米海軍はトマホークの対艦バージョン=BlockVaの駆逐艦配備をまもなく開始する予定で、この新しいトマホークについて「対艦バージョンのトマホークは地上攻撃用のものより部隊の戦闘力を大幅に向上させるだろう」「汎用性を向上させるほど異なる状況下での有用性が増す」と述べた。
参考:US Navy to Field ‘Game-Changer’ Anti-Ship Tomahawk by September
参考:Navy Orders Forcewide Housing Inspections After Secretary ‘Appalled’ by Guam Barracks Conditions
参考:Navy Secretary “Appalled” by Barracks Conditions in Guam
艦艇を停泊させる場所も乗組員の住居も必要で、艦艇を単に増やすだけでは駄目
米海軍が運用する最新のトマホークはBlockIVの航法・通信システムを改良したBlockV、洋上を移動する水上艦艇を攻撃可能なBlockVa、地上目標の破壊により適した弾頭を備えるBlockVbに別れ、現時点で実戦配備されているのはBlockVのみだが、Bloombergは30日「海軍は9月30日までにBlockVa=Maritime Strike Tomahawkの駆逐艦配備を開始する」「来年の4月~6月には潜水艦への配備が始まる予定だ」「海軍はBlockVaを最大1,302発調達する方針だ」と報じた。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Sunderman/Released
米海軍のコードル大将もBloombergの取材に「対艦バージョンのトマホークは地上攻撃用のものより部隊の戦闘力を大幅に向上させるだろう」「武器システムの汎用性を向上させるほど異なる状況下での有用性が増す」と述べ、さらに海軍が取り組んでいる他の能力向上についても「潜水艦のソナーシステムにAIアルゴリズムを組み込んでいる」「この能力は人工的な音と生物的な音を区別するのに役立っている」「AIアルゴリズムはロサンゼルス級とバージニア級で数年前から運用されている」と明かし、中国との艦艇建造競争については「慎重であるべきだ」と述べている。
国防総省は2030年までに中国海軍の規模が370隻から435隻に増加すると予測しており、トランプ政権や議会は「中国に追いつくため海軍の規模を拡張したい」と考えているが、コードル大将は「海軍の戦闘能力を艦艇の数で判断し、建造競争に巻き込まれれば終わりのない戦いになる」「これは米国にとって良い戦略とは言えない」「我々に有利な競争は高性能で大きな弾庫容量をもつ艦艇を建造することだ」「中国が艦艇の数を増やせば増やすほど運用・維持に人間を配属しなければならなくなる」「勿論、艦艇を停泊させる場所も乗組員の住居も必要だ」「だから艦艇を単に増やすだけでは駄目なんだ」と述べているが興味深い。
NEW INVESTIGATION:
Exposed wires dangling from the ceiling. Painted over mold. Corroded plumbing.
These are the conditions that service members face in the barracks at Andersen Air Force Base.
Read more⬇️ https://t.co/b9xAgUiuEu
— Project On Government Oversight (@POGOwatchdog) May 30, 2025
因みにフェラン海軍長官はアンダーセン基地の兵舎=パラオ・ホールを訪問し、むき出しの配線が垂れ下がる天井、カビをペンキで塗りつぶしたひび割れた壁、酷く腐食した配管を見て「衝撃を受けた」と述べ、問題の兵舎に居住していた水兵と海兵隊員を10日以内に移動させろと上層部に指示し、キャンプ・ブラズ海兵隊基地の新兵舎運用(在沖米海兵隊のグアム移転に伴う日本の費用負担で建設された施設)を6月から前倒したのもパラオ・ホールの劣悪な環境が原因らしい。
それでも廃墟のようなパラオ・ホールには空軍と陸軍の兵士430人が居住し続けており、グアムで勤務したことがある元海軍士官は「この島に行ったことがある人なら誰でも知っている現実だ」「あの基地に行けば酷い兵舎に住むことになる」と明かし、海軍基地司令部のグレイ中将もパラオ・ホールの報告を受けて「明らかに兵舎は放置された状態で容認できない」「この状況は何人もの間にまたがる指揮官のリーダーシップが失敗したことを示している」と世界中の基地司令部にメールを送り、5月27日までに全兵舎の査察を行えと命令を下した。

出典:防衛省
グレイ中将は「目指す目標に到達するまで、我々の全兵舎に誇りを持てるようになるまで決して手を緩めない」と述べたが「そのための資金が足りない」と付け加え、トランプ政権は陸軍、海軍、空軍、宇宙軍の兵舎環境を改善するため10億ドルの資金を割り当てているが、空軍基地の整備・修繕遅れだけでも495億ドル分、特にインド太平洋地域の基地では約70%のインフラが危機的状況と判定されており、この分野に割り当てられる資金が建設費の高騰に追いついておらず、任務遂行に悪影響を及ぼすインフラの増加につながっているらしい。
艦艇を増やすには乗組員の住居も必要で、米軍もインド太平洋地域の基地インフラに問題を抱えているようだ。
関連記事:オランダも潜水艦でのトマホーク運用を断念、生産再開のため費用が高額
関連記事:オランダ国防省、フリゲート艦と潜水艦向けにトマホークを取得すると発表
関連記事:コリンズ級潜水艦のアップグレードは2026年開始、トマホーク統合は断念
関連記事:日本が導入するトマホークは最新のBlockV、調達スケジュールは挑戦的
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Ens. Sean Ianno/Released
対艦用トマホーク、響きだけでもカッコいいですね。
遠方への高い偵察力があって、はじめて遠方に攻撃できるということですし、防空ミサイル・近接防空システムをどの程度突破する能力があるのか興味深く感じます。
昔のトマホークblock1は対艦版有ったんですよね。全部退役しましたけど。
今度のBlockVbは、それより射程は長くなるみたいです。1000km超えるとか。でも、亜音速ミサイルで1000kmは1時間以上かかりますから、中間誘導必須かな。
ツィルコンだとマッハ9出ますから1000km飛行に6分弱な訳で、これなら中間誘導がなくても問題無いでしょう。
動く目標相手に亜音速長射程ミサイルはちょっと素性が悪いかなと感じます。
ツィルコンはマッハ9どころかマッハ5(極超音速)の壁すら突破できてませんよ。ウクライナに撃ち込まれた残骸を分析してたらつんでたのは単なるラムジェットエンジンで、ロシアが主張してたとされるスクラムジェットエンジンは偽情報だったと去年の秋あたりに記事になってます。
ツィルコンの着弾動画、インパクトありました。
最終コースで迎撃となれば、かなり困難だろうなと映像を見ていて感じました。
さてどうでしょうね。
“So, this is a very, very fast weapon. Speaking about the Zircons, they reach approximately 8-9 Mach. This is extremely fast. However, when these missiles enter the target trajectory, their speed declines and becomes subsonic of around 4.5 Mach. And exactly at that moment we can use our anti-ballistic systems. These are SAMP/T, Patriot systems which can strongly hit and shoot down even such type of arms,” Yevlash said.
スクラムジェットかどうかはともかく、ウクライナ軍は減速後に迎撃できるとインタビューに答えておりますが。
どちらにせよ、私の言いたいことは分かりますよね。
出どころはウクライナのディフェンスエクスプレスの記事ですけど、そもそもあの残骸がツィルコンであるかどうかすら怪しい話であんまり真に受けない方がいいですよ
かわぐちかいじさんの漫画ジバング(みらい兵装)、大戦略なんかにもありましたね…
今後どうなるのか注目したいと思います。
基地インフラとか兵士の住居の問題は大体の場合、日本はこんなにダメなんだそれに比べて米国は素晴らしいというニュアンスで使われることが多いですが、まさか米国も同じ問題を抱えていたとは驚きですね。
世の中の全ての不合理と不条理は日本だけで起こるもので、欧米は全てが完璧な理想郷と無邪気に信じられた時代が懐かしい。
どこの国でも正面装備に予算が優先的に使われ、しわ寄せは兵士に行っているようです
