Shield AIは先月21日に垂直離着陸が可能な無人戦闘機=X-BATを発表して大きな注目を集めたが、今月5日「X-BAT向けのエンジン供給に関してGEと合意し、推力偏向ノズルが統合されたF110-GE-129が搭載される」と発表し、X-BATはF-15やF-16と同じエンジンが搭載される。
参考:Shield AI’s X-BAT drone to be powered by same GE engine as F-15, F-16 fighters (Exclusive)
参考:GE Aerospace and Shield AI to Collaborate on Propulsion for X-BAT Vehicle Program
X-BATが成功するかどうかは「新しい技術の開発」ではなく「成熟された各技術を上手く統合できるかどうか」に懸かっている
日本人にとって米防衛企業のShield AIは無名の存在かもしれないが、同社のAI技術は防衛分野で非常に大きな存在感を示しており、XQ-58、MQM-178、MQ-20などの無人機はShield AIのAI技術で制御され、国防総省、米空軍、米海軍、シンガポール空軍、Boeing、Northrop Grumman、L3Harris、Airbus、韓国航空宇宙産業、LIG Nex1などもAI技術に関してShield AIと提携しているため、今後の防衛市場で「稼ぎ頭になる」と予想されているAI分野でほぼ確実に台頭してくる存在だ。
Shield AIはV-Batで有名なMartin UAVを買収することで無人機市場にも参入しており、先月21日にワシントンで垂直離着陸が可能な無人戦闘機=X-BATを発表し、X-BATを実際に製造するパートナー企業や搭載エンジンを供給する企業について「今後数週間以内に発表する予定」と説明していたが、Breaking Defenseは5日「GEがX-BATにエンジンを独占供給する」「X-BATに搭載されるエンジンはF110-GE-129だ」「このエンジンには推力偏向ノズルが統合される」と報じた。
Shield AIも5日「X-BAT向けのエンジン供給に関してGEと合意した」「X-BATには推力偏向ノズルが統合されたF110-GE-129が搭載される」と発表し、特に目を引くのは「出来るだけ早く配備するためX-BATとエンジンを一括提供する」という部分だろう。
Shield AI + @GE_Aerospace: X-BAT hauls ass and sips gas.
The F110-GE-129 engine, featuring GE’s Axisymmetric Vectoring Exhaust Nozzle (AVEN), has been selected to propel X-BAT, Shield AI’s AI-piloted VTOL fighter jet. With more than 11 million flight hours, the F110 delivers the… pic.twitter.com/CHRWm1erXl
— Shield AI (@shieldaitech) November 5, 2025
米空軍は競争入札で調達したエンジンを政府支給品として機体製造業に供給するため、航空機プログラム全体を受注した請負企業もエンジン調達に関与できないのだが、Shield AIはBreaking Defenseの取材に「GEとの提携は出来るだけ早くX-BATを配備するためだ」と回答し、Breaking Defenseも「これは競争にかかる時間を省くため『機体とエンジンを一括契約する』という最近の手法に倣ったものだ」と報じており、Shield AIが独自の提案アプローチを採用できるのはX-BATプログラムが政府資金ではなく自社資金によるものだからだ。
伝統的な防衛企業はアイデアを国防総省に持ち込んで開発資金を獲得し、アイデアを公式プログラム化させてから開発に取り掛かるため「軍の検討や決定」に時間を要するが、GA-ASI、Anduril、Shield AI、Kratos、CoAspire、Zone5 Technologiesといった新興企業は「アイデアを自社資金で具体化させてから国防総省に持ち込む」という手法を採用しており、国防総省もアイデアではなくプロトタイプを持ち込んで提案してくる手法を歓迎し、米太平洋海兵隊のグリン司令官も防衛産業界に「とにかく失敗を恐れるな」「もっと多くのプロトタイプを送ってくれればより良いものにするため協力する」とメッセージを送っている。
新興企業がリスクの高い投資に踏み切れるのは「動きの遅い国防総省の検討や決定に振り回されたくない」「米軍採用やFMS経由の海外輸出に依存しない」「成長が確実視される分野にいち早く製品を投入して商業ベースの海外輸出を狙っている」と言ったところで、伝統的な防衛企業と新興企業では防衛ビジネスに対するアプローチの仕方が根本的に異なり、Lockheed Martinが「研究開発に対する従来のアプローチを転換した」「自社資金による投資でプロトタイプの自主開発も進めている」「これにより顧客へ真の能力的飛躍を実証できる」と言い出したのも従来のアプローチが支持されなくなっているためだろう。
因みにGEは半年前からX-BATプログラムに参加して「エンジンの推力改善」に取り組んでおり、F110に統合される推力偏向ノズル技術も1990年代に開発され、X-62A=NF-16Dで実証されたものを改造したもので、GEはBreaking Defenseの取材に「X-BAT向けのF110は推力偏向ノズルの統合に合わせて一部改良されるかもしれないが、F-16での経験があるためX-BATが必要とする制御能力の提供に大きな課題はない」と述べている。
