米国関連

F-35向けの次世代レーダー、ノースロップ・グラマンがAPG-85を開発中だと発表

ノースロップ・グラマンは11日、これまで書類上の存在だったF-35Block4向けの次世代レーダー「AN/APG-85」を開発中だと正式に発表、利用可能な最新技術を幾つか採用して制空権の確保に貢献すると明かした。

参考:Northrop Grumman Developing the Next Generation Radar for the F-35 Lightning II

まもなく新型エンジンに関する決定も公表される予定なので2023年はBlock4に関する話題が沢山でてくるかもしれない

AN/APG-85は昨年6月に米空軍が提出したウオッシュリスト(空軍予算でカバーできない案件への資金供給を要請した議会への要望書)で存在が初めて確認され、F-35が採用しているAN/APG-81の後継レーダーではないかと予想されていたが、ノースロップ・グラマンは11日「F-35Block4向けの次世代レーダーとしてAN/APG-85を開発中だ」と正式に発表した。

出典:Northrop Grumman AN/APG-81

ノースロップ・グラマンはAN/APG-85について「全てのF-35と互換性のある先進的な多機能レーダーで、将来の敵対的な空中の脅威や地上の脅威に対抗する能力を備えており、利用可能な最新技術を幾つか採用して制空権の確保に貢献する」と説明しているが「採用される最新技術が何なのか」については何も言及していない。

F-35のBlock4バージョンは2029年に開発が完了する予定でAN/APG-85の採用やEOTS/DAS/EWの大幅な機能強化、これらの能力を完全に引き出すためコアプロセッサやメモリユニットなどを刷新して演算能力を25倍に強化する「Tech Refresh3(コックピットディスプレイの変更も含む)」や、Block4の電力・冷却要件に対応した「新型エンジン」への移行も確定しており、Tech Refresh3を組み込んだ試験機が今月6日に初飛行したばかりだ。

出典:Edwards AFB/USAF Tech Refresh3を組み込んだ試験機

恐らくAN/APG-85の登場は2020年代後半の話になると思うが、まもなく新型エンジンに関する決定も公表される予定なので2023年はBlock4に関する話題が沢山でてくるかもしれない。

関連記事:F-35Block4実用化に向けたマイルストーン、TR3搭載の試験機が初飛行
関連記事:F-35Block4で追加される目玉機能、BAEがAN/ASQ-239の改良を発表
関連記事:F135EEPではダメ、F-35A Block4にAETPが必要な9つの理由
関連記事:国防総省がLOT15~17をカバーするF-35製造契約を発表、3年間で最大398機を調達

 

※アイキャッチ画像の出典:Northrop Grumman

米海軍の不満が爆発、発注したバージニア級原潜は何処に消えたのか?前のページ

ウクライナ侵攻323日目の戦況、ロシア軍がソレダル周辺で突破口を開く次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    ホワイトハウス報道官、年末までにF-16がウクライナに到着すると言及

    国防総省のシムズ中将は「現状の環境下でウクライナがF-16を運用するの…

  2. 米国関連

    移動したのか?後退させられたのか?米爆撃機のグアム前方配備中止が意味するもの

    米空軍はグアム島に配備していた5機の爆撃機「B-52H ストラトフォー…

  3. 米国関連

    米国、ウクライナが年内に反攻に必要な戦力を準備できる可能性は低い

    米CNNは28日、ホワイトハウスの関係者は「ウクライナが2月24日以降…

  4. 米国関連

    米軍のミリー統合参謀本部議長、ロシア軍の死傷者数は10万人を大幅に上回る

    米軍のミリー統合参謀本部議長はラムシュタイン会議後「ロシア軍の死傷者数…

  5. 米国関連

    現代戦に大きな影響をもたらしたウクライナ侵攻、米軍も1万ドルの自爆型無人機を要望

    ウクライナとロシアの戦争は「米国や同盟国にとって自国兵器の貴重な実戦テ…

  6. 米国関連

    F-35 Block4へのF135EEP採用がほぼ確定、AETP採用は見送り

    F-35 Block4で要求される冷却性能と発電能力はF135の設計限…

コメント

    • 黒丸
    • 2023年 1月 13日

    このレーダーの能力に対応したミサイル類もセットでF-35に装備できるように開発進行中のかな?
    でも装備を買うためにトータルでのコストはさらに上がりそう

    1
    • 匿名希望係
    • 2023年 1月 13日

    日本だとBlock4に大幅改修しないでF-3導入が多くなりそうな予感

    5
    • k
    • 2023年 1月 13日

    むしろF-3開発に横槍を入れない代わりにF35の増勢を要求されそうな気がする。
    実際、専守防衛を捨てないのであれば戦争は必ず敵国の大規模な先制攻撃で始まり、
    最優先で狙われる駐機中の戦闘機は相当数破壊されるだろうから、
    それも込みで考えると戦闘機の量的な拡大は必須ではないだろうか

    10
      • かず
      • 2023年 1月 13日

      ただでさえ充足率の低い自衛隊で素質と高度な訓練が必要なパイロットを果たして大幅に増やせるかどうかでしょうね

      1
    • スターシップ
    • 2023年 1月 13日

    台湾有事のシミュレーション結果を考えたら、F-35の配備数を大幅に増やしていきたいですね

    F-15Jの性能は完全に陳腐化していますし

      • 匿名希望係
      • 2023年 1月 13日

      中の主力のフランカーは正直、F-15と空戦戦力大差ないと思うぞ。(近代化改修も含めて)
      むしろ有力なステルス機を(エンジン込みで)配備できない分フランカー系列が主力になると思うし。

      あとF-35増加させてもたぶんよくってPRE-MSIPの半分を退役させれば良い方のペースな気がする。

      4
        • バーナーキング
        • 2023年 1月 13日

        pre機の更新はもうF-35の調達予定の数に入ってるので、F-35増やすならJ-MSIPかF-2の更新枠、あるいは純増しかないのでは。
        複座ないから練習機枠にねじ込む手も使えんし。

        1
          • 匿名希望係
          • 2023年 1月 13日

          問題は納品までのタイムラグ
          なんでF-15の60機ぐらい入れ替えできていたら御の字と言ってるわけで

          2
          • 名無し
          • 2023年 1月 13日

          >あるいは純増しかないのでは。

          個人的にはこれを規模だけど、
          人員や予算の壁で駄目なのでしょうね。

        • 名無し
        • 2023年 1月 13日

        >中の主力のフランカーは正直、F-15と空戦戦力大差ないと思うぞ。(近代化改修も含めて)

        「大差ない」だと、空自が想定している数的劣勢(中国側が2~3倍だったかな?)を覆せないので、駄目だと思います。

        正面からのぶつかり合いだと、たとえば
        大差ない能力で数的に1/2~1/3なら、
        数的に同等で能力的に1/4~1/9なのと、
        期待値は似た様なものだろうし。

        6
      • 名無しさん
      • 2023年 1月 13日

      >台湾有事のシミュレーション結果を考えたら、F-35の配備数を大幅に増やしていきたいですね

      あのシミュレーション結果で一番考えないと行けないのは、航空機用対爆豪と避難場所と早期警戒・退避体制だよ。
      まぁF-15の陳腐化甚だしいのも事実だから、両方やらなくちゃいかねいのが辛い所だけど。

      4
      • 東海と東支那海
      • 2023年 1月 14日

      沖縄には敷地がないそうですが中対台戦争が始まり在日米軍が介入した時点で豊富な弾道ミサイルを万遍なくく本土の飛行場に喰らうでしょうから、
      機体以外にも掩体壕や基地修復システムやら、南勢方面から離れた基地に配備してあるF-35Aを活用するのに必要な空中給油機が、いつ引き渡される変わらないKC-46Aを除くとKC-767の4機しかない現状とかF-35Aを揃えてもそれを生かすための機材にも金がかかるので今回の政府の急な対応がどこまでできるのか見守りたいですね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP