KratosとNorthrop Grummanは8日「米海兵隊のCCA開発を競争入札の末に受注した」「このCCAはXQ-58AとNG製の自律ソフトウェアパッケージ=Prismを組み合わせたものになる」と発表し、米海兵隊はF-35Bに随伴可能なウイングマン=CCAにXQ-58Aを選択した。
参考:Northrop Grumman to Rapidly Develop Marine Corps CCA with Kratos’ Valkyrie UAS
参考:Northrop Grumman to Rapidly Develop Marine Corps CCA with Kratos’ Valkyrie UAS
参考:Northrop, Kratos team picked for Marine Corps drone wingmen
米海兵隊がF-35BのCCAにXQ-58Aを選択したのも「小型ロケットモーターによる打ち上げ」と「パラシュート回収」に対応しているためだと思われる
米空軍のF-47、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、ウイングマンとの協調能力は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、既存の第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前倒しされている。

出典:General Atomic
米国だけでも発表されているだけでYFQ-42A、YFQ-44A、YFQ-48、XQ-58A、XQ-67A、LongShot、Gambit、Vectisなどが開発中だが、空軍主導の協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)は第2弾調達の入札が2026年に開始されるため、CCAの機種はどんどん増加する見込みで、海軍と海兵隊も独自要件に基づいたウイングマンの調達を検討中だ。
特に海兵隊は滑走路運用に依存しないF-35BとXQ-58Aの組み合わせに関心を示し、Kratosのエリック・デマルコ最高経営責任者は2023年「オクラホマ・シティに完成した生産拠点でXQ-58Aの低率初期生産が始まっている」「現在はLOT2=XQ-58A Block2×12機を生産中」「Block2はBlock1と比較してより高い高度を長時間飛行できるようになった」「LOT2で生産される半分以上はBlock2Bに変更される」「Block2Bには顧客が要求した新たな追加機能が組み込まれる」と明かし、2025年7月には「エアバス製ミッションシステムを組み込んだドイツ空軍向けのXQ-58Aを開発する」と発表した。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE
元々、XQ-58A開発はウイングマンの実用化を目的にしたプログラムではなく、空軍研究所のLow Cost Attritable Aircraft TechnologyやLow-Cost Attritable Aircraft Platform Sharingを経て開発された技術検証機の性格が強く、無人戦闘機を意味する「FQ」ではなく無人機を意味する「Q」に分類されているものの、デマルコ最高経営責任者は昨年8月「我々の無人機が海兵隊の公式プログラムに指定された」「新しいバージョンのXQ-58Aが海兵隊向けに製造される」「海兵隊が初めて取得するCCAはXQ-58Aになる」と明かして注目を集めたことがある。
Defense NewsやWar Zoneも当時「海兵隊がXQ-58Aを正式に採用する」と報じていたが、Kratosは8日「米海兵隊の無人遠征戦術航空機(MUX TACAIR)計画向けCCA開発を競争入札の末に受注した。KratosのXQ-58AとNorthrop Grummanの自律ソフトウェアパッケージ=Prismを組み合わせ、有人戦闘機と連携してハイリスクの環境下における航空優勢を確保することを目的としている」と、Northrop Grummanも「KratosのXQ-58Aを活用して海兵隊向けのCCAを迅速に開発する」と発表。

出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. John McRell
Breaking Defenseも「MUX TACAIR計画における唯一の選定となった本件の初期契約額は2億3,150万ドルで、これは24ヶ月間の開発作業をカバーする。さらにXQ-58AとPrismの統合においてKratosではなくNorthrop Grummanがシステムインテグレーターを務め、このような枠組みは防衛産業において異例というしかない。Northrop Grummanは協調的な統合の必要性から自社が主導する形で米海兵隊への共同提案が至り、これがMUX TACAIR計画に最良のアプローチを提供した」と説明しているのが興味深い。
米海兵隊のMUX TACAIR計画は「迅速にプロトタイプを製造するラピッド・プロトタイピング・プログラム=5年以内に運用開始が可能と判断される成熟したシステムなら通常のアプローチよりも早く実戦配備が可能になる取り組み」として開発が進められ、米空軍のCCAとは異なり「新機能を段階的に実装していくスパイラル・アプローチ」が採用され、米海兵隊は現在の段階をIncrement1と定義しているためXQ-58Aは新機能を実装していく事にIncrement2、Increment3と発展していくのだろう。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE
兎に角、XQ-58Aは今回の契約で「技術検証機の性格が強いプラットフォーム」から「主要顧客を確保した実用タイプのプラットフォーム」に生まれ変わった格好で、米海兵隊がF-35BのCCAにXQ-58Aを選択したのも「小型ロケットモーターによる打ち上げ」と「パラシュート回収」に対応しているためだと思われ、ランド研究所も「XQ-58のステルス性や多用途性は限定的だが、F-35を1個飛行隊分調達するコストで300機以上も調達できる」「このような滑走路に依存しない無人機は量的戦術を駆使することで敵の防御力を圧倒し、スタンドオフ兵器や有人戦闘機による攻撃をサポートすることができる」と指摘していたことがある。
Shield AIが昨年11月に発表した垂直離着陸が可能な無人戦闘機=X-BATも「滑走路に依存しない無人機」で、Shield AIもX-BATについて「中国のように米国を上回る国防費と軍需生産を兼ね揃えた敵対勢力の台頭、これにどう対処するのかが課題で、米国の根本的な優位性はイノベーションにある。そこで我々は革新的な航空機を開発した。これは単なる航空機ではなく太平洋における勢力均衡を根本的に変えてしまう兵器システムだ」と説明した。
“X-BATはF-35のような第5世代能力と垂直離着陸能力を1つのパッケージにまとめ、ライフサイクルコストも第5世代機の1/10にしたもの、つまりコストカーブを打破することで中国の第5世代機や第6世代機に低コストで対抗できるようになる。中国に対抗する上で重要なのは垂直離着陸能力で、何故ならあらゆる軍事演習において空中よりも地上で航空機を失うことの方が多いからだ。我々は過去何十年にも渡って空中における航空機の生存性向上に多くの資金を投資してステルス技術を導入したが、中国は「それなら空中に上がる前に破壊すればいい」と言い出した”
“さらに戦術航空機が太平洋地域をカバーするには空中給油機の支援が必要で、中国は長射程空対空ミサイルや長距離攻撃能力で空中給油機の戦闘参加を拒否するつもりだ。この問題を解決するのが垂直離着陸能力だ。つまり空中の生存性に加えて地上での生存性を確保すれば、滑走路をクレーターだらけにされる地上攻撃の問題を回避できる。さらに空中給油機が必要ないほど戦場に近い場所に展開できれば、空中給油機なしで航空作戦を実行できるようになる。つまり中国の戦術に対して垂直離着陸能力は非常に画期的な存在なのだ”

出典:U.S. Air Force photo by Ilka Cole
XQ-58AはX-BATのような垂直離着陸能力は備えていないものの「小型ロケットモーターによる打ち上げ」と「パラシュート回収」によって「滑走路をクレーターだらけにされる地上攻撃の問題を回避できる=地上での生存性を確保できる」という点をクリアでき、このアプローチの有効性をXQ-58Aが証明すればX-BATの将来性もより確かなものになるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Blake Wiles





















ロケットモーターによる離陸はまあ良いんだけど、パラシュートで着陸って航空機の回収に使えるんかな
小型飛行機なんかには非常用のが付いてるけどあれってあくまで非常用だから、着陸時に10G前後の衝撃波掛かるんだよね
XQ-58の重量とぱっと見た感じのパラシュート面積から多分15~25Gくらいの衝撃波掛かりそう
機体がブッ壊れることはまず無いだろうけどアビオニクスとかの繊細の部分はどうだろうか
通常飛行中に一気に全部開傘すればそりゃあ衝撃は大きくなるでしょうが、
フレアとかで減速してから、とか一枚先に開いて緩減速してから着地/着水までに残りを開くようにすれば良いだけでは。
あ、失礼、着陸時か。およそ面積不足には見えないから誤読しました。
とゆーかメーカーが十分検討した上で設計・開発して海兵隊が調達しようとしてるんだから目標は達成できてるのでは。
空虚重量だとXQ-58の方がSR22より10%(約110kg)重い。
パラシュートは見た感じSR22が翼幅(38ft)以上の直径のものを1枚、XQ-58は全長(30ft)以上のものを3枚のほか前後にエアバッグと上回っていて、着地後の機体画像も目立った損傷はないから回数制限はあると思うけど何とかなりそう。
垂直離陸の記事を拝見しますと、南西諸島方面の自衛隊には必要かなと思います。
馬毛島…
新田原基地にF-35B実戦部隊を配備したのは南西諸島防衛を意識しているからです。空母運用のみが目的ではありません。
米海兵隊に倣った運用を視野に入れてるんじゃないですかね。とすれば、本邦でも将来的にXQ-58を導入する可能性はあると思います。X-BATのような運用構想機の実用化にはまだまだ紆余曲折がありそうな・・・。
X-BATは謳い文句通りの性能機能ならかなり魅力的だがあの回収方法は事故が起きそうな気がしてならない。
昔英海軍が夢想したスカイフックなら安全に回収できそうだが現在の技術なら実用化出来たりしないだろうか。
イラン・レバノン・イエメンでも、F-35の能力を発揮しつつも。
F-15・F-16の火力投射も重要だったため、ウイングマンが補えるのであれば、航空作戦の能力向上として興味深いなと。
イラン国内がデモにより緊迫しているようですが、イラン外相がベイルートに家族を帯同、外交官施設に滞在するという話しがでているようです。
イスラエル・アメリカの航空機を含めた統合作戦が、ドミノのように影響を与えていると考えれば、今後に向けてウイングマンによる能力強化も興味深いなと感じています。
(2026年1月9日 午前8:23 Open Source Intel @Osint613 X)
毎度思うけど、その道のプロが寄ってたかって発案して検討して開発して試験して生産して調達して運用しようとしてるもんの可能性や妥当性を公開情報ちょっと見ただけの人間が根本から否定する、ってすごい度胸だよなぁ…
私は基本的に「各国の政府や軍や企業のトップが公言すること(メディアや評論家の意見や私見や論評は別です)には何かしら成算や妥当性があるはずだ」という前提で考えています。
もちろんその「成算」の中身が詐欺や賄賂や美しい報告書やお花畑の理想論(独仏共同開発とか空海軍合同開発機とか)である場合もままありますが。
LCSもズムウォルトもコンステレーションもM10も「その道のプロが~」とやった挙句ににあの様では信用されないのは当然でしょ。
「ままある」ならともかく「このところずっと」となれば『次こそは』よりも『次もまた…』になるのは当たり前。
自分はFFXもトランプ級も失敗すると踏んでます。
このXQ-58のパラシュートによる着地も言うのは簡単ですが実際に降ろせる場所はかなり限定されるでしょうし降りた後の回収まで考えると実用性はどうなのか、正直疑問ですね。
弾かれたみたいなので書き直し。
自分の書いた「独仏共同開発とか空海軍合同開発機」もそうだけど、その辺は「寄って集れて」ないのが大きな問題でしょう。
あと規模が大きくなればなるほど失敗要因が混入しやすくなるのも当たり前ですが「UAVのパラシュート回収が実用になるか」なんつー規模の問題はほぼ事前検証通りの結果になるでしょう。
もちろん実運用でそれをできるスペースがあるかは別問題ですがそれは運用側の責任で、海兵隊なら「最悪海に沈める」で済む話でしょう。
”「小型ロケットモーターによる打ち上げ」と「パラシュート回収」”
米海兵隊はある意味”実戦的”なんですね。
X-BATも魅力的だけれど、現状ではXQ-58Aで充分、と見切ったのかな。
ただ、海上で回収する時には、パラシュートだけでは不安では?。
普通に、滑空からアレスティングワイヤかキャッチネットで回収する方が良いのでは?
XQ-58Aにはランディングギアはあるのかな?。
「トロリー発射システム」なんぞを試験してるくらいですからまともに滑走可能なランディングギアは備えていないでしょう。
また外観、発射方式からみてフライトエンベロープに横方向の余裕はなく、最低飛行速度(≒着艦速度)は既存艦載機と比べて大幅に速く、BAR運用は難しいのではないでしょうか。
ご教授ありがとうございます。
なるほど、です。であれば、陸上回収になるのでしょうね。きっと。
海に落とすと、エンジンや電子機器の再利用は難しいでしょうし。
「内蔵型降着装置」もオプションで用意する様ですね。
多分その場合ペイロードをほぼ使い切るので観測系任務限定になるのでしょうが。
単座機で無人機の操作をするのってかなり大変なんじゃ?
機械任せ、AI任せのミッションにならざるを得ないと思うけど。
当面はまさしくそうなるのでは。基本的には「有人機の能力を拡張する外部センサー/ウェポンベイ」的な運用が主流になるんじゃないでしょうか。
一方で少し先の将来、第6世代機が本当に「クォーターバック」として前線から2列下がった位置で機能する時代になればパイロットが自機の操縦に忙殺される機会はかなり限定されるので、空いた時間で無人機の運用設定をする余裕は出て来るでしょう。