米国関連

1年以上の納期遅れに直面するF-16V、バーレーン向けの初号機が完成

各国から発注が相次ぐF-16Vについてロッキード・マーティンは「バーレーン向けの初号機が完成した」と発表したが、同機の納期の1年以上遅れているため発注国に深刻な問題を引き起こしている。

参考:Behold The First F-16 Viper Built In South Carolina

F-16Vを発注した国を取り巻く状況は中々厳しいものがある

ロッキード・マーティン2017年「F-16の最終組立ラインをテキサス州フォートワースからサウスカロライナ州グリーンビルに移転する」と発表、2019年に稼働を開始したグリーンビル工場は年産48機(月産4機)ものF-16を組み立てることができ、米空軍が持ち込むF-16C/Dの保守やオーバーホールも担当している。

出典:Lockheed Martin Corp. courtesy photoグリーンビルにあるロッキード・マーティンの工場

勿論、各国から発注が相次ぐF-16V Block70/72(バーレーン16機/台湾66機/モロッコ24機/スロバキア14機/ブルガリア8機)もグリーンビル工場を組み立てられ、バーレーン向けの機体を2022年に出荷する予定だったのだが、同機の主要コンポーネントは海外から調達されているため各国で異なるCOVID‑19対策が生産スケジュールの調整を困難にさせ、既に同機の納期は1年近く遅れていたもののロッキード・マーティンは「バーレーン向けの初号機が完成した」と発表した。

この機体は2023年に初飛行を行い米空軍に納品、米空軍でも機体のチェックを行った後に発注国であるバーレーンに引き渡される予定だが、納期の遅れは発注国に深刻な問題を引き起こしている。

スロバキアではF-16Vの引き渡しが2023年から2024年にずれ込むためチェコ空軍とポーランド空軍が同国の領空保護を一時的に請け負い、ブルガリアでは2023年から2025年にずれ込むため暫定的な戦闘機の調達を検討中で、米国、スウェーデン、フランス、イスラエル、オランダ、スペイン、イタリアに中古戦闘機のリースを打診したが殆どの国に断られ、フランスとスウェーデンだけがラファール、ミラージュ2000、グリペンC/Dのリースを提案しているらしい。

台湾は安全保障環境の悪化を理由にF-16Vの早期引き渡し(2023年→2022年)を米国に要請していたが、逆に「2023年から2025年に引き渡しが遅れる」と通知されており、F-16Vを発注した国を取り巻く状況は中々厳しいものがある。

関連記事:売れ続ける第4.5世代戦闘機、LMはF-16Vの需要増を受けて同機の製造ラインを増設
関連記事:製造が大幅に遅れているF-16V、台湾発注分も引き渡しが1年遅れ
関連記事:米国、スロバキアにF-16Vの引き渡しが1年遅れて2024年になると通知

 

※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin

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コメント

    • もり
    • 2022年 11月 25日

    韓国のポーランド商戦の凄さが際立つ

    15
    • ミリオタの猫
    • 2022年 11月 25日

    こうなって来ると、F-16Vをキャンセルして別の戦闘機に乗り換える国も出て来ると思うので、今後の成り行きに注目したいですなあ(ゲス顔)

    4
      • 匿名希望係
      • 2022年 11月 25日

      半導体不足が原因の一つだしコロナでの工員不足だろうからはき出せる余剰があるでもなければ対して変わらない気がして仕方がない

      18
        • 兵長
        • 2022年 11月 26日

        日本以外コロナを気にしてる国はそこまで無いし、そろそろ従業員も帰って来そうだけどね~

    • ホテルラウンジ
    • 2022年 11月 25日

    もう兵器は自国だけで作るものではなく、国際協業、分業で作るものって言うのは良いんですが
    戦争に備える為の生産物が複雑な国境跨いだサプライチェーンが機能し続けないと生産できないっていうのも本末転倒ですよね
    まさか兵器にトヨタ生産方式とか採用してないと思いますが採用してたら目も当てられないですね。
    部品生産側からしたら一定のペースでずっと生産する方が良いんでしょうが、兵器関連部品の場合はバッチで一気生産して
    最終組み立てラインにドーンと必要部品を全部集合させて備蓄してから作るようにしないといけませんよね。
    戦争というのはサプライチェーンを潰す戦いでもありますから、それが潰れたら生産できなくなるのであれば意味が無いので
    サプライチェーンが潰れた後も生産できるような生産方式を採用しないといけませんわ
    勿論、余剰在庫みたいな無駄が大量に発生しますからコストは更に上がるかもしれませんけど

    9
      • 2022年 11月 26日

      どこでも作れる凡庸な汎用部品だけで作ると、今度はチートな兵器が作れず、格下のウクライナに押されるロシアみたいなことになるとも考えられる?

      4
      • 半分の防衛費の国から
      • 2022年 11月 26日

      一年遅れの情報に青ざめる日本国民‥になっている様ですよ?ロシアが去年の8月に日本に軍事侵攻する計画を立てていたらしいです、結局はウクライナに軍事侵攻する話に変更されたとか、本当なら怖い話ですね。本気で戦争仕掛けられない様に対応するしか無いですね。

      リンク

    • AH-X
    • 2022年 11月 25日

    ここにもやはり半導体不足が影響してるんでしょう。

    7
      • G
      • 2022年 11月 25日

      正確にはロジック半導体不足の影響ですね
      メモリー半導体のほうは不足するどころか、逆に需要に対して供給過多となって輸出量・単価ともに大幅減となっています
      (直近のデータとして、韓国税関当局が今月21日に発表した11月1─20日の半導体輸出額は前年同期比29.4%減でした)

      9
      • ヤゾフ
      • 2022年 11月 26日

      基本的に製造に必要なパーツ全てが不足してると思われます。
      ロジック半導体以外にも機体内部に使用するケーブルやコネクタ関係もかなり需要切迫してます。
      素材だとナイロン等が生産キャパオーバーしており、金も昨今の高値でめっき処理コストも上がってます。
      特殊用途向けはそもそも数が出ないので納期365日超えが来年前半まで継続するので、納期遅延も仕方ない面があります。

      2
    • 名無し2
    • 2022年 11月 25日

    逆にF-16が新兵器に駆逐されまったく売れなくなり地球上から完全引退する、そのような兵器を作れるほど進歩した人類が戦争するならどんな動機が必要だろうか。石油か水源か、全然別の理由か知らないが、向こう100年はF-16と派生型は売れ続け品薄と予想する

    2
      • 2022年 11月 26日

      地球温暖化の原因国やロシアのような世界が反対しても開戦する国は、他に説得方法が無いから動機になりそう。
      なんか中共が一番イメージに近いんだけど。

      3
      • 無無
      • 2022年 11月 26日

      他人を憎悪することに歪んだ悦びを感じる人間の暗黒面は変わりません
      人種、文化、格差、いや、あらゆる口実を見つけてのヘイトは繰り返されるでしょう
      私は一部ビーガンの過激な行動もある種の憎悪の表現と見てます、その原因も問題ではありますが
      これからも人類史は争いの反動としての平和志向の繰り返しと覚悟して、油断召されるな

      1
    • さめ
    • 2022年 11月 26日

    トヨタもそうだけど、人気ブランドの製品が供給力不足で納期が年単位で遅れるってすげー機会損失だよな
    もう2年くらいこんな感じ

    2
      • 2022年 11月 26日

      古い話だけど、たまごっち売れまくったけど、増産で不良在庫になり45億円の赤字バンダイかなり困った状況になった。
      需要って雲みたくイキナリ消えたりするから。
      政府が無理矢理でも潰さない国策企業じゃないと、民間企業には無理。

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