空自戦闘機パイロットの現行養成課程は「基本操縦(T-4)課程→戦闘機操縦基礎課程(T-4)」(約62週)及び米空軍委託の「T-6基本操縦課程→T-38操縦課程」(約61週)の2本立てです。その後「戦闘機操縦(F-15)課程」「戦闘機操縦(F-2)課程」及び伊「IFTS」委託(M-346)を経て、それぞれ「F-15戦闘機運用部隊」「F-2戦闘機運用部隊」「F-35戦闘機運用部隊」配属になります。(IFTS委託は国内養成課程からのみ)
T-7更新にT-6を選定したということは、米空軍の養成システムに準拠(委託を続けているわけで空自的に問題はない)する構想があってもおかしくありません。
米空軍は各運用部隊への機種転換課程をT-7Aに一本化する計画なわけですが、空自も「戦闘機操縦課程」を一機種に統一する利点は大きいので、T-4後継にはT-7Aを選択する可能性が高いのかなあと。
M-346は米空軍の選定に敗れているので、T-7Aライセンス生産を凌駕する国益でも無いと厳しいように思います。
T-7AのマイルストーンC等達成遅延は、日本がT-4後継機を決定する前に達成済であれば問題になりません。
>T-4訓練機もアメリカと共同開発する事が決まってるんですよ。
T-4後継機の事だと思いますが決まってないですよね?
訓練環境や機材の共同開発をする、例えばシミュレータやジェット練習機等、というニュアンスで確定でもないし、T-4後継の中等練習機だとも言ってなかったかと思います。
T-6の採用が決まってT-4後継機の守備範囲は少し高等寄りになりT-7Aとモロにかぶりますから別機種を日米でわざわざ別に共同開発はあまりに非効率。ありそうなのはT-7Aを共同開発と称して日本向けに微カスタム(GCAP模擬改修とか)する案ですがあまり嬉しくないですし、そもそもベースのT-7Aがいつ完成するのやら。
それより日米でF-16ベースにATTを共同開発してT-6と合わせてT-4の使途と負担と機数を減らすことで延命して、T-4後継はGCAPがある程度固まってから(出来れば日英伊で)また別に開発、がいいなぁ。
F-2T(トレーナー)ですかな?
割と真面目に一番日米で考えると負担少ないかもなー
90年代設計とはいえ現行のC系列よりも設計は新しいし
複合材をいっぱい使えて経験値蓄積になるしで
ATTとして「9G旋回含む戦闘機と同等の運動性備えた練習機」が欲しいならよっぽど大量に生産するんでない限り開発費が極少で済むF-16ベースが最適解だと思うんですよね。
願望を言えばF-16Vベースでファスナレス一体構造やらヒートシールド技術やら高耐熱CFRPやら簡易EO-DASやら無人運用能力をぶち込んだフルリニューアルF-2に練習機アビオ積んだATT/高等単座練習機として開発・導入して、GCAPがもたついたらF-2暫定代替機として導入しGCAPで代替でき次第高等練習機に戻す、有事には無人対艦ミサイルキャリアとして運用…と夢は果てしないですが。
米軍の要望を考えるとぶっちゃけてF-16BM再生産した方が良いと思うよ。
あおりぬきで
F-16は分かるけどなんでBM再生産なんだろう。
一番高いアビオやコクピット周りはどうせ訓練用のを新開発か他から流用になるんだから、それ以外は現在生産中のF-16Vを流用した方が安く済むと思うけど。
「テストスケジュールの圧縮」ってどうやって実現するのか不明ですが、テストパイロットというパイロットの中でも特殊な技能を持つ人たちに負担を強いるようなことにならないか不安ですね。
もちろん飛行テストだけでなく地上テスト、ソフトウェアテストもあるので、テストパイロットだけの負担ではないのですが、システムインテグレータの「人海戦術でテストを圧縮します」ほどヤバいものはないです。
T-50があるのに同程度の機種を増やすんですか
フィッターがあるのにミグ27を作るようなもんじゃないですかね
T-50は米空軍は採用していないので機種が多くて問題とはならないでしょう
アメリカの工業が苦しいのは否定しないし、個人的な観念でアメリカを小馬鹿にしたい気持ちも分からんでもない。しかしボーイングの苦境とロッキードのそれはまるで別物だし、纏めてアメリカの衰退と宣うのはかなり無理がある。
ロッキードはなんだかんだでF-35の大体の骨子は完成させたし、現実物量共にF-35に勝てる機体なんてない訳で、山盛りの要求の内、最低限以上は達成した上で苦しんでいると言える
対してボーイングは米空軍、民間の要求を何一つまともに実現してないし、こんな会社をロッキードと比較するのもおこがましい。
とはいえ日本にとってはJSMの統合が「最低限」だと思うんですよね。
なのでblock4完全でなくてもいいけどtr3は早いとこまともに使える形にしてくれ、と思わずにはいられません。
まあLMやF-35の評価、と言うより本邦都合の要求の話になりますけどね。
次期戦闘機は日本初の欧州機なんだし、練習機も欧州機に合わせた方が良いんじゃないのかな
正直そう思います。
ホーク後継機も兼ねてM-346ベースに日英伊で小規模改修して米露成分置き換えればGCAPのワークシェア調整の受け皿としてもちょうどいいし。
そもそも現時点でのF-35に直接乗れるパイロットってM-346しかないしね(ホークやT-50が対応するとは思うが)