X-BATは複雑なシステムなしで垂直離着陸が可能、エンジンのアフターバーナーだけで垂直離着陸に必要な推力対重量比を達成できる、搭載武器を放棄することなく垂直着陸が可能、フェリー飛行状態ではなく武器を搭載した状態で最大3,700kmを飛行可能で、正直のところ「これを短期間で開発可能なのか」「本当に完成させられるのか」と疑いたくなるが、X-BATはアプローチが革新的なだけで構成技術はどれも成熟されたものばかりだ。
要するにX-BATはV-Batと同じように機体の向きを変更することで固定エンジン1基で垂直離着陸と水平飛行を実現するため、F-35Bのようなリフトファンとジェット推力を下方に偏向させる特殊な排気ノズルが不要で、X-BATが成功するかどうかは「新しい技術の開発」ではなく「成熟された各技術を上手く統合できるかどうか」に懸かっており、もし米軍が採用しなくても同盟国への輸出に大きな可能性を秘めている。
関連記事:Shield AIが革新的なX-BATを発表、垂直離着陸に対応する自律型戦闘機
関連記事:V-Batを開発するShield AI、次世代の自律型航空機を9月に発表すると予告
関連記事:米空軍のCCA戦略に批判的なLockheed Martin、独自のCCAを発表
※アイキャッチ画像の出典:Shield AI





















>米軍が採用しなくても同盟国への輸出に大きな可能性
このルートだと「米軍御用達」の通り名が無く、一番たくさん使うだろう米軍が居ないので、運用にかかる費用が同盟国全持ちになってお値段お高めになってしまうんですよね
「輸出に大きな可能性」中には、日本も入っているんだろうな
「F-35BのCCAにいかが?甲板を強化したら、ひゅうが型やいずも型からも飛べますよ」って絶対言ってくるよ
FMSによる輸出も米軍納入価格と違い開発費が上乗せされるのでお値段もお高くなる場合もあるかと。
米国政府の資金で開発されたF110-GE-129エンジンを採用しているだけに米軍不採用になっても輸出の手続きが大変かもしれません。
エンジン他のにしてもらえないと他国が買うのは厳しそうですね。手続きも勿論数作れるのか、また10年待たされるのか。
やはり中々信じがたいのですが不可能ではないのかな。人やエンジンとの比較でとにかく小さいのが目について、動画内でも全長は26feet(約8m)と出てました。これだけ小さい機体なら相応に軽いはずです。雰囲気掴むために、超ざっくり概算してみます。
動画で紹介されてたX-13を参考にすると推力重量比は1.5欲しい。となると合計の重量を10tくらいに収めたい。エンジンの重量は1.8t、武装の重量はAIM-120×2 とJSOWで0.8tだとすれば、残りは7.4tです。ざっくりエンジン除く機体重量と、燃料をそれぞれ3.7tとしちゃうと、ありえるかもしれないくらいの数字感ではあります。
エンジン除く機体重量はF-16C block25で6.5t、ミラージュ2000で6tくらいらしいので、さらに小型化してコックピットも無くして3.7tくらいと考えることは可能です。燃料はケロシンの比重を0.8として単純計算すると4.625klになって、比較するとF-16の機内燃料が4kl、増槽付きで6.8klです。増槽付き並の航続距離を求めていますが、空力が良くて軽いので可能なのでしょう。
レーダーやアビオニクスをインテーク周辺に集めてるのは面白いところで、おそらくインテークに入ってくる空気で冷却するんですね。ステルス性のためにはインテーク形状の工夫が必要だったはずで、そこに冷却などの経路を詰め込むのは難しそうですが、3Dプリントで一体成型するなりの超技巧でどうにかしてるとしか思いつかないです。SpaceXでもRaptorエンジンの最新型では配管を全部3Dプリントで一体成形することで埋め込んだらしいので、きっと似たようなことをやってるのかなと。
将来AIM-174やLRASMも積めると動画に出てましたが、それだと重くなるのでさすがに宣伝よりは航続距離が落ちるのだろうと思います。なんだかんだ重くデカくなってやっぱりロケットアシストのほうがまだ常識的だと感じるのですが……、しかしこれを完成させる技術があれば自動空中給油も当然実現できるので、そっちの方向を目指してるのかも。原理的には間違ってない気がするし、良い意味で思想が強いベンチャーっぽいです。
他の方が書いてるように地上が痛むのどうすんのってのも気になるんですが、ほんとにすごい機体ができたら運用側が金だして改修するだろうくらいに思ってそう。地上支援の車両のCGもまるで耐熱性なさそうで、まだそこまで考える段階ではないと割り切ってるんじゃないか。
むしろエンジンに関してはハリアー系を作った方がネタになりそう
そのエンジン日本のF-15にも積んでくれないかなぁ
やっぱマッチョな空戦番長がいないと心細いよ
”Road to air in minute”はロマンありますが、F-110のフルアフターバーナーの排気を垂直に地表に叩きつけて垂直離着陸とか、舗装が溶けるか吹き飛びそう…。
こういう分散配置型使い捨て無人戦闘機こそが第6世代機に相応しいと思うんだけど、各国の偉い人はそう考えてないのかな?
垂直離着陸機にP&W F100/GE F110系使ったのがあったようなと思ったら、XFV-12(エンジンはP&W F100の派生型F401)でしたね。
当時は運用時重量6.3tほどの機体を垂直上昇させることを実現できなかったのですが、果たして今回は成功するのかも気になるところです。