米国関連

顧客への引渡しは予定通り、日本とイタリアの生産ライン再開でF-35最終組立はフル稼働

米国、日本、イタリアで最終組立が行われているF-35の生産ラインは新型コロナウイルス「COVID-19」の感染が拡大したことで、一時的に生産ラインの稼働停止措置が取られていたが18日より全て正常に戻ると報じられている。

参考:As coronavirus rages, Italian F-35 plant to reopen tomorrow after precautionary cleaning

新型コロナウイルスの影響を受けないロッキード・マーティンと大ピンチのボーイング

米国のF-35生産ラインだけは新型コロナウイルスの影響を受けること無く操業が続いているが、日本の名古屋にあるF-35最終組立(FACO)工場の生産ラインは今月9日から13日まで稼働を停止する措置が取られたが、既に稼働は再開されており、関係者によれば三菱重工業が運営する日本のF-35最終組立工場は稼働停止以前から生産目標を遥かに上回っていたため一時的な稼働停止よる影響は全くないと話した。

レオナルドによって運営されているイタリア北部のピエモンテ州にあるF-35最終組立工場は、日本の生産ラインが稼働を停止している最中も操業を続けてきたが、同国で新型コロナウイルスが爆発的に広まる事態を受け16日から工場自体に洗浄と消毒のため稼働停止措置が取られていたが、レオナルドは18日より操業を再開させると話している。

出典:Public Domain 製造途中のF-35の胴体部分

F-35の製造元であるロッキード・マーティンによれば、米軍向けだけでなく海外顧客が発注した大半のF-35を生産しているテキサス州フォートワースの工場は継続して操業を続けており、欧州向けの生産の一部を担当するイタリアの工場も短期間の操業停止で済み、日本の工場は日本向けの機体しか生産していないため予定された顧客へのF-35引き渡しに大きな影響は無いらしい。

因みにボーイングも空中給油機KC-46A、戦闘機F-15QAやF-15EX、F/A-18E/F、訓練機T-7Aの生産ラインを停止するつもりはなく顧客への引き渡しに遅れはないと話しているが、ボーイング737MAXの運行停止措置に伴う経営状況の悪化に加え、新型コロナウイルスによる航空機需要の大幅な減少によって同社の資金繰りは危機的な状況に陥っておりトランプ大統領に対して約600億ドル(約6兆4,000億円)規模の資金支援を要請している。

これ受けトランプ大統領17日「我々はボーイングを守らなければならい」と記者会見で語り、新型コロナウイルスで悪化した国内経済を刺激するため用意した追加景気刺激策(総額8,500億ドル)から500億ドル(約5兆3,000億円)をボーイングや航空産業支援に回すことを明らかにした。

果たしてボーイングは、この苦境を切り抜け会社を再建することが出来るだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:US Air Force / Photo by: Staff Sgt. Kate Thornton

遂に量産機が完成か? 中国空軍指定色に塗装されたステルス戦闘機「J-31」が姿を現す前のページ

ドイツ軍の軍事機密が流出、売却処分したパソコンに防空システムの情報が残ったまま?次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米海軍、出火原因が不明のままワスプ級強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」の解体作業を開始

    米海軍は火災が原因で廃艦が決定したワスプ級強襲揚陸艦6番艦「ボノム・リ…

  2. 米国関連

    F-16は2060年代まで空を飛ぶ? 導入国に広がる安心感とロッキード・マーティンの皮算用

    米空軍とロッキード・マーティンはF-16Vの需要増を受けて同機の製造ラ…

  3. 米国関連

    無人機が無人機を搭載、低コストでMQ-9に搭載可能な小型UAV

    米空軍のMQ-9後継機需要を狙うジェネラル・アトミックスとロッキード・…

  4. 米国関連

    1年以上の納期遅れに直面するF-16V、バーレーン向けの初号機が完成

    各国から発注が相次ぐF-16Vについてロッキード・マーティンは「バーレ…

  5. 米国関連

    ウクライナ軍兵士、ブチャ近郊で捕虜になったロシア軍兵士を殺害か

    米国のニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は「キーウ州ブチャ近郊で捕虜に…

  6. 米国関連

    ホワイトハウスも無視?米海軍の艦隊再編計画「Battle Force 2045」は不評か

    マーク・エスパー国防長官が発表した海軍の艦隊再編計画「Battle F…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    ボーイングは、何が何でも、保たせるんだろう。
    F-35のライセンス生産でもすればいいのに。

      • 匿名
      • 2020年 3月 18日

      1機種の寿命が長くなり、単一機種大量生産に向かってますから、昔のように採用されなかったメーカーはワークシェアの形で生産に参加させないと経営的にも技術的にも難しいですね。

      • WSO
      • 2020年 3月 20日

      え?ライバル軍需企業のロッキードにLMが自社製品のステルス戦闘機のライセンス生産させてあげると?LMにとってそれ何かメリットあるんかい?

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    日本の工場だと長袖長ズボンの作業服にヘルメットもしくは作業帽着用が標準的な服装なんだけど
    アメリカだと半袖半ズボンの私服で作業してもOKというのが凄いな

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    ボーイングの受難は続く…

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    とりあえず空自の分は確保できるのね
    FACO維持しといてよかったなあ

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    イタリアはEUの一時鎖国でも部品届くのか、在庫が溜まってるのか

    • 匿名
    • 2020年 3月 19日

    >>新型コロナウイルスによる航空機需要の大幅な減少によって同社の資金繰りは危機的な状況に陥っており

    コロナウィルスじゃなくボーイングさんの経営がクソなだけだと思うんですけど(名推理

      • 匿名
      • 2020年 3月 20日

      実際、ボーイングの民間部門はかなりヤバいようです。

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    このサイトではF-35のボルト問題は扱わないのですね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP