米国関連

月産1機VS11機、10倍の量産規模で中J-20を圧倒する米F-35

中国は昨年、台湾空域を管轄する東部戦区空軍機関の精鋭部隊、芜湖湾里空軍基地に駐屯する第3戦闘機師団第9航空連隊にステルス戦闘機「J-20」を正式に配備したが、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は中国周辺に配備されるF-35に対抗するには100機から200機のJ-20が必要で、同機の量産速度を引き上げる必要があると指摘した。

参照:China must make more J-20 stealth jets to meet air force demand, say military analysts

量産で躓く中国J-20に対し、3桁の量産量で圧倒する米国のF-35

最近、中国は第3戦闘機師団第9航空連隊に配備した国産のステルス戦闘機「J-20」が、戦闘機「J-16」や「J-10」と実戦訓練を行っている様子を披露し、この訓練に登場した戦闘機3機種(J-20、J-16、J-10)を「空の三銃士」と呼び、このような組み合わせが多彩な戦術を可能にすると説明した。

出典:emperornie / CC BY-SA 2.0 2機のJ-20戦闘機

披露された訓練内容は、ステルス性能が劣る戦闘機「J-16」がレーダーを使用して敵を検出することで注意をひきつけ、敵が戦闘機「J-16」に喰いつくと、ステルス性能が優れている戦闘機「J-20」がミサイルで奇襲を掛け、もし敵が視界内まで接近してくれば推力偏向ノズルのおかげで機動性が優れている戦闘機「J-10」が迎え撃つという三段構えの内容だ。

中国がステルス戦闘機「J-20」用いた戦術内容をアピールしたのは、国内外に対しJ-20が順調に戦力化されているのを示し、中国周辺に展開・配備されている米国製ステルス戦闘機F-35ライトニングⅡを牽制するのが狙いだと見られているが、量産速度の面で大きな差を付けられている。

出典: public domain F-35A

米国のロッキード・マーティンは昨年だけでF-35を134機製造(累計製造数490機以上)したと発表、2023年までに年間製造数を170機以上に引き上げる予定で、F-35の製造がピークに達するまで年間製造数は増加し続けると話しているのに対し、成都飛機工業(集団)公司で製造されている中国のJ-20は月産1機、年間で約12機(累計製造数約50機)程度しか供給できていないためF-35に圧倒的されている。

恐らく中国がJ-20の量産を少数に留めているのは、中国製のエンジン「WS-10B」(もしくはロシア製AL-31)を搭載したJ-20では、超音速飛行時の操作性とステルス性能が低下しているためで、この問題を解決する新型国産エンジン「WS-15」の完成を待っているのだが、開発は予想以上に遅れており、同エンジンを搭載したJ-20が完成するのは2026年以降の話だ。

このようにステルス戦闘機「J-20」の量産に手間取っている中国に対し、米国は2025年までに中国周辺(米軍+日本と韓国)にF-35を200機前後配備する予定で、香港の軍事専門家は少なくとも100機から200機のJ-20が必要だと指摘し、新型国産エンジン「WS-15」の完成を待つのではなく、今直ぐJ-20の量産速度を引き上げるべきだと言っている。

果たして、中国は性能の劣るエンジンを搭載したJ-20の量産速度を引き上げるのだろうか?その判断が注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:Alert5 / CC BY-SA 4.0 エアショー中国2016でのJ-20

韓国との「KFX」共同開発は中止? インドネシア、仏戦闘機「ラファール」を購入か前のページ

F-35プログラム不参加を反省? ポーランド、米ステルス無人戦闘機計画への参加を希望次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    オーバーホールが完了した米強襲揚陸艦、相次ぐ故障で海に戻れず

    ワスプ級強襲揚陸艦「ボクサー」は1年以上前にオーバーホールが完了したも…

  2. 米国関連

    不透明なF-15EXの将来、空軍長官が調達中止の検討を行うよう指示

    ケンドール米空軍長官はF-15EXの調達中止を検討するよう空軍に指示し…

  3. 米国関連

    NATOの常設海軍部隊を参考? 国防総省が太平洋地域に常設の海軍機動部隊創設を検討

    国防総省は中国の脅威に対抗するため太平洋地域に常設の海軍機動部隊を創設…

  4. 米国関連

    米国防総省、ウクライナ軍の防空能力は米国が予想していたよりも質が高い

    米メディアのCNNは26日、国防総省の話を引用して「ロシアはウクライナ…

  5. 米国関連

    再掲載|米軍の足を引っ張る海上輸送と空中給油機の問題

    米軍にとって中国やロシアが開発した極超音速ミサイルも問題だが、大半の陸…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 24日

    >ステルス性能が劣る戦闘機「J-16」がレーダーを使用して敵を検出することで注意をひきつけ、敵が戦闘機「J-16」に喰いつくと、ステルス性能が優れている戦闘機「J-20」がミサイルで奇襲を掛け

    肉壁戦術かいw
    実用性はともかく面白いこと考えるなあ

      • 匿名
      • 2020年 1月 25日

      地上レーダーなど敵防空網制圧(SEAD)任務の空対空戦闘版ですね。
      SEAD任務では「ワイルド・ウィーゼル」機体(現行はF-16C/D Block 50D/52Dが主力)を使いますが、空対空戦闘なら無人機を使うのが妥当でしょう。
      無人機でも有人遠隔操作だとオペレーターのメンタルに影響しそうなので自律型無人機の方が良さそうですが。

    • 匿名
    • 2020年 1月 24日

    新型インフルエンザの件でもそうだけど中国は本当の事を報道しないから、月産1機という情報がそもそも本当なのかどうか非常に疑問。

    1
      • 匿名
      • 2020年 1月 24日

      ストレートに吸気して真っ直ぐ吐き出すことでパワーを出すエンジンを、ステルスっぽくする為にダクトで吸気通路を曲げるから抵抗になってパワー不足。元々 耐久性無視でパワー絞り出すカリカリエンジンに無理させるから耐久性が更に悪化。 怒濤のサイバー窃盗してオリジナルよりチョイ落ちが完成出来て量産すると、アチコチの下請けで材料 工程 での中抜きでガタ落ち→開発進まず!

        • 匿名
        • 2020年 1月 25日

        ソースは?
        そこまで書くのなら何らかの情報源があるのだよね?

        1
          • 匿名
          • 2020年 1月 27日

          願望でしょ。相手にしなさんな、調子づくだけ

          1
    • 匿名
    • 2020年 1月 24日

    J-20に全般的な問題が有るのかもしれない。

    • 匿名
    • 2020年 1月 24日

    一方F-35は電波すら照射せず光学センサで3機を捕らえ、別のF-35に射撃を実施させ3機とも撃墜させてしまうのであった。
    チート相手には勝てんわな。

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
PAGE TOP