米国関連

ロッキード・マーティンが新型迎撃ドローンを発表、高出力マイクロ波を搭載

ロッキード・マーティンは20日に開幕したファーンボロー国際航空ショーで、1機のドローンで50機以上のドローンを無力化することが可能な高出力マイクロ波(HPM)を搭載した対ドローンシステム=MORFIUS(モーフィアス)X-Rotorを発表した。

参考:Lockheed Martin Unveils MORFIUS™ X-Rotor: The New Drone‑Killer Set to Power America’s Fight Against Swarms
参考:Lockheed Martin’s Morfius X-Rotor built to fry 50 enemy drones in one flight

この方法が本当に実用的で現実的なコストで手に入るなら、小型ドローンの迎撃にとってブレークスルーになるかもしれない

ロッキード・マーティンは20日に開幕したファーンボロー国際航空ショーで「パトリオット迎撃ミサイル=PAC-3 MSEの半値以下で調達できるPAC-3 ACEを開発する」と発表したが、今度は1機のドローンで50機以上のドローンを無力化することが可能な高出力マイクロ波(HPM)を搭載した対ドローンシステム=MORFIUS(モーフィアス)X-Rotorを発表した。

“今日の戦場において敵対的な商用ドローンの群れ(スウォーム)は同盟軍に対する最大の脅威へと急速に変貌しつつある。そこで登場したのがMORFIUS X-Rotorだ。これはロッキード・マーティンが新たに発表した「1対多数」の空中発射型高出力マイクロ波(HPM)対ドローンシステムであり、1回の飛行で50機以上の敵ドローンを無力化することが可能だ。前線での回収および再利用を前提に設計されたモーフィアスは1機あたりの撃墜コストを大幅に低く抑え、絶え間ない火力を維持しつつ国防予算の圧迫を防ぐ”

“またモーフィアスは特定のセンサーや指揮統制システムに依存しない。他の空中発射型対ドローンシステムとは異なり、交戦に向けた誘導のための独自センサーも必要としない。この画期的な技術を研究室レベルから最前線へと実戦配備するため、ロッキード・マーティンはモーフィアスおよびHPMペイロードのプロトタイプ生産を加速させている。開発チームはアリゾナ、カリフォルニア、オクラホマで実施された飛行、迎撃、致死性環境における最新の試験実績を基に次なる一連の飛行試験を計画している”

出典:Lockheed Martin

ロッキード・マーティンのランディ・クライツ氏も「モーフィアスは1機あたりの撃墜コストを低く抑えながら高い撃墜率を実現し、対ドローン能力の新たな基準を確立した。軽量で前線において再利用可能な高出力マイクロ波技術を活用することで、我々は現在の市場で最も効果的かつ低コストなソリューションを提供できる。そして米国および同盟国の部隊が要求するスピードで革新的かつ安価な技術を配備するという当社の能力を実証するものだ」と述べた。

もう少し分かりやすい言葉で説明するとモーフィアスは迎撃ドローンの一種だが、迎撃対象=敵ドローンを1対1で直接破壊するのではなく「敵ドローンの電子機器・制御系統を高出力マイクロ波で焼き切ることで無力化し、1回の飛行で高出力マイクロ波を50回以上も照射できる」と言うもので、特定のセンサーや射撃管制レーダーを必要とせず「既存のあらゆる指揮統制システムからの指示のみで運用できる」となり、しかも使い捨てではないため回収できれば再使用できるため、既存の迎撃ドローンとは根本的に敵ドローンの無力化方法が異なる。

出典:RTX Coyote Block2

米陸軍が2029年度までに計6,700発調達するレイセオン製対ドローン迎撃弾=Coyote(コヨーテ)Block2/Block3のうち、Block3は「非運動エフェクターを搭載し1回の飛行で10機のドローンを無力化する」と説明されており、現在も非運動エフェクターの詳細は公開されていないものの「高出力マイクロ波である可能性が高い」というのがもっぱらの予測で、これが正しいのなら「エネルギー効率やHPMの生成技術において飛躍的な進化がある可能性が高い」となり、この方法が本当に実用的で現実的なコストで手に入るなら小型ドローンの迎撃にとってブレークスルーになるかもしれない。

追記:ロッキード・マーティンが公開したモーフィアスの迎撃イメージでは光ファイバー制御のFPVドローンを無力化している。

関連記事:米GA-ASIがMQ-9BにJSMを統合、長距離攻撃能力の獲得に向けて作業が本格化
関連記事:米アンドゥリル、英陸軍のNYX計画を意識した無人攻撃ヘリを発表
関連記事:ロッキード・マーティン、パトリオット迎撃ミサイルの廉価版開発を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin

米GA-ASIがMQ-9BにJSMを統合、長距離攻撃能力の獲得に向けて作業が本格化前のページ

ベルギー、新型フリゲート艦調達のためイタリアを含む複数国と交渉予定次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    欠陥発覚から約1年、米海軍の新型空母「ジェラルド・R・フォード」が戻ってくる

    米海軍は、空母ジェラルド・R・フォードの動力部問題について修正が完了し…

  2. 米国関連

    ゼレンスキー大統領のジレンマ、ロシア領の獲得か自国領の防衛強化か

    ウクライナ人はクルスク侵攻作戦の熱狂から冷めつつあり、Washingt…

  3. 米国関連

    2027年に新型エンジンをF-35Aに搭載予定、航続距離は30%拡張され加速性能は2桁向上

    国防権限法最終バージョンが下院を無事通過して上院採決や大統領署名も大き…

  4. 米国関連

    Boeingが2026年度予算で大勝利を収める可能性、KC-46A追加調達の動き

    米空軍は予算要求の中で「KC-46Aを最も経済的な要件基準としてKC-…

  5. 米国関連

    F-35 Block4のダウングレードが確定、2031年までに実現可能な機能のみ

    米空軍のシュミット中将は2024年4月「F-35 Block4の能力は…

  6. 米国関連

    米エイブラムスと独レオパルト2のウクライナ提供、早ければ今週中に発表か

    WSJ紙は「バイデン大統領が早ければ今週中にもエイブラムスのウクライナ…

コメント

  • コメント (10)

  • トラックバックは利用できません。

    • 2026年 7月 21日

    そう言う機能をモリモリにするから価格が高騰化して実戦配備が遅れるんじゃないですか?

    10
    • 名無し
    • 2026年 7月 21日

    マイクロ波ユニットの値段が50機より高いかも

    8
      • D
      • 2026年 7月 21日

      それは敵50機による損害と比較する所では
      あるいは従来の対抗ドローンが1機1殺する想定?

      3
    • リンゴ
    • 2026年 7月 21日

    こういうのは宣伝も兼ねているんで真に受けては受けてはいけないが、実戦に出してフィードバックループにブチ込めばそれなりの物に仕上がっていくとは思う

    13
    • YF
    • 2026年 7月 21日

    マイクロ波、レーザー、EMPなど大量のドローンを落とすシステムが続々開発中ですからね。これが実戦で運用され始めたら今のドローン戦争の様相がどう変わるか興味深いですね。
    ドローン側も対策してくるでしょうからドローンその物が戦場から無くなることはもうないでしょうけど。
    (対策による高額化、部品構成の複雑化、製造工場の限定も狙いに入ってると思います)

    5
    • あるまじろ
    • 2026年 7月 21日

    もうSFに片足突っ込んでるな。
    ここ最近の技術革新が早すぎて、正直ついて行けない。

    1
    • 通りすがりの動物号
    • 2026年 7月 21日

    自分自身の電子回路は焼き切れないのだから、対策はむずかしくないということですね。

    4
    • 2026年 7月 21日

    日本はホントに遅れてるよね。ドローン開発。

    • 西風
    • 2026年 7月 21日

    これが実戦配備されるとドローンは電磁波シールドを施す必要に迫られる
    そして高額、高性能化のいたちごっこが続き、
    そのうち安価な生体コンピューターとアイボールセンサー搭載した
    人間と言うユニットが操縦するようになると……アレ?

    1
    • T.T
    • 2026年 7月 21日

    前々から地上配備のマイクロ波装置が試験されているけど、空中配備型は敵機に接近出来る代わりにさらに出力が低くなるわけで。
    仕事柄シールドされた計測器を使うけど、高電界高磁界環境でしっかり働きますので、マイクロ波系にはあまり期待出来ないように思います。

    1

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP