米国関連

新型コロナの影響を受けたF-35、2020年の供給量は前年度割れでフィニッシュ

ロッキード・マーティンは28日、今年製造した123機目となるF-35をイタリア空軍に引き渡したと発表した。

参考:Lockheed Martin Celebrates A Year Of F-35 Successes

F-35製造も新型コロナウイルスの影響をうけて予定よりも18機少ない123機引き渡しでフィニッシュ

ロッキード・マーティンは123機目のF-35がイタリアの最終組立ライン(カーメリ)から出荷されイタリア空軍に引き渡されたことを28日に発表、2020年に74機のF-35を米軍に、31機をF-35プログラム参加国に、18機を対外有償軍事援助(FMS)を通じて購入した国に引き渡すことが出来たと明らかにした。

ただ当初の計画ではF-35を2020年に141機製造する予定だったのだが製造現場やサプライチェーンが新型コロナウイルスの影響を受けたため、今年5月に141機の製造目標を117機~123機に引き下げる決定を下した。要するに123機目の引き渡しを年内に実行できたことは修正した計画を達成したという意味だが、現実的には昨年実績(134機)を下回る形になってしまったためロッキード・マーティンしては不本意な1年だっただろう。

出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. Larry E. Reid Jr.

新型コロナウイルスの問題が浮上する前、つまりロッキード・マーティンが決算を発表した今年1月「同社のF-35供給数は2020年に140機、2021年に160機、F-35の生産能力がピークに達する2023年~2024年頃には175機~180機に達するだろう」と明らかにしたが、製造業に対する新型コロナウイルスの影響が長引けば来年以降のF-35製造数はセーブせざるを得ないため各国のF-35調達スケジュールに大きな遅れが生じるかもしれない。

恐らく来年の1月末に行われるロッキード・マーティンの決算発表で同社はF-35の製造計画に触れてくる可能性が高いので、予定通り160機前後の供給が実行できるのか注目される。

因みにロッキード・マーティンの説明によれば現在までに1,200人以上のパイロットと1万人以上のエンジニアがF-35運用に必要な訓練を受け、世界9ヶ国(米国、英国、イタリア、オランダ、ノルウェー、オーストラリア、イスラエル、日本、韓国)で600機以上のF-35が運用されており同機の累計飛行時間は35万時間を超えたらしい。

さらに9つの組織(米空軍、米海兵隊、米海軍、英空軍、イタリア空軍、オーストラリア空軍、イスラエル空軍、ノルウェー空軍、韓国空軍)がF-35の初期作戦能力(IOC)や完全作戦能力(FOC)を宣言しており、2022年までには管理システム「ALIS:アリス」に代わる「ODIN:オーディン」が初期運用能力を獲得する見込みだ。

関連記事:F-35最大の欠点解消に向けて前進、ALISに代わるODINの評価は上々
関連記事:F-35はいよいよ成熟段階に突入か? 米国、カテゴリー1Aの欠陥を全て修正完了

 

※アイキャッチ画像の出典:イタリア空軍

国産空母「003型」で運用予定、中国海軍の新しい空母航空団の構成は米海軍レベル前のページ

驚異的な速度で大型艦艇を量産する中国、3隻目の075型強襲揚陸艦が完成間近次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米空軍がステルス無人航空機「RQ-180」と推定されるイメージを初めて公開

    米空軍は今月9日、ステルス無人航空機「RQ-180」と推定される機体イ…

  2. 米国関連

    艦内が真っ黒に焦げたワスプ級強襲揚陸艦、消火活動は2日目の夜に突入

    米海軍のワスプ級強襲揚陸艦6番艦「ボノム・リシャール(LHD-6)」は…

  3. 米国関連

    米陸軍がFARA中止を表明、ウクライナで航空偵察が根本的に変わった

    米陸軍はOH-58の後継機プログラムとしてFARA(Future At…

  4. 米国関連

    受注数伸び悩みが原因、F-35Aのコスト削減は7,000万ドル後半が限界

    F-35JPOの責任者であるエリック・フィック空軍中将によれば、ロット…

  5. 米国関連

    バイデン大統領、クラスター砲弾提供は弾薬不足解消までの一時的な措置

    バイデン大統領は「この戦いは兵站の戦争なのにウクライナ人は弾薬を使い果…

コメント

    • 中央軍事委員会首席
    • 2020年 12月 29日

    それにしで中国にとってはかなり都合のいいウイルスだなぁー。

    15
      • 武漢ウイルス研究所員
      • 2020年 12月 29日

      情報統制でウイルスの危険性を隠蔽したり、他国に責任転嫁したり、パンデミックの真っ最中に尖閣諸島へ侵入を繰り返したり、インド兵を惨殺した中国共産党の異常性、非人道性、邪悪性を強く認識した2020年でした。

      16
      • 匿名
      • 2020年 12月 29日

      いや~コロナが無ければ、ここまで各国の対中政策も先鋭化してないと思いますよ。身近な大切な人がどんどん失われていく状況で、国民の感情が大いに悪化しましたからね。世界に向けた中国のコロナ対応は、致命的な失策だったと思います。

      15
      • 匿名
      • 2020年 12月 29日

      前回の東京オリンピック開催日に原爆実験やって日本のメンツを潰した国だからな
      今回だって東京オリンピックつぶす目的でウィルス流したとしても驚かない

      11
        • めざせモスクワ
        • 2020年 12月 29日

        東京五輪が駄目になったら、北京冬季五輪をボイコットして欲しい。コロナがなくとも、人権侵害も目に余る。まるで1936ベルリン五輪。

        7
          • 匿名
          • 2020年 12月 29日

          ボイコットじゃ泣きを見るのは罪のないアスリート。
          開催地の変更がいいよ。
          まあ今からじゃ難しいだろうけど…

            • 中共=ナチス
            • 2020年 12月 29日

            だからといってチャイナチス中共のプロパガンダに加担するべきではない。できればボイコット、最低でも、国旗・国歌は不使用で入場行進にも不参加として欲しい。

            2
              • 追伸
              • 2020年 12月 29日

              変更できればそれが最善だが、今からではやはりボイコットが現実的。

              3
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      ウィルス封じ込め成功を喧伝していた中共だが、新疆ウイグル自治区、武漢、大連が封鎖されている。恐らく他にも。今回のウィルスパンデミックがどれだけ引っ張るかなど、だれにもわからないだろう。
      つい先日も、ロシアがウィルス死亡患者数を統計操作していたことが明るみになり、チャイナウィルスの深刻さが浮き彫りになったばかり。(12/29 時事 : リンク)

    • 匿名
    • 2020年 12月 29日

    下手な国家の導入数レベルの機体数を一年で作れる事が普通にすごい事なんだがな…
    導入数が単純に多いと言うのもあるけれど、今世紀のベストセラー戦闘機だわ

    6
      • 匿名
      • 2020年 12月 29日

      休戦中の国とか領土拡張の野心を隠さない国とかに周り囲まれて感覚麻痺してるのかしらんが
      戦闘機120機超は全然「下手な国家」じゃないと思うの。

      8
        • 匿名
        • 2020年 12月 30日

        まぁ周りの国みんなそんなだしやむなし

        1
    • 匿名
    • 2020年 12月 29日

    減っても123機とか。
    J-20とは文字通り「桁が違う:なぁ。米帝スゴス。

    3
    • 匿名
    • 2020年 12月 29日

    各国の生物兵器への抗堪性を確認するためのテスト散布だったと言われても、あまり違和感がない・・・。

    9
    • 匿名
    • 2020年 12月 29日

    管理人さん
    最後まで有難う御座います!
    見事なフィニッシュでした!

    本音はまだまだ見たい!
    でも、お疲れでしょうからf^_^;

    9
    • 匿名
    • 2020年 12月 29日

    新型コロナウイルスに加えて、トランプ大統領の置き土産
    トルコに対して「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」まで発動したとなっては
    F35プログラムの変更を余儀なくされる製造現場は、いま白目むいてるんだろうな(‐人‐)ナムナム

    1
    • にわかミリオタ
    • 2020年 12月 29日

    日本もオーディンを採用しないのかな?

    1
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      F-35の需品管理は全世界を統合して行われるものになりますので、
      日本だけが導入を拒むということはできないと思いますよ。

      ですので、予算がついて機材と人材の準備が出来たら導入されるでしょう。

      5
        • にわかミリオタ
        • 2020年 12月 30日

        またお金がかかりそうだなぁ

        1
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      米国のオーディン自体が2年後。試作品使用中のはず。

    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    トルコをいきなりF-35プロジェクトから追放しろって米政府が言い出したのも影響大きそうだけどそんなもんだろうな

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP