F-35は、2019年中に「フルレート生産」に突入すると見られていたが、米国防総省はこの計画を延期する可能性を示唆した。
参考:The F-35 jet might hit full-rate production more than a year late
F-35のフルレート生産が1年以上遅れるかもしれない
米国防総省は2019年中にF-35の「フルレート生産(大量生産)」に踏み切るかどうかを決定するため、今年の夏までに「IOT&E(初期運用テストおよび評価)」を完了する予定だったが、F-35へのセンサーと武器の統合作業が遅れており、IOT&Eを進める上で障害になっている。
具体的に、いつになればIOT&Eが完了するのか誰にも分かっておらず、米国防総省は最悪、2021年までF-35の「フルレート生産」を延期する必要があるかもしれないと指摘している。
この延期によってF-35プログラムのコストが上昇するのかについては不明だが、ロッキード・マーティンはF-35の年間製造数(2018年91機)を2023年までに160機へ引き上げる予定だが、フルレート生産に対する承認が下りなければ、この生産数もどうなるのか不明だ。

出典:ロッキード・マーティン
もし生産数が削減されることになれば、ロッキード・マーティンがF-35Aの単価を7600万ドル(約82億円)までに引き下げるとした、このような話も吹っ飛ぶ可能性が高い。
参考:6月10日、ロッキード・マーティンは国防総省とロット12~14まで、478機のF-35生産に関する契約を、340億ドル(約3兆6,960億円)で結んだと発表した。この契約では、ロット12で生産される157機のF-35について、F-35Aの単価が8920万ドル(約97億円)だったロット11と比較し、約8.8%のコスト削減が含まれており、ロット12でのF-35Aの単価は8100万ドル(約87億円)になる。ロッキード・マーティンの発表によれば、ロット11に比べ、F-35の各シリーズの単価を15%削減するとし、今回契約した最終ロットでは、F-35Aの単価が7600万ドル(約82億円)になる。
ただしロッキード・マーティンは、IOT&Eの遅延に関わらず予定された生産数の引き上げは実行されるという。
では、フルレート生産に踏み切るかどうかの「判断材料」として行っているIOT&Eの意味は何なのかと突っ込みたくなるが、既に予定された生産数には、米軍以外の国が発注したF-35が組み込まれているため、そう簡単に生産計画を変更する訳にはいかないという大人の事情があるのかもしれない。
ロッキード・マーティンは2018年に91機、2019年に131機、2020年には140機以上のF-35を生産すると言っており、事実上、フルレート生産に限り無く近い「ローレイト生産(低率量産)」と見るべきなのかも。
どちらにしても、既に実戦に投入され、日本など海外の国へ引渡しが始まっているにも関わらず、未だに未完成(検証が終わっていないという意味)と言われることについて違和感しか感じない。
※アイキャッチ画像の出典:US Air Force / Photo by: Staff Sgt. Kate Thornton
F-35は、言わばWindowsかスマホみたいな物で「ソフトウェアの統合やアップデート」が日常的に必須の兵器だから、この部分のどこかで躓いたら最後、そこが直るまで、全ての作業が前に進まない特性を持っているので、最終的にフルレート生産に入れないまま「生産終了」になるかもね。
そして、新たなソフトウェアの統合とアップデートが延々と続いて行くと言う…それを持って「失敗作」と言えないのが面白い所なのだけど。
そもそも、アメリカ三軍の他に世界各国が運用し、イギリスのように自国兵器の統合を要求してくるので、Windowsと同様に多種多様のハードとソフトに対応せねばならず、組織や国が違う以上それぞれが統一された行動をとってくる訳は無いというのが地獄案件
統制された組織ならば、優秀な権力者の鶴の一声で計画を纏められるけど、国家となれば政府と議会議員で見ているものが全く違うのが当たり前ですので。故に国際共同開発のジョイント案件は、もうどうしようもない
そこから逆算すると、我が国が主導するF-3開発は相対的に相当楽に計画を進められるはず
永遠に完成しない戦闘機だからね。