米国関連

米国、ウクライナ軍に155mm榴弾砲72門と砲弾14.4万発を提供

米国は155mm榴弾砲×72門と砲弾×14万4,000発をウクライナに提供すると21日に発表、国防総省のカービー報道官は「13日発表分と合わせれば砲兵大隊を5つ編成するのに十分な量だ」と述べている。

参考:Biden says he’ll make formal request to Congress next week on second supplemental funding package for Ukraine
参考:Пентагон раскрыл детали вооружения из нового пакета помощи Украине на $800 млн

流石に提供できる種類は見事にバラバラだが、NATO規格の155mm砲弾を使用できるので米軍の巨大な砲弾備蓄を活用できるようになる

8億ドルの新しい追加支援パッケージを発表したバイデン大統領の会見後、国防総省のカービー報道官はパッケージの中身について「155mm榴弾砲×72門、155mm砲弾×14万4,000発、榴弾砲を牽引するための軍用車輌×72輌、PhoenixGhostUAV×121機以上などが含まれている」と明かして注目を集めている。

出典:Jonathan Mallard / CC BY 2.0

カービー報道官は「13日発表分(155mm榴弾砲×18門と砲弾×4万発)を合わせると砲兵大隊を5つ編成するのに十分な量だ」と述べており、これに英国(種類数量とも不明)、カナダ(榴弾砲/数量不明)、オランダ(ブルームバーグによればPzH2000/数量不明)、ドイツ(ブルームバーグによれば155mm砲弾/数量不明)分を加えるとウクライナは相当量の榴弾砲を手に入れることになるが、チェコも契約済みの自走砲「ダナ」を引き渡し中で、スロバキアも自走砲「ズザナ」の売却に関する交渉を進めている最中だ。

流石に提供できる種類は見事にバラバラだが、ダナ以外はNATO規格の155mm砲弾を使用できるのでウクライナ軍は米軍の巨大な砲弾備蓄を活用できるようになり、ロシアとの戦いが長引けば長引くほどウクライナは兵站面で有利になるだろう。

出典:270862 / CC BY-ND 2.0 Zuzana

因みに謎のUAV=PhoenixGhostについてカービー報道官は「米空軍がウクライナの要件を満たすため急いで開発したものでSwitchbladeと同様の機能を提供する。ただPhoenixGhostとSwitchbladeは能力の範囲に違いがある」と説明しており、8億ドルの新しい追加支援パッケージに関する議会承認は来週に予定されている。

関連記事:スロバキア国防相、ウクライナへの自走砲「ズザナ」売却について協議中
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※アイキャッチ画像の出典:Photo by Staff Sgt. Helen Miller

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コメント

    • 774rr
    • 2022年 4月 22日

    流石の米軍
    当初分だと数足りないなと思ったけどこれだけ揃えば戦えるね

    28
    • うし
    • 2022年 4月 22日

    ナイツ塙「りゅう弾砲ってなに?と思われたかたは、やほーで検索(野砲)」

    14
    • 無無
    • 2022年 4月 22日

    バイデンのケチにしては良くやったほうだが、ウクライナを勝利に導くにはさらに高い次元での支援が不可欠
    すでに東西対決という現実なんだよ、ロシアはとっくにそのつもりなのに、なんで西側はうやむやのまんまで済まそうとするんだか

    9
      • 四凶
      • 2022年 4月 22日

       無視出来る程の核戦力じゃないからでしょ。NATOとか米国が仕掛けた戦争なんて、自国に直接大きな被害を与えるような兵器なんて保有してなかったし。

      8
      • けい2020
      • 2022年 4月 22日

      プーチンが核戦争起こさないという理性に期待してるんですか?

      西側はプーチンは理性的という幻想を抱いてて、この事態になってて
      プーチンに理性は期待出来ないと方針転換してる

      2
        • 無無
        • 2022年 4月 22日

        核戦争にならない程度の支援という基準を説明できますか
        すでに一線を越えているかも知れないが、それこそプーチンの脳内基準でしょ、
        そうやって独裁者の勝手な理屈に乗せられてて勝ち目が有るとでも?

        3
          • 四凶
          • 2022年 4月 22日

           それを言うならまず自分が核戦争になる基準を説明すべきでは?

           何故、西側が初手から正規軍を堂々と派遣して武装もUAVもガンガン提供しなかったの?出せばウクライナがこんなに悲惨な目に遭わなかっただろうしロシアにもっと大損害与えられていただろうに、それは2ヶ月が経とうとしている現在でも変わらない。
           真っ当な政府や軍ならCRMやIPBとかやってるし、それら複数の事から状況分析して第3次大戦にはならない局地戦争で留めようとしている、NATOがやろうと思えば米軍が多少疲弊してようがコソボやアフガン、イラクでやったような事が出来ない道理は無い。

           基準が知りたいと言うなら現状各国が行っている支援を見れば朧気には分かる話。最低限超えてはいけないラインがウクライナ以外の正規軍が表だってロシアに直接被害を与える事なんだろう。

           失礼な話だが、貴方はロシアがいざ何か起こしたとしても自分の身にはそれ程火の粉が掛からないだろうから自分の感情をぶつけているだけと言う事はないだろうか?
           死ぬのはウクライナ人やNATO諸国の兵士だけ、核が炸裂したとしても国土が汚染される可能性が高いのはウクライナを中心とする欧州だけ・・・。
           個人でウクライナに多大な寄付もしてなければ現地で人々を助けようともしていない。大規模な軍事支援もしていない国に住む物としては外野が安全地帯から偉そうな事を言ってもなってのはある。

          2
            • 無無
            • 2022年 4月 23日

            何いってるの、勝手にゴールポストを動かしてるのはプーチンですよ、相手を間違えるなよ
            プーチンの定めるルールを真に受ける時点ですでにやられてるよ、明日になれば違う基準で言い掛かりをつける独裁者なんだから

            1
    • あー
    • 2022年 4月 22日

    海兵隊の砲兵大隊削減で持て余すM777が有るんでしょうね。
    陸軍への配備分は連邦軍・州軍ともにIBCT、SBCTの重要な砲兵火力なので、難しいかもしれないですね。

    9
    • ななし
    • 2022年 4月 22日

    自衛隊が廃棄予定のFH70を提供できればいいんですけどね
    日本製を示すマーキングやプレートを全部無くしてアメリカに廃棄処理を委託という形にして
    アメリカ経由で引き渡しが出来れば、一応法律には触れずに提供できるかなと

    5
      • makumaku
      • 2022年 4月 22日

      5月初めころ、岸防衛大臣が訪米するらしいので、そのときに米国側とそういう話し合いが行なわれるんじゃないでしょうか。FH70は手土産として差し出すくらいでちょうどいいと思います。

      4
      • てつ
      • 2022年 4月 22日

      何年か前にF-35の導入によって退役するF-15J Pre-MSIPをアメリカに下取りしてもらい、下取りされたF-15Jはアメリカで近代化改修してから売却するという話があった。
      榴弾砲は概ね間に合いそうだから、F-15J Pre-MSIPをMSIP2相当、可能ならJSI相当に改修してウクライナに渡せば空軍力をかなり強化できるのにな、と思ったり。

      4
        • 四凶
        • 2022年 4月 22日

         そんなF-15の改造ノウハウあるイスラエルですらBUZにするには、新造機買えるほどの額と半年ぐらい掛けているのでコスパ良いかというとな。
         台湾みたいな制限下でのF-16V改造より日本産の機器を搭載してるんで面倒だと思うけど。

         ボーイングのEXラインとは別に作業が出来てマルチな性能求めずに制空特化なら安く短納期で出来そうではある。

        2
      • 匿名
      • 2022年 4月 22日

      そこはFH運用実績ある英軍経由で送り英軍の管理監督下で運用習熟してもらうの適当だろし技術援助の人的パッケージ化は日本には物理的に無理なので第三国頼みでよくてなんせ国産開発でなくラ国なのが都合いい
      他の火力装備送るにしろラ国の火砲でPF3やカールなら現場も困惑せずこっちとしても現地に人員も送る必要性なくなるのが選択肢としては大前提になるだろうなとそうでない代物はどうあがいても物理的に無理と

      1
    • くらうん
    • 2022年 4月 22日

    >PhoenixGhostとSwitchbladeは能力の範囲に違いがある

    少なくともSwitchblade300や600の性能に不満だったということで、宇軍が求める要件はやはり射程(滞空時間)だろうか。

    5
      • 四凶
      • 2022年 4月 23日

       Switchblade600なら射程よりは通信環境考えると滞空時間の方だろう、低速で射程40km台と言うのはちょっと使い勝手がね。最大射程なら巡航速度でしか無理だろうし、事前展開してない限りは20分以上かけて移動だからな。
       Switchblade300の場合は軽量なのは嬉しいが40mmグレネード同等の弾頭威力は威力不足かなとは思う。

       個人的な想像は横に置いてどこまで信じられるかだが関係者の話としては以下。

       中程度の装甲に対応/垂直離陸能力/6時間の滞空時間/赤外線カメラ搭載

    • AAA
    • 2022年 4月 22日

    やはりアメリカの軍事支援はすごい
    レンドリース法下院可決も今日だし
    これを見てロシアも考え直さないかなあ

    19
    • 無印
    • 2022年 4月 22日

    この戦争が終わる頃(いつ終わるか解りませんが)、西側の予備の兵器はスッカラカンになってそうだ
    間髪入れず中国が台湾に侵攻したら、どこの国も台湾に兵器を送れない(物が無い)なんて事にならないだろうか

    5
      • そばーしゅ
      • 2022年 4月 22日

      その心配はないでしょう、戦いの舞台がまるで違う。
      ウロ戦争はもろに陸戦、台湾は海空戦になる。台湾への支援は各種ミサイル、レーダーシステムなどがメインでしょう。

      そうだ、今のうちに03式改を大量に作ってだな、10setくらい行方知れずになってもだれも気付かないかも(妄想

      9
        • てつ
        • 2022年 4月 22日

        流石にそれは目立つから、SAM-4改の配備で退役するホークⅢのスクラップ請負先を台湾の業者にするといいですよ。

        6
        • AH-X
        • 2022年 4月 22日

        そうなる前にロシアの兵器庫がスッカラカンでしょうな。

        3
      • にし
      • 2022年 4月 22日

      NATOとロシアの防衛費を比べてください・・・

      11
        • zerotester
        • 2022年 4月 22日

        計算してみると、NATOの上位10ヵ国の軍事費でロシアの17倍ですね
        大半アメリカですけど欧州の国は今後増額するところが増えそうです

        7
    • 名無志野
    • 2022年 4月 22日

    M198を供与するのだと思っていたのでM777は意外です

    2
    • hiroさん
    • 2022年 4月 22日

    1門あたり2,000発の砲弾って、どの位保つのだろう?
    何発か射撃して即移動を繰り返すなら数週間は大丈夫なのかな?

      • ダヴー
      • 2022年 4月 22日

      撃つときの装薬量によって前後しますが、
      だいたい2000発程で砲身寿命が尽きるようですよ。

      • 浅見真規
      • 2022年 4月 24日

      アメリカって危険なガラクタを軍事支援するんだなと呆れました。

      wikipedia『対砲兵レーダー』によれば、最近は地平線下で見えなくても対砲レーダーで発砲地点割り出されて即反撃されるので、数発発砲したらすぐに撤収・移動せねば場所を割り出されて反撃されるので撤収に時間のかかる牽引式の榴弾砲より自走砲の方が優れているのだそうな。
      牽引式の榴弾砲では手際よく撤収しても6分以上かかるので、百発も撃たない内に殺されてしまうのではないでしょうかね。
      一門あたり(性能の悪い安い砲弾を)2000発も砲弾渡されたら攻撃されたら誘爆の危険もあるし。
      どうせなら、少量でもM982 エクスカリバー砲弾と(それが使える)自走砲を支援すべきだと思いますね。

    • 浅見真規
    • 2022年 4月 24日

    アメリカって危険なガラクタを軍事支援するんだなと呆れました。

    wikipedia『対砲兵レーダー』によれば、最近は地平線下で見えなくても対砲レーダーで発砲地点割り出されて即反撃されるので、数発発砲したらすぐに撤収・移動せねば場所を割り出されて反撃されるので撤収に時間のかかる牽引式の榴弾砲より自走砲の方が優れているのだそうな。
    牽引式の榴弾砲では手際よく撤収しても6分以上かかるので、百発も撃たない内に殺されてしまうのではないでしょうかね。
    一門あたり(性能の悪い安い砲弾を)2000発も砲弾渡されたら攻撃されたら誘爆の危険もあるし。
    どうせなら、少量でもM982 エクスカリバー砲弾と(それが使える)自走砲を支援すべきだと思いますね。

    • 浅見真規
    • 2022年 4月 24日

    すみません。同じ内容を二重投稿してしまいました。

    また、良く考えて見ると安い砲弾でもドローンで着弾確認して補正して再射撃すれば当たるので安い砲弾でも役に立つかもしれません。ただ、牽引式の榴弾砲は対砲レーダーで位置割り出して反撃される危険から問題だと思います。
    尚、いくら砲弾が大量にあっても、やみくもに砲撃してたら麦畑に穴を開けるだけなので意味の無い場合もあります。
    ちなみにロシア軍はやみくもに麦畑に砲撃したみたいです。
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