米空軍協会主催のAir Space&Cyber Conferenceが16日に開幕、Lockheed Martinは予告していたAGM-158 Xtreme Rangeを発表して大きな注目を集めており、これはAGM-158の全長を変更して弾頭と搭載燃料を増やし破壊力と射程距離を向上させたものだ。
参考:XR – Taking Today’s Cruise Missile Further Lockheed Martin’s AGM-158 XR Cruise Missile Development Offers Low-Risk, Combat-Proven Reliability
参考:Everything We Just Learned About The Supersized AGM-158 XR Stealth Cruise Missile
参考:Lockheed announces new ‘extreme range’ version of JASSM cruise missile
広大な太平洋での戦いに直面する可能性を考えればAGM-158XRに無関心でいられない
米空軍協会主催のAir Space&Cyber Conferenceが16日に開幕し、Lockheed Martinは予告していたAGM-158 Xtreme Rangeを発表して大きな注目を集めており、これは開発を進めているLRASMの射程拡張バージョン=AGM-158C-3、Mコード対応バージョンのAGM-158B-3、Weapon Data Link機能搭載のAGM-158Dの先にあるニーズを先取りしたバージョンで、AGM-158の全長を変更して弾頭と搭載燃料を増やし破壊力と射程距離を向上させたものだ。
AGM-158XRは見た目的にJASSMの設計的特徴(台形型断面を採用したステルス設計)を引き継いでおり、Lockheed Martinの担当者もAGM-158XRの利点について「長距離攻撃能力の拡張は当該兵器を射点に運搬するプラットフォームの生存性を高める」「射点への移動距離が短くなると作戦時間が短縮=出撃回数が増加して作戦テンポを高めるのに役立つ」「運用上の観点から言っても拡張された射程距離は空中給油の必要性を軽減させる」「射点が脅威から離れれば離れるほど空中給油機のリスクが軽減する」「任務に必要な空中給油機の数が少なくて済めば燃料を節約できる」と言及。
Lockheed MartinはAGM-158XRの射程距離について言及しなかったものの、米ディフェンスメディアは「トマホーク並の射程=約1,000マイル先の目標に届く可能性がある。これによりAGM-158XRは作戦上の柔軟性と予測不可能性を大幅に高めることができ、AGM-158XRを射点に運搬するプラットフォームの生存性も劇的に向上するだろう」と報じているが、サイズが大きくなったAGM-158XRはF-16からの運用が出来なくなる。
AGM-158XRの運搬プラットフォームはF-15E、F-15EX、F/A-18E/F、爆撃機、Rapid Dragon使用の輸送機で、米海軍はMk.41VLSからのLRASM発射をテストしているため水上艦艇による射点への運搬も選択肢に加わるはずで、Mk.41VLSを流用した陸軍のMid-Range Capability missile system(中距離ミサイルシステム=Typhon Weapon Systemのこと)でもAGM-158XRを運用できるかもしれないが、この進化には「1発あたりの調達コストが増加する」という問題が発生するだろう。
ウクライナとロシアの戦争は「安価で生産効率の良い兵器」の重要性を思い出させ、米軍も低コストで大量生産が可能な巡航ミサイルの取得を模索中で、Andurilは「超大規模生産」と「大量使用」を前提に設計された巡航ミサイル=Barracudaシリーズを発表し、Air Space&Cyber ConferenceでもBarracudaのモックアップを展示してアピールしている。
AndurilはBarracudaでやろうとしていることについて「従来の武器生産は高度に専門化された労働力、防衛産業へ特化した特定のサプライチェーン、手作業による製造手法に依存し、非常に複雑で精巧なシステムを要求されるためプログラム全体の拡張性が制限され、このような生産方法で軍が要求している数を揃えるのは不可能に近い」「Barracudaはガレージにあるようなツール、つまりドライバーやペンチで組み立てられるシステムで、高度なツールも生産プロセスも必要なく、高度に専門化された労働力による生産上の制限もうけない」と主張した。
スペックのみを比較して「どちらが最高でクールな兵器システムか」と問われればAGM-158XRの勝利だが、本格的な戦争には量という質をカバーするための兵器が必要で、AGM-158XRとBarracudaは競合関係ではなく補完関係にあると捉えるのが正解だ。
因みにLockheed Martinは「1年~2年以内にプロトタイプのテスト準備が整う」と述べているものの「国防総省はAGM-158XRの購入を約束していない」「初期開発作業には自社資金を投入している」と付け加えているため、このプロジェクトは米軍から発注されたものではなくテスト時期もLockheed Martinの優先順位や資金配分に大きく左右されるが、米ディフェンスメディアは「広大な太平洋での戦いに直面する可能性を考えれば米軍はAGM-158XRに無関心でいられないだろう」と見ている。
関連記事:Anduril、超大規模生産と大量使用を前提にした巡航ミサイルを発表
関連記事:米空軍が低コスト巡航ミサイルに関する取り組みを開始、目標は1発15万ドル
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin
でっかくなってF-16で運用出来なくなるのはまあいいとしてもしかしてF-35の爆弾倉にも入らなかったりする感じですかね?
