米国関連

レイセオン、国防総省とトマホーク、AMRAAM、SM-3、SM-6の大増産で合意

Lockheed Martinは1月「PAC-3MSEとTHAADミサイルの生産能力増強で国防総省と合意した」と発表したが、RTXも4日「トマホーク、AMRAAM、SM-3Block IB/IIA、SM-6の生産能力増強や納入加速で合意した」と発表し、各ミサイルの生産能力は2~4倍になる見込みらしい。

参考:RTX’s Raytheon partners with Department of War on five landmark agreements to expand critical munition production
参考:RTX to ramp up production of five weapons in new deal with Pentagon

PAC-3MSE、THAADミサイル、トマホーク、AMRAAM、SM-3Block IB、SM-3Block IIA、SM-6の各増産目標の達成は7年後の話

Lockheed Martinは1月6日「PAC-3MSEの生産と納入を加速するため国防総省と画期的な枠組み協定を締結した」「7年間の契約で年間生産能力を約600発から2,000発に増強する」と、29日「国防総省とTHAADミサイルの年間生産能力を4倍に強化する枠組みで合意した」「THAADミサイルの生産量は今後7年間で年96発から年400発に増加する」と発表したが、RTXも4日「Raytheonと国防総省が5つの画期的な枠組みで合意した」「トマホーク、AMRAAM、SM-3Block IB、SM-3Block IIA、SM-6の生産能力を大幅に増強して納入を加速させる」と発表。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Reagan Hardy

RTXが国防総省と合意した枠組みはPAC-3MSEやTHAADミサイルと同じ「7年間の枠組み」で、RTXは5種類のミサイルの現生産能力には触れず「トマホークは年1,000発以上、AMRAAMは年1,900発以上、SM-6は年500発以上まで生産能力が増強される」「Block IBの生産を加速させる」「Block IIAの生産を増強する」「現在と比べて2~4倍になる見込み」と説明し、正式な契約の締結については「いつになるか分からない」と述べているため、恐らく2026年度予算が成立した後の話だろう。

トマホーク、AMRAAM、SM-6の生産能力について公式な発表がないため「2~4倍」という数字を乱暴に当てはめると「トマホークは年250発~500発の間」「AMRAAMは年475発~950発の間」「SM-6は年125発~250発の間」となり、SM-3Block IBとSM-3Block IIAについては「増強後の数字」に言及がないため乱暴に計算すること出来ない。

出典:U.S. Navy photo/Released

因みに予算文書に記載された数字から推定されるBlock IBの年間生産数は30.6発前後、Block IIAの年間生産数は12発に過ぎず、 Block IBの調達単価は1発18億円、Block IIAの調達単価は1発54億円で、SM-3は「短距離から中距離の弾道ミサイルを迎撃できる」と紹介されることもあるが、SM-3は弾道ミサイルを大気圏外の中間段階で迎撃するため、戦術弾道ミサイルや短距離弾道ミサイルの迎撃は「ロフテッド軌道」で発射されないかぎり迎撃は不可能だ。

さらに変則弾道(準弾道軌道)で成層圏上限を這うように飛行するイスカンデルタイプの迎撃も不可能で、これらの脅威については終末段階で迎撃するPAC-3MSEやTHAADミサイルの領分となり、SM-3の用途は「中距離以上の弾道ミサイルしか迎撃できない」「SM-3は最低迎撃高度を下回ってくる中国のDF-17や北朝鮮のKN-23に対しては役に立たない」と認識しておいた方がいい。

出典:米ミサイル防衛局

兎に角、増産に向けた設備投資やサプライヤーとの調整はこれから始まるため、PAC-3MSE、THAADミサイル、トマホーク、AMRAAM、SM-3Block IB、SM-3Block IIA、SM-6の各増産目標の達成は7年後の話で、短期的にミサイルの供給量が大幅に増えることはないが、米産業界にとって7年間の枠組みは設備投資を喚起する強いシグナルとなるだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Sunderman/Released

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コメント

  • コメント (19)

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    • kitty
    • 2026年 2月 05日

    一番喫緊のカテゴリはASBMに対してなんだろうけど、迎撃には海軍の中の人は自信持ってたけどどうなんだろうね。

    6
      • SB
      • 2026年 2月 05日

      まあASBMにしろHGVにしろ、中間段階の迎撃が難しいですがターミナル段階では基本的に自分に向かってそのまま突っ込んでくるだけですからね

      8
    • たむごん
    • 2026年 2月 05日

    日本目線で見れば、日本も抑止力を高めるためにドンドン投資して欲しいですね。

    極東で紛争が発生すれば、数十兆円~数百兆円単位の富が消し飛ぶのも現実的ですから、保険としての意味合いも強いからです。

    15
      • 他人事では無い
      • 2026年 2月 05日

      日本の生産量込みなのだろうか?

      2
        • たむごん
        • 2026年 2月 05日

        三菱重工が、アメリカに輸出するなんてことがありましたよね。

        どうなんでしょうかね?

        2
      • のー
      • 2026年 2月 05日

      戦争が起こったら甚大な損害が発生しますので、抑止力の必要性は同意です。
      今の日本には軍備増強は避けられないでしょう。
      しかし、軍備は投資にはならないですよ。
      軍備それ自体はなにも生産しないので、ケインズ経済学のいわゆる単に穴を掘って埋め戻すのと変わらないです。
      もし人手も設備も余っている状況なら、何もしなで遊ばせているよりは多少マシというだけです。
      過去に無駄だ無駄だと叩かれてた道路を作るほうが、まだ経済効果は大きいかもしれません。
      ただし輸出は別です。武器輸出の場合は、軍備増強の無駄を輸出先に押し付けるからです。
      あとイスラエルみたいに採算度外視の技術開発が、思わぬスピンオフを生む場合があります。
      でも狙ってやれるものではないですね。

      10
        • たむごん
        • 2026年 2月 05日

        なんとか上手に回って欲しいものですね。

        那覇空港第二滑走路のように、官民両用のインフラ建設に近いものは分かりやすいものの。
        イスラエルのように、兵役中に理系人材育成~ベンチャーキャピタルから資金投入~新産業育成の仕組み作りは難しいでしょうね。

        (個人的な意見ですが)安全保障=防衛費は保険に近いもので、戦後60年以上戦争がなかったことで充分な投資対価を得られたなと。
        中国の軍備増強とんでもないスピード感ですから、日本の防衛費増強は仕方ないですから、上手に産業育成に繋がればいいなと注目しています。

        8
        • noname
        • 2026年 2月 06日

        抑止力論者の中には戦争抑止力の意で言ってないのも居るからなあ…
        「相手の攻撃を抑止すれば一方的に攻撃したい放題だぜヒャッハー」的な

        3
        • NHG
        • 2026年 2月 06日

        昔はセラミックなど民生技術の軍事転用が日本の強み(わりかし少な目の軍事開発予算のわりに高性能)とされてたんだけどねぇ
        今トレンドのドローンは民生品の軍事転用が当たり前になってるから、おおざっぱに言えば投資になりそうな気がしないでもない

        4
          • たむごん
          • 2026年 2月 06日

          AndurilがKizunaドローンを作る過程で、日本企業との取引を重視していたのですが、コメント欄で事例を御紹介されてた方がいたのを思い出しました。

          この実績を基にして、日本の民間企業との取引拡大という記述もあるため、防衛産業との関わりをきっかけとした成功事例が増えればいいなと感じています。

          >これらの実績を見て、日本企業も遅ればせながらアスターの技術力を認め始めた。重電メーカー、自動車メーカーなどから、ドローンやモビリティー分野での引き合いが増え始めている。上場準備も進む。もし2社の米国スタートアップ企業が見出さなければ、アスターの技術が持つ不可欠性は日本の企業社会の風土の中で顧みられることなく埋もれ、本郷の思いも潰えていたかもしれない。

          (2026.01.26 防衛テック・アンドゥリルは、なぜ秋田の未上場モーター会社を選んだのか 実業之日本フォーラム)

            • NHG
            • 2026年 2月 06日

            自国の中小企業を下に見るのは日本の大企業の持病みたいなところあるみたいだからね
            昔懐かしの「読むクスリ」のエピソードで、日本の中小企業が開発した世界初の松脂を使わないハンダも日本の大企業は軒並み不採用(現場の人間は乗り気なのに、上層部が「どこの馬の骨かわからないものを採用できるか」と拒否)。ならばとアメリカでとアプローチしたら、アメリカ企業では現場の人間が「OK」と言ったら採用、次の企業で「××でも採用されました」と言ったらその場で電話をかけ即決。最終的にNASAとも契約して凱旋すると、日本企業が手のひら返しで採用しだしたという話があったぐらいだから、文化ってのは変わらんのだなぁと

            5
    • かず
    • 2026年 2月 05日

    良いニュースはニュースなんだけど、七年後に目標達成って言葉に焦燥感を覚えます
    イージス・システム搭載艦竣工とかには全然間に合わない

    5
      • nachteule
      • 2026年 2月 06日

       別に日本の都合だけで動いている訳じゃないから、加速させたいなら直接投資ぐらいしてから偉そうな事を言うべきでしょうね。

       対空ミサイルだけで言うならこれから米海軍がSM-6の比率を増やしてくれるなら余剰のSM-2を安く購入するとか23式艦対空誘導弾改とか作って運用能力持たせるなりESSM搭載能力持たせるとかやれるだけやって、SM-6とSM-3増産を待つしかない。むしろこんごう型のイージスシステムが制限だらけで新型ミサイルの能力を完全には活かしきれないからこんごう型以降のイージス搭載艦にミサイルを渡すのも一つの手ではある。後はドック入りの艦からミサイル移し替えるとかやれる事をやるしかないでしょう。

        • かず
        • 2026年 2月 07日

        最初からライセンス生産を認めといてくれよって思わんでもないです

        1
    • AKI
    • 2026年 2月 05日

    日本のTHAAD導入には、何故かうるさい人達がいるので。
    03式中距離地対空誘導弾の改善型には期待したいですね。

    担当範囲は違いますが、国産ミサイルである事は大きい。

    2
      • kitty
      • 2026年 2月 06日

      日本の場合はNIMBY施設としての反対なので、米国産だろうが国産だろうが変わらないと思いますよ。

      1
      • NHG
      • 2026年 2月 06日

      THAADは対応高度が高すぎて日本防衛に使えないと聞いたような気が・・
      それにTHAAD導入の大きなニュース聞いたことがあまりないから地上配置イージスのことかな?

      4
    • 神田明(仮名)
    • 2026年 2月 06日

    SM-2について取り上げられていないようですが、十分な量で生産されているという事なのでしょうかね?

      • ネコ歩き
      • 2026年 2月 07日

      SM-2生産はSM-6に移行する計画だったかと。

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