国防総省のパーネル報道官は2日「ウクライナへの武器支援停止に関する報道やホワイトハウスの言及は事実」「我々は自国を守りながら全ての人に武器を与えることは出来ない」「米国の利益を最優先するという決定が下された」と述べたが、まだ見直しの最終結果は出ていないとも付け加えた。
参考:Ukraine arms freeze part of wider military aid review, Pentagon says
今回の結果を不道徳と言うなら同じことをやってから批判すべきだろう
Politicoは1日「国防総省のコルビー政策担当国防次官が主導して武器備蓄状況を見直した結果、想定以上に砲弾、迎撃ミサイル、精密誘導兵器の備蓄が減少しているという懸念が生じ、国防総省はウクライナに供給している一部の弾薬輸送を停止した」「バイデン政権が約束した支援の一部を停止するという決定は6月初旬に下されたものの今になって動き出した」「見直しの直接的な原因はフーシ派との戦いで迎撃ミサイルを過剰に消耗しているとう懸念から発生した」「ホワイトハウスも国防総省の見直しは国益を最優先に考えた結果だと述べている」と報じた。

出典:U.S. Navy Photo by Petty Officer 2nd Class Nicholas Russell
Wall Street Journalも2日「国防総省は武器備蓄を改善するためウクライナへの武器供給を停止すると発表した」「政権や議会関係者よればポーランドに到着していた武器=PAC-3弾20発以上、スティンガー20発以上、ヘルファイアや空対空ミサイル90発上などのウクライナ移転が停止されたと言う」「国際戦略研究所のアナリストは『これはウクライナにとって悪いニュースだろうか?』『ロシア空軍にとって脅威が減るという意味では当然だ』と述べた」と報告。
National Public Radioの記者も「ホワイトハウスはパトリオットシステムで使用するPAC-3弾、HIMARSで使用するGMLRS弾、155mm砲弾、スティンガー、AIM-7、ヘルファイアなど、ウクライナが受け取る予定だった武器供給を停止した」と、War Zoneの取材に応じたウクライナの元高官も「フランケンSAMで使用されてたAIM-9Mの供給が止まった」と明かし、米国のウィテカーNATO大使はFox Newsの番組に出演して「これがAmerica First主義の真の姿だ」「我々は自国のニーズを最優先しなければならない」と言及。
国防総省のパーネル報道官も2日「報道されている内容やホワイトハウスの言及は事実だ」「我々は自国を守りながら全ての人に武器を与えることは出来ない」「米国の利益を最優先するという決定が下された」と述べたが、同時に「ウクライナ支援の停止は一時的な決定」「まだ見直しが完了していないため『どの兵器が影響を受けるのか』は最終確定していない」「我々の任務は大統領に『備蓄している兵器の数と、これを何処に送っているのを評価する枠組み』を提供することだ」と付け加えているため、現在の状況は予備結果に基づく「一時停止」と言うのが正確なのだろう。
因みにDefense Newsの取材に応じた匿名の関係者は「2026会計年度予算案を発表した際、国防総省は外国支援プログラムの見直しを進めていると説明した。その中にはウクライナ向けの長期支援プログラムも含まれており見直しによって削減された。この見直しは国防総省が管理する外国支援プログラムを検証するもので『現政権の方針』と一致しなくなったものを判断した」と明かし、米防衛産業の状況、生産能力を大幅超える需要、中国の脅威に対応するための限られた時間枠、中東で消耗した分の補填、米国の国益、トランプ政権が掲げるAmerica First主義を加味すれば妥当な判断と言える。

出典:Dmitry Terekhov/CC BY-SA 2.0
米国も西側諸国も「国家同士の大規模で消耗戦を強いられる戦争」を想定していなかったのは同じで、米国にのみ「経済を犠牲するロシア並な戦時体制に移行してウクライナの需要を支えろ」「自国が設定する安全保障の要件を犠牲にしてでも武器をウクライナに送れ」と言う方が間違っており、これを不道徳と言うなら同じことをやってから批判すべきだろう。
弾道ミサイル、巡航ミサイル、一方通行型無人機を組み合わせたウクライナに対するディープストライクは「攻撃による目標破壊」ではなく「対称的に対応する能力」を、特に「ウクライナの防空能力を支える西側諸国の供給能力」をレッドラインまで追い詰めることに成功しつつあり、経済制裁でロシアの経済や軍需生産を締め上げきれなかった結果とも非対称だ。
Here’s the list of US munitions approved for Ukraine but now being held in Poland.
92 AIM missiles
30 Patriots missiles (PAC3MSE)
8496 155mm Howitzer rounds
142 AGM-114 Hellfire missiles
252 GMLRs missiles
25 Stinger missiles
125 AT-4 grenade launchers. #NPR #UkraineRussiaWar— Tom Bowman (@TBowmanNPR) July 2, 2025
追記:National Public Radioの記者はポーランドでウクライナ移送が保留中の武器について「パトリオットシステムで使用するPAC-3弾×30発、HIMARSで使用するGMLRS弾×252発、155mm砲弾×8,496発、スティンガー×25発、AIM-7×92発、ヘルファイア×142発、AT-4×125発だ」と明かした。
関連記事:これが米国第一主義の真の姿、トランプ政権がウクライナへの武器支援を停止
関連記事:ロシアはミサイルを1950発以上、自爆型無人機や囮無人機を計1.2万機保有
関連記事:ポーランド、米国製システムの購入は優先事項ではなくなるかもしれない
※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin
自国の安全と他国の安全どちらを優先するのかと考えれば、アメリカの選択は当然でしょうね。
自国(イスラエル)の安全を重視するのは当たり前だよなあ?
見せてもらおうか西欧の防衛能力とやらを
あれだけイキっているんだからアメリカ抜きでも戦えるんでしょう
欧州が口だけで無いのか拝見させて頂く非常に良い機会ですね、民主主義防衛の砦であるとされるウクライナの為に欧州は大きく血を流し防衛してくれることを期待しましょう。
アメリカの宗主国ですよね…
ドイツ首相も、イスラエルのイラン攻撃を絶賛して『我々のために汚れ仕事をしている』なんて絶賛してたのを思い出しました。
この文脈で言えば、アメリカのイスラエル支援優先に賛同でしょうから、ヨーロッパがウクライナ支援さらに力を尽くすのか注目ですね。
先日のNATO会議での防衛費増額の際、トランプ大統領に対する靴を舐めんばかりの平身低頭っぷりは、もはやギャグかと思いました。
そりゃあイスラエルに文句言えんな。もう一蓮托生。
イスラエルはほぼ自力で圧倒的に兵力に勝るイランを沈黙させたし、しかも8日で戦闘を終わらせたしな…
イスラエル流は世界の誰にも再現出来ないにしても、ウクライナと必要な弾薬、人員、経済への影響、支援国のリスク諸々比べるのは酷だし、ウクライナにしてもどれだけ兵器を送り込めば勝てるのか見えないのが厳しい。
迎撃戦闘や弾薬供給など、だいぶアメリカに支援してもらってますよ
独力では無理
ほぼ勝ちが決まった段階まで謀略巡らしているのはイスラエル単独だし、西側はイスラエルを無条件で支持していない。ほぼ勝ちが決まったイスラエルを支持している。コレは「勝っている」シリアを支援したロシアと何が違うのか?
それ自体は簡単やろ イスラエル空軍並の規模の空軍作ればええねん
当然人員の問題があるから今すぐにというのは不可能だが
贅沢を言えば湾岸戦争の多国籍軍並の規模が理想だが流石に現実的ではない
いつからイスラエルはアメリカの一部になったんだろう?
初めからか
アメリカの金融を支配しているのが、ユダヤだからね。
アメリカにとって、イスラエルが最優先なんだよ。
第二次中東戦争の頃はソ連と手を組んでイスラエルとそれに協力してたイギリスフランスを止めてたりしたのに…。
“価値観”が西欧の一番の弱点だと思うんだよね。
人類が都市を破壊する方法は2つしかない、NBC兵器か爆撃機による
都市直上からの焼夷弾の大量投下だ。
シャヘド・巡航ミサイルの都市爆撃はどうせ都市そのものを破壊する
能力などないので、おそらく無視が一番効率が良い。
防空アセットはあくまで戦場で戦う兵士に与えるべき…なんだが人道的
価値観のせいで都市防空をしてしまうからこういう結果になる。
勝つためには犠牲が必要でありパトリオットはキエフなんか守っている
場合じゃないとハッキリ決断するべきなんだが…
キーウにも重要な戦略物質を作ってる工場沢山あるし、軍事的にも守らざるを得ないよ
効果のない都市空襲に対し対空兵器を割いてしまうのは、なまじ迎撃が効果的になった(誘導弾なら飛来する航空機等をかなり墜とせる)という側面もあると思います。配備すれば確実に効果のある対空兵器を都市から撤去するというのは「市民の死傷を許容した」とはっきり可視化されてしまう。それこそ古典的な戦略爆撃が狙っていた士気阻喪が実現される恐れも。
核攻撃すら決定打にならないという実績があるのに都市への攻撃(工場などの優先度が高いのはもちろん、精度が低く結果的に住民を標的にする=軍事的な効果が全くない)に攻守両者が関心を寄せるのはそういった技術的側面があるのではないでしょうか。
>シャヘド・巡航ミサイルの都市爆撃はどうせ都市そのものを破壊する能力などない
一応、都市部での既知のシャヘド136や巡航ミサイルの損害を精査した上でそう言い切る訳ですね、探せば損害を受けた建造物等の写真は幾らでも出てきますし、それらはフェイク画像でしょうか?直近でロシアのシャヘド系列の生産能力は日産170基と言われています。速度は飛行時に180km以上で突入時はダイブする事もあるようなので更に速度が増す可能性がある、50kg以上の弾頭を持つ機体が200kmを超す速度で突っ込んでくる可能性があるなら結構な威力と思いますが。
弾頭は50~90kgの間でマックスに近い物で馴染み有る物と言えば米軍のMk82です、装薬量はかなり減りますが似たような速度やシェルで威力が高い物と言えば現時点の世界最大迫撃砲の2S4 Tyulpanですがチェチェンで要塞や都市破壊に活躍しました。
ロシアの実力なら最低でも毎日100回以上、好きなタイミングで自由な場所にMk82をデリバリー出来る感じで、それを都市を破壊出来ないからと放置すべきだと言うなら都市にに住む人達に言ってやれば良いでしょう。どんな反応をするんでしょうね。仮に都市を破壊出来ないとしても深刻な空気汚染、サーモバリック等の多彩な弾頭によるあらゆる被害、通常弾頭でも生成される破片はサッカー場1つ位の範囲は危険な範囲は有るはずなので都市機能は壊す事が出来るでしょう。
アメリカファーストは結構ですが、同盟国はどう感じるでしょうか。
これまで培ってきたアメリカの威信が失われたのは確実です。
アメリカドルの価値減少&基軸通貨としての地位低下、こららによるアメリカ国債の金利上昇、アメリカ製兵器購入の減少など失うものも当然ありますが、これらを考慮に入れた上での決定なのであれば外野はとやかく言うことではありません。
中国は大変喜んでいるでしょうね。いいことしかありませんから。
イスラエル、フーシ、イラン、ウクライナ
アメリカからみたときの重要性もそうだし、3年続けて出口も見えず資源担保にしてもらっても回収可能かもわからない。
ウクライナが止められるのは仕方ないというところか
難しく考えすぎなんだよ
単純に、「アメリカの財布の中身は無尽蔵ではないから、、援助するのもそろそろ限界」ってだけでしょ
実際、平時体制の国なのにこれだけ援助できたのは流石アメリカとしか言いようがないわけだし
同盟国はどう感じるかっていわれても、無い袖触れないというのは理解できてるのだから、
非難するのはある意味自分の都合っていう自覚もあると思うよ
同盟国としては、仰る通り無い袖はふれないということで、(自国の為に)余力を残して欲しいという国もあるかなと。
同盟国は、アメリカの歓心を買うために凄まじい貢物(自国のためでもありますが)をしてるわけで、米軍の在庫枯渇のほうが恐ろしいと思います。
日本 米国債100兆円以上・対米投資100兆円以上で世界一位
英国 米国債100兆円以上・世界各地の軍事行動に参加
台湾 米国債80兆円以上・半導体の米国投資
イスラエル 在米ユダヤ人の献金・起業、中東の軍事行動に参加
サウジアラビア 米国債20兆円以上・6000億ドルの対米投資表明
ウクライナは対米投資ないに等しいですから、ウクライナが特別扱いされて軍事支援されてきたのが、同盟国のメニューを見るだけも感じるかなと…。
同盟国でもないのに3年で10兆円近くの支援をしたアメリカが非難される謂れはないでしょう
アメリカ=ウクライナは、経済・政治・文化・宗教・歴史・距離など、極めて浅い関係でした。
ゼレンスキー大統領のテクニックと見るべきなのか分かりませんが、ここまで支援を獲得してきたのが不思議なくらいです。
日本に例えれば、日本の安全・将来を犠牲にしてでも、例えば遠い地域『アフリカの辺境が大事だ!』お金を優先して回せなんて言ってたら不思議ちゃん扱いされるでしょう…
もともと西側の生産数を遥かに超える消費がされていたので、多くない備蓄を食い潰してなんとかやってきたが、それも限界ということでしょう。
これは別にトランプ政権じゃなくても、時期が少し変わるくらいで同じ事が起きたと思いますね。
政治的信念の正しさで生産数が増えるわけじゃありませんから。
ここですかさず欧州がアメリカ兵器の代わり(PAC3以外は代替品ある)に売りますよって来ればいいんですが、ウクライナ戦争が始まってから開始された欧州軍需産業強化の結果が示されると思います。
我が国に支払保証を求めてきそうですけど、今の政治状況的に回収できない可能性が濃厚な債務保証(数千億円レベル)をやったら自公与党は焼け野原になりますよ。
こっそり特別会計なんかに紛れ込ませてやるって事も考えられますが、隠し通せるかが微妙。
スティンガーの生産を再開するのに
昔の職人さんを呼び戻すか、
新しい部品で設計し直すか問題になってたが結局どうなったんだろう
そう言いながら何日か後にトランプの癇癪と共に撤回して支援再開
2回ぐらい見覚えあるわ(適当)
ありそうな話ではありますね
おめー仮にもウクライナに鉱物資源協定結ばせてこんなことやってたらマジで誰にも信用されなくなるぞ
対象の鉱山はロシアの手に落ちてしまったから…
想定以上に備蓄が減少していると言うのが気になるな。
備蓄をすり減らしたのは事実だと思うが、それを許容していた前政権が甘すぎたのか、現政権が過剰な反応を示しているのか…
今回ホワイトハウスの独断専行でなく、ペンタゴンからの突き上げがあったように見えるし、コレは(兵器増産を支持する法が通らない限りは)覆らないんじゃないか?
鉱物資源にしても復興の原資にはなっても、停戦を保証するものではないからな…
そもそもウクライナにロシアの止め方が分からないのに、アメリカが分かるはずがない。ロシアを止めるのは結局ウクライナがやるしかない。
戦争継続をするなら輸入するにしても兵器の完成品でなく、部品単位にする(組み立ては宇企業がやる)とか輸入方法に変更が必要だろう
フーシ派との戦いも例え不細工でも切り上げた訳だし、長期戦の準備が出来ていないまま長期戦に突入するのは避けたいのだろう。
中東重視の為に次はアジア太平洋削減言いそう
他国ファーストの日本に住んでいると
アメリカの自国ファーストの姿勢が羨ましく感じる
本来はそれが当たり前のはずなんだが…
確かにアメリカが只援助を請われているだけなら当然の措置で、不道徳性は皆無。只、この戦争の根本にある「ロシアに隣接した反露国家の建設と維持」「その反露国家を実際にロシア弱体化に利用」を目論んだネオコンなり歴代政権関係者なりを断罪し、その歪みがウクライナ国民に与えた損害を謝罪・保障したのでなければ、一定の責任は生じる筈。政権が変わったから…で済ますには余りにも…。只、現ウクライナ政権も上記の“策”に全面的に乗っかっていた為、上記の理屈でアメリカを追い込むとブーメランに。今の所、八方塞がり…悲惨です。
ウクライナは第二次冷戦において繰り返される代理戦争の一つであり、自由陣営はこのような戦いを支援したり時には当事国になるなどして再びクレムリン打倒を目指して戦う。
アメリカの”国防”とは本来、そのような戦いにコミットすることではなかったのか。
アメリカは、第一次冷戦を通して、90年代後半のレートで毎年3000億ドル使っていた。対テロ戦争では毎年4000億ドル使った。
ウクライナ支援のためにたかが年間1000億ドル未満使った程度で”自国を守れなく”なるというのは、詭弁にしか聞こえない。
そもそも(イスラエル以外の)外国との集団安保にコミットしないなら、一体何と”戦う”つもりなのか。何から”守る”つもりなのか。