KC-46AはA330MRTTと競合した全入札で敗れており、Defense Newsは13日「イタリアがKC-46A(6機)の購入計画を中止した」「数ヶ月以内に新しい空中給油機の入札を行う予定だ」と報じ、イタリアはA330MRTTに乗り換える可能性が高い。
参考:Italian Air Force eyes Airbus tankers after dropping Boeing planes
海外市場におけるKC-46Aの評価は酷いとしか言いようがない
KC-46Aの空中給油システムは信頼性が高いKC-10のものを使用するはずだったのだが、米空軍は予備設計後に空中給油システムの制御をアナログからデジタルに変更するよう要求、未検証の技術で構築されたリモートビジョンシステム(RVS1.0)は新規設計と呼ぶに相応しいものだったにも関わらず、予備設計の審査を簡略化して初期設計に移行し、プロトタイプのテスト中に報告された不具合も軽視し調達を強行した結果、RVS1.0の不具合で空中給油能力が制限される事態に直面。
この不具合は小手先の修正で何とかなる問題ではないと判明し、米空軍とボーイングはRVS2.0開発を決定して「2024年3月から交換作業に入る」と発表したものの、1から作り直すRVS2.0には未検証の新技術(自動空中給油システムなど)が含まれており、これを標準的な手順で検証すればリリースは2026年頃になると予想されていたが、空軍とボーイングはスケジュールを守るため再び予備設計の審査を簡略化し、米政府説明責任局から「再び同じ失敗を繰り返そうとしている」と警告されていた。
交換時期を2024年3月に設定したのは「ブリッジタンカーの入札」が関係しており、空軍は「予備設計の段階で完全なプロトタイプによる入念な検証は現実的でない」「初期設計後の通常試験でRVS2.0のテストを行うため問題はない」と主張、米政府説明責任局は「未成熟なRVS2.0の問題を予備設計の段階で潰した方がコストと時間を節約できる」と反論したが、空軍は警告を無視して「予備設計審査の完了」を宣言したものの2022年10月「KC-46Aの不具合解決が19ヶ月遅れる」と発表。
空軍とボーイングはRVS2.0のリリースが2024年3月→2025年10月にずれ込む理由について「一部のハードウェアの入手性が極端に悪化しているため」「耐空証明を取得するプロセスも原因の一つ」と説明していたが、ハンター空軍次官補は2024年3月「RVS2.0のリリースが2026年にずれ込む可能性が高い」「開発遅延の原因はスケジュールに対するプレッシャーと耐空証明を取得するプロセスに関連する」とだけ述べて、詳細については口を閉ざしている。
日本とイスラエルは競争入札を実施せずKC-46Aの調達を決定、イタリアもKC-46Aの調達交渉を進めているもののの、KC-46AはA330MRTTと競合した全ての入札(カナダ、韓国、ポーランド、アラブ首長国連邦、インドネシア)で敗れており、Defense Newsは13日「イタリアがKC-46A(6機)の購入計画を中止した」「この決定はKC-46Aの調達コストと約束された(RVS2.0の)納期問題に関連している可能性がある」「イタリアは数ヶ月以内に新しい空中給油機の入札を行う予定で、匿名の関係者はKC-46Aの購入を否定してなかったものの他の空中給油機も見てみたいと述べた」と報じた。
他の空中給油機とは致命的な不具合がなく導入国での評価が高いA330MRTTのことで、エアバスが開発したフライングブーム方式の自動空中給油システム「A3R」は給油を受ける側(戦闘機等)に追加の機器や改造を必要とせず「オペレーターの技量に左右されていた作業性と安全性を向上させ、作戦状況下の燃料移送スピードが最適化される=緻密に組み上げられる作戦スケジュールの遅延が減少する」と評価されており、エアバスはA3Rを無人機の空中給油に対応させるため自律的な空中給油システム「A4R」や自律的編隊飛行システム「AF2」の開発を進めている。
イタリアが両機を比較してA330MRTTを選ぶのは目に見えているため、同機の運用国は13ヶ国(90機以上)に広がる可能性が高く、海外市場におけるKC-46Aの評価は酷いとしか言いようがない。
因みに米空軍はKC-46Aを179機調達する予定だが議会は「179機を超えるKC-46Aの調達」を禁止しており、KC-135後継機(ブリッジタンカー)としてKC-46AとA330MRTTの入札実施を求めている。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Joshua J. Seybert
イタリアも国防費が伸びて、エアバス機を受け入れられるぐらい空軍の設備が改善、KC-46で「我慢」しなきゃいけなかったのが、
そうじゃなくなった
…のかな?
日本も15機調達予定で今年度で6機になるKC46調達を8機で止めて、残り7機分はA330MRTTにすべきじゃないかなと。
正直、現時点だとKC46だけにするというのは不安しかないわけで、
政治的理由で日本がボーイングに仕事落とすにしても、この状況なら半分の8機で義理通せると思うし、
今更どうにもならんけど、F15JSIとかいうフライバイワイヤ抜き実質EXは、新造F15EXにすりゃよかったんだよ・・・。
KC46は自衛隊というより日本とアメリカの政治的な理由で決まっただろうから、失敗と認める削減は認められれないだろう。
国会で追及でもしないと。
F15EXを買っちゃうと、機体寿命がリセットされるので長く使わないといけないくなるので、それを避けたんじゃないかな。F15Jなら、機体寿命が短いので、ステルス機に買い替える名目がたつ。
今からA330に切り替えるのは政治的な理由以外からも厳しいんじゃないかな。
•KC-46は現状の設備をほぼそのまま流用できる。
•エアバス機を自衛隊が運用した経験がない(イタリア空軍ではA320とA430を運用中)。
•機体サイズが違うので格納庫の新築や地上設備の移動、誘導路の補強が必要かも。
•日本が部品製造に参加している割合がKC-46の方が高い。
•国内の民間航空会社でA330を運用していないので整備委託が出来ない。
あとなんだかんだいってイタリアはつきあい長いからね>エアバス
問題起こしているのがアメリカ開発系の給油部分なんで給油部分だけエアバスのに積み替えたい
ざっくり設置圧も違うので滑走路そのものも多分補強必要だし
A330MRTTを日本で運用するのってC-17を本邦で運用する以上に大変ぽ
給油だけするわけでなく輸送も含めると他の基地でも運用できるかどうかも重要だからね
滑走路厚だけなら金かけて工事すりゃいいけど誘導路にエプロンその他各種施設の拡大となると用地の取得というこの国でやるなら10年単位で年月必要な作業が必要に・・・
同型システム積めるだろう310でも国内線つかってない問題がね・・・
C-2に積めれば良いのに
日本も日本の事情でKC-46Aが本命なのはどうしようもないでしょうから、それでもみんな買いたがらないKC-46Aを買うのだからとアメリカから何か引き出したいところですね。
JALがA350を運用しているからある程度の整備はできるのでは。
エアバス機を自衛隊が運用した経験がないのも、これからその実績を作り選択肢を増やしてほしい。
左派界隈はデマ情報をもとによく槍玉に挙げるF-35やオスプレイなんかより、KC-46の方を追求すればいいのに。
これこそ「ゴミを買わされてる」と言われたら「せやな…」というしかない。
機体自体はゴミカスだけど我が国で一番重要な対米関係を考えるとKC-46一択なんだよなあ
機体自体はゴミカスだけど
対米関係ってボーイングの靴を舐めることなんですかね?
日本以上に対米関係が重要な韓国でさえA330MRTTを採用しているよね。韓国にできて日本にできない理由は対米関係という大きな枠ではない何かがあるのでは?
例えば、現状では日本国内でA330を整備できないから、これから整備環境を日本国内で揃えるだけのコストを負担する体力が空自にはないとか。
給油装置がまともに動かない空中給油機が存在意義が無いのは理解できますが、機体自体に何の問題が?
母体が737Maxだとか言うならまだしもw
接地圧や取り回しの大きさに起因する問題や日米間の緊密さ以外にもKC-46Aを選ぶ理由(アピールポイント)として、部品を納入する日本企業にも資金が巡り巡って還流されるというのもあり…
本邦としてはボーイングがさっさと何とかするのを待つしかないのです。
これは…。日本、どうやら防衛装備購入で、またやらかしちゃったようですなぁ。ただでさえ少ない防衛費、こんなコトじゃいつまでたっても…。
自衛隊は買い物下手だねぇ
あーやだやだ
政治家が勝手に決めてくるんだから現場はやってられねえだろうな
別にエアバスでやれない事もないだろうに
アメリカ空軍は60機以上持ってるらしいから、なんとかするだろ。
なんとかはするだろうけど、そのなんとか分の費用がまたかかると思うとな…
(無償アップグレードなんてされないよね?)
確か固定金額の契約
→経費を削減すればするほど利益が上がる
→最低限の工程で計画
→不具合発覚、修正で赤字化
→既に赤字化しているので修正のインセンティブもない
→KC46A以外にT7でも下手こいているので、E3の見積もりは余裕を持ったもの(高額化)になる
→E3の契約が進まない
耐空証明、、、そりゃFAAの信頼も失ってるだろうからな、、、
日本国内には、現状 A330を整備できる会社がないんですよ。
だから、日本国内に整備環境を新たに用意しなければならないのだけど、わずか数機のためにそのコストを負担できる体力がないんでしょうね。
エアバスではできないんですよ
A330はKC-46のもととなったB767よりも重量や大きさが一回り大きい機体
離発着できる空港が限られるため、航空自衛隊が空中給油機に期待しているもう一つの任務である輸送任務に支障をきたしてしまう
ボーイングがアレなのは当然として、改めて経緯を見てると米空軍が思ってた以上にアレだな。
後から出てきた要求は「当初仕様で完成」後に「改修として有償で発注」しろよ…。
デジタルじゃなきゃ、ヤダヤダって偉い人がいたんじゃね?
だってKC-10の給油システムなんて目視だし…
レスミス、ですかね?
何の理由にもなってないんですが。
まあ、早晩無人機に置き換わる分野の1つだと思うので、
何買っても意外と早く退役してしまうのではないかな
しかし3Dメガネもいいが、空中空輸の管を入れるぐらい、自動でできないものかね。
空中空輸って、空中空母から二段階発進してお届けします。
RVS2.0には自動空中給油システムが含まれているって本文に書いてあったわ。
多分、それを突っ込まなければここまで手間取らなかった
素直にRVSの修正だけしておけばよかった
そこへA330MRTTへの対抗策として、新たな機構を複数突っ込んでしまった、、、
米軍と癒着企業の無能ぶりってすごいですけどね
上層部が問題を把握して対策すると、さらに問題が拡大する悪夢
対米関係重視と言っても、ボーイング以外で買う物も一杯あるし見切り付けて良いんじゃないかなあ・・・。宇宙船の体たらくと言い潰せないだけで物作りとしては破綻してるでしょうこの会社。
ボーイングかエアバスかってなったらボーイングになってしまうのはしょうがない
他の方が言ってるようにa330を新しく導入するにしても施設などのコストもかかるしノウハウも蓄えなおしだからまあkc-46でいいんじゃないか?
でもあのボーイング製品を今後も使い続けるのは頭の痛い話ではある
V-22に装備する空中給油ユニットを購入して欲しい。
F-35Bの運用には必須要件なんだが。
RVS2.0は、市販コンピュータ+カメラで出来る画像認識+手動・自動制御かしてない(車の自動駐車以下の機能
F-35のTR3と同じく前時代的な超前例主義が原因で、15年以上前の技術を採用することになってるのが主原因でしょう
この超前例主義が無い中国軍に色々追いつかれるのが納得の現状
アメリカの航空系の偉いさんは机上で簡単に考えすぎなとこありますよね。
航空機はかなり際どい代物なので、実績が伴わないとそりゃダメですよ。ほんと未知の問題だらけに突き当たるので。
要素研究をかなりこなしたならともかく、デジタル化とか簡単だろうみたいな感じで無茶振りされるとそりゃ難航もする。
そもそも、彼らは航空機に搭載する装置がかなりガチガチな設計でなされてることを理解してないいつでも入れ替えたり、搭載の為の容積を稼げると思ってる節すらある。
そのたびに設計者たちは頭を抱える羽目に…ほんのちょっとズレるだけで全部計算し直しで、想定外につながりかねないってのに。
良い事考えた!おい日本!ちょっとKC-46に自前で自動空中給油システムを付けてみてくれないか?で、完成したらデータくれ!
新造機のKC-767を運用してるのはイタリアと日本だけなので、イタリアが抜けるのは痛手ですね。
日本のKC-767はプローブ&ドローグをサポートしないので、F-35Bなどの給油にKC-767を改修するより新造機のKC-46Aを、というのはわからなくもないのですが、最初からKC-767の空中給油システムに787のアビオニクスくらいで済ませておけば、とも思います