AGM-158は元からF-35のウェポンベイに収まるよう作られていません。
ありがとうございます。結構小さいのしか入らないものなんだなあ。
F-35のウェポンベイに内装できる予定の対艦ミサイルは、ノルウェーが開発中のJSMですね。A.C型が内装可能な予定です、現状はソフトウェアをバージョンアップしないと無理ですけど。
ごめんなさいるF-35でも運用出来るようですね。そりゃそうか。ただ読んだ感じ爆弾倉に入るかはわからないけど。
これからはステルス機のウエポンベイがおおきな問題になりそう
F35登場時から大問題になっている
ウエポンベイ縛りによるミサイルのサイズ制限によって、同じ技術であれば射程距離で劣る事が避けられない
現代戦においてはおそらく致命的
1000マイルと言われると何kmやねんってなる
ヤード・ポンド・マイルはほんと滅びろ(なおノーティカルマイルは許すものとする)
競馬やってるとマイルは何mか秒で分かるんだよな…
こんなん小数点一行までの大体の値を覚えておけば何とかなる。
ちなみにヤードはアイシールドで覚えた。
かっけえ、グッドデザイン賞でも狙ってるのか?
ストームシャドウや日本の長距離ミサイルも似たような形だから、空力特性を優先したらこういう形になるだけでは
無駄を削ぎ落としていくこういう美しい形になるんだろう
こういう液体燃料を使う巡航ミサイルですが、出荷時から燃料を積んで保管しているのでしょうか。
それとも、VLS装填や航空機搭載の直前に燃料を入れるのでしょうか。
また、その燃料は他の飛行機と共用できるのでしょうか。
長期常温保管できる液体燃料というものを普段見かけないので、ご存じでしたら教えてください。
確かに気になる。
予想はケロシン。
LRASMの元がJASSM-ERで亜音速の出る、ターボファンエンジン使ってるでしょうから、ケロシン系のJP-8でしょうね(民間機のJet A系列とほぼ同じ)。
なので、外装で付けるから作戦開始前、VLSとかだと装填時ですかねー。
軍事研究家のブログでソースとしては微妙だけど
リンク
JP-10というケロシン系航空燃料で、充填済みでVLSにセットされるようですね。
まあ、トマホーク以外に液体燃料のVLS発射可能なミサイルは無いようなので、専用の燃料充填器や燃料配管を用意するのは、合理的ではないですしね。
>>出荷時から燃料を積んで保管しているのでしょうか。
基本はそう、数年毎の整備時に入れ替えてる
>>また、その燃料は他の飛行機と共用できるのでしょうか。
モノによる、成分的に飛行機と共用できなくはないが実運用ではされていないというのが多数だろう
例えばハープーンはJP-10で飛行機用としては普通使われない
空中発射巡航ミサイルと空対空ミサイル運搬用と燃料運搬用でなんか似てるから
どれの話なのか混乱する
ロッキードが試作したミサイルを飛ばしてる間に、
ボーイングは会社が飛びそうになってる
でも、発射母機は、ボーイングばかり。
日本向けとしてはF-3(仮)にAGM-158 Xtreme Rangeを積みたいところ。まあ今後も射程が縛りになるかだが。
アメリカが、同盟国の独自開発兵器に武装統合を許すのは、多分に政治的要素が強い。
近年だとAMRAAMやサイドワインダーは気軽に許可してる感があるけど、韓国が勝手にFA50を開発してフィリピンに輸出したときは、米国兵器の統合は許さなかったし、最新ブロックで統合を許したのも伊政権になってからのはず。
そして、長射程ミサイルは今も昔も許してない。(そもそも長射程ミサイルがメジャーになったのが最近だし、フェニックスミサイルもF14と一緒にイランに輸出した以外は輸出してないし)
AMRAAMも出始めの頃は、当時の米国の日本敵視政策もあり、日本には売らない可能性高いって、国産ミサイルの開発をしたぐらい。
なので、廉価なBarracudaは許可してもAGM-158XRはダメって言うかもしれん。
現状、12式地対艦誘導弾能力向上型の最終的な目標射程距離が、約1500kmなので、158 Xtreme Rangeの1000マイル(約1600km)とそんなに変わらないんですよね。
しかも、テンペストのモックアップの話ですけど、サイズがF-111並みの大きさ(23m前後)らしいので、F-3(仮)は対艦ミサイルも内装する気かもしれませんし。
「F-111並みの大きさ」→「全長23m前後」はただの伝言ゲームな気がするなぁ…。
約4世代手前の可変翼機とステルス機では「寸法」と「機体規模」の関係が違い過ぎるので「F-111並み」には「うわデっけぇ!」かせいぜい「F-22並み、では言い足りない」くらいの意味しかないと思います。
2035年には12式能力向上型(空発)にASM-3改、島嶼防衛用新地対艦誘導弾は揃ってるでしょうし、高速滑空弾や極超音速誘導弾も完成してて必要なら空発化もされてるでしょう。
JASSM-XRが性能的に優位性があるくらいの時期であればF-35はもちろん、F-15JSIもまだ現役でしょうからF-3(仮)にまで金掛けて統合する必要はないんじゃないかなぁ。
それで輸出が成立する、とかなら是非とも統合するべきだけど。
鈍重な大型機にしか積めないとなればその分後方から発射しなきゃならなくなり、射程延伸の利点が相殺されるのではないか
小型軽量化にこそ技術をつぎ込むべきだったと思う
無人機にしてもそうだが、人を前線から遠ざけて安全安心なんて家電みたいな売り方をしてないで、真に兵士らの助けになる「兵器」の開発に欧米は立ち返るべき
アメリカは重要目標を安全な距離から長距離ミサイルで破壊してから安い爆弾で爆撃して、安全になってから歩兵を投入するんで、無理して小型する必要性はそこまで見出して無いですからねー。
ですのでその考え方を是正すべきというお話です
そのような考え方では「重要目標」が巡航ミサイルの射程外に置かれている場合に打つ手が無くなってしまいます
前バージョンのブロック4の時点のトマホークの射程距離が3000km飛ぶと言われてるので、中国に向けて沖縄から発射してもウイグル、チベット、青海以外は射程範囲内に入りますから、ゴリ押しが通じますからねー。
まあ、射程外に対しては念の為MRC、LRHW、トライデントの通常弾頭とかも開発してるんですけどね。
カタログスペックで3000kmといっても実際には迎撃を避けるために高燃費の地形追随飛行をとらざるを得ないため射程は大きく減るわけですが
衛星やドローンが発達した現在においても、3000km先の移動目標をターゲッティング出来る状況ってそうそうないと思うぞ?
F-15EやF/A-18E/Fが鈍重とは思えないが。
スパホも多分無理ですよ、バンカーバスター並みの重さがありますから
一応スパホは兵装8t積んで飛べるので、予定通り2.3tなら重量的には3本積める計算。撃たずに持って帰ると降りられないけどw
2本なら少し超過するけど運用で何とかなりそうかな?
ステーションの強度が足りませんや
いうて引用元のニュース記事に「重いからF-16では運用できなくなるけどスパホでは運用できる(拙訳」とわざわざ明記されてるからなぁ。
それは失礼しました
それこそ荷重制限とかの運用での対応かもしれませんけどね。
(滑空)爆弾とかと違って、スタンドオフミサイルですから3Gとかに制限してそーっと飛んで運んで撃って、とかでも「運用できる」と言い張れないことはないだろうし。
元記事にはできるって書いてありますが
ボーイング機専用ミサイルになっとる!
の、ノースロップの機体だって有るし!
というかLMがステルス戦闘機専業みたいになってるだけかと。
良く判りません。
ストームシャドウやタウルスのような、幅広の機体に
ステルス戦闘機みたいな機首を付けているのですね。
全長を伸ばしたくなければ、容積を増やす為には、
断面を横に広げるしかないとも想像できますが。
あの断面は揚力を生むのかな?、単に空気抵抗を増やすだけなのかな?。
素人には判りません。高空を飛ぶつもりかな。
あまり広げると、今度は幅方向で爆弾倉に収まらないような気がします。
そうなら、載せて行けるのは、爆撃機だけになってしまうような。
単純に射程が必要なら、トマホークが既に達成しているような。
ブレンデッドウィングボディとエッジマネジメントの二言で説明つく様な。を、
アニメCM二回目の掲載だけど、サムネ画面のシーンで、CG作画にフィルムグレインエフェクトをわざわざ入れて80年代アニメ風に加工する意図はなんなんだろう。
あの時代のスーパーロボット並みに高性能だというアピールなんだろうか。