米国関連

ロシアが侵攻を開始すればキエフは2日以内に陥落、犠牲者は最大5万人

米メディアのワシントン・ポスト紙は5日、ロシア軍が第二次世界大戦後最大の地上侵攻を開始すればキエフは2日以内に陥落すると報じている。

参考:Russia could seize Kyiv in days and cause 50,000 civilian casualties in Ukraine, U.S. assessments find

ロシア軍が侵攻を開始すれば民間人に5万人の犠牲と500万人の難民が発生する可能性がある

米メディアのワシントン・ポスト紙は米軍や諜報機関の報告書を引用して「ロシア軍によるウクライナ侵攻が開始されればウクライナ政府は2日以内に崩壊し、最大で民間人に5万人の犠牲(ウクライナ軍には5,000人~25,000人の犠牲者/ロシア軍には3,000人~10,000人の犠牲者)が発生して100万~500万人の難民がポーランドに向かう可能性がある」と報じており、この報告書は連邦議会の議員や欧州のパートナーと共有されているらしい。

出典:Ministry of Defense of Ukraine / CC BY 4.0 ウクライナ軍の演習風景

さらにワシントン・ポスト紙は「ウクライナ国境周辺に駐留するロシア陸軍の戦術的大隊(1個大隊の定数は750名~1,000名)の数は14日間で60から83に増加し、数千人の後方支援要員や大規模な工兵部隊も国境地帯に集結しつつあると報告書は指摘している」と述べており、さらに報告書は「この軍事的集団をプーチン大統領は解散させる政治的意志を持たないため外交的解決の可能性が低下している」と指摘している。

最終的にロシアは110~130の戦術的大隊(戦闘部隊と後方支援部隊の合計数で総兵力で換算すると15万人規模)をウクライナ国境周辺に用意することを望んでいるらしい。

因みにロシア国防省は5日、東部軍管区の沿海地方に駐留していたSu-25SM(恐らくチェルニゴフカに駐留する第187親衛攻撃機航空連隊)を7,000km離れたベラルーシ共和国のブレストに配備したと発表した。

関連記事:ロシア空軍、沿海地方に配備されたSu-25SMを7000km離れたベラルーシへ移動

 

※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru/CC BY 4.0

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コメント

    • くじら
    • 2022年 2月 06日

    つい最近までゼレンスキーが国内向けにロシアの侵攻可能性は低いってやたらアナウンスしてたのって、国民を空爆対策兼ゲリラ戦用途の楯要員にするためポジトークだったんじゃないかなって

    外資の流出を防ぎたかったって観測も金融市場で見たけど多分それだけじゃなかったはず……正直NATOもロシアがウクライナの東半分を占領した後を見越して東欧に戦力配置してるようにしか見えない

    18
      • うん
      • 2022年 2月 06日

      明らかにブラフだけでここまで大規模な部隊を揃えないですよね…
      クリミア半島に繋がる東部占領くらいはやると考えた方が妥当。

      24
        • 名無し
        • 2022年 2月 06日

        >明らかにブラフだけでここまで大規模な部隊を揃えないですよね…

        そう見えるから、大部隊をブラフにすると、効果高いよね。

        3
          • ダヴー
          • 2022年 2月 06日

          これだけ集めて国内外を煽っておいて何もせず引き上げたり、ちょっと領土をかすめ取った程度じゃ、今度は国内から突き上げられる。
          いかにプーチンの権力が強くても、もう引けないところまで来ていると思う。

          31
            • tarota
            • 2022年 2月 06日

            莫大な軍事支出をしているからこそ国民からの突き上げは激しくなりますしね
            あれだけ金使ったんだから仕事しろと
            防衛費が高くなるほど戦争を引き起こす可能性が上がるのはそんなメカニズムがある

            29
              • test
              • 2022年 2月 11日

              既に大金使ったとしても開戦したら更に大金掛かるし
              ロシア国民が開戦を熱望してるというソースも皆無だから
              国民からの突き上げなんてほぼ無いと思うが

              国民からの要求に応える形でウクライナとの開戦も辞さない構えを示して
              それによって低かった支持率が高まったという話ならまだしも
              実際のロシア国民はプーチンにそんな要求してないし支持率は元から高い

              確かにウクライナのNATO非加盟を要求して大軍を国境に配備したのに
              NATO側から断られて渋々撤退すると情けないから
              実際はミンスク合意だけ履行させて国境の部隊は少し残して終わると思う

            • samo
            • 2022年 2月 06日

            キエフに牽制をかけることで、ウクライナの主力を首都に張り付かせることが目的だと思うよ
            その間にドニエプル川東岸に侵攻、ウクライナ南東部を制圧、クリミアまでの連接を目的にすると思う
            キエフに侵攻はできても、占領するには戦力が少なすぎる

            11
    • せい
    • 2022年 2月 06日

    西側諸国としては許容し得ない悪の進撃なんだが、これほどの被害が本当に出てもすぐにやり返す事はないんだろうな。
    ここでの対応はそのまま中共へのメッセージになるだろうし。

    22
      • 名無し
      • 2022年 2月 06日

      >西側諸国としては許容し得ない悪の進撃なんだが、

      本当に西側諸国の政府はそう思ってるんですかね。
      みんな、結構、塩対応だと思うけど。

      11
    • ウーン
    • 2022年 2月 06日

    >最大で民間人に5万人の犠牲が発生して100万~500万人の難民がポーランドに向かう可能性がある

    難民を利用して、そのままポーランドに、、
    そりゃないか。

    6
      • 名無し
      • 2022年 2月 06日

      >難民を利用して、そのままポーランドに、、
      >そりゃないか。

      直接の侵攻はなくても、大量に押し寄せて国境を乗り越えようと混乱するウクライナ人難民相手に、NATO軍(ポーランド軍)が酷い不義理をしでかして、そこがなぜか撮影されていて公開される、みたいなパターンはあると思うけどね。

      16
    • 名無し
    • 2022年 2月 06日

    ロシアに限っては前科しかないからブラフが良く効くね!
    ブラフじゃなかった時どうすんのか知らねーけど!

    6
    • samo
    • 2022年 2月 06日

    キエフ侵攻はさすがにないでしょ…
    空爆とかはあったとしても、キエフを占領したところで、とてもその維持ができない
    そんな陸軍戦力は、さすがにロシアは持ってないよ
    民兵化した市民を抑え込むのは至難の業

    3
      • hoge
      • 2022年 2月 06日

      長期間占領する気はなくとも、ロシアの息のかかった傀儡政権に首をすげ替えるくらいのことはするのでは…

      10
        • samo
        • 2022年 2月 06日

        傀儡政権に首をすげ替えたところで、それに従う軍隊がいるでしょ
        国軍が言うこと聞くわけがない、仮に上層部を前とっかえしたところで、一兵卒単位まで言うことを聞かせられるわけがない
        サボタージュされるのは目に見えてるから、駐留するロシア軍隊が絶対に必要になる
        イラクやアフガンでも、米国がその駐留部隊と費用に苦労させられたのは覚えてるでしょう
        今のロシアにそれをやれっていうのは不可能といっても良い

        10
        • samo
        • 2022年 2月 06日

        その上キエフは300万人の人口を誇る大都市
        占領維持するのに、どれだけの人員が必要になるか…
        侵攻はできても占領はできない
        米国でも難しいんじゃないかな…

        7
    • ダヴー
    • 2022年 2月 06日

    第5親衛戦車旅団の全力がベラルーシにいるらしいので、4個軍でキエフにアプローチする気まんまんみたいではあるけど、短時間で占領までいけるかはかなり疑問だなぁ。

    10
    • 折口
    • 2022年 2月 06日

    情報機関ではなく米軍高官の非公式発言によればウクライナ側死者は12,000人、ロシア側損害は4,000人程度という話でした。どっちの推測にせよロシア側の損害は決して少なくない(数個~十数個BTGに相当する戦力が数日の戦闘で消えるというのはかなりの大損害)訳で、これが本当ならロシア側も安易に侵攻できないのではないかと思います。
    まぁ実際、ロシア側損害の推定は郊外塹壕線での遅滞防御や市街地でのゲリラ戦などウクライナ側が最大限抵抗できるシチュエーションにロシアがハマってしまった場合に基づくものでしょうし、航空部隊や戦術弾道ミサイルの投入も加速している現状を考えると、ロシア側ははるかに少ない損害で全てのウクライナ軍を無力化してしまえる可能性もあると思います。戦後の支配地域での治安戦に関しても、前線に集結しつつある内務省管轄の国家親衛軍が当たるのではないかという推測もあります(都市における民兵や市民に偽装した兵士との戦いは彼らのほうが慣れている)。

    15
    • 内務大臣
    • 2022年 2月 07日

    考えたくないが、民間人の大量虐殺もあり得るかもしれん…

    6
      • 無無
      • 2022年 2月 07日

      起こりますね、ただ正規軍によるものよりも、ロシア寄りの武装勢力による支配地域からのウクライナ人の追放、あるいは侵略に反発するウクライナ民兵による域内ロシア系住民へのジェノサイドと、
      双方がやり始める地獄絵図も危惧される

      8
    • DEEPBLUE
    • 2022年 2月 07日

    チェチェンとかからすれば4000人程度の損害って逆に許容範囲かも知れない

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