米空軍は将来の無人機やミサイルの推進システムに第2次世界大戦中のドイツが使用したパルスジェットエンジンを利用できないか検討していると報じられている。
参考:Air Force Finds New Need For Low-Cost Engine Tech Used On Nazi Buzz Bombs
参考:US Air Force funds development of pulsejet-powered air decoy
V-1ミサイルに使用されたパルスジェットエンジンが21世紀になって再び注目を浴びている
第2次世界大戦中にナチス・ドイツが用いたV-1飛行爆弾(V-1ミサイル)の推進システムは構造的にシンプルかつ軽量で大量生産に向いていた「パルスジェットエンジン」なのだが、このエンジンは構造上吸入した空気の圧縮比が低いため出力が低く燃費も良くないため遠心式や軸流式圧縮機を備えたジェットエンジンの登場と共に姿を消してしまった。
しかし米国のスタートアップ企業「ウェーブエンジン/Wave Engine」はパルスジェットエンジンに電子エンジン制御装置を組み込むことでタービン(圧縮機)を備えるジェットエンジンに匹敵する推力燃料消費率(TSFC)を実現して「航空機業界は長いあいだ小型な航空機向けの高性能で低コストなエンジンの不在に悩まされてきたが我々はこの壁を打ち破る」と主張しており、米空軍も同社の革新的なパルスジェットエンジン技術に注目して2019年から資金援助(約300万ドル)を行っている。
今のところウェーブエンジンがパルスジェットエンジンをどのような仕組みで改良したのかは詳しく分かっていないが、米空軍は今月22日に空中発射型多用途プラットフォーム(VALP)の開発及び実証作業をウェーブエンジンに正式の発注(契約額は100万ドル)したため注目を集めており、米空軍が発注したVALPの正体はパルスジェットエンジンを使用した低コストのデコイUAVらしい。
ウェーブエンジンが公開したイメージイラストでVALPはF-16から空中発射される無人機として描かれており、機体のデザインも非常に特徴的で恐らく搭載されているエンジンはU字に曲げられたパルスジェットエンジンで空気取り入れ口が機体の後方にあるため既存の空中プラットフォームとは一線を画す形状と言えるだろう。
幾つの米メディアはウェーブエンジンが改良したパルスジェットエンジンが期待通りの性能を示せば、無人機や巡航ミサイルといった低コストと信頼性の両立を要求される兵器は複雑で稼働部分が多いエンジンから開放されるかもしれないと指摘しており、調達コストの問題からジェットエンジンの採用が見送られてきた空中プラットフォームにとっても福音となるかもしれない。
勿論パルスジェットエンジンの実力が本物かどうかは米空軍が発注したVALPの開発及び実証作業の結果を見てみないと何とも言えないのだが、このタイミングのでパルスジェットエンジン復活の兆しは無人航空機分野のさらなる成長を後押しする可能性を秘めているため注視しておく必要がある。
※アイキャッチ画像の出典:Wave Engine
廃れたと思われている技術を研究する
その勇気や行動力が立派
エアバスやボーイングも航空機事業赤字だし、次世代の航空輸送手段に飛行船が再注目されそうな気がする
ツェッペリン伯爵の夢再び
実際ここ10年位ハイブリット飛行船が熱いしな
最近あまり話題を聞かなかったけどググったらちゃんと開発が続いてるらしいので期待してる
やはりドイツの科学力は世界一ィ
ゴリアテUGVも復活か?
パルスジェットエンジンをよく知ろうと思ってWikipediaの当該ページを眺めてきたんだが、
今ではエンジンとしてではなく熱供給源として給湯器やフライ揚げ機に使われてるらしいぞ
見たけど原理がよくわからないなぁ(特におそらく今回使われているU型の方が)
吸気口が後ろ向きについていて、どうやって圧縮するんだろうか?
WikiのGIFだと、排気後の逆流入で圧縮するようにも見えるが、それだとパルス間隔がめっちゃ長くなりそうだし。。。
2ストエンジンが12000回転(=秒200回圧縮・燃焼・排吸気)とかで回るのに
その燃焼より数十倍以上速いデトネーション(からの逆流入)の間隔がめっちゃ長くなりそうだと思う理由が知りたい。
あぁ、上のはU字型の方についてのことでした。言葉足らずですみません。
リンク
2ストロークエンジンだと、排気口と吸気口が別ですよね。なので、
爆発→排気口から排気→気圧減少→給気口からの流入 となりますが、
対して、U字型パルスジェットのこの図解だと、両方の開口部から排気している(ようにみえる)ため、排気が収まるまでは給気口の気圧が下がらず吸気までの間隔が開くように感じたゆえの疑問です。
Wikiの記載以上の知識はないので、根本的な誤解があればすみませんですが。。
もちろん2ストエンジンは吸排気も別だし
クランク室で与圧もしてるけど
燃焼が終わらなきゃスムーズに吸気できないのは一緒でしょ。
あ、すみません。U字型についての疑問です。書き方が悪くて申し訳ない。
Wikipediaの、U字型パルスジェットの図版を見ると、上の開口部(給気口?)からも排気してますよね?
2ストエンジンだと給気口と排気口が別なので、
爆発→ピストンダウン・排気→気圧低下→給気口からの流入 と、一連の流れになりますが、
U字型だと吸気口からも排気している(ように見える)ので、
排気が完了するまでは気圧が下がらず、吸気できないのでは、と感じたゆえの疑問でした。
Wiki以上の知識はないので、根本的な誤解があればすみませんですが。
ユーチューブ等の動画で原理を説明してくれると助かるな。
パルスデストネーションエンジンなんてのもあって各国で研究されている
パルスジェットとはまた違うんだけど
パルス・デトネーション・エンジンより、回転デトネーションエンジンの方が優れていると思う。
2021年7月20日にJAXAが世界初のデトネーションエンジンの飛翔実証を行う予定ですよ。
リンク
S-520-31号機にパルス・デトネーション・エンジン(PDE)と回転デトネーション・エンジン(RDE)を組み合わせたデトネーション・エンジン・システム(DES)が搭載されています。
以下、JAXAの「観測ロケットS-520-31号機実験の実施について」のページより引用
[深宇宙探査用デトネーションエンジンシステム実証実験]
本実験は、燃料と酸素の混合ガスが爆発的に反応した際に生じる衝撃波(爆ごう波)を安全かつ効率良く推力に変換するロケットエンジン技術の世界初となる飛翔実証です。
衝撃波を間欠的に発生させるパルス・デトネーション・エンジン(PDE)と、ドーナツ状の空間内を連続的に衝撃波を回転させる回転デトネーション・エンジン(RDE)を組み合わせたデトネーション・エンジン・システム(DES)の技術・性能を検証します。また、大容量実験データ取得を目的に、分離カプセル(RATS)を洋上へ緩降下させてヘリコプターで回収する実験も併せて行います。
また、防衛装備庁も回転デトネーション・エンジンの研究を進めています。
防衛装備庁技術シンポジウム2018と2019で「ローテティング・デトネーションエンジンの研究」が発表されていますよ。
参考までに
防衛装備庁技術シンポジウム2018の発表要旨・リンク
防衛装備庁技術シンポジウム2019の発表要旨・リンク
イメージイラストがロボアニメにでてきそう
じゃあ日本はモータージェットで対抗だ
(ウソ
これが温故知新ですか?
面白いな
吸気が背面からってことは正面のRCSはジェットより良くなったりするのかな?
デトネーションエンジンのが良くない?
不正燃焼の爆轟利用
つまり制御された爆発で技術的ハードルが高すぎる
2021年7月20日にJAXAが世界初のデトネーションエンジンの飛翔実証を行う予定ですよ。
リンク
S-520-31号機にパルス・デトネーション・エンジン(PDE)と回転デトネーション・エンジン(RDE)を組み合わせたデトネーション・エンジン・システム(DES)が搭載されています。
以下、JAXAの「観測ロケットS-520-31号機実験の実施について」のページより引用
[深宇宙探査用デトネーションエンジンシステム実証実験]
本実験は、燃料と酸素の混合ガスが爆発的に反応した際に生じる衝撃波(爆ごう波)を安全かつ効率良く推力に変換するロケットエンジン技術の世界初となる飛翔実証です。
衝撃波を間欠的に発生させるパルス・デトネーション・エンジン(PDE)と、ドーナツ状の空間内を連続的に衝撃波を回転させる回転デトネーション・エンジン(RDE)を組み合わせたデトネーション・エンジン・システム(DES)の技術・性能を検証します。また、大容量実験データ取得を目的に、分離カプセル(RATS)を洋上へ緩降下させてヘリコプターで回収する実験も併せて行います。
また、防衛装備庁も回転デトネーション・エンジンの研究を進めています。
防衛装備庁技術シンポジウム2018と2019で「ローテティング・デトネーションエンジンの研究」が発表されていますよ。
参考までに
防衛装備庁技術シンポジウム2018の発表要旨・リンク
防衛装備庁技術シンポジウム2019の発表要旨・リンク
吸入口、排気口ともに後ろ向きで頭がおかしくなりそう
吸気に支障は無いのかな?
この方式なら吸気口にカナダ雁が飛び込む事も無くなるか
というかインテーク前向けてラム圧が掛かっちゃったら
衝撃波の連続発生が維持・制御出来なくなるんだと思う。
何個かの副燃焼器で圧力波を発生して主燃焼器内を圧縮して燃焼、みたいな?
なんつーか、人生で魚しか見たことがない人が、生まれて初めてオウムガイ見たら、こんな気持ちになるんだろうなー、みたいな気持ちになりました。(小並感)
最近パッと見てどっち向きに飛ぶのか迷うのが多いような気がする。
爆発始まったら勝手に吸気も排気もやってくれるけど無駄が多いんで機械的に制御して
パワーと燃費稼ごうぜってのはバイクの2stエンジンとかでも研究してるなぁ
自爆型ドローンに安価なパルスジェット積もうぜってV1知ってる人間なら妄想ぐらいはしたことあると思うけど
マジで実現するのかよ…
まず軍から民間会社にうまくいくかどうかもわからん研究に予算を百万弗ポーンと渡せることが羨ましいわ
国力の違い体制の違い…慢心環境の違い
100万ドルPONと出してくれたぜ
それ最後に死なない?
ポルシェティーガーもそうだけど、WW2のドイツは理論先行し過ぎだったんだなぁ
現代の最新技術を投入すれば松根油も立派なクリーン燃料として使えたりするんだろうか?
バイオ燃料は時代の最先端。
食用廃油は特に注目されてる
藻から油 はよ
VALPの画像だけど、重心位置と主翼の関係はどうなってるんだろうね。
どう見ても重心位置は主翼揚力中心の遥か後方としか思えないんだが。
所謂静安定緩和が適用されてて、デコイとして高運動性によるAAM回避能力を意図してるんだろうか。
一応バート・ルータン設計の小型機に積んで試験はやってたみたいやね
リンク
それに加えてエンジン軸が重心より低く見えるから余計機首上げのモーメントが激しそう
推力と釣り合うのは抗力なので、大事なのは抗力中心で、
主翼も尾翼も低翼配置だから問題ないんじゃないかな。
ハイテクがローテクを甦らせるの物語
モノになるといいけどな
これ部活(科学部)で作ったことがあるぞ。
オチか続き希望
エンジンだけだよ。アルミパイプの燃焼室に手動で燃料を霧吹きみたいに吹き込む。
点火はできるんだけど燃焼が10秒くらいしか続かない。燃焼室にしていたアルミ管の長さを工夫してたんだけど、適当に曲げて横から吹き込むようにしたら、燃料のポンプピングのタイミングが合うと燃焼が継続するようになった。あとでパルスジェットの仕組みと同じだって知った。
でも最大推力が…
手動の燃料ポンプを直接噴射に使ったほうが大きかったんだ。
素晴らしい
結果は出せなくとも学びがある
これぞ勉強だろう
それ続けてたら100万ドルもらえたかも?
凄く羨ましい
耐久性犠牲にすれば3Dプリンタでプラスチックジェットエンジン作れないかね?
タービンは流石に難しいか
温故知新ですね。
もし実用化されたら、英国の気持ちを聞いてみたいです。