米国関連

悪性コードが含まれていないと確認した国防総省、米政府保有のDJI製ドローン使用再開を勧告

国防総省は政府が使用を停止している中国のDJI製ドローンについて「悪性コードは含まれていない」という調査結果をまとめた報告書を作成、連邦政府機関に使用再開を勧告していると報じられている。

参考:Pentagon report clears use of drones made by top Chinese manufacturer

国防総省による調査の結果、米政府機関が保有するDJI製ドローンにセキュリティー上の問題はないと判明

米国では一部の議員が中国政府とDJIのデータ共有疑惑を指摘、これを受けて内務省は連邦政府機関が導入している500機以上のDJI製ドローンについて徹底的な調査が完了するまで使用を一時的に禁止(緊急事態における使用は可能)する措置を講じていたのだが、国防総省は連邦政府機関が保有するDJI製ドローン2機種について調査(陸軍特殊作戦コマンド司令部が実施)を行い懸念されていた「悪性コード」が含まれていないことが確認されたため連邦政府機関に使用再開を勧告していると報じられている。

出典:Yanjipy / CC BY-SA 4.0

この問題についてDJIは「製品からデータが無断で同社や中国政府に転送されるような仕組みはない」と主張、さらに米国の民間調査会社ブーズ・アレン・ハミルトンも「政府が使用しているDJI製ドローンを分析した結果データがDJIや中国政府に転送されている証拠は見つからなかった」と発表しており、国防総省による調査結果も「問題ない」と報告されたため連邦政府機関によるDJI製ドローン使用再開を強力に後押しする可能性が高い。

米国の議会は中国の脅威を背景に中国製ハードウェアや通信ネットワーク機器を締め出すための法案整備に動いているが、根拠が曖昧なまま中国製品を禁止するのは間違っているという考え方も一定数存在(米国国内)するため国防総省による調査結果はあらゆる意味で波紋を呼ぶだろう。

因みに国防総省による調査結果を受けてDJIは「我々や独立した調査機関が何年も前から主張していた事実が確認された」と述べているが、あくまで悪性コードが含まれていないと国防総省が確認したのは連邦政府機関が保有する2機種のDJI製ドローンのみなので新規購入分や他国が保有するDJI製ドローンにセキュリティー上の問題がないことを保証している訳ではない。

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:Capricorn4049 / CC BY-SA 4.0

オーストラリア国防次官、アタック級潜水艦の失敗に備えてプランBが存在すると公式に言及前のページ

韓国、英陸軍の新型自走砲調達プログラムにK-9A2を提案すると発表次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    F-22が1時間飛行するのに幾ら必要? 米国が公表した軍用機の飛行コスト

    米国防総省は2020会計年度における米軍保有の固定翼機と回転翼機の請求…

  2. 米国関連

    F-35に随伴する無人機が完成? 米国、ステルス無人機「XQ-58Aヴァルキリー」の生産を開始

    低コストなステルス無人戦闘機「XQ-58A ヴァルキリー」を開発してい…

  3. 米国関連

    ホワイトハウス、大統領も政権も首をはねられた子供の写真を見ていない

    バイデン大統領は11日「テロリストが子供の首をはねている写真を見ること…

  4. 米国関連

    米海軍のF/A-18E/F BlockⅢ、唯一の欠点はF-35Cとの情報共有能力

    米海軍は先週、ボーイングから新しいF/A-18E/F BlockⅢを2…

  5. 米国関連

    夏に繰り広げられたウクライナ軍の反攻作戦、忍耐力と適用力の戦い

    軍事アナリストのロブ・リー氏とマイケル・コフマン氏はウクライナ南部を視…

  6. 米国関連

    ウクライナで実証されたドローンと手榴弾の組み合わせ、米陸軍も演習でテスト中

    ウクライナ戦争で多用される小型ドローンを使用した手榴弾による攻撃は「塹…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    おそらく今回は静的解析動的解析でコードの不正の有無を調べたんだと思うが、ドローンはGPS関係のソフトが入っていたりDJIだとスマホとリンクでスマホのデータ参照するし、オンラインアップデートがあるしで非常にコードを追いにくいもののはず。
    マルウェアの解析は簡単だが、実際に遠隔操作する物体のコードはマルウェアの何百倍の長さなのでクソ大変。

    なんのコメントしたかったのか忘れたので終わり!

    27
    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    これから入れ放題だね。

    5
    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    中国製品(プログラムも含めて)が何でもかんでもバックドア仕込んであるってことは実際ないとは思うんだよねえ。
    うじゃうじゃいるベンチャー企業まで解析されないようなブラックボックス化なんて無理にきまってんだから。
    まぁ、安全保障の分野で使うもんではないとは思うけども。

    14
      • 匿名
      • 2021年 6月 03日

      一番やっかいなのは同じ製品や同じ会社のものでもバックドアが入っていたり入っていなかったりとランダムなパターンだな
      抜き出し検査ではすり抜けてしまう可能性が出てしまうし、かと言って使用する分すべてを精密検査するには手間も金もかかりすぎる

      6
    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    コンゴもその状態を維持し続けるかどうか調べるのに継続的に金がかかるのがなぁ…

    2
    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    米政府機関が現在保有する中国製ドローンの安全性保証なんで、中国製の新規導入は今後の計画外。
    国内開発品で安全性含め要求に耐えるものが製品化されれば順次採用されていくでしょう。

    7
    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    アプリも調べてから言えよ
    今時のドローンはアプリをダウンロードしないと使えないだろ
    ドローンで得た動画や画像・位置データをアプリを通じて中国に送っている可能性があるし
    たった2機調べて問題ないじゃ話にならんぞ
    これから仕込まれる可能性だってある、相手は世界一凶悪な中国だぞ
    DJIの技術を明らかに中国軍が採用しているから
    これからの戦争は無人機とドローンが主役となるし、ここで叩き潰しておいた方がいい
    難癖付けてでも、DJIを西側諸国から追い出して、代替えメーカーを作れればベスト

    5
      • 匿名
      • 2021年 6月 03日

      素人じゃないんだから当然制御系のアプリケーションも調べてるでしょ

      17
    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    どうしても使いたいくらい高性能安価な中華製
    適当な事しか言わねぇアメリカとそれに追従する日本

    地獄かよ

    6
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      高性能なのに安価で売り続けているということは、通常の商売のような金銭的利益が目的じゃなく、別の目的があるからだと言っているようなものだからな
      安全保障上に関わるもので金が目的じゃなかったら何が目的なんだという話

      5
    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    コードが問題無くても、保守部品の調達とかで問題になるんじゃないか?

    3
      • 匿名
      • 2021年 6月 03日

      故障したら廃棄するだけでは?

    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    こっそり中国と取引すればばれないよね

    • 匿名
    • 2021年 6月 03日

    DJIの何がいいかってコスパなんですよね。
    一般人でもある程度の機能のものを買えてしまう。

    1
      • 匿名
      • 2021年 6月 03日

      個人用の入門機が6万から買えるのね。
      レビューとか見る限り飛行性能も安定してそうだし、なんとまあ恐るべしコスパだな。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
PAGE TOP