わが国自衛隊の場合、正面装備と災害派遣で役に立つ装備に予算がつきやすいようです
それの欧米を中国にしたような考え方の人が時々コメント欄にいますね。画像設定してるからすぐわかる。
旧軍と進駐軍のお下がり更新しましょうマジで5%行くかも…
アジア太平洋地域の兵員増の為の資金として、日本には思いやり予算の増額を言ってくるんでしょう。
それも日本の安全保障につながると思うので仕方ないかな?とも思うのですが、だったら日米地位協定を見直して欲しいです。
ミサイルだって買います。その代わり納期を守って欲しいです。
もしくは米国債で支払わせてほしい…
中国を追いかけて艦隊数を増やすんじゃなくて1隻当たりの戦闘力を増やして対抗するというのは
いわゆる量より質で対抗するという話の延長だと思いますが
その分1隻が沈められたときのダメージも大きくなりますし米軍の苦しい台所事情を感じさせる話だなと思います
他に有効な選択肢もないですし中国の艦隊数の増大もどこかしらで鈍化するでしょうから
それまで何とか耐えるしかないですね
トランプに言われるがままにC-17だのKC46だの買い増しを迫られるくらいなら、トマホークの製造ラインに5000億円無条件寄付でもした方がまだマシ。MRCタイフォンを使えば地上からでも撃てる残弾確保は至上命題。
中国の接近阻止戦略は正しかったという事で。
地上発射型が出来るなら、日本でも買う意味はあり。
色々な攻撃手段があるのは、防御側も対応に困るはず。
艦船にばかり対艦能力が偏るのはよくないと思う。
艦隊の母港は確かに問題になりそうだな
そういう意味でも長江がある中国は、旧ソ連なんかより圧倒的に大艦隊を持てる懐は深いのかもしれない
亜音速のトマホークじゃ水上艦隊の防空網突破できるのか謎
実践では囮か民間船舶仕留めるくらいにしか使えないのでは?
トマホークは旧式のミサイルですが、それでも安く、射程が長く、制御しやすいという利点はあります
単発で亜音速の迎撃しやすいトマホークでも同期的に大量に投射されればそれだけ対応が困難になるわけです
極端な事例ですけど、SSGNである改オハイオ級から発射された場合、4隻で600発撃ち込めるので相対する側にとっては、結構脅威だと思いますよ。
なお値段と生産数
この前マイクロソフトが発表した超軽量級AIとか見てると旧来の中間誘導システムが無駄に高価な代物に思えてしまう
レーダー搭載は必須か?とも思えてしまう
陸地が見えれば画像認識でもかなりいけるだろうし島の形から場所分かるんだよな
本当は星から位置特定できれば夜も大丈夫なんだけど
トマホークははるか昔から古いコンピュータでも動く古典的な手法で地形照合飛行やってますよ
外洋をシースキミングで飛べば島見えないってことは普通にありそう
勘違いしてましたレーダーじゃなかった。DSMAC光学系+画像処理回路でした
自分が思うのは画像認識とcmosが民生品で超超安価になってるから、軍需特化の小ロットの旧来品は比較的高コストになってるだろうな、ってコトです
さらにこの数か月のai進化を見るとそんなハイスペックのパーツいらんなって事がわかってきた
外洋はちょっとキツイでしょうけどGPSは安価なんで組み合わせれば中間誘導はいけるのかなと
追記です
天測航行可能なドローンもうできてました
「An Algorithm for Affordable Vision-Based GNSS-Denied Strapdown Celestial Navigation」
>我々に有利な競争は高性能で大きな弾庫容量をもつ艦艇を建造することだ
こういう一点豪華主義は工業力で負けてる側が陥りがちな思考だわな
海自のイージス・システム搭載艦のことですね。w
現代の艦隊防空能力は過大評価されてるんじゃないかと思うけどね…
モスクワ撃沈の件のようにそもそもミサイル接近に気づけるかという壁
があるし、優れた迎撃能力があっても発揮できるとは限らない。
この艦隊防空システムは何十個の目標と交戦できる~なんてカタログスペックは
レーダー起動による電波垂れ流し状態を実戦で容認し、かつそのタイミングで
ミサイルが来るなら発揮できる、というものに過ぎない。
実戦では発見→迎撃までのどこかで確率的にミスを起こすと思う。
戦争では船は沈むものだが戦車戦闘機とは一度に失うものが段違いなんで
確率×失ったコストの期待値はとんでもないものになる。
結局「砦と戦う船は愚か」と言ったネルソン提督の言の通りなんだよね、
船の方が失うものが大きく不利であると。
モスクワの場合は黒海艦隊が貧弱でワンオペしてたけど、仮にもう一隻スラヴァ級かキーロフ級が黒海艦隊に配備されてれば撃沈なんてことにはならなかったのでは?
つまり船もローテしろ
最近は潜水艦から発射できるドローンも出てきましたから、無人潜水艇からドローンが至近距離の超低空を飛んでこられたら、対応時間が短くなる分だけ艦艇の生存率は更に下がりそうですよね。
陸上も分散化が進んでいますから、ダメコンは諦めて少人数で運用するもがみ型護衛艦より更に省人化が進むかも?と思っています
DSEI JAPAN 2025で戦闘支援型多目的USVのイメージCGが出てましたけど、コンテナ式のUAV用VLSモジュールの搭載と対艦ミサイルを搭載してましたね。潜水出来るならレーダーも通り辛いから半潜水式が無人USVにとっては良いかも知れませんし。
これ結構正しい
イージス艦が登場するまで水上艦艇は基本的に航空戦力に対して脆弱だったし、イージス艦もシースキミングしてくるミサイル相手には対処が限られる
だからこそアメリカはAEWと協力して超水平線を迎撃できるSM-6を開発したり、CVから発艦した戦闘機でエアカバー作ってるわけ
基本的に対空脅威下ではレーダーは常に送信してますよ
現代のというよりモスクワを過大評価してるかと
あんな骨董品にイージス艦みたいな艦隊防空を期待するのがまずおかしいと思いますがね
思うのですが。トマホークの対艦型は、中共の大型船対策なのでは?。
WIKIで読む限りですが、米海軍のハープーンSSMは、
”炸薬量100kgの半徹甲弾頭を備え、(中略)キエフ級航空母艦であれば
5発の命中弾で使用不能になると見込まれている。”と書いてあります。
同様に、マホークの弾頭は、通常単弾頭(454kg)と書かれています。
キエフ級航空母艦は、満載排水量が約45,000tです。空母遼寧は、同約6,000tです。
ハープーンでは力不足の部分を補おうとしているのでは?、などと想像します。
ハープーンはVLSを使いませんから、搭載数を増やすのは簡単かもしれませんが、
きっと、コスパが悪いのだと想像します。
AIが書いているようなトンチンカンな書き込みですね
誤字も数字の間違いも気にせず書き込まないと死ぬ病気でしょうか?
ChatGPTo4-mini
コメントでは「ハープーンでは大型空母に対し力不足だから、より大きな弾頭を積めるトマホーク対艦型で補おうとしているのでは?」と推測しています。この点については、確かに Tomahawk MST(対艦型)の開発背景には「敵が配備する大型艦艇や揚陸艦など、ハープーンではリスクが高い/届きにくい目標を、より遠距離から確実に叩く必要がある」という意図があります。しかしコメントにある具体的な重量や排水量の数値には複数の誤りがあり、結果として「仮説自体は一部に合理性があるものの、根拠となるデータが事実と合っていない」と評価できます。
以上を踏まえると、コメントの「着眼点(Tomahawk MST の開発趣旨)」はある程度正しく、「弾頭重量がハープーンよりも大きい=大型艦対策」という発想自体は間違いではありません。ただし、ハープーンの実弾頭重量や遼寧の排水量、VLS 対応可否など具体的事実に誤りが散見されるため、そのまま受け取るのは適切ではありません。今後この種の議論を行う際は、公式資料や専門サイトの最新データを参照し、数値の正確性を担保したうえで論じることをおすすめします。
これを即答してくるんで怖いねAI
なるほど、です。すごいですね。
個人の知識などを簡単に凌駕してしまうのですから。
間違いのないようにもっと調べないと、ですね。
アンダーセン基地のインフラ再整備も、お隣のテニアン島基地化工事を上手くグアム島の工事に引き継げないのかな…
このトマホークならUSVが何か発射する前に処理できそう
海軍艦艇に乗ってたら、攻撃された時に役に立たない対地専用は積みたくないだろうな
『高性能で大きな弾庫容量をもつ艦艇を建造することだ』
ズムウォルト級はもう無かった事にされてるんかな。