米国関連

トランプ大統領がドイツ駐留米軍の一部撤退を命令、長距離火力大隊も配備中止

米国のトランプ大統領はドイツのメルツ首相から「米国はイラン指導部や革命防衛隊から屈辱を受けている」と批判され、ドイツに駐留する米軍約5,000人を撤退させるよう命じた。バイデン政権が2024年に約束していた長距離火力大隊の配備も取り消しになった。

参考:US withdrawing 5,000 troops from Germany, US officials say
参考:Hegseth orders 5,000 US troops to withdraw from Germany

トランプ大統領は国際的な信頼と友人を失う天才で、ヒステリックな対応でどんどん自分の立場を悪くしていく

米国のトランプ政権と欧州のNATO加盟国は対イラン作戦=エピック・フューリー作戦で決定的に対立し、英国はエピック・フューリー作戦への参加要請を拒否、スペインとフランスはエピック・フューリー作戦に関与する米軍機に対して領空を閉鎖、イタリアも中東に向かうP-8Aのシチリア島基地立ち寄りを拒否し、エピック・フューリー作戦にシゴネラ基地を使用できなくなって軍事作戦上の柔軟性を大きく損なってしまい、さらに米国出身のレオ14世教皇まで「神はどんな紛争も祝福しない」「平和の君たるキリストの徒であれば、かつて剣を振るい、現代において爆弾を投下する者たちの側に立つことは決してない」とトランプ政権を批判。

出典:Truth Social

これに激怒したトランプ大統領はすぐに「レオ教皇は犯罪対策に弱腰で外交政策も最悪だ」「私は彼の弟のルイの方がずっと好きだ」「ルイは完全にMAGA支持者だからだ」「イランが核兵器を持つことを容認する教皇などいらない」「米国がベネズエラを攻撃したことをひどいと考える教皇などいらない」「米大統領を批判する教皇は望んでいない」「レオは教皇になれたことを私に感謝すべきだ」「私がホワイトハウスにいなければレオはバチカンにいなかった」などと激しく攻撃し、自身をキリストに見立てて病人を癒やす画像をTruth Socialに投稿。

イタリアのメローニ首相もトランプ大統領のレオ教皇批判や対イラン作戦への協力拒否批判を受けて「2006年に承認されたイスラエルとの防衛協力合意を自動更新しない」と発表し、ドイツのメルツ首相も「今の米国はどのような戦略的出口を選択しているのか分からない」「イランの交渉担当者が非常に巧妙に、あるいは実際には交渉しないように事態を進めている」「その結果、米国という国家全体がイラン指導部や革命防衛隊によって屈辱を受けている」と批判し、もはやトランプ大統領は全方位から批判されて怒りが頂点に達している。

トランプ大統領は特にメルツ首相の批判に怒り心頭で、Reutersのフィル・スチュワート記者は1日「ヘグセス国防長官がドイツに駐留する米軍約5,000人を撤退させるよう命じた」と報じ、国防総省のショーン・パーネル報道官も「この決定は欧州における部隊配置の徹底的な見直しを経て下されたものであり、戦域の要件や現地の状況を踏まえたものだ」「撤退は今後6か月から12か月の間に完了する見込みだ」と声明を発表。

Defense Newsも「匿名を条件に語った国防総省高官は最近のドイツの発言について『不適切で何の役にも立たない』『大統領はこうした逆効果な発言に対して正当な対応を取っている』と述べた」と報じている。

出典:Lockheed Martin

米国のバイデン大統領とドイツのショルツ首相は2024年7月「米国は2026年に陸上発射型の長距離攻撃能力をドイツに配備する」と言及し、2026年後半にLRHWやTyphon Weapon Systemを装備する長距離火力大隊のドイツ配備が予定されていたものの、Defense Newsは「今回の決定に伴いバイデン政権が約束していた長距離火力大隊の配備も取り消しになった」と報じており、恐らく欧州の米国離れはどんどん加速していくだろう。

本当にトランプ大統領は国際的な信頼と友人を失う天才で、ヒステリックな対応でどんどん自分の立場を悪くしており、トランプ大統領と決裂したメローニ首相は「彼とは何も話をしてない」「(トランプ大統領の関係修復については)何もしてない」と述べ、もうホワイトハウスと誰が最も親密であるかを競うチキンレースに再参加するつもりはない。

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※アイキャッチ画像の出典:Photo by Darrell Ames

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コメント

  • コメント (27)

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    • 幽霊
    • 2026年 5月 02日

    こうなるとヨーロッパにおける米国製兵器のシェアは落ちる事になりそうですね
    まあシェアの下落の影響が分かるのはトランプ大統領の任期明けになるでしょうから、トランプ大統領にとっては痛くも痒くも無いでしょうけど。

    39
      • 戦略眼
      • 2026年 5月 02日

      副大統領が頭を抱えているだろうな。

      18
      • のー
      • 2026年 5月 02日

      そうも行かないですよ。
      トランプは無茶しすぎたので、次の大統領選挙次第で自分に近い人に勝ってもらわないと
      色々と政治的な報復が待っております。
      下手すれば牢獄行きです。
      一族の身にも危険が及ぶかもしれません。

      43
        • ソミュア
        • 2026年 5月 02日

        ルビオあたりが勝って緩やかに軌道修正してくれないだろうか

        7
          • 暇な人
          • 2026年 5月 03日

          キューバが始まるかもしれない

        • 名無し
        • 2026年 5月 02日

        イラン情勢に伴うあからさまなインサイダー取引はもう誤魔化しようがないですからねえ

        47
    • 黒丸
    • 2026年 5月 02日

    NATOがLRHWの代わりに島嶼防衛用高速滑空弾を欲しがるかもしれないですが
    米国務省は3月25日「日本のHVGP能力向上型開発を支援するため機器およびサービス購入に関する対外有償軍事援助(推定総額3.4億ドル)を承認した」
    とあるように、こちらは米国の縛りを完全に外れているものではないので当面は厳しいかも。

    6
    • 名無し
    • 2026年 5月 02日

    『裸の王様』で、子供の指摘を受けた後の王様を連想。
    指摘された後も、虚勢でそのまま行進続ける辺り。

    11
    • イーロンマスク
    • 2026年 5月 02日

    ノルドストリームの爆破以来関係はますます悪い方向へ
    日本もそのうちアメリカとの関係悪化すんのかもね
    諸行無常

    10
      • elmoelmo
      • 2026年 5月 02日

      まあ、ノルドストリームを爆破されても文句一ついえなかだった方が異常でしたからね…。

      19
      • マミー
      • 2026年 5月 02日

      ノルド爆破は確実にイギリスが係わってると思う。
      あの国の外交戦略的に大陸欧州とロシアの接近は許しては成らないから。

      国家に永遠の友人は居ないから、いつかはアメリカと袂を分つのは自然な事、正し今ではない。

      13
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2026年 5月 02日

    宗教に対してあまりどうこう言いたくはないけど、教皇の「平和の君たるキリストの徒」という発言もどうかと思う
    キリスト教徒が言っていいことじゃないだろ

    47
      • kitty
      • 2026年 5月 02日

      「お前、それ十字軍の中で同じこと言えんの?」AA略

      30
    • たむごん
    • 2026年 5月 02日

    ついに始まりましたか…。

    ドイツ経済は、EU=ユーロで、マルク高の呪いを乗り越えたわけですが。
    ドイツ防衛面でも、周辺諸国が望む形で防衛力強化を進めていますから、経済軍事の両面で圧倒的に強いドイツが帰ってくるかもしれませんね!

