F-35 Block4で要求される冷却性能と発電能力はF135の設計限界を超えており、2029年までに量産機への組み込み準備が整う「F135のアップグレード=F135EEP」の採用を決めたが、P&Wはパリ航空ショーで「詳細設計の完了が2026年半ばになる」と述べて「開発作業が1年遅れている」と認めた。
参考:F-35 engine upgrade hits delay, casting doubt on timeline
彼らにとっては詳細設計の完了が1年遅れるなど遅れたうちにすら入らないのかもしれない
F-35 Block4を完成させるにはBlock4のソフトウェア、システムインフラストラクチャーを刷新するTechnology Refresh3、F135の能力を強化するEngine Core Upgrade、電力・冷却システムを改良するPower and Thermal Management Systemの4要素、さらにAN/APG-85への換装、AN/ASQ-239、EOTS、DASの強化、ウェポンベイへのサイドキック搭載なども必要で、現時点で完成しているのはAN/ASQ-239のアップグレードとサイドキックぐらいしかなく、TR3はLot15から量産機への組み込みが始まっているもののソフトウェアが未完成だ。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Eduardo Otero TR2仕様のコックピット
特にエンジンは戦闘機のパラメーターに大きな影響を及ぼす重要なユニットで、推力性能は速度や加速、燃費性能は航続距離、冷却性能と発電能力はアビオニクス、耐久性は運用や保守に直結し、基本設計で想定された以上の能力を引き出そうとすれば別の何かを犠牲にする必要があり、F-35のエンジンは冷却能力の拡張とブリードエアの供給量を交換するゼロサムゲームの影響で推力が低下、これをカバーするためF135はより多くの燃料を消費し、設計で想定された以上の高温運転が続くためエンジンが摩耗、故障率と保守サイクルを著しく悪化させている。
米シンクタンクのヘリテージ財団は「F135の冷却能力は15kwに設定されていたが既に要求は設計時の2倍=30kwに迫っており、F135はブリードエアをエンジンからより多く抜き取ることでサブシステムの冷却要件をカバーしているため推力が低下している。Block4が要求する冷却能力は47kw、レーザー兵器などの追加要素が実装されれば60kwに達するため、パワープラントに要求される冷却能力はF135の2倍以上だ」と指摘し、F-35JPOのマイケル・シュミット中将も2023年の公聴会で「我々はエンジン関連の要求要件を過小評価していたため、プログラム当初からF135の設計寿命に問題を抱えていた」と明かした。

出典:P&W F135
シュミット中将は「開発の初期段階で電子機器が要求する冷却要件はF135のブリードエア抽出量を超えてしまった」と明かしており、Block3やTR2で追加された新機能は追加の電力を消費し、これを冷却するためブリードエアの抜き取り量はどんどん増えて推力が低下、これをカバーするためF135は燃料消費が増加して設計を超える高温運転が続き「耐久性」に影響が出ている=メンテナンスサイクルが短くなってライフサイクルコストに無視できない影響が出始めたという意味だ。
どれだけメンテナンスサイクルが短くなったかは「1,600時間」という具体的な数値を公聴会で提示しており、F135の定期メンテナンスサイクルは「2,000時間毎」と設定されていたのに「現在は設計時の75%強しか稼働できない」という計算で、この問題を解決するため議会、米空軍、Lockheed Martin、P&W、GEは「AETP採用」か「F135EEP採用か」で揉めていたが、2024会計年度の国防権限法の中で「AETP開発作業に供給する2.8億ドルはエンジン産業基盤への投資」と定義、別の条項でも「この資金供給はF-35へのAETP統合を支持するものではない」「代替エンジン統合のため如何なる資金流用も禁止する」と言及。

出典:GE Aviation XA100
つまりAETPへの資金供給は「エンジン産業基盤の維持」「次世代戦闘機向けエンジン=NGAPPのサポート」のみに使用されるため、議会はF-35へのAETP統合を断念=Block4のEngine Core UpgradeはF135EEPで行くという意味で、RTXは2024年7月「同社のP&WはEngine Core Upgradeの予備設計レビューを完了し、設計が想定された以上のものであると確認された。このアップグレードによってエンジンの耐久性と性能が向上し、全てF-35においてBlock4以降の機能を提供できるようになる」と発表。
AETP採用が消滅したことでF135EEPは現在「Engine Core Upgrade=ECU」と呼ばれており、ECUの予備設計レビューの完了は2024年5月を予定していたため、この時点で「数ヶ月の遅れ」が発生していたのだが、RTXは2025年半ばまで詳細設計を完了し、2026年にプロトタイプによる試験を開始し、2029年までに完成したECUの引き渡しを開始すると説明していたものの、P&Wはパリ航空ショーで「詳細設計の完了は2026年半ばになる」と明かした。

出典:Pratt&Whitney F135EEP
Defense Oneは18日「Block4のECUにおける重要なマイルストーンが1年先延ばしされ、取り組みの全体的なスケジュールに疑問が生じている」「詳細設計の完了は設計段階の終了を意味する節目であり、P&Wは当初『2025年半ばの完了』を目標に掲げていた」「P&Wは2029年までに改良型エンジンの配備が可能かどうかも明言しなくなった」「P&WはECUのスケジュールについてF-35JPOに聞いて欲しいと述べ、F-35JPOはECUのスケジュールについて何も回答しなかった」と報じ、P&Wは詳細設計が遅れている理由についてコメントを控えたと付け加えている。
因みに予備設計レビューが完了した当時、政府説明責任局は「2032年まで新しいエンジンを搭載したF-35は登場しない」と指摘していたことがあり、さらに言えば米軍や米防衛産業企業が提示する「開発スケジュール」も守られることのほうが珍しく、特にF-35に関しては開発スケジュールが信じられないほど遅れるのが日常なので、彼らにとっては詳細設計の完了が1年遅れるなど遅れたうちにすら入らないのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photos by Jill Pickett
本当に戦闘機に高度なエンジン性能が必要かは結構疑わしいと思うんだよね。
ここ最近に実際に起きた戦闘を見る限り戦闘機同士の空中戦がさして重要と
は思えない。
インパの場合、両者の質的差が大した事ないからお互いの地上防空を潰せず
戦闘機は敵の防空範囲に入れなかったから空中戦は特に制空権に影響してない。
逆にイランイスラエルの場合、質的差がありすぎて格下のイランは戦闘機出動
のチャンスさえ無かった、一方的に航空基地をスタンドオフで潰されて終わり。
これらの事例を考えると戦闘機同士の空中戦って起きないんじゃないか?
格上対格下なら格下は戦闘機なんて運用できない、実力が拮抗すると対等な相手
にSEAD/DEADは非常に難しいので地上防空が制空権を決めてしまい戦闘機同士の
空中戦に意味がなくなる。
スタンドオフ主体の戦闘でも素早く発射位置に付いて、撃ったら、大急ぎで逃げないといけないわけで。
>本当に戦闘機に高度なエンジン性能が必要かは結構疑わしいと思うんだよね。
ここ最近に実際に起きた戦闘を見る限り戦闘機同士の空中戦がさして重要と
は思えない。
どうでしょう?
F-35で不足とされているのは発電能力や冷却能力であって、速度や格闘戦能力ではありませんからね。
中長距離の空対空ミサイルでの空中戦を考えればレーダーの強化は必須と考えられますし、使える兵器の種類を増やすためには戦闘コンピューターの強化も必要で、それらを実現するためには発電能力と冷却能力の強化は必要だと考えられますよ。
>F-35のエンジンは冷却能力の拡張とブリードエアの供給量を交換するゼロサムゲームの影響で推力が低下、これをカバーするためF135はより多くの燃料を消費し、設計で想定された以上の高温運転が続くためエンジンが摩耗、故障率と保守サイクルを著しく悪化させている。
とあるので、
『発電能力と冷却能力の強化』のためにブリードエア供給量を(所要冷却能力などに応じて)当初の想定の2~4倍取られるのは仕方ないとして、
その分(エンジン本体に回せる給気量が減った分)の推力低下を許容出来た場合、後段に記されている燃費悪化やエンジン寿命低下などの悪影響を避ける事が可能かと思います。
枝元でp-traさんが仰ってたのは、上記と同様な想定をした上でのコメントだと解釈しました。
ちなみに、推力低下を許容出来たとしても、実質F-35A限定な気がします。
垂直離着陸するケースもあるF-35Bは勿論、艦載機のF-35Cも離着艦時の問題があるから、推力低下の許容値は余りないかな?、と。
あんまり知られてないけど、ミサイルって戦闘機が速けりゃ速いほど命中率も射程も向上するからね
あと撃たれる側視点でも全速力で逃げたら(必中距離じゃなければ)基本は簡単に避けられるのでエンジンはやっぱ重要よ
F-35は一応ステルスを売りにしている戦闘機なので、遠距離から対空ミサイル撃たれる分には、4.5世代機に比べて回避の難易度は元々低めかと。
低RCS高機動な標的は、従来通りの追尾ロジックだとミサイルが標的をロストし易いということで、
日本では『低RCS対処ミサイル誘導制御技術の研究』で、予測型誘導制御の適用について模索している程なので。
稼働率が想定よりも低いならば、より多く機体を調達する必要性がありますね。
時間軸がなんかもう違う感じということで、大変だけど改善すればいいですね。
F-22は30年前の技術で作って特に欠陥らしい欠陥もなく今も尚世界最強の空対空戦闘機の座に君臨してるのになんだってF-35はこの有様なのだ。
やはりマルチロールを求めすぎなのか
あの機体サイズの単発機なので、拡張性に余力がない中でマルチロール化しようとしたのが痛かったですね。
艦載機としても使うなら、せめてスーパーホーネットサイズの双発機にしておけば、と思います…(あんまり変わらないですかね)
B型だけこれにして、空海とはせめて分けておけばと思います。見た目は可愛くて好きなんですけど。
中国のJ-35 が気になります
中国機の実力は非常に興味深いんですけど、中国は全然、戦争しないんでずっと竹のカーテンの向こう側です。
パキスタン機の活躍で大騒ぎになるわけですわな。
Jー35で日本の対空監視網を掻い潜って亡命する中国人パイロットが出ないかなあ。
生活水準的に亡命はもう無いと思うのと、流石に真空管は使ってないと思いますけど、逆に今度こそ先進性を確認して西側はしそうですね…。
海軍予算で買うからB/Cを共通というかどっちも艦載機なんだからBのエンジン違いだけにしておけばよかったのにな。
F-35が失敗したのは要件定義のミス(欲張りすぎ)だと思います
ラプターは空対空に要求を絞ったから成功したんでしょうね
>F-22は30年前の技術で作って特に欠陥らしい欠陥もなく今も尚世界最強の空対空戦闘機の座に君臨してるのになんだってF-35はこの有様なのだ。
F-22は大幅なコスト超過のために、早々に改良計画が断念されました。
例えば、当初はバンカーバスター(5000ポンド爆弾)の運用能力を追加する計画があったのですが、断念されたために未だに実現していないのが現実です。
>F-22は30年前の技術で作って特に欠陥らしい欠陥もなく今も尚世界最強の空対空戦闘機の座に君臨してるのになんだってF-35はこの有様なのだ。
F-22は大幅なコスト超過のために、早々に改良計画が断念されました。
例えば、当初はバンカーバスター(5000ポンド爆弾)の運用能力を追加する計画があったのですが、断念されたために未だに実現していないのが現実です。
戦闘機としての格闘能力はともかく、僚機とのデータ共有などの電子分野ではF-22以上のものをF-35は積んでるから、電子部品を作る半導体サイクルが崩れたというのが致命的だったんじゃないかな
F-35を大きく上回る維持保守のコストおよび単価、航続距離が劣る、2000ポンドクラスの爆弾を扱えない、アビオニクスが旧式化している等、F-35と比較して明らかに一世代前の戦闘機かと。
順調♪
F136は必要でしたね・・・
アキレスと亀かな
冷却でも物理的にも苦しいでしょうけど蓄電バッテリーを強化できたらな
(未来の空中給油機はバッテリー交換/充電も担いそうとか妄想したけども、有人機は無理よね…)
XF9系搭載したらどうなるかは割と見てみたい
設計段階でだいぶ発電力に余裕があるし
F135って2008年の時点で推重比11とかいう戦闘機向けの単発エンジンとしては異次元の化け物だから、XF9だとちょっと力不足ですね……(XF9がダメなんじゃなくF135が凄すぎる)
登場時点でギリギリのエンジン性能だったものを無理やり更にコキ使おうとしているのがそもそも無理です。
単発であの推力は素晴らしいですが、設計も材料もギリギリ。
昔の誉エンジンのような設計だと伸びしろがありません。
技術的に無理だったと思いますがマーリンエンジンのような設計で登場できていれば、単発エンジンでも機能向上に追従できたかもしれません。
F-35のような役割を持たせるには余裕がある設計のエンジンを使用した双発エンジンとすべきだったと思います。
J-31「ですね!」
余裕を持った双発に欲張らない要求
中国はF-35の失敗をちゃんと見てますね
君は逆にちょっと推力不足じゃないですかね…
WS-19で解決したとは思うけど
レシプロエンジンの例は概念的なものだとは分かりますが面白そうなウンチクが聞けそうなのでkwsk。
しかし誉エンジンって発展性を求められる程、長い使用期間は無かったような。
横から失礼します。
誉は計画の上では、一応下記のようなアップデートを予定していました。
誉1x:離昇1,800hp / 2,900 rpm / ブースト圧 +400 mmHg
誉2x:離昇2,000hp / 3,000 rpm / ブースト圧+500 mmHg
誉42:離昇2,200hp / 3,200rpm / ブースト圧+600mmHg
※注:サイトによっては『離昇1,800ps (1,780hp)』などと記されているケースもありますが、当時の日本の航空業界では基本的に『馬力=hp』を使っていた様です。なお当時の日本航空業界では、表記に関してhp表記とps表記の区別が不十分で、海外エンジンでカタログ値がps表記だったモノに対して(単位をhpに変更したのに)数値変換を行わないケースもあったようです。
現実には、気化性状の劣るガソリンと能力がプアな気化器との組合せにより、混合気分配不均等の問題が深刻化(異常燃焼の誘発)してしまい、
誉2x世代が誉1x相当に運用制限され、誉42に関しては早々に諦めた様です。
更に、烈風の試作時期には製造不良で離昇1,500hp / 公称1,300hpクラスと、金星6xのカタログ値並に低下した様なので、
上記の計画値は虚しいモノになってしまいました。
よく日本機はタービンの品質がイマイチで性能が悪いという説がありましたが実際にはそれほど劣っていたわけではなくマーリンエンジンだっていくらスーパーチャージャーで加圧できても燃料が低品質ならまともな性能は出なかったはずです。
4式戦に戦後の検証でハイオク食わしたら化けたというのも有名ですし。
誉搭載機が米国テストで好結果だったのは、
日本のテストよりも軽量な状態で、かつ、出力が公称出力ではなくWEP(War Emergency Power)とより上の出力モードを用いた影響だったかと。
ちなみにその試験でのWEPは、離昇出力の2速全開での状態で、
実は日本でも大戦後半に戦闘馬力として定義されています(1930年代に使われた『高力』のモードも戦闘馬力に類似していたかも?)。
公称出力よりも時間制限の厳しい(短い)高出力のモードです。
戦闘馬力は、日本では緊急時での特別な高出力モード扱いで、
日本でも軍内部ではテストした様ですが、カタログスペックとしては残さなかった様です。
(カタログスペックの対象は、あくまで公称出力のモード使用時)
そもそも米国側が、鹵獲した敵国エンジンの潜在能力など知る術は無いわけで(個体数も少ない貴重なサンプルだから限界以上に回すのは厳禁)、
日本側が定義しているブースト圧や回転数の制限の枠内でテストした訳です。
一方で、誉搭載機が米国テストで、日本のカタログスペックより好結果を出せたのは、
米国テストでの戦闘馬力などの恩恵の他に、
日本側テストでは誉2xが運用制限でカタログスペックを出せていない(離昇2000hp級→1800hp級)ケースも忘れてはいけないと思います。
(そもそも日本側のカタログ値として伝わってる中には、実測値でなく計画値や推測値も多々ある様ですが、話しが収束しなくなるので一旦横に置いておきます)
測定条件が違ったので結果も異なった、実に散文的な話しになるかと思います。
あとついでに、雷電も米国テストで好結果を残した扱いですが、
そもそも米国テストに使用された個体はテスト途中で故障して全開運転していないので、
あれは試験途中の結果と入手した火星エンジンのカタログ値から導いた推測値の様ですね。
(時期によっては、日本側の計画値を転記していたみたいですが)
ちなみに米国がこの時計算に用いた『火星エンジンのカタログ値』は、三菱エンジン部門が給気量の見積もりミスで全開高度を過大にしてた時の値で(後に2速全開高度のカタログ値は5,500m→4,100mなどと下方修正されます)、
要は全開高度での空気密度の相違分だけ過大な計算結果になった様です。
あと実測値ではなく計算値との話しだと、実は四式戦の米軍データも実測値ではないとの説もあるようですね。
では何を記したかと言えば、これまた日本側の計画値の転記、などの様です。
詳しい解説ありがとうございます。
結局設計思想の話は聞けずじまい。
中島製発動機に関しては、
気化器が三菱製よりも高性能(海軍が三菱の梃子入れのために中島のノウハウをリークした程)だけと、
揮発性が劣悪な91オクタンと誉2xの組合せに対してはギリギリ力不足で(輸入品在庫の92オクタンや少量生産の100オクタンでは運用制限無しの様なので)、
気化器で劣る三菱が燃料噴射実用化に成功しているのに、中島はより簡易な低圧燃料噴射の実用化に間に合わなかった辺り、
「禍福は糾える縄の如し」を地で行ってる所は面白いと思いますが、設計思想は三菱の方が面白そうだと思っています。
三菱発動機の2速過給器用のユニットを見ると、
ギア比はなるべく共通化して火星26甲などの様な例外も極力減らし、所要全開高度の相違は数点のインペラ径の相違で吸収、
変速機構自体もなるべく簡素化して、部品点数削減に努めている様に見えます。
また下の方で記した様に、金星/瑞星系の発展余地を削っても外径維持をしているので、一見性能より生産性などを重視しているようにも見えますが、
他方で金星3型→金星4型ではマスターロッド一体化などの大幅見直しを行っており、その革新性から(先の気化器とは逆に)栄の開発梃子入れのため海軍が中島に情報リークしたと言われている程です。
三菱の場合、単なる量産重視と言うよりも、設計の割り切りがシッカリしている風に見えるので、設計思想自体は中島よりも三菱の方が面白そうと思った次第です。
大戦時に主要された日本製レシプロエンジンで、発展性に関して個人的に面白いと思うのが 金星 / 瑞星 のペアです。
金星4x以降と瑞星に関して、離昇出力と公称出力の回転数を並べると、次のようになります。
金星41:離昇 2,500rpm / 公称 2,500rpm
金星45:離昇 2,550rpm / 公称 2,500rpm
金星5x:離昇 2,600rpm / 公称 2,500rpm
金星6x:離昇 2,600rpm / 公称 2,600rpm
瑞星11:離昇 2,540rpm / 公称 2,450rpm
瑞星15:離昇 2,650rpm / 公称 2,600rpm
瑞星2x:離昇 2,700rpm / 公称 2,600rpm
ちなみに三菱は1935年に行った実験から、次の様な知見を得た様です。
・金星はそのままだと(バルブスプリングの強化だけだと)サージング起因で回転数は2,650rpmが実用上の限界
・バルブスプリングの強化の他にカムの形状変更や、あとリターンスプリングの追加の様な形状変化を伴う改造も行うと、3,000rpmに達する可能性あり
しかし、外径増大を伴う様な改造(リターンスプリングの追加)は金星では見送られ、更に金星の設計を転用した瑞星も同様の処置となった様です。
そして、予見された回転数上限に瑞星15の離昇で到達し、更に瑞星2xの離昇では突破したけど、
より時間制限の長い公称出力だと瑞星・金星共に2,600rpmで頭打ち。
また瑞星の2x以降の計画だと、燃料噴射・延長軸化・排気タービン導入に留まり、出力向上は見送られた様です。
あと、瑞星2xに対して海軍は(瑞星1xの時と異なり)冷淡になった、といった記述を見た覚えがあります。
栄エンジンを推して三菱と中島のバランスを計る、とのエンジン行政の一面もあるのでしょうが、
1935年の実験も海軍なら知っているでしょうから、素の性能向上に限界が来たことを認識して切り捨てた面もありそう、と予想しています。
もう日本のF35をイスラエルにお願いしてイスラエル仕様にカスタマイズしてもらった方が良いんじゃ無いかと最近思う様になった。
まぁ無理だろうけど。
こんな状態でF-47のエンジン出来るのか・・・
予算的にもF-47用のXA102とXA103の開発が優先されてるんで、量産型初飛行に間に合うかは別として現在はXA103に最大限注力してるんじゃないですかね。同時にF135EEPの開発をやらなきゃいけないP&Wはリソース的に厳しいのかもしれません。
F-35ブロック4が2030年代初頭にずれ込む見込みなのを見込んでスケジュール延期を決めた可能性もありかと。
CMC使えないP&Wでは無理でしょ
悪足掻きせずにGEにしとけば良かったのに
別記事のM88T-REXは当然のようにCMC使っているんですかねえ。サフランもGEと合弁会社作ってましたし。
とりあえず「無理やり詳細設計を通さないだけマシ」ですね。
今の体制では見込みで次のフェーズに移ってもっと後の段階に進んで問題出すよりもマシだと思います。
とはいえ、F136でGEを蹴ったのは失敗でしたね。
GEも同じく電力不足に陥る可能性はありましたが、二つのプロジェクトが動いていれば対策のしようはあったかもしれません。
拡張性の低い小型単発機を無理くり弄ってあれもしたいこれもしたいと
夢いっぱい詰め込もうとしてるのがそもそも筋が悪い事してるんでしょうね
アメリカがF-22を日本やイスラエルに売ってくれてたら
F-22がF-15Eのようなマルチロール機に発展していく未来もあったかもしれないと思うと悔やまれます
仰る通りで、単発機の難しさを感じますね。
エンジンの性能向上に焦点が当たっているわけですが、タービンブレードの量・配置・向きなど、性能向上に最適化を重視していくのかなと。
(推測ですが)カタログスペックの性能向上に対して、エンジンのメンテナンス性・量産性が低下して、稼働率が低下するのと隣り合わせになるリスクを懸念しています。
ダクトの下にウェポンベイを配置しているF-22と
ダクトの横にウェポンベイを配置しているF-35。
そのダクトとウェポンベイとの位置関係の影響で、F-22のウェポンベイは深さが余り取れず、
ウェポンベイに搭載する場合、F-35AやF-35Cが2000lbs級の爆弾まで可能なのに、F-22は1000lbs級が上限の様ですね。
そこら辺は、初めからマルチロール機志向があったF-35と、制空戦闘機よりだったF-22との素性の相違でもあったかも?
今の段階で詳細設計が遅れてるってもう基本設計からやり直してる炎上案件でしか無い…