米国の兵器開発は他国に比べて掛かる時間とコストが異常で、国防総省の肥大化し複雑化した検証・認証手続きは「技術発展の泥沼」と表現されることもあり、ハドソン研究所も「国防総省の要求要件プロセスは技術革新を阻害する官僚主義的な泥沼だ」「もう救済不可能なので解体しろ」と訴えた。
参考:‘Burn it down’: Experts urge ditching sluggish Pentagon arms process
参考:Reforming Defense Acquisitions To Promote Global Security
JCIDSは将来の軍事的優位性を形づくるものではなく、開発を困難にさせる煩わしい形式の階層に過ぎない
米軍のジョン・ハイテン統合参謀本部副議長は退任前の2021年10月「我々は世界に先駆けて極超音速兵器の技術開発に取り組んでいたものの、最初のテストに失敗したため開発は2年間中断され、再び挑んだテストも失敗したため開発が中止されてしまった」「敵も同じ方法で極超音速兵器の開発に挑戦したが、我々と異なりテストの失敗を容認したため開発に成功した」「これを受けて我々も開発を再開したが、依然としてテストのリスクを理解し、ミスを容認出来る環境が整っていないため国防総省は極度に失敗を恐れている」「中国は過去5年間で数百回のテストを実施したが、米国は失敗を恐れて9回しかテストを実施出来なかった」と言及。

出典:Air Force photo by Matt Williams
さらに「米国初の偵察衛星は打ち上げ失敗や衛星が設計通り作動しないなどのミスで13回連続で失敗し、14回目の打ち上げでようやく成功した。新しいモノを早く手に入れるためには『失敗を繰り返すことで学ぶ』というアプローチを行うしかない。金正恩も失敗すれば科学者を殺していた祖父や父のやり方を改め、失敗から多くのことを学ぶことを奨励してICBMと核兵器の開発に成功した」と付け加え、失敗を容認する開発環境の重要性を訴えたことがある。
米国の兵器開発は他国に比べて掛かる時間とコストが異常で、その原因の1つは国防総省が過去の失敗やミスを繰り返さないため設けた検証・認証手続きの肥大化と複雑化にあると言われており、肥大化した手続きの見直しも行われず、何十年も前の措置が技術の発展に見合っていなかったりするため「技術発展の泥沼」と表現されることもあるのだが、ハドソン研究所も10日に発表したレポートの中で「国防総省の要求要件プロセス=Joint Capabilities Integration and Development Systemは技術革新を阻害する官僚主義的な泥沼で、もはや救済が不可能なほど完全かつ組織的に失敗したため解体する必要がある」と指摘。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Matthew Arachik
ハドソン研究所はJCIDSについて「現場指揮官に発言権を与え、相互運用性を保証し、技術革新を奨励し、軍の戦略実行に役立つことを約束していたが、実際には軍事力の近代化を妨げ、敵国が迅速に策定する要求要件と同じものに2年以上の時間を要し、技術革新を官僚的で煩雑な手続きに縛り付け、最も戦闘効果の高いシステムを見極めるのではなく『書類の整理』を優先した。これは将来の軍事的優位性を形づくるものではなく、開発を困難にさせる煩わしい形式の階層に過ぎない」と述べ、JCIDSの全てを焼き尽くし歴史の彼方に消し去る必要があると訴えた。
因みにGA-ASIも政府効率化省(DOGE)に宛てた手紙の中で「政府の不十分なポリシーと官僚主義的な意思決定の遅さにより、中国、トルコ、イスラエルといった競合に潜在的な顧客を奪われている」「競合企業に輸出機会を奪われれば研究開発や設備投資に活用できる資金が少なくなる」と訴え、DOGEに「国防総省のタイムスケジュールに制限を設けて要求要件の策定から初期運用能力の獲得まで5年以内にしろ」「曖昧なFMSの管理責任を明確しろ」「MTCRの時代遅れな解釈を見直して無人機輸出の障害を取り払え」と要求している。
関連記事:また遅延とコスト上昇、B-52Hのアップグレードコストが35億ドルも増加
関連記事:米軍ナンバー2の警告、極超音速兵器のテストを過去5年間で米国は9回VS中国は数百回
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Joshua J. Seybert
軍事行政問わずアルゼンチンや米国のDOGE的な急速な官僚機構の解体が持て囃されるのが流行りっぽいが、正直推進してるのが新自由主義あるいはテック加速主義な首脳部な事を考えると自分自身で手足を切断して体重が減ったと喜んでるようにしか見えんなあ…
記事本文中で槍玉にされてた「国防総省が過去の失敗やミスを繰り返さないため設けた検証・認証手続きの肥大化と複雑化」にしてもそれだけの知見で濾過してるからある程度の品質が担保できてるわけで、正直改革の通り進んでも結局は縮小が続いてた設計規格や製造現場の人員や組織を立て直さないと初期不良からの修正パッチの乱発みたいな状況は続く可能性が高いと思う
新自由主義は規制や情実を可能な限り排除することで完全な自由競争を実現する理論だったが、
・医療費
・大学の学費
・官僚の人数及び権限
が恐ろしく増大したのは何故?医療や大学はインフラほど独占体制ではないから価格競争が可能なはずだし、役所の規制が少なくなれば審査する官僚だって少なく出来るはず。もしかしたら高級ブランドみたいに供給が限られる分野に関しては「売り手が価格を上昇させる」自由でしかなかった?