    ドイツが、NATOの鎖から外れるどころか、NATOがドイツの軍備増強を望むとは時代が変わりましたね。

    12
      • 名無し
      • 2026年 5月 02日

      後段は同意ですが、前段については近々だと難しいかも。
      量的に膨れても、失ったノウハウを取り戻すまで時間を要するかもしれないので。
      要は、暫く『烏合の衆』状態に陥る可能性もあるかな?、と。

      6
        • たむごん
        • 2026年 5月 02日

        『ノウハウ』たしかに仰る通りです。

        一度失ったものを取り戻すのは、どの分野も大変困難でしょうね。

        4
      • Panzer
      • 2026年 5月 02日

      兎も角、これはチャンスでもあります。欧州における米国の軍事プレゼンスが後退し、欧州は強い理想論は放っても独力で現実の問題を解決できないのは近現代史が証明しています。つまり旗振り役不在なわけで、対して我が国は高市政権で輸出規制がやっと緩まった絶好の商機。旗振り役とは言わずとも、米国の技術的拘束の少ない独自技術をいくつか有している我が国が欧州へのプレゼンスを強めるいい機会ではないでしょうか

      8
        • たむごん
        • 2026年 5月 02日

        仰る通りで、失敗を恐れずに商機を掴むことを期待しています。

        『政治と経済は別』『経済1流・政治3流』経済安全保障が叫ばれる時代に有り得ないですから、安全保障関係の深化を通じて、上手にプレゼンスを高めて欲しいですね。

        6
      • 今北
      • 2026年 5月 03日

      サッチャー「強いドイツは駄目です!ゴルバチョフに電話して止めて貰わないと…(ソ連崩壊目前のためどうにもできず)」

      3
        • たむごん
        • 2026年 5月 03日

        まさに仰る通りで、フランス(ミッテラン大統領)も話してたみたいですね。

        イギリスはEU+ユーロ枠外なのに、軍事力が相対的に低下・経済も保険業(金融)ですら危うくなってますから、サッチャーが今の没落見たらビックリだろうなと…。

    • YF
    • 2026年 5月 02日

    もうアメリカの兵器生産能力が自前分を満たすだけで精一杯で、自分の国で出来る事に関しては自分でやってねって感じですかね。
    人員の削減については、トランプがお馬鹿さんなの置いておくとして、アメリカ自身に余裕がなくて特別必要のない人員は引き抜いて、必要な所に当てるって感じで実状に合わせた配置転換な気もします。

    4
      • Panzer
      • 2026年 5月 02日

      トランプ、人員削減は妥当な措置だと思うのです。米国の生産はとにかく人件費高騰がそのまま生産コストを何倍にもしてしまう最悪な人的効率の環境ですから、多少パフォーマンスを下げてでも給料泥棒を減らすのは最適かなと思います

      6
        • 名無し
        • 2026年 5月 03日

        『働きアリの法則』と言われるモノがあります。

        『よく働くアリ:普通に働く(時々サボる)アリ:ずっとサボっているアリ』の割合が概ね 2:6:2 になっており、
        組織の健全性や永続性のためには、サボりの2割にも存在意義があるとか。
        そしてアリ社会だけでなく、人間の組織でも似た傾向があるみたいです。

        日本の失われたうん十年の要因の一つとして、
        効率化の美名のもと無駄なリストラに励んだ無能経営陣の存在をあげる人もいたと思います。
        効率化は、それ自体を目的化してやり過ぎると長期的には害悪の方に働く事もある様です。
        目的に沿って、他の手段と併用するのが無難なのでしょうね。

        1
        • hiroさん
        • 2026年 5月 06日

        ドイツから引き上げるだけなので米軍として人員削減にはならないし、イニシャルにせよ移転に伴う余計な費用がかかるだけなのでは?

        1
    • せい
    • 2026年 5月 02日

    日本としては米欧の対立が対中での協調に与える影響が心配だな
    それとこれとは別をやってくれるならいいが、、、

    4
    • ルイ16世
    • 2026年 5月 02日

    別に戦争をしてはいけないと言うほど私は倫理観は高くありませんがその判断は勝率が9割を超える裏付けのある情報による一貫した戦略に基づいてなのか疑問に思う。

    2
    • aqua
    • 2026年 5月 02日

    最近思うんだけど、いずれ「アメリカ合衆国に第47代大統領はいなかった」という扱いになるんじゃないかと思う。
    ダムナティオ・メモリアエってこと。

    13

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