民主党議員はヘグセス国防長官に対して2025年12月と2026年4月に弾劾決議を提出したものの本会議での採決には至らなかったが、今度は共和党議員から特権動議として弾劾決議が提出され、中間選挙前に「ヘグセスを容認するのかしないのか」を明確にするよう迫られる格好になった。
参考:US Republican lawmaker seeks Hegseth’s impeachment over Iran
参考:Republican Rep. Massie moves to impeach Defense Secretary Hegseth over Iran war
民主党は中間選挙の激戦区で「ヘグセスは議会承認なしに戦争を続けてガソリンを高くした。共和党の議員はその弾劾を止めた」と攻撃できる
トランプ大統領が2025年1月にホワイトハウスへ復帰し、ピート・ヘグセス氏が国防長官に就任してから現在までにドリスコル陸軍長官、フェラン海軍長官、ブラウン統合参謀本部議長、ジョージ陸軍参謀総長、ミンガス陸軍副参謀総長、フランケッティ海軍作戦部長、オールヴィン空軍参謀総長、スライフ空軍副参謀総長、ドナヒュー欧州・アフリカ陸軍司令官、ホルジー南方軍司令官、ホドネ陸軍変革・訓練司令部司令官、サンズ海軍特殊戦司令部司令官、ホー国家安全保障局長官兼サイバー軍司令官、クルーズ国防情報局長官など20人以上の軍高官が解任、更迭、早期退職で国防総省や軍を離れた。

出典:U.S. Army photo by Staff Sgt. Alexander Nieves
さらに選考委員会が審査を行い合格させた将官・提督への昇進候補者も恣意的に削除し、少なくとも2026年だけで女性や黒人を中心に45人以上が昇進の道を断たれており、New York Timesは9月1日「ヘグセスによる軍高官の解任、更迭、早期退職、昇進阻止による粛清は軍上層部の約10%に影響を及ぼしている」「軍関係者はヘグセスの人事について『職務遂行能力に基づくものではなく、国防長官が自身の政治的・イデオロギー的見解に沿った組織、特に上級幹部を作り上げようとするより広範な取り組みの一環だ』と話している」と報じたことがある。
この粛清で最も大きな打撃を受けているのが陸軍で、ヘグセス国防長官は少なくともジョージ陸軍参謀総長の有力な後継候補と目されていた3人の将軍(ミンガス大将、ドナヒュー大将、ホドネ大将)を事実上解任し、自身の補佐官だったラニーブ大将をミンガス大将の後任として陸軍参謀総長に指名している。さらにイタリアに駐留している第173空挺旅団の指揮官は「女性空挺兵のためのメンターシップグループの存続を容認した」「女性限定の空挺降下訓練を実施した」という理由で准将昇進リストから外された。

出典:U.S. Army photo by Sgt. David Resnick
このような粛清人事は議会承認なしに始めた海外作戦の問題と合わせて大きな反発を生み出し、民主党議員は2025年12月(H.Res.935)と2026年4月(H.Res.1177)に弾劾決議を提出したものの、どちらも下院司法委員会に付託(事実上の棚上げ)されて本会議での採決には至らなかったが、今後は共和党のトーマス・マッシー下院議員が特権動議としてヘグセス国防長官の弾劾決議を提出し、共和党議員は中間選挙前の微妙な時期に「ヘグセスを容認するのかしないのか」を明確にするよう迫られる格好になって注目を集めている。
マッシー下院議員は民主党議員とは異なり「特権動議」で弾劾決議を提出しているため、議会指導部の意向を無視して2開会日以内に本会議採決を強制することができ、Reutersも「対イラン戦争やイスラエル支援を公然と批判してきたマッシー氏はエプスタイン関連文書の公開を求める動きを主導してトランプ大統領の怒りを買い、今年5月の予備選でトランプ大統領が推薦する候補者に敗北しているため11月の中間選挙には出馬しない」「弾劾決議が可決される公算は小さいものの下院での採決を強いる可能性があり、11月の中間選挙に向けてワシントンを離れる一部の共和党議員にとっては厳しい対応を迫られる事態だ」と報じた。
I’m live on @RedactedNews right now.
We’re discussing the Articles of Impeachment I introduced against Secretary of War Pete Hegseth today, as well as the latest developments with the discharge petition for the Epstein Files Transparency Act II.
Tune in! https://t.co/7GIF4VArAV
— Thomas Massie (@RepThomasMassie) September 15, 2026
下院はまもなく11月3日の中間選挙に向けた長期休会に入る予定なので、17日の木曜日までに弾劾決議を採決しなければならず、共和党指導部は棚上げ動議で対抗して「ヘグセス国防長官の弾劾決議で意思表示をしない」という戦術に出てくる可能性が高いものの、どちらに転がっても民主党は中間選挙の激戦区で「ヘグセスは議会承認なしに戦争を続けてガソリンを高くした。共和党の議員はその弾劾を止めた」という分かりやすいCMを大量投下できるため、Reutersが「一部の共和党議員にとっては厳しい対応を迫られる事態だ」と報じるのだ。
恐らく可能性は低いと思われるが、弾劾動議や棚上げ動議の採決ラインは217票(共和党218、民主党214、無所属1)以上で、マッシー下院議員を含めて共和党から3人の造反が出れば中間選挙へのダメージはさらに大きくなり、民主党は「中間選挙で勝利すればヘグセス国防長官を徹底的に追及する」と公言し、一部の民主党議員はヘグセス国防長官の弾劾に動く可能性も示唆しているため、中間選挙後に向けて本物の弾劾動議がウォームアップを始めているかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:DoW photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Eric Brann




















米軍にポリコレに侵されたガンの様な人物がいっぱい居るんだろうけど、とは言えあれだけ大きな組織の上層部に、昇進して来る人材はほとんど優秀だと思う中、あれだけ粛正人事をするってのは、トハチェフスキー以下メチャクチャになった赤軍を連想させるんですが。
「嫌いなものが2つある。一つは人種差別で、もう一つはクロンボだ!」みたいな感じ?
アメリカみたいな多様な国でポリコレを否定したらどうなるか、これだけ現実を見せつけられてもまだ分からないのかなあ
まだそんな解像度でこの1年間を見てるのかよ
現在のトランプ政権の支持は低いけど、じゃあ民主党の支持は高いかと言うと実は共和党の方が若干高いし、MAGA票は意外と固くて支持層が離れてるわけじゃない
典型的な『政権は支持していないが野党に政権を取ってほしいわけじゃない』状態なんで、ぶっちゃけどこかの時点で粛清される可能性は高いと思う
民主党の内情も全然宜しくないですからね。敗れても不思議は無いかな。
2月以降はどの調査でも、10ポイント前後の差でずっと民主党優位じゃないですか?
民主党の下院奪還はもう既定事項で、あとはどれくらい安定多数をとれるかの問題だと思う。
それはどちらが議会の席を取るべきか?の世論であって、党の支持率はまた別です
「文民統制」どころか「国防長官による軍の私物化」ですね。
次回選挙に出馬できない共和党議員が「弾劾に賛成か反対か示せ」とやるだけで共和党の中間選挙前ダメージは大きくてもMAGA岩盤層には届かない、というところが最大の問題だと思います。
トランプの権力を制限するには「MAGA岩盤層の解体」が不可欠なのですが「民主党がMAGA岩盤層をどのように受け入れるのか」がない限り、トランプとその一派は民主党(場合によっては共和党も)攻撃対象にしてやりたい放題を続けるでしょう。