米国を除いて、医療費が高騰しているのは、先進国では年齢構成の高齢化と医療の高度化で単価が上がったからです。
米国では皆保険制度が機能していないので、市場原理は逆に高額の方に振れます。
大学は我が国では私立はどんどん値上げしていますが、国公立はしばらく据え置きです。子供を私立・国立にそれぞれやりましたが、国立の安さには感謝したものです。海外ではほとんど私立の米国以外は無償化もしている国もあり、それぞれとしか。
あと官僚が多いというのは印象論では?国際比較上は日本や米国の官僚の数は少ない方です。
自由競争をするために、新規参入のハードルが低くないといけないけど。
病院や薬の新規参入障壁は、異常に高いらしい。
アメリカの薬は異常に価格が高く、新薬に関して、FDA(食品医薬品局)が異常に厳しい(組んでいる疑惑アリ)。また、古くてそこそこ安全でもFDAが排除する場合があるらしい。
病院に関しては、新規参入に関して、州の規制が高いとの説がある。
また、アメリカの民間保険会社にとっても病院にとっても、医療費の高騰は、売上増加になるため、そもそも、下げるように原理が働かなかった。
本当?かは50%。
120%同意で、一つずつ丹念に検討して安全性への影響を確認したうえでルールを除外するか、無人機、無人車両をメインに据えて有人が前提の安全性のチェックを除外するならばわかるけれども、血で書かれた人の命が関わる安全性の基準を捨てたらだめでしょ…
つーか自律兵器の開発全盛期に失敗前提で放出されるのヤベーと思うんだが。
ターミネーター世界の米軍と同じなっても知らんぞ。スカイネットが暴走して人類滅亡・・・とまではいかなくても自律兵器が暴走して1000人死亡とかフツーに有り得るんだから。
とはいえ再発防止策というのは積み重なれば試験工数が増える一方なわけで…
特に対官案件というのは民間と違ってコスパではなく不具合を出さないことが重要視される(税金をかけて不具合を出して失敗したとは言えない)ため、非効率でも山程の試験をしなければいけないんですよね。
さらにそれでも不具合が出た場合、「これだけの試験をしまたんだけどダメでした!」と納税者に言い訳するための資料作りが始まります。
自称先進国が途上国に抜かれる理由ですねートライアンドエラーをやらせて貰えなくなる奴。会社もデカくなるほどそんな感じですね。
煩雑に過ぎて書類の整理のための開発になってるのはそうなんだろうけど
じゃあすぐに新しい効率的な意思決定が沸いてくるわけじゃないからなぁ
官僚側は法規制が強化されたおかげでプラントの事故が減ったと主張するんですけど、業界側はノウハウの蓄積が進んだ為だと主張するんですよ。
>過去の失敗やミスを繰り返さないため設けた検証・認証手続きの肥大化と複雑化
米軍が官僚主義的な停滞にどっぷり嵌まっているのを見ると、米軍が発足以来持つ企業経営的なノウハウの軍事組織運営へのフィードバックというエスニシティのマイナスの側面が最大限出たなって感じですね…。
マクロな話をすると、十数年前にプロジェクト管理やものづくり界隈で流行っていた「車輪の再発明をしない」というスローガンを大真面目に実践した結果という感じなのかもしれないですね。この言葉は過去に誰かがやった発明や失敗を(知らないまま)そっくりなぞって時間とリソースを無駄にしてはいけないという意味で用いられていました。ですが今の中国や古き良き時代のアメリカを見ると、時間あたりの成果効率を最優先にする場合は再発明でも同じ失敗でも許容される場合はあるんですよね(なぜなら他人がやった過去の膨大な経験を文書から参照していくより実践してしまうほうが早いので)。
いや、ここまでアメリカの産業がめちゃくちゃになったのは、『アメリカの訴訟文化』が原因でしょう
1つの航空事故で兆円単位の賠償請求が飛んでくるから、作る側も過剰にゼロリスクに走らざるを得ないのでは?
ドレッドスコット裁判を成功体験として歴史に残しているような国じゃあ、どう足掻いても中国のような国の工業力にはかないませんよ
金正恩も失敗すれば科学者を殺していた祖父や父のやり方を改め、失敗から多くのことを学ぶことを奨励してICBMと核兵器の開発に成功した」と付け加え
↑やはり成功する為にはここまでリスクを取らないとダメと言うことか…..
核開発に成功したの親父の時代なんだがな
一般企業だと、資金調達~製品開発~資金回収まで、キャッシュフローマネジメントしてたりしますからね。
アメリカ国防省は、ルーズなことやってるなと感じることがあります。
>「米国初の偵察衛星は打ち上げ失敗や衛星が設計通り作動しないなどのミスで13回連続で失敗し、14回目の打ち上げでようやく成功した。新しいモノを早く手に入れるためには『失敗を繰り返すことで学ぶ』というアプローチを行うしかない。金正恩も失敗すれば科学者を殺していた祖父や父のやり方を改め、失敗から多くのことを学ぶことを奨励してICBMと核兵器の開発に成功した」と付け加え、失敗を容認する開発環境の重要性を訴えたことがある。
これが全てを言い表しているような気がするんよ
設計通り動かないのは、現実的な変数を考慮しない設計をしたからだし、何回も同じ失敗をするのは失敗に対しフィードバックしてそれを次に活かすプロセスが用意されてないから
もうアメリカ軍はかつてのような柔軟なプロセスを持った組織ではなく、官僚主義的な帝国になっていたという事
DOGEのような組織が出て来たのはある意味変革のチャンスだと思う
全体的に見ると、アメリカはある意味『日本化』してしまったような気がする
実は結構日本の影響受けているかもしれない
本文のような過程を潜り抜けて開発された兵器もちょっとしたことで無力化されてしまうという···
スイッチブレードやエクスカリバー砲弾の結果で思ったんですが誰もGPSが妨害されることを考えていなかったのだろうか。それとも想定を上回る電波妨害だったのか。
理想と現実なんでしょうね、イケイケドンドンでやっても上手く行かないので同じ失敗しない様に色々と制約したら尚上手く行かないと。
仕事も置きに行く仕事と攻める仕事だと結果としては攻める仕事の方が良い結果なこと多いけど当然失敗も多く安定しないと、なかなか難しい所だけどあくまで私の金融と不動産合わせた仕事だとイケイケドンドンでやってこい責任は俺が取る以上と管理が面倒なので結果が全てで見る様にしてるけどそれなりには回るかなとは思う、無理な目標設定しないことと成功しようが失敗しようが無駄な口挟まない様にし任せるがそれなりに効果的なのかとは思うけど仕事内容によるか。
1957年のスプートニク・ショックで目覚めたアメリカが数年で核弾頭ICBMを実現&12年でアポロ計画を達成した頃のやり方を進められるのかどうかは現在では難しいのかもしれません。
ただ、NASAの官僚主義がマイナスに働いた結果、スペースシャトルを2機喪失、その他諸々の失敗と考えると、「書類の体裁だけ整えれば良い」官僚主義は意味を成さないでしょうね。
例外的な体制のB-21プロジェクトが品質・コスト・納期(QCD)の改善を得られたなら、その知見をもとに立ち上がることができるかもしれませんが、時間がない状況ではこれも厳しいでしょう。
企業は簡単に衰退して倒産するからいいけど、官は原資が税金なのでグダグダ続いて死なないのが問題
官もダメな組織はすぐ解体出来るようになればいいのにね
日本の兵器開発はGDP1%縛りによる予算不足と財務省の影響で「成功する研究しかやらない」という傾向が長年続いてたと思うけど、これはこの記事に出てくる失敗を恐れる現在のアメリカの傾向と似てるところがあると思う。
しかしながら日本の場合、主要兵器の開発に関しては予算の増大こそあれど難航しているケースはあまり無い。それどころか防衛費が増加した今では開発中のスタンドオフ兵器の前倒し配備までできている。
状況の根幹は似てるのに何故日本は比較的上手く回り、アメリカはグダグダなのか…日本も官僚主義的な国だと思うのだが
「官僚主義のせいで本気出せないだけ。それらを取っ払えばまた世界一になれる!」
とか、ある意味、自国の科学力・工業力の立ち位置の現実が見えていないという面もあると思いますよ。
素の開発能力が、ライバル達にキャッチアップされて追い越された現実。
開発という点ではパラノイア企業と言われたインテルが、TSMCに生産技術では水をあけられたのが象徴的です。
