米国関連

再び流出したF-35C事故動画、機密性の高くない情報は隠すより公開すべき

米メディアもF-35Cが空母着艦に失敗した瞬間を捉えた動画流出を取り上げて始めており、スマホとSNSが普及した時代の情報管理について疑問を投げかけている。

参考:Video Supposedly Showing Harrowing F-35 Crash Aboard USS Carl Vinson Leaked
参考:Leaked video appears to show F-35 striking aircraft carrier’s ramp before crashing into South China Sea

もう何かを隠そうとしても情報は必ず漏れるので、機密性の高くない情報は積極的な公開を進めるべき

今回流出した動画は飛行甲板上に設置されている「航空機着艦支援用カメラ」に記録された映像と飛行甲板を見下ろす艦橋に設置された「監視カメラ」に記録された映像をつなぎ合わせ編集されたもので、1月24日に発生した空母カール・ヴィンソンへの着艦失敗事故の全容を確認することができる。

出典:r/aviation

空母カール・ヴィンソンの信号係将校は着艦を試みようとしたF-35Cに無線で「エンジン出力を上げて着艦をやり直せ」と必死に叫び、他の要員に(F-35Cに対して)手を触れと指示していたが高い降下率でアプローチしてきたF-35Cはそのまま飛行甲板に衝突、主脚が破損したF-35Cはバウンドして飛行甲板に機首が叩きつけられ炎に包まれながら横滑りを開始したため甲板要員が緊急事態を宣言、結局F-35Cはアングルドデッキの端から海面に落下してしまうものの映像にはパイロットが緊急脱出するシーンは記録されておらず海面に落下した際に発生した水柱が見えるだけだ。

しかし海面に落下した機体の火災を少しでも食い止めるため左舷の消化装置を直ぐに作動させているため「緊急事態に対する素早い対応には驚かされる、これは本当に素晴らしい仕事ぶりで日頃の訓練の成果だ」と米メディアは絶賛したが、この事故は依然として空母での航空機運用がリスクの高いものであることを思い出させてくるとも述べているのが興味深い。


ただ空母カール・ヴィンソンからの情報流出は3回目で、今回の動画を最初にアップロードしたRedditのユーザーは「私のものではない=自分がオリジナルをスマホで撮影した訳ではないという意味」と語っており、スマホとSNSが普及した時代に何千もの人間が乗り込んだ艦船で情報をどうやって管理するのか疑問を投げかけている。

米メディアは「もう何かを隠そうとしても情報は必ず漏れるので、機密性の高くない情報は隠すのではなく積極的な公開を進めるべきだろう」と提案しているが、流石に今回の情報流出に関わった人間は高い確立で処罰される可能性が高い。

関連記事:今度は監視カメラの動画が流出、F-35Cが飛行甲板に衝突する瞬間がバッチリ
関連記事:米海軍、F-35C着艦失敗に関連した写真と動画が本物だと認める
関連記事:本物なら米海軍もショック、着艦失敗で海に落ちたF-35Cらしき写真が出回る

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Javier Reyes

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

今度は監視カメラの動画が流出、F-35Cが飛行甲板に衝突する瞬間がバッチリ前のページ

対抗を止めれば次の10年を失う、2038年までの原潜保有を豪国防相が約束次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米国、トルコからロシア製防空システム「S-400」を購入か

    米国はトルコとの問題を解消するため、トルコがロシアから購入した防空シス…

  2. 米国関連

    墜落したF-35Cはルソン島の西海域、日本がサルベージ作業に関する航行警報を発表

    米海軍は南シナ海に墜落したF-35Cの位置や引き上げ作業について固く口…

  3. 米国関連

    順調に開発作業が進むB-21、国防総省が低率初期生産にゴーサイン

    ノースロップ・グラマンが開発を手掛ける新型ICBM「LGM-35A S…

  4. 米国関連

    F-35の価値を守るためロッキード・マーティンが反論、2.5万ドルの運用コストは実現可能

    米空軍がレガシーな航空戦力をF-35Aで更新するという前提を覆してシン…

  5. 米国関連

    生まれ変わった米戦車エイブラムス、最新のM1A2C/SEPv3配備が始まる

    米陸軍の第3旅団戦闘団「グレイウルフ」は29日、最新バージョンの主力戦…

  6. 米国関連

    トランプ大統領、駐独米軍の一部をポーランドに移動させると発表

    トランプ大統領はポーランドのドゥダ大統領と共同記者会見を行い、NATO…

コメント

    • トカマク
    • 2022年 2月 07日

    ここまでくるとボーイングの息のかかった防衛関係者の手によってわざとロッキード戦闘機へのネガキャンとして行われてる可能性を疑うレベル

    9
    • あああ
    • 2022年 2月 07日

    >「もう何かを隠そうとしても情報は必ず漏れるので、機密性の高くない情報は隠すのではなく積極的な公開を進めるべきだろう」
    組織の許可無く情報を無断で流出させたのが問題で、それとこれとは話とは別の問題な気が。

    コンプラ教育どうなってると言わないで、そういう言い方をするあたり、流石スクープ優先のマスコミさんと言うべきなのか。

    15
      • 2022年 2月 07日

      時代にそぐわなくなってきたルールを維持して人間を罰し続けるという発想もどうかと、、、その辺りのバランスをとらないとダメという意味では?

      4
        • トト
        • 2022年 2月 07日

        時代にそぐわないのではなく防止が困難というだけ。
        機密性の基準はいくらかあるだろうがその判断を流出者に委ねるわけにはいかない以上、
        情報流出が原則的に処罰対象になるのは当然だと思う。

        12
        • 西風
        • 2022年 2月 07日

        なんでも時代に合わないと言えば自分の意見ゴリ押し出来ると思ってる
        現代の世の中の流れこそどうかしてるわ
        ルールってのはそれなりの理由があって作られてるんだからまず守れよと
        それで不具合あってから改正するのが筋だろうになぁ
        ポリコレ輸入する前に道徳の授業復活させるのが先では…?

        13
    • ブルーピーコック
    • 2022年 2月 07日

    公開するしないを線引きしたとしても、情報漏らすなと命令されていたにも関わらず漏らしてしまったのなら、軍規や守秘義務違反で処罰が妥当なのでは。正義感からではなく、金や知名度目当てでやらかす奴が必ず出てくると思うので。

    一向に情報が出てこないから情報公開請求をして、それでも軍が隠蔽して公開を拒んだから内部通報者が発信して明らかになった・・・というのが公益通報の筋だと思うんですが、自分の考えが甘いのか、マスコミの常識がおかしいのか分からん。

    15
    • 戦略眼
    • 2022年 2月 07日

    素直に、パイロットは良く生きてたなあと思う。

    11
      • 人がゴミのようだ!
      • 2022年 2月 07日

      甲板バウンドしてたのに、機体のほぼ全体の形をとどめてたのがすごい。甲板要員ってそんなすぐに緊急事態を宣言できるのかな?まあ練度が高いってことはわかったけど

      4
    • 無無
    • 2022年 2月 07日

    まあ軍のほうから情報を流すことで、逆に情報管理が容易になるとも考えられますから、この分野は中国ロシアも得意
    何をいつ公開するかで、マスコミをもコントロールできるし

    3
      • 匿名
      • 2022年 2月 07日

      最近のロシアは分かりませんが、中国が情報を流すことでコントロールというのは、ふつうに考えて頷けるものでしょうかね。古き良き大本営発表みであれば納得。

      3
        • 無無
        • 2022年 2月 07日

        中国の流す情報はまず何よりも自国民向けだから、勇ましい大本営発表なイメージが強いが、肝心な話は全く語らないだろ?
        弾圧したウイグル地区に多数の戦略ミサイル基地建設中の話だの、極超音速関連技術者の亡命事件などは一切触れない、機密度の高い情報はその否定肯定以前に完全な沈黙を保つ
        ちゃんと考えながら情報を流してますよ

        5
    • 2022年 2月 07日

    機体そのもの以外は別に驚くほどのネタではないし、中国のパイロットにとっては着艦の危険性とt対応、機材の能力と性能がアメリカ並でなければ棺桶に片足を突っ込んでいるものになるから士気も落ちるわな。
    士気が落ちれば中国空母の戦力が落ちるわけでそれを狙って流しているという麺もあるだろうな。

    5
    • 雑魚
    • 2022年 2月 07日

    機密性の低い情報をオープンにしたら、次はより機密性の高い情報が漏洩するようになりましたとさというオチまで見える。

    5
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP