米国関連

今後2年間に製造されるF-35の平均価格、A型が約143億円、B型が約189億円

国防総省はロット18~ロット19で製造されるF-35の価格公表を拒否し続けてきたが、メディアからの度重なる問い合わせを受けて公表に踏み切り、ロット18~ロット19の平均価格はF-35Aが9,200万ドル=約143億円、F-35Bが1億2,140万ドル=約189億円、F-35Cが1億1,080万ドル=約172億円になる。

参考:What Each F-35 Variant Really Costs Right Now
参考:F-35
参考:令和9年度概算要求の概要
参考:現行の国家防衛戦略・防衛力整備計画の評価
参考:有償援助(FMS)による防衛装備品等の調達の状況に関する会計検査の結果について

ロット20以降は国防総省とロッキード・マーティンの間で生産契約が結ばれていないため何とも言えない

ロッキード・マーティンはロット15~ロット17(概ね2023年~2025年納入分)に製造されたF-35の価格について「F-35Aは8,250万ドル」「F-35Bは1億900万ドル」「F-35Cは1億210万ドル」と公表しているものの、国防総省は8月26日頃に一般公開したF-35調達報告書の中で「2012年時点のドル換算から何%上昇したか」しか記載しておらず、ロット18~ロット19(概ね2026年から2028年8月までの納入分)に製造されるF-35の価格は曖昧になっていた。

F-35 Joint Program Officeはロット18~ロット19で製造される各バージョンの価格公表を拒否し続けてきたが、Air&Space Forces Magazineからの度重なる問い合わせを受けて「2026年時点のドル換算でF-35Aは9,200万ドル(11.52%増)、F-35Bは1億2,140万ドル(11.38%増)、F-35Cは1億1,080万ドル(8.52%増)となる」「この価格は政府支給のレーダーとエンジンが含まれたフライアウェイ・コスト(機体、エンジン、電子機器などが全て組み込まれ、即座に飛行可能な状態での引き渡し価格)だ」と公表に踏み切り、価格上昇の主な原因にはインフレと重要なアップグレードを挙げている。

日本のF-35取得コスト(1機あたり)
F-35AF-35B
2022年度96億円127億円
2023年度133億円179億円
2024年度140億円183億円
2025年度173億円221億円
2026年度187億円242億円
2027年度:概算要求事項要求事項要求

日本のF-35取得費用も急激に上昇しており、2022年度はF-35A×8機の取得に768億円(1機あたり96億円)、F-35B×4機の取得に510億円(127億円)、2023年度はF-35A×8機の取得に1,069億円(133億円)、F-35B×8機の取得に1,435億円(179億円)、2024年度はF-35A×8機の取得に1,120億円(140億円)、F-35B×7機の取得に1,282億円(183億円)、2025年度はF-35A×8機の取得に1,387億円(173億円)、F-35B×3機の取得に665億円(221億円)、2026年度はF-35A×8機の取得に1,493億円(187億円)、F-35B×3機の取得に725億円(242億円)も要している。

2027年度の概算要求ではF-35AとF-35Bの取得が事項要求になって調達数も費用も明示されておらず、防衛省は2022年に現行の防衛力整備計画を策定した際、今後5年間(2023年~2027年)のドル円レートを108円で計算していたが、大幅な円安(2026年7月時点で157円~163円)が進行してしまい、国内企業物価指数も2022年平均から2026年5月までに約17%も上昇し、F-35以外の主要装備品まで取得価格が約42%〜約66%も値上がりしてしまった。

出典:防衛省 現行の国家防衛戦略・防衛力整備計画の評価(課題と今後の方向性)

特にP-1の取得価格は305億円から460億円(約50%増)、哨戒艦は89億円から143億円(約60%増)、UH-2は28億円から46.4億円(約66%増)に跳ね上がり、現行の防衛力整備計画で予定された調達数を確保できなくなる恐れまで出てきた。

ちなみに会計検査院は2026年1月に公開した報告書の中で「LOAを取り交わした年度」と「F-35製造ロット」について2019年署名分はロット15、2020年署名分はロット16、2021年署名分はロット17と記載しており、この推移でいくと2022年署名分はロット18、2023年署名分はロット19、2024年署名分はロット20、2025年署名分はロット21、2026年署名分はロット22に対応する可能性が高く、ロット18~ロット19の平均価格はF-35Aが9,200万ドル、F-35Bが1億2,140万ドルになるため、2022年に防衛力整備計画を策定した際のドル円レートで計算するとF-35Aが約99.4億円、F-35Bが約131.1億円になる。

出典:航空自衛隊

2023年の平均ドル円レート=140.5円で9,200万ドルと1億2,140万ドルを換算するとF-35Aが約129.26億円、F-35Bが約170.57億円になり、2023年度のF-35A×8機取得費用1,069億円(133億円)、F-35B×8機取得費用1,435億円(179億円)とほぼ一致し、ロット20以降は国防総省とロッキード・マーティンの間で生産契約が結ばれていないため何とも言えない。

関連記事:米海兵隊のF-35B調達は2032年に終了、生産継続は英国とイタリアの発注次第
関連記事:日本のF-35取得コストが高騰、F-35Aは5年間で96億円から190億円に
関連記事:ますます高価になっていくF-35、再び平均取得コストが1億ドルを突破
関連記事:F-35Aの調達コストは更に上昇、LOT18~19で9,000万ドルに近づく

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Mikaley Kline

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コメント

  • コメント (14)

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    • ヘイワード枝
    • 2026年 9月 04日

    通貨安のメリットの一つが外国生産品の相対的値上がり、代替自国製品の価格メリット上昇
    他に外資の誘致効果なども
    ギリシャは自国通貨がなくEUROだった為にこれができず破綻に追い込まれ、非常に厳しい緊縮に追い込まれた
    ギリシャ対処を巡り南欧諸国と中欧諸国に外交摩擦も生まれたとも
    この様子を見ていたロシアはEUは死に体と見てウクライナに攻め込む誘引になったとも
    各種スタンドオフ兵器の国産化も進み、次は無人機、戦闘機も有望

    17
    • 他人事では無い
    • 2026年 9月 04日

    少し円高ドル安に振れたので、円換算ベースで価格が下がってくれることに期待ですね。
    購入代金確保の為に米国債を売ると言えば、負けてくれないかな?

    9
    • 無印
    • 2026年 9月 04日

    AMVも高くなってるー…
    AMVでこれなら、無人水陸両用車なんて凝った車両はいくらになるんだろ

    10
    • たむごん
    • 2026年 9月 04日

    円安+インフレで、素人目には価格がよく分からなくなりました。

    整備コスト・交換部品も値上がりしてるのかなと思うわけですが、ウクライナ戦争後の武器需要急増もあり、武器への値上がり圧力が続きそうな情勢ですね。

    20
    • AH-X
    • 2026年 9月 04日

    UH-2が46億ってもうこれUH-60の値段超えてるでしょ。もう導入打ち切ってUH-72ラコタあたり入れた方がいいんでは?

    8
      • nachteule
      • 2026年 9月 05日

       こんな物は目先のお金だけの話じゃないでしょう。ラコタにするなら小さいヘリにする選択だから、そこに問題は無いんですかね。

       陸自使用のラコタの値段はいくらになるか、打ち切りだとSUBARUに費用を払う必要は無いのか。導入や教育に幾らかかってランニングコストはどうなのかまで含めての選択でしょう。ラコタと同じ人数乗せるなら、その分の航続距離が伸びると思うしお金に目がくらんで出来る筈の事が出来無くなるなら本末転倒でしょう。UH-2と同じレベルの輸送をするならラコタ1.5機必要ですみたいな話になるならそれもどうかと思いますが。

      4
    • のー
    • 2026年 9月 04日

    意外に高くない印象です。
    バブル前に日本のF-15J購入価格は00億円超えで、高い高いと言われてた時代から
    物価高騰と円安にも関わらず、1.4倍の値段で済んでいる
    当時と貨幣価値を考慮に入れると、実質的にはF-15J購入費の半分ぐらいでは?
    やはりF-35は安いのかもしれない。

    21
      • daishi
      • 2026年 9月 04日

      おおよそですが、
      ・1985年と2020年の日本の物価指数比較で1.2倍
      ・1985年と2025年では1.5倍(2020年と2025年では1.2倍)
      なのでここ5年の値上がり幅が大きいですね。
      おおよそで言えばF-15JとF-35Aの調達価格をインフレ補正すれば同じくらいの価格になるのですが、デフレ・円高を想定した調達予算が大幅にくずれたと思います

      9
      • イーロンマスク
      • 2026年 9月 04日

      もし本当に安ければ米空軍から不評な意見が来るわけないので稼働率とかメンテナンスとかモロモロ含めたら安くはないのだろう

      14
      • のー
      • 2026年 9月 05日

      米国の製品ですから、米ドル建てで考えるべきかと思われます。
      1985年→2025年では米国の物価は約3倍になっています。
      しかもドル/円の為替相場は1.5倍ぐらいになってます。
      ということは、円建てで見れば、米国の物価は4.5倍になっています。
      にもかかわらず、日本円換算でF-35はF-15の1.5倍ぐらいにしかなってないません。
      つまり単純計算ではF-35はF-15の実質1/3の価格ということになります。

      3
    • YF
    • 2026年 9月 04日

    円安は構造的な問題で一朝一夕でどうにかなる話じゃないですが、通貨高でもインフレで苦労してる国が多い中、これだけの通貨安で日本はまだよくやってる方だとは思います。

    これはもう3.5%関係なく現行計画の調達数を達成させる為にも防衛費上げていくしかないですよね。

    19
    • nednir
    • 2026年 9月 04日

    いっときはF-35安すぎとか言われてて、アップデート遅れや追加費用がひどくて言われなくなりましたが、やっぱりドルで見ると物価高のご時世で高くはないですね。とはいえ円安はもろに効くし国産兵器のインテグレーションが難しい上に、様々な無人機やスタンドオフ兵器などとの兼ね合いもあるので、なんとかバランス取っていくしかない

    7
    • AKI
    • 2026年 9月 04日

    CCA、各種無人機メーカーには追い風なんでしょうね。
    それでも、買わなきゃいけないものは買うしかない。

    • う
    • 2026年 9月 04日

    いつに間にか10式は1両20億円

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