日本は、なんというか身の程にあった挑戦しかしていないのと、そこまで工業力が凋落していないのが大きいと思います。
それでも防衛企業・産業の危機はずっと言われてますけど。
日本の、特に防衛関係は良くも悪くも古い慣習が残っていますからね。
「できるできないじゃない、何としてもやるんや!」という精神論で下っ端も管理職も一般社員もみんな一緒に夜を徹して働いて何とか間に合わせるという昭和のやり方が続いてるんですよ。
多分アメリカはそういうのはもうないんじゃないですかね
日本の場合、お家芸の「数値偽装で検査クリア」がありますから。
この点、性悪説で偽装チェックと監査がシステムにガチガチに盛り込まれてるアメリカとの違いですね。
どっちがいいかは何とも言えませんが。
馬鹿馬鹿しい欧米に偽装がないとでも思ってるのか
一般論でいうと官僚組織は肥大化しますし、書類は多く厚くなっていくるのです。
日本の自動車の不正検査等の問題も別の視点もあり得るとおもうのです。それによって実態はどうなのか?つまり統計で、事故(死亡や怪我も含んで)や故障が増えたのか?減ったのか?と。
・不要に見える試験は数値偽装で試験をスキップする日本(不要に「見える」だけで本当に不要なのかは不明)
・どれだけ費用と時間がかかっても杓子定規に試験するアメリカ(いつまでたっても完成しない)
・新興国でそもそも基準作成中の中国(成果と事故・不具合・死者・負傷者数はトレードオフ)
たしかにどれも一長一短ですね
スタンドオフミサイルは海外で発射実験してるし性能偽装なんて無理じゃないのお?
それはさておき少なくとも偽装がバレるだけ多少は健全化の余地はあるかと
はったりかましまくって実でようやくバレて何もかも手遅れになる東側兵器の方が信用できません
検査偽装って、そもそもバレないように、パスして当然のものをやったことにするのですから、成功をもって偽装が無かったというのはどうかと。
テスト内容が馬鹿げているため、米原潜の高強度鋼データを32年間も偽造した理由
リンク
アメリカは新概念の兵器の開発していて
日本はアメリカの後追いが多いので
状況の根幹が似ていたようにはあまり思えませんけども
救い用のない海軍の開発プロセスの無能さ、恐ろしくコストがかかる新兵器開発などを見渡せば、国民の血税を軍が無能にも浪費しているという批判は避けられず、技術革新・保守・調達プロセス全般にオーバーホールが必要なのは事実でしょう。
しかしイーロンの行財政改革(粛清)に軍が正当性を与えれば、トランプ派の忠臣が軍の隅々まで掌握する事態になるかもしれません。アメリカ文化戦争の激しさを考えると不穏です。
アメリカ政府という官も非効率的になってきたのでしょうが、民は民で土台となる工業力が海外移転しちゃってますからね…
政府のチェック機能簡素化とミスを蓄積と捉える方針転換で、アメリカ軍事産業の抱える問題が綺麗に解決するのかは大いに疑問…
国防総省のシステムがどこまで阻害してるかは不明だけど。有事がすぐそこまで来てるのに兵器開発の速度が遅すぎるのは事実。どこに問題がありどう改善すべきか解明する必要があるの事実だと思う。
本当に21世紀になってからの開発の長期化および結局中止の多さは真面目に究明して早急に直す案件だと思う。
何十年にもわたる知見を活かすということは逆に言えば数十年間の蓄積を再確認するというわけで。
蓄積された何千何万という不具合に対してこの新しい武器はすべて対策されているかをすべて確認する必要があります。
それらの試験成績書、各試験項目がすべての不具合への対処を行っていることを証明する書類、試験項目を省略するならその理由を説明する書類と書類作成だけでとんでもない時間がかかります。
そして対官案件ではその書類こそが至高であるため省略できません。仮に書類を省略しようものなら、書類を省略をするための書類がいる(そしてその書類のほうが面倒)というわけのわからない現象が発生します。
言うてKC-46Aはじめ「審査の時間でのもたつき」より「規定の審査端折って後で問題」の方が致命傷になってる気がするが…
まあ官僚主義の害悪の方が多く出ているのは事実だと思うのでメスを入れて欲しいですね。
3軍のプログラム部長(大将)が数十年機能してないよね?
これこそイーロン・マスクに仕分けしてもらってトランプに大統領令出してもらったら
この人らは他に生きる道がないんだからとにかく無駄に使える予算ほしいだけだろ
自己資金の持ち出しアリだよって言われたら黙ってもっと検証するでしょ