米国関連

空中給油システムに問題を抱えるKC-46A、F-22Aへの給油中にブームを失う

米軍はKC-46Aの運用制限を不具合が解消されるまで解除するつもりはなく、空中給油システムに問題を抱えたKC-46Aも致命的な事故を連発しているが、遂にステルス機への空中給油中に事故が発生し、KC-46Aはブームを失いF-22Aも損傷した可能性が高い。

参考:Boom On KC-46 Tanker Just Broke Off During F-22 Refueling Mission

KC-46Aは空中給油中の事故を連発していたが、遂にステルス機への空中給油中に事故が発生してしまった

KC-46Aの空中給油システムは信頼性が高いKC-10のものを使用するはずだったが、米空軍は予備設計後に空中給油システムの制御をアナログからデジタルに変更するよう要求、未検証の技術で構築されたリモートビジョンシステム=RVS1.0は新規設計と呼ぶに相応しいものだったにも関わらず、予備設計の審査を簡略化して初期設計に移行し、プロトタイプのテスト中に報告された不具合も軽視した結果、RVS1.0とブームの設計に深刻な不具合が残されたまま調達が始まってしまう。

出典:DoD Photo by U.S. Army Sgt. James K. McCann

KC-46Aのブーム操作はRVS1.0を使用するため、KC-10やKC-135の目視操作よりも作業の正確さや効率が向上すると期待されていたのだが、RVS1.0の映像は光の加減で見えにくくなったり、映像自体に歪みが発生するためオペレーターがブーム操作を誤って給油対象機を損傷させるリスクが、ブームの抵抗値も想定より大きくA-10の給油口にブームを押し込むことできない問題を解消するにはRVS1.0とブームを1から作り直すしかなく、米空軍とBoeingはRVS2.0と新設計のブームを開発中だ。

さらにRVS1.0のソフトウェアを修正してリスクを軽減、米輸送軍司令部はステルス機(F-22A、F-35A、B-2)への給油制限を緩和し、A-10を除く全ての航空機に空中給油を行えるようになったものの、これらの空中給油は一般飛行、演習参加、輸送に限定され、米輸送軍司令部も2022年6月「RVS2.0と新しいブームをテストするまでKC-46Aの運用は作戦支援に限定される」「実戦を伴う作戦にはKC-46Aを投入しないという2020年の立場は現在も維持されている」と明かしことがある。

出典:U.S. Air Force photo by Chustine Minoda

米空軍はRVS2.0への交換時期について当初「2024年3月」とアナウンスしていたものの、2022年「2025年10月にずれ込む」と、2024年に「2026年にずれ込む」と明かしていたが、空軍参謀総長は今年5月「更に18ヶ月遅れる=RVS2.0のリリースが2027年夏なる」と述べたため、KC-46Aが初期運用能力を獲得するのは最速でも2027年以降になり、遂にステルス機への空中給油中に事故が発生してしまった。

War Zoneは8日「KC-46Aがバージニア州沖で空中給油中にブームを失って緊急事態を宣言し、KC-46Aから給油を受けていたF-22Aがどのくらい損傷したかは不明だ。KC-46Aはチェサピーク湾上空で燃料を投棄し、ノースカロライナ州グリーンビル上空で待機状態を維持している。事故を起こしたKC-46Aが基地に戻ってくれば何が起きたのか明らかになるかもしれない」と報じ、第22空中給油航空団の広報担当者も「7月8日に東部上空でF-22に空中給油中だったKC-46Aが緊急事態を宣言した」「このKC-46Aはシーモア・ジョンソン空軍基地に緊急着陸を余儀なくされた」と発表。

まだブームを失うことになった事故原因も、KC-46AやF-22の損傷具合も不明だが、2020年にはKC-46Aのブームが給油口から外れてF-15Eのキャノピーを直撃しそうになり、2022年10月にはKC-46Aの能力を議員に説明するテスト飛行でブームが収納できなくなり、2024年6月にはオランダ上空でKC-46Aから給油を受けていたF-16Cの給油口と機体構造が損傷し、2024年8月には大統領専用機を護衛するF-15Eに給油中だったKC-46Aがブーム失い、給油を受けていたF-15Eも損傷をうけて緊急着陸を余儀なくされている。

ここまで給油中の事故が頻発すると「RVS1.0とブームの不具合」を疑うしかなく、War Zoneも「KC-46Aは昨年もF-15Eへの給油中にブームを失っている」「このブームの制御システムは長年問題になっているRVS1.0に関連している」「RVS1.0の修正=RVS2.0のリリースは2027年夏までに完了する見込みはなく予定より3年遅れだ」と指摘しており、誰も同じこと「やっぱりRVS1.0の使用にはリスクがある」を思っているのだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:出典:U.S. Air Force photo

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コメント

  • コメント (16)

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    • 2025年 7月 09日

    我が国と確かイスラエルも購入してますが、本国でこの惨状だと他の運用国でもまともに運用できてるか疑問符がつきますね。

    RVS2.0への改修もまずは米国保有機で次はイスラエルという具合に日本の保有機の改修は後回しにされるでしょうから、少なくともあと数年は使えない状態続くと思うと頭が痛い。

    今更エアバス製に乗り換えるのは政治的にも不可能でしょうし、なんとかボーイングの頑張りに期待するしかありません。

    26
    • たむごん
    • 2025年 7月 09日

    こうなってくると、日本の稼働率も気になりますね。

    高速道路ドライブでは、ガソリンがギリギリになっていたり、給油しくてもガソリンスタンドが遠い時でさえ嫌なものです。

    戦闘機は、空中給油機を前提に遠方まで飛ぶ計画をたてますから、空中給油機に不安があるとパイロットに負担を与えるでしょうね。

    10
    • SBS
    • 2025年 7月 09日

    “信頼性が高いKC-10″ってそりゃ目視なら信頼性は高いわな

    ところでA330MRTTを採用したお隣の韓国のミリオタからは、デカくて重くて使いにくいわ、STOL性能が低い!血税で買った給油機を(格納庫に入らないから)外に駐機ってマジ?
    とか言われてる辺り、隣の芝はなんとやらは世界共通なんだなと

    44
      • DT4
      • 2025年 7月 09日

      評価させていただきます。
      スカッとしました。

      大体、本記事もRVS2.0とブームトラブルを無理くり結び付けてて、正直違和感がすごくて気味が悪いです、、、

      1
        • NIVEA万能論
        • 2025年 7月 09日

        KC-46のポンコツっぷりは米国の軍事系サイトでもさんざん指摘されてるんですが…?

        34
          • SB
          • 2025年 7月 09日

          でも使えないわけじゃないし、改修が終われば済むレベルなんですよねぇKC-46A
          10年後には評価が逆転してることを願ってる

          8
            • 匿名希望係
            • 2025年 7月 12日

            逆転はA330MRTTのほうによりひどい欠陥がない限りないかと

            5
        • 特盛
        • 2025年 7月 09日

        事実を指摘してるだけなのに記事に噛みつく奴、いなくならないなぁ

        17
    • 青空と小麦畑
    • 2025年 7月 09日

    もうこれ輸送機として使おうぜ。

    13
      • 匿名希望係
      • 2025年 7月 12日

      輸送機ならB-747の方がつごうが良さそうなのが

      1
    • DEEPBLUE
    • 2025年 7月 09日

    安心と安定のボーイング。F-47も楽しみです(棒)

    28
      • たけし
      • 2025年 7月 12日

      それを日本が高値で買わされて、
      内部情報非公開で色々アクセス出来ないとなると
      泣けてくる

      3
    • ザコ
    • 2025年 7月 09日

    空中給油機は敵国侵攻のための侵略兵器だ!なんて人達もKC-46には何も言わないという笑い話(笑い話ではない)

    7
      • 朴秀
      • 2025年 7月 09日

      我が国が性能の低い装備ばかり揃えているのは
      他国に対して平和主義を体現している可能性が微レ存…?

      5
      • kitty
      • 2025年 7月 11日

      現代ジェット機の攻撃ミッションで、8-10tを搭載できるからって、任務に必要な燃料を積んじゃうと兵装を減らさないといけなくなるから、今や離陸後に給油が標準的な作戦手順になっているんですよね。

      1
    • GUN
    • 2025年 7月 12日

    それにしてもこのダークグレーの塗装は凄みがあってかっこいいな

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