米国関連

国防総省、トランプ大統領の指示を受けてウクライナへの武器供給を再開

国防総省は2日「武器備蓄を改善するためウクライナへの武器供給を一時的に停止する」と発表、ゼレンスキー大統領は武器供給の再開を求めてトランプ大統領と電話で会談し、これを受けて国防総省は7日「トランプ大統領の指示を受けてウクライナに追加の防衛用兵器を送ることにした」と発表した。

参考:Statement by Chief Pentagon Spokesman Sean Parnell on Ukraine Military Aid

結果的に「バイデン政権が約束した支援」をウクライナにより高く売りつけた格好とも言える

Politicoは1日「国防総省のコルビー政策担当国防次官が主導して武器備蓄状況を見直した結果、想定以上に砲弾、迎撃ミサイル、精密誘導兵器の備蓄が減少しているという懸念が生じ、国防総省はウクライナに供給している一部の弾薬輸送を停止した」「バイデン政権が約束した支援の一部を停止するという決定は6月初旬に下されたものの今になって動き出した」「見直しの直接的な原因はフーシ派との戦いで迎撃ミサイルを過剰に消耗しているとう懸念から発生した」「ホワイトハウスも国防総省の見直しは国益を最優先に考えた結果だと述べている」と報じた。

出典:U.S. Navy Photo by Petty Officer 2nd Class Nicholas Russell

Wall Street Journalも2日「国防総省は武器備蓄を改善するためウクライナへの武器供給を停止すると発表した」「政権や議会関係者よればポーランドに到着していた武器=PAC-3弾20発以上、スティンガー20発以上、ヘルファイアや空対空ミサイル90発上などのウクライナ移転が停止されたと言う」「国際戦略研究所のアナリストは『これはウクライナにとって悪いニュースだろうか?』『ロシア空軍にとって脅威が減るという意味では当然だ』と述べた」と報告。

National Public Radioの記者も「ホワイトハウスはパトリオットシステムで使用するPAC-3弾、HIMARSで使用するGMLRS弾、155mm砲弾、スティンガー、AIM-7、ヘルファイアなど、ウクライナが受け取る予定だった武器供給を停止した」と、War Zoneの取材に応じたウクライナの元高官も「フランケンSAMで使用されてたAIM-9Mの供給が止まった」と明かし、米国のウィテカーNATO大使はFox Newsの番組に出演して「これがAmerica First主義の真の姿だ」「我々は自国のニーズを最優先しなければならない」と言及。

出典:Lockheed Martin

国防総省のパーネル報道官も2日「報道されている内容やホワイトハウスの言及は事実だ」「我々は自国を守りながら全ての人に武器を与えることは出来ない」「米国の利益を最優先するという決定が下された」と述べたが、同時に「ウクライナ支援の停止は一時的な決定」「まだ見直しが完了していないため『どの兵器が影響を受けるのか』は最終確定していない」「我々の任務は大統領に『備蓄している兵器の数と、これを何処に送っているのを評価する枠組み』を提供することだ」と付け加えているため、現在の状況は予備結果に基づく「一時停止」と言うのが正確だ。

ゼレンスキー大統領は武器供給の再開を求めてトランプ大統領と電話で会談、これを受けて国防総省のパーネル報道官は7日「トランプ大統領の指示を受けてウクライナに追加の防衛用兵器を送ることにした。これは持続可能な平和の確立と殺戮の停止に我々が取り組む間、ウクライナが自らを防衛できるようにするためだ」と発表したが、同時に「外国への軍事援助を再評価する枠組みは引き続き有効だ」「この取り組みはAmerica First主義における防衛優先事項の核心を成している」と付け加えた。

出典:The White House

ひとまずウクライナへの武器供給は再開されたものの、外国への軍事援助を再評価する枠組みという政治的カードは健在で、結果的に「バイデン政権が約束した支援」をウクライナにより高く売りつけた格好とも言える。

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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin

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コメント

  • コメント (33)

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    • センツァノーメ
    • 2025年 7月 08日

    本当に備蓄量を懸念していたのなら即座の供給再開が意味わからんことになるし、つくづくライブ感で外交やってるなぁ…

    78
      • nachteule
      • 2025年 7月 08日

       即座と言っても5日以上作業しているなら、本当に状況把握したなら十分な時間でしょうに。
       既存保有数の集計、メーカーの納入スケジュールまで確認した上で仮に何処かで一定規模のドンパチ始まったとしてもカバー出来る量はあると判断したからこそ再開したとかなら米国の恐ろしさを感じますけどね。

       仮にポーズだとして支援していても米国自身を守るには十分の備蓄があると言うなら、普通に考えればロシアや中国、アメリカに敵対する組織への警告です。手を出せば火傷すると言うアピールでライブ感覚とは思えませんね。

      11
      • 無名
      • 2025年 7月 08日

      支援再開されて送られるパトリオット用ミサイルは10発との情報があるので、本当に足りてない可能性もあります。

      33
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2025年 7月 08日

      いつもの止めたりやったりのトランプ的行動ですわな
      支援を止めた時も「どうせいつものようにしばらくしたら手のひら返したりするだろ」と言われてましたが、全く盛ってその通りになってますな

      25
      • とある帝國臣民
      • 2025年 7月 09日

      政治的合理性が消えた今、商業的合理性に切り替えただけでは。

      4
        • namusan
        • 2025年 7月 12日

        トランプに”合理性”なんてものがないのは明らかです

    • たむごん
    • 2025年 7月 08日

    アメリカのミサイル・弾薬備蓄、ウクライナ戦争前の何割程度に減少しているか、年間生産量がどこまで増えているのか気になりますね。

    日本目線で見たとき、極東方面の有事に対して=極東へのほぼ専用として、一定量の在庫が常に確保できているのかが重要に感じています。

    28
      • 匿名
      • 2025年 7月 08日

      まあ、その辺はアメリカに限らずどこの国も国家機密なんで

      18
    •  
    • 2025年 7月 08日

    そう言えば日本製パトリオットの購入はまだ続いているのだろうか?米国産より安上がりだから継続するのか、やめれるなら止めたいのかトランプの本心が分からん。
    仮にトランプが止めたいと考えているなら、購入を停止するか否かが米備蓄を見る上での指標になりそうだけど。

    12
    • ろみ
    • 2025年 7月 08日

    最後に話した相手に乗せられ易すぎというかなんというか
    記事中で言われるようにウクライナに支援を高く売り付ける為の駆け引きには結果的になっていますが今までのトランプを見てると単に最後に話した相手の主張を鵜呑みにするだけというのが真実味があります
    ネタニヤフがイスラエル防空体制に必要な備蓄の懸念を吹き込んだらまた覆るなんて事になっても全く不思議に思えませんが毎日電話しとけば操り人形に出来るのはウクライナにとっては寧ろ都合が良いかもしれませんね
    ホワイトハウスの他の高官からすれば大統領が常に最後に話した他国の言いなりとかたまったもんじゃないでしょうけれど

    29
      • DEEPBLUE
      • 2025年 7月 08日

      それ口の汚さを抜いたら日本の元首相と同じ・・・

      11
        • Mr.R
        • 2025年 7月 09日

        ルーピーの悪口はやめるんだ!
        ······事実でしかなかったわ

        16
    • nk
    • 2025年 7月 08日

    支援の可否はトランプ次第であると言う事を再認識させるため儀式だったんでしょうか、ウクライナへの強い影響力を維持することには成功しているでしょうけど元々は米民主党の火遊びが過ぎた挙げ句失敗してこんな事態になっているのも大きな要因の一つだと思うけどトランプからするとそんなことは知ったことではないのでしょうね。

    31
      • 例のアレ
      • 2025年 7月 09日

      戦争後半になるまで長距離兵器や防空兵器を供与しなかったバイデン政権が火遊びとは?

      5
        • つまり
        • 2025年 7月 09日

        >戦争後半になるまで長距離兵器や防空兵器を供与しなかった
        つまり、そういう中途半端な支援をし続けたことを指しているのでは?

        11
    • SB
    • 2025年 7月 08日

    コメントでどうせすぐ方針転換するって書いてたけど早すぎる

    50
    • Mr.R
    • 2025年 7月 08日

    あまりの判断の早さに天狗面のお爺ちゃんもニッコリ

    12
    • まめ
    • 2025年 7月 08日

    軍事のアメリカ離れが進むのかな?
    戦略的判断、政治的判断ならまだしも、気まぐれで軍事的な供給を絞られたらたまらない。
    軍需でヨーロッパやトルコ、韓国他のアジア勢等の複数ラインで保険を掛ける様になりそう

    21
      • 名無し
      • 2025年 7月 08日

      少ししたらまたロシア戦闘機が撃墜されて行動範囲制限されそうやなあ

      7
      • DEEPBLUE
      • 2025年 7月 08日

      どっちの党になってもアメリカが引き籠もりそうな日本も大変

      6
    • イーロンマスク
    • 2025年 7月 08日

    イラン方面の戦争の危機が去ったので武器再開したんかね

    12
    • 匿名
    • 2025年 7月 08日

    とらんぷくん…
    きっとキミはそのまま武器供給渋って、戦争の早期解決でのーべる賞を狙う筈だって信じてたのに…😭😭😭

    5
    • うくらいだ
    • 2025年 7月 09日

    こりゃゼレンスキーはトランプが大統領のうちは停戦出来ないな
    停戦後この時の支援を元に何とられるかわかったもんじゃない

    6
    • Mo
    • 2025年 7月 09日

    迎撃ミサイルの不足問題はこの戦争の間ずっと続くでしょうね
    そもそもコストパフォーマンスが悪いですから撃ち負けます

    7
    • XYZ
    • 2025年 7月 09日

    トランプ大統領は誰かに「懇願された」から「〇〇してやった」という流れが大好きなのかもしれません。
    今回もぜレンスキー大統領との電話の後での決定ですからね。
    「俺は凄いんだ!」をアピールしたいのでしょう。

    そうなるとまずそんな事はやってこないプーチン大統領とは合わないのかもしれません。
    当初は自分と同じ思考を持つので、ディールすれば短期間で終わらせられると思っていたが、プーチン大統領は実益ガン無視でメンツ第一の頑固一徹なのを理解して方針転換した可能性があります。

    4
      • 赤狐
      • 2025年 7月 09日

      ゼレンスキーは一日でも長くウクライナの大統領職に止まりたいと言うだけに見えますね。
      どちらにしても対空ミサイルは結局供給絞られると思いますし。
      そもそもの問題は対空ミサイルの供給が難しく、どうせまた絞る絞らないの話になるのが確定という事です。ゼレンスキーに懇願されても流石にもう無理となったらその時どうするのかというのが問題。
      まだ余裕が(少しは)有るうちにウクライナに引導を渡すのも米国の責任と思いますが、トランプ氏はあまりそういう考え方はしない感じですね。
      それがこの先待ち構えているのがはっきりしているので、西側のメディアもこの事をあまり大きくは取り上げませんし。

      10
        • MAGA
        • 2025年 7月 09日

        どちらかといえばアメリカが引導を渡すべきはロシアの方だろ
        偉大なアメリカ、グレートなアメリカを標榜しているんだからな
        MAGA言うくらいなんだからアメリカの本気でロシアを黙らせることくらい簡単だろ

        10
          • それはもう
          • 2025年 7月 09日

          そのメンタリティがアメリカの強さを補強できるのならばそうするでしょうが、もはやアメリカに往時の強さはなく、否応なしに世界は多極化に進んでいます。
          こうした背景の中でトランプの言う「偉大なアメリカ」は対外的なポジションを指すものではなく、もっぱら国内の支持者に向けられたもので、世界の警察としてのアメリカの復活ではありませんね。

          8
      • 逆では
      • 2025年 7月 09日

      >プーチン大統領は実益ガン無視でメンツ第一の頑固一徹
      プーチンは実益重視ですよ。そう見えない部分もあるかもしれませんが、基本的に彼の中にあるロジックに従って判断しているので、それがメンツによってブレることはありません。
      習近平と同じく、それが彼が長期政権をけん引し続けられる理由です。
      ただの「メンツ第一」では、ソビエトで失敗したロシアを今の地位にまで引っ張り上げることは不可能です。

      19
        • XYZ
        • 2025年 7月 09日

        今のプーチン大統領は実益重視ではないと思います。
        私も以前はこの大統領であれば日ソ共同宣言のレベルで妥結するならば、ディールが成立するのではないか?と感じたくらいでした。
        しかし、今は明らかに違います。
        トランプ大統領も1期目と大きく違うように、あのプーチン大統領でも老化による判断力の低下が避けられないのだなと感じています。
        このまま継戦すれば旧ソ連のようにまた経済的な破綻を迎えてしまいます。

        10
          • 犬の〆
          • 2025年 7月 10日

          ディールが成立するとは、トランプとの交渉が実を結ぶ可能性があったということでしょうか?
          もしそうだったとして、さらにロシアの経済状況が悪くなっている現状を鑑みても、プーチンが妥協する必要はないと私は思います。

          プーチンはよく知られているように、ウクライナとロシアの一体性をかねてから主張しています。
          これは彼の考えてるロシアのアイデンティティーを構築するためであり、中国の思想とも近似性があります。
          この主張を各々がどう思うかは置いておくとして、開戦の一番大きな目標がここにある以上、ロシアの当面の経済状況や現在の戦況が戦争を終結させる理由にはならないでしょう。

          事実、大変苦しい状況ですが、ロシア国内の経済も言われているほどにはなっていませんし、他の方が言っているように、ロシアは原油、食糧、その他資源生産国であり、なおかつ金の保有においてもかなりの量を確保しています(しかも産金国)。
          また、銃後は中国(ちょっと怪しい)や北朝鮮など友好国が固めています。
          これは私の考えですが、この状況においてプーチンが自分の始めた戦争を終わらせる理由は全くありません。むしろ、目標が完遂しない方が悪夢でしょう。(結局、欧米の息のかかった政権をモスクワのすぐ下に作ってしまうのですから)

          むしろXYZさんのいうプーチンがディールを飲むべきだった、彼の判断力が落ちてきている理由をお聞きしたいです。

          1
            • ras
            • 2025年 7月 11日

            日ソ共同宣言のことで以前ならと言っているので北方領土の外交的解決かと。
            私としても確かに2015年頃まではある程度可能性はあったのですが、ウクライナのマイダン以降に択捉の急速開発が行われた当たり地政学的防衛意識を強めたのは確かかと思います。
            まあ北方領土交渉は日米安保とNATOどちらもある限り、どちらにしろ無理だったと私は思っていますが。

            2
              • 犬の〆
              • 2025年 7月 14日

              >北方領土の外交的解決
              確かに、安倍首相存命の時は交渉に前向きな様子はありましたね。
              安部首相とプーチン、それぞれがどこを目指していたのか今となっては分かりませんが、あの時のプーチンは西側への歩み寄りも見られたので、彼らなりにもしかしたら妥協点を見出していたのかもしれません。
              とはいえ、確かにおっしゃられるように日米安保やNATOの枠組みとロシアとの和平条約締結は両立はしないでしょうね。

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