米国関連

トランプ大統領が言及したF-55とスーパーF-22、勘違いか既存の取り組み

カタールを訪問中のトランプ大統領が「エンジンを2基搭載するF-35ベースの新型戦闘機=F-55の開発」「スーパーF-22の開発」に言及してアナリストらを困惑させており、War Zoneは2018年の失言(F-52とF-35をノルウェーに納品した)を思い出すよう促している。

参考:Trump floats possible new F-55 warplane and F-22 upgrade
参考:Trump Wants A Twin-Engine “F-55” Version Of The F-35 Joint Strike Fighter

この話の全てがトランプ大統領の失言、思い違い、想像の産物である可能性も否定できない

Lockheed Martinは主要プログラム(B-21、T-7A、NGAD、F/A-XX)の入札全てで敗北、ドル箱だったC-130の後継需要もC-390に奪われつつあり、テイクレット最高経営責任者は4月の決算発表で投資家向けに「NGAD入札のため開発した全技術をF-35とF-22に適用することに取り掛かっている」「F-35に多くの先進技術を適用することでF-47の半分の価格で、F-47の能力の80%を実現できると思っている」「先進技術の幾つかはBlock4とF-35で開発中だが、その他にも適応可能なものあり、迅速に国防総省へ提案してF-35を将来に向けて強化してくつもりだ」「このようなF-35は第5世代+だ」と説明した。

出典:U.S. Air Force

この大胆な構想についてDefense NewsやBreaking Defenseは「第5世代+の開発はF-15EXを彷彿とさせる」「F-15EXは第5世代の高度な技術を搭載しているため第4世代ではなく第4.5世代と認識され受注を獲得している」と、特にBreaking Defenseは「第6世代機よりも安価な代替案で国防総省を魅了できると期待し、F-35のアップグレードに全力を注ぐようだ」と報じたものの、Block4の構成要素も満足に完成していないのに「次のアップグレード」を語られてもピンと来ず、投資家の懸念を払拭するための大風呂かと思われが、トランプ大統領はLockheed Martinの構想を連想させる発言をおこないアナリストらを困惑させている。

カタールを訪問中のトランプ大統領はビジネスリーダーの会合