トランプ大統領は全米を保護するミサイル防衛システム=Iron Dome for Americaを推進中だが、Rafaelや米防衛産業は「Iron Domeという名称を使うこと自体が混乱を助長する」と不満を述べており、General Atomicsも「いっそのことTitanium Domeにしたらどうか?」と述べたらしい。
参考:Iron Dome unsuitable as missile shield for US or Europe, officials say
参考:General Atomics to unveil new ‘super wide area’ sensor for ‘Iron Dome for America’
Iron Domeがもつイメージは政治家、政策サイド、産業界の間で面倒くさいことになっているのかもしれない
トランプ大統領は昨年の選挙戦で「我が国の上空に誰も見たことがないアイアンドームを建設する」「最新鋭のミサイル防衛システムを全米に建設したい」と述べたため「イスラエル製のIron Domeを配備して全米を保護する」と解釈されがちで、実戦で高い迎撃率を証明したと喧伝されるIron Domeに「万能性」の幻想を抱きがちだが、これはイスラエルの多層式防空システム(弾道弾の上層迎撃に対応したArrow3、中層迎撃に対応したArrow2、下層迎撃と空中目標の迎撃に対応したDavid’s Sling、低空域の空中目標迎撃に対応したIron Dome)を構成する一要素に過ぎない。

出典:Photo by David Huskey Iron Dome
Iron Domeは無人機や巡航ミサイルに加えて「ロケット弾迎撃に対応できる」という特徴があるものの、弾道ミサイルの終末段階における下層迎撃に対応しておらず、David’s Slingよりも低空をカバーする専用システムなので保護範囲が狭く、トランプ大統領が先月28日に署名した「The Iron Dome for America」という大統領令も「イスラエル製のIron Dome」とは完全に異なる別アプローチ・システムを要求しているのだが、Rafaelや米防衛産業は「Iron Domeという名称を使うこと自体が混乱を助長する」と不満を述べている。
Rafaelの担当者はDefense Newsの取材に「Iron Domeは短距離から中距離をカバーするシステムなのに、非常に成功してしまったため『Iron Dome』という名称はコカ・コーラのようにブランド化してしまい、多くの人々がイスラエルの防空システムを指す名称として使用しているが、実際には多層式防空システムにおける一要素以上の能力はない」と述べ、Iron Domeの能力とイメージの間に混乱が生じていると認めた。
Iron Dome for America計画に参加を表明しているもGeneral Atomicsも「この名称は米国にとって良くない」「いっそのことTitanium Domeにしたらどうか?」と述べており、Iron Domeの強烈なイメージは「空からの攻撃を効果的に阻止できる」と連想させるものの、上昇段階の迎撃が可能な宇宙配備型迎撃ミサイル開発を想定しているIron Dome for Americaとはシステム全体のイメージが異なり、政治家、政策サイド、産業界の間で面倒くさいことになっているのかもしれない。
因みにGeneral Atomicsは「Iron Dome for Americaのプログラムコストを大幅に抑えることが出来る新技術で契約を争う準備が出来ている」と述べており、技術的詳細は不明なものの「約10年に渡って開発を続けてきた超広域センサーの生産準備が整っている」「これをMQ-9を統合すれば米本土への脅威を検出するセンサー群を低コストで構築できる」「この超広域センサーの作動範囲は非常に広大なため米本土をカバーするだけなら少数で済む」「センサーが収集したデーターは当社のCCRi部門で分析され単一の作戦図に情報が統合され提供される」と説明。

出典:GA-ASI MQ-9
さらにGeneral Atomicsは「超広域センサー自体の完成度は非常に成熟している」「この技術は既に他分野で機能している」「従来の地表層センシングと比較しても2桁安い」「つまり従来システムと比較したコストは1/100だ」とも述べており、この技術で同社はIron Dome for Americaに挑戦するようだ。
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※アイキャッチ画像の出典:Israel Defense Forces
タイトルでIron Dome をElon Doomと見間違えてしまい、一瞬頭が?になった。
今のアメリカならミサイル防衛システムが成功したら、在欧州米軍を撤退させ
日本とカナダを出島として鎖国体制に入りそうな気がします。
兵器のブランドや神話も素人の政治家やロビイストに説明するときにとても大事になりますからね。彼らに「Iron dome」は弾道弾の終末迎撃に対処しているのではなくロケット弾などの迎撃に特化している。と説明してもピンと来るはずもないので。
アイアンドームの名前に使用料を取るようにすれば
彼も黙るんじゃないでしょうか
我々が忘れがちなことですが、一般人は軍事の専門的な話に興味はないのですよね。記事中でも指摘されているように、トランプ大統領(というより彼が代表している多くのアメリカ人)が言う「アイアンドーム」も、イスラエルの防空システム全般を意味するのでしょう。
なので普通にアメリカにあった防空システムを開発し、これを「アメリカ版アイアンドーム」とでも呼べば、本来のアイアンドームとは似ても似つかなくとも納得させられて丸く収まるのでは。
よし、なら「American Battle dome」にしよう!超エキサイティン!!
ball(フルメタルジャケット弾の俗称)を相手のゴールにシューッ!
日本もイージスとは性能も目的もかなり違うものを和製イージス、ミニイージス、中華イージスと呼んでるし、今更感はある。
でもイージス呼びは日本→アメリカの憧れみたいなところがあるわけだし、それがアメリカ→イスラエルになったのが時代を感じるな…
平面の見た目が特徴のフェーズドアレーアンテナを載せた艦船を、イージスと呼んでる印象ですね。
直近のイスラエルパレスチナ紛争でアイアンドームが示したのは費用対効果が悪すぎるって点ですが
昨今の安価なドローンやロケット相手に迎撃ミサイルの在庫は追い付くんでしょうかね
銃弾やレーザーとかで対処するのかな
米本土に何千発もの片落ち短距離ミサイルを撃ち込める国がいるのかとは思います。
イスラエル、ロシアのように多様な防衛手段を何重にも用意する思想は間違ってはないかと。
イスラエルが戦争中に受けたミサイル攻撃は合わせても千発にも満たないだろう
数が多いのは安価なロケット弾で、ガザのような小さな場所でも2万発用意でき、アイアンドームの対応能力の上限をはるかに超えている
アイアンビームは今後のスタンダードになるのかただのネタ兵器か
えっ、アメリカの納期遵守意識で大量の迎撃ミサイル製造を!?
もういっそのことミスリルドームとかアダマンタイトドームにすればいいんじゃないですかね。
ミスリルもアダマンタイトも、現実には存在しない架空の物質なので。
政治上・予算上存在するけど、現実には存在しない架空の盾になったりして・・・・
イージス……
「愛国者(達)」は実在したのか…
ミスリルドームに対抗してアマルガムミサイル。
本来のアイアンドームをアイアンドームベーシックとでも改称して、
多層式防空システム全体をアイアンドームシステムとするのはどうでしょうか
せっかくアイアンドーム=なんか凄い防空システムって代名詞になるぐらいのブランド力があるのに
全く別の名前にしてみすみす捨てるのも勿体ないですし
そもそも民間人代表の政治家に多層防空って発想ないんだから、修正求めたって無意味でしょ。
一般人にとって軍用車両は全部戦車、軍用艦艇は全部戦艦。違いを説明するだけ時間の無駄。
キャタピラーとかボウガンとかも厳密には誤用だし、我らがkamikazeも今や自爆テロの代名詞。この類の誤解は今に始まった話でもなければ、訂正される未来もない。
アメリカ防衛産業界は大人しく諦めてくれ
メガドライブもプレステもサターンも全部「ファミコン」だったようなものですね。
…今時のお母さん達は何て呼んでるんだろう。
ゲーム機ならスイッチかなって
イスラスの防空システム→イスラエルの防空システム の誤字ですかね
それはさておき運用高度7600m程度MQ-9リーパーに搭載できる(ペイロード1.5トン)程度の超広域センサーってどんな代物なのでしょうかね
雲の影響ありえるので光学系だと難しいけど長距離レーダーって電源含めてサイズ重量追い付くのか?と
MQ-9の運用高度7600mはどちらかというと用途から定めてる高度でしょう。
早期警戒的な用途で使うなら多少滞空時間短くなってでも11000m超で使うのでは。
ブランド戦略は大事…
もうトランプドームでいいよ…
言葉の正確性を求めるのは学者や技術者であって。
一般人に対してはイメージが伝わればよい、というのは世の常ですね。
投資界隈なんて一昔前は「クラウド」最近は「AI」のような人気のバズワードを組み込めば金が集まるような状況でしたし。
Q. 同盟国が望んでもないのに勝手に配備して金を請求する防空システムは?
A. ジャイアンドーム
なんつって
米国には「こころの友よ!」的な友好国しかいないですからね。
いくら国家には真の友人はいないとはいえ。
ジャイアンがドームで「リサイタル」してる図まで想像したあたりで思考を強制停止いたしました
J-Iron Dome…配備先はどこの島国なんですかねぇ…
ペプシは負けたのだ
80年代のコーラ戦争には勝ったのに・・・(24年のアメリカではドクターペッパーに抜かれて3位)
最終的に名前を変えるのはいいですが、いきなりTitanium〜とか言ってもなんだそりゃってなるだけなので…
トランプ政権のこの辺の広報戦術はビジネス界だと言える、素人へのインパクト前提の企画名と見ていいです。
「つまり従来システムと比較したコストは1/100だ」
つまり最終コストは10/1か。確かに安いな