米国関連

フォード級空母2番艦の引き渡しが再び遅延、2026年から2027年に延期

米海軍はフォード級空母2番艦=ジョン・F・ケネディの引き渡し時期について「当初予定より2年遅れ」とアナウンスしていたが、USNI Newsは入手した予算編成資料に基づき「2番艦の引き渡しは2025年7月から2027年3月に変更された」「艦艇建造の遅延リスクは最大28ヶ月まで悪化している」と報じた。

参考:Carrier John F. Kennedy Delivery Delayed 2 Years, Fleet Will Drop to 10 Carriers For 1 Year

ジョン・F・ケネディは2026年5月に予定されているニミッツ退役に間に合わないため、海軍の空母保有数は2027年3月まで11隻から10隻に減少

米海軍はフォード級空母2番艦=ジョン・F・ケネディの引き渡し時期について「2024年6月」とアナウンスしていたが、議会がF-35C運用能力の後付を認めなかったため「ニミッツ退役による戦力の空白を最小限に抑える構想」は御破算となり、2段階方式を1段階方式に改めたジョン・F・ケネディの引き渡し時期は「2025年以降」に変更されたものの、海軍当局者は今年4月「フォード級空母の建造も兵器エレベーターやカタパルトのクリティカルパス問題が解消されておらず、2番艦は2025年から2026年に、3番艦は2029年から2030年に変更された」と明かしていたが、どうやらフォード級の建造はまだまだ遅れるらしい。

出典:Official U.S. Navy/Public Domain

USNI Newsは入手した海軍の予算編成資料に基づき「2番艦ジョン・F・ケネディの引き渡しは2025年7月から2027年3月に、3番艦エンタープライズの引き渡し時期も2029年9月から2030年7月に延期された。2024年に実施された『包括的な造船計画の見直し』で艦艇建造には18ヶ月~24ヶ月の遅延リスクがあると判明したが、このリスクは最大28ヶ月まで悪化している」と報じ、ニューポート・ニューズ造船所は建造の遅れについて「2番艦建造はかなり進んでいたため1番艦建造で得られた教訓をタイムリーに反映できなった」「3番艦と4番艦は建造プロセスの早い段階で1番艦の教訓を取り入れている」と説明している。

但し、海軍の予算編成資料はジョン・F・ケネディ建造が遅延する原因について「建造に不可欠な資材納入の遅れ」「産業界やサプライチェーンのパフォーマンス不足」を上げており、1番艦建造で得られた教訓の反映というよりも「お馴染みの問題」で建造が遅れている可能性が高い。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Kristopher Ruiz

因みにフォードの実戦配備を予定通りに行うため、米海軍は不足する部品を建造中のジョン・F・ケネディから取り外して流用しており、USNI Newsの取材に応じた海軍担当者も「制御用のHMIスクリーン、様々なシステムに使用されているモーターコントローラー、電源ユニット、小型ポンプ、リミットスイッチ、バルブアクチュエータなどがケネディから取り外されフォードに運び込まれている」と認めたが、当時の海軍は「2024年に予定されているジョン・F・ケネディの引き渡しに影響はない」と主張していた。

どちらにしてもジョン・F・ケネディは2026年5月に予定されているニミッツ退役に間に合わないため、海軍の空母保有数は2027年3月まで11隻から10隻に減少し、エンタープライズも2029年頃に予定されているドワイト・D・アイゼンハワー退役に間に合わない可能性が高く、空母が定数を割り込む状況は日常化するかもしれない。

関連記事:米海軍の主要艦艇建造が再び遅延、コンステレーション級も批判の対象に
関連記事:米海兵隊の海外展開が困難、艦艇の維持・建造費用を戦費に転用したのが原因
関連記事:米海軍作戦部長、フォード級空母に未検証の技術を詰め込み過ぎたと失敗を認める
関連記事:米海軍が中国海軍に追いつかれた原因、奇妙なアイデアに時間と資金を浪費したため
関連記事:何もかも遅れる米海軍の計画、コンステレーション級は最大3年遅れる可能性
関連記事:コンステレーション級が計画外の重量増に直面、耐用年数が短くなる可能性
関連記事:米海軍の不満が爆発、発注したバージニア級原潜は何処に消えたのか?

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo illustration courtesy of Newport News Shipbuilding/Released

ポクロウシクを巡る戦い、右翼方面におけるウクライナ軍の状況は急速に悪化前のページ

スペインが砲兵戦力の近代化に大規模投資、新型自走砲を214輌調達次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米陸軍、中国の巡航ミサイルからグアムを守るためアイアンドーム配備を発表

    米陸軍は低空から接近してくる巡航ミサイルの暫定的な解決策としてグアム島…

  2. 米国関連

    米海兵隊がF-35Bの調達数を73機削減、代わりにF-35Cの調達数を増やす

    米海兵隊は3日に発表した2025年海兵隊航空計画の中で「F-35Bの調…

  3. 米国関連

    極超音速兵器開発で先行する露中への回答、米国、極超音速兵器「AGM-183A」のイメージを初公開

    米国のロッキード・マーティンは最近、極超音速兵器開発プログラム「AGM…

  4. 米国関連

    元米空軍中将はF-35Aを支持、ライフサイクルコストではなく費用対効果を重視せよ

    ミッチェル研究所は「ライフサイクルコストが安価だと言う理由でF-15E…

  5. 米国関連

    トランプ大統領、米国は国防支出5.0%基準について達成義務を負わない

    米国はNATO加盟国に国防支出基準として5.0%を、これと同じ基準をア…

  6. 米国関連

    海に戻ってきた世界最大の空母「ジェラルド・R・フォード」、15ヶ月ぶりに大西洋に向け出港

    米海軍は10月25日、空母「ジェラルド・R・フォード」が約15ヶ月ぶり…

コメント

  • コメント (15)

  • トラックバックは利用できません。

    • もへもへ
    • 2025年 7月 08日

    米海軍の艦艇建造で近年計画通りにいったものあるのだろうか。。。。
    建造遅延、予算超過、開発失敗が常態化してて一向に解決されないのはやはり米海軍でも自浄作用がなくなっているのではないか。

    世界最強の海軍という奢りもあると思われ。

    27
      • ドゥ素人
      • 2025年 7月 08日

      検証すっ飛ばして野心的な技術導入をやっちゃうんで、海軍に限らずやらかしてますよね。

      日本みたいに予算や国民の不理解とかの問題は薄い気がするんですけど、規模がデカすぎて、予算抑制→少数高機能志向→失敗のサイクルですね

      35
        • 774RR
        • 2025年 7月 10日

        枯れた技術で作られた艦ですら納期通りに納められなくなっているから、米国の造船業はかなりひどい状態なのでしょうね。同規模の艦だと日本の3倍は時間がかかるとか・・・

        2
    • p-tra
    • 2025年 7月 08日

    米海軍の苦境はアメリカの経済的状況を反映しているので仕方ない面もある。
    経済全体が製造業ができない、平均的なアメリカ人は高賃金すぎてグローバル経済の中で
    製造業には向かなくなっているし造船業も上手くいかないのは普通の結果。
    ただ米海軍の調達の手際も事態を悪化させていると思う。
    例えば海上自衛隊の艦船調達は結構造船側の持続可能性を考えたやり方をしてる。
    基本的に船が20~30年程度使うと考えて一定年数で一隻作ってちまちま船を交換していくって
    寸法だが、このやり方なら継続的に戦闘艦を作らせることができるし、
    定数を変える必要があったら交換のスピードを早めたり遅くしたりすればいいので柔軟性もある。
    当然新機軸を盛り込むタイミングはその一隻を建造する度ごとになるので戦力の標準化って意味
    では微妙だし、一度に大量調達した方が一隻の単価は安いはずというデメリットもあるが。
    総合的に持続可能なやり方ではあると思う…一方で米海軍は今まで造船側の事情なんてほとんど
    気にしたことがなさそうだ。
    もう挽回不可能な所に来て今更何とかしようとしているように見える。

