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徘徊型弾薬は成長市場、Aero VironmentがSwitchblade400を発表

Aero Vironment製の徘徊型弾薬=Switchblade300/600はウクライナで期待されたほどの効果を発揮できなかったが、既にウクライナでの教訓を反映した改良バージョンの供給が始まっており、Aero Vironmentも13日に開幕したAUSAのイベントでSwitchbladeの未来を披露した。

参考:AeroVironment eyes new factory, drone launches for Switchblade
参考:AV launches new Switchblade variants, VTOL drone design

ロシア軍の電子戦能力に対してSwitchbladeは役立たずだという認識は過去のものになっている

Aero Vironment製の徘徊型弾薬=Switchblade300/600は大きな期待の下にウクライナに提供されたが、実戦での評価や戦果などは殆ど伝わってこず、そうこうしているうちにFPVドローンが2023年後半に登場し、アウディーイウカを巡る戦いに投入されると有効性を認識され、ロシア軍も直ぐにFPVドローンを導入してきたため前線地域の戦闘における主役に躍り出たが、期待されたほど効果的ではなかったSwitchbladeも決して姿を消した訳では無い。

出典:U.S. Marine Corps Photo by Cpl. Jennessa Davey

Switchbladeは「イラクやアフガニスタンなど生存競争が激しくない戦場向けに設計されていたため電子妨害に脆弱だった」「破片効果を優先した設計だったため装甲車両や要塞化された拠点への攻撃効果が期待できなかった」「対車輌攻撃に効果を期待されたSwitchblade600に至っては研究目的の少量調達に留まっていたため生産ラインが存在しなかった」「Switchblade300の生産ラインは存在していたもののFPVドローンの供給量に比べれば誤差レベルに過ぎなかった」という問題があり、これを改善するためAero VironmentはSwitchbladeの改良に取り組んでいる。

ウクライナでの教訓が反映されたSwitchblade300の最新バージョン=Block20(滞空時間とセンサーシステムを改善したバージョン)は2023年5月頃に登場し、既にオーストラリアBlock20を700機以上も発注しており、Switchblade600の最新バージョン=Block2も競争が激しい環境で機能するようMコードに対応し、改良された通信システム、セカンダリペイロードベイ、自律的な目標検出機能が追加されていたが、Aero Vironmentは13日に開幕したAUSAのイベントでSwitchbladeの未来を披露した。

同社で徘徊型弾薬事業を担当しているヤング副社長は「陸軍が追求している Low Altitude Stalking and Strike Ordnanceプログラム(戦場の低空域を徘徊して目標を探し、追跡し、攻撃する兵器=徘徊型弾薬)に備えている」「そのため2026年後半から2027年初頭までにソルトレイクシティに新たな生産拠点を開設する」「新施設の生産能力はロサンゼルス工場を上回る」「Switchbladeの生産能力は月500機から数千機に増強したい」「オープンシステムアプローチの一貫として無線機やGPSコンポーネントといったモジュール化された機能をSwitchbladeに組み込んでいる」と言及。

“ウクライナの戦争を見れば厳重に保護された価値の高い資産を無人兵器で狙っているのが分かる。そのため商用車輌や人間だけでなく分厚い装甲を貫通できる能力が必要で、成形炸薬弾頭を搭載したSwitchblade300の開発を進めており、早ければ陸軍の認証プロセスを経て2026年に使用可能になる。さらにSwitchblade300と600の中間に位置するSwitchblade400も開発した。このSwitchblade400はジャベリンの弾頭を搭載したSwitchblade600を小型化(40ポンド未満)したもので携帯性に優れている”

“ウクライナではSwitchblade600 Block1が使用されており、ウクライナ軍はSwitchblade600を運用するためトラックを発射ランチャーとして活用している。我々はこれまでにBlock1を約3,000基(米陸軍向けを含む数字)製造した。改良されたSwitchblade600 Block2も2026年に供給が開始され予定で、この分野のニーズは消滅しない。市場規模も横ばいではなく拡大するだろう。我々もSwitchblade600を無人車輌や無人水上艇に統合するための取り組みを進めており、GA-ASIとも協力してMQ-9からSwitchblade600の発射にも成功した。MQ-9の衛星リンクを使用すれば世界中の何処からでもSwitchbladeを操作することができる”

要するにAero Vironmentは「Switchblade300/400/600の3つで陸軍のLASSOプログラムに挑戦する」という意味になり、ウクライナで問題になったGPS妨害への脆弱性についても「フォームウェアのアップグレードで対処済みだ」と主張しているため、ロシア軍の電子戦能力に対してSwitchbladeは役立たずだという認識は過去のものになっている。

出典:Aero Vironment

因みに無人機兵器の将来は「AI制御の自律性」を獲得できるかどうかにかかっており、既にMQ-9やTB2などは1人のオペレーターが複数の機体を管理するところまで自律性を獲得済みだ。

ウクライナ軍もロシア軍も戦場に投入可能なFPVドローンや徘徊型弾薬の数はオペレーターの数に制限を受けているものの、1人のオペレーターが複数のドローンや徘徊型弾薬を管理できれば投射量が飛躍的に向上するため、もし今回の戦争中にAI制御の自律性を獲得するようなことがあればドローン戦争のブレイクスルーになるのは確実だ。

関連記事:米国がウクライナに提供するSwitchblade600は10機、納期も未定
関連記事:フランス陸軍、米国や英国に続き徘徊型弾薬=Switchbladeを調達
関連記事:台湾がSwitchbladeを参考に独自の徘徊型弾薬を即開発、東南アジアから受注も

 

※アイキャッチ画像の出典:Aero Vironment

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コメント

  • コメント (8)

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    • 無印
    • 2025年 10月 14日

    Switchbladeは陸自も関心を寄せてましたね
    ただ300なのか600なのかどっちなのか分からないんですよね、両方関心あるのかもしれませんが

    2
    • MK
    • 2025年 10月 14日

    そうやって機能もりもりにすると価格がですね・・結局大量導入出来なくなる流れか。この手の使い捨ては数で圧倒してこそだと学んでいても企業的には難しいのか。

    12
      • 病まんと
      • 2025年 10月 14日

      そこはハイローミックスというものでは
      普段使いの信頼性を数で補うトイドローンと短時間の内にターゲットを確殺する必要のある大規模作戦における第一波攻撃のためのスイッチブレードなのかもしれません

      5
    • L
    • 2025年 10月 14日

    量産効果を得るほど大量に作るには大口契約が必要で、大口契約には安くて美味いが実証されている必要があるのじゃ

    6
    • ろみ
    • 2025年 10月 14日

    ドローン兵器は見た目は同じだが中身は作り直りと言って差し支えないような改良が短いスパンで次々されるのが興味深いですね
    GPS妨害への耐性ついては同じ事主張をしていたフラミンゴがGPS妨害により目標100m以上外した可能性が高いので遥かに小型で電子戦装備の搭載スペースが限られるスイッチブレードでは正直、信じがたいです
    ただ全ての前線に常に強力な電子戦部隊が存在する訳ではないので使用禁止令すら出た頃と比べれば実用に足る兵器にはなっていると思いたいですね

    6
    • たむごん
    • 2025年 10月 14日

    武器の拡張性が、兵器の能力を決める時に極めて重要なのを感じます。

    当初期待外れに感じたものが、アプデを繰り返すことで魅力的なものになるのも、民生品ではよくある話しですね。

    •  
    • 2025年 10月 14日

    FPVドローンがある程度の需要を満たす以上、それとの差別化のために大型化する他ないんじゃないか?

    • マトポック
    • 2025年 10月 14日

    攻撃手段を多様化して、敵から対策されにくくすることは重要ですが……本邦は中距離多目的誘導弾を充実させる方が優先度が高い気がします。

    2

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