    49
      • 名無し
      • 2025年 7月 08日

      特に陸自の車両がこの調達方法を取っていて批判されやすいですが一定の合理性を持ってるんですよね
      アメリカもせめて日本みたいに試験艦を作ればいいのにと思いますが

      28
        • 名無し
        • 2025年 7月 08日

        実はアメリカも昔試験艦を保有していたものの、ソ連の情報収集船に追いかけ回されて試験に支障が出たため、就役艦での試験に変えたらしい。

        13
      • daishi
      • 2025年 7月 08日

      ご指摘のとおりニミッツ級は数年ごとに就役させてたので、段階的なアップグレードになってましたね。
      ジョージHWブッシュでは電磁カタパルトを計画してましたが、最終的に外すことになりました。
      フォード級も発注単位などで段階的にアップグレードすることを前提に、電磁カタパルトだけ地上試験設備で問題を潰してから搭載するなど、「実証済みの技術」で構築していれば、と思いますね。

      15
    • 58式素人
    • 2025年 7月 08日

    さすがの米国でもCVNで実験艦を作るわけにはいかないですよね。
    過去の米海軍ではCVではしていたようだけれど。
    多分、先代のJ.F.Kはそうした立場だったのでは?。
    日本だって、たいげい級SSの1番艦は実験艦にしているし。

    8
    • 無印
    • 2025年 7月 08日

    ケネディが、フォードと同じ轍を踏むなら、完全戦力化まで滅茶苦茶時間かかることに…
    まともに戦えるようになるには2035年前後だろうか、それまでに中国は2隻ぐらい空母を建造してそう

    9
    • 神田明(仮名)
    • 2025年 7月 08日

    昔読んだ「世界の艦船」の記事の受売りなんですが「フォード級」空母の開発計画は、一気に新技術を投入するのでは無く、開発が完了した技術から段階的に投入するプランもあったそうです。
    しかし、一気に新技術を投入する事にしたため、トラブル多発という事になってしまったようです。

    19
    • kitty
    • 2025年 7月 08日

    与太話なんですけど、「CVN大統領これくしょん」では「ニクソン」とか選ばれないんでしょうね。
    「カール・ヴィンソン」は海軍に多大な貢献をしたので、選ばれましたが「ジミー・カーター」が選ばれることは無さそう。
    かといって、なんで「ジョン・C・ステニス」が選ばれたのか。格落ちもいいところでしょう。
    まあ、ブッシュ親子も実際、微妙だとは思いますが。

    4
      • 58式素人
      • 2025年 7月 08日

      探してみたら。
      シーウルフ級SSN の3番艦が「ジミー・カーター」でした。
      探して見るまで、素人も知りませんでしたが・・・。
      空母よりこちらの方が似合っているような気もします。
      歴代大統領で唯一の潜水艦士官でしたし、
      原子炉(研究用)の事故での被曝経験もあるそうです。

      4
    • 匿名
    • 2025年 7月 08日

    今更米国も「世界の警察」なんてやりたくないんだし、もう太平洋の半分は中国に割譲した方がいいんじゃないの?

    2
    • たむごん
    • 2025年 7月 08日

    月刊正規空母、週刊護衛空母、日刊駆逐艦、こんな言われ方してたのが懐かしいなと…

    ワイト・アイゼンハワー(CVN 69)が、紅海の対フーシ派8か月近くの任務についていたり、ローテーションはカツカツなのかもしれませんね。

    5
    • うぃる
    • 2025年 7月 09日

    昨今は、チェーンサプライだけで無く、
    遅延サプライズにもリスク管理が必要なのか。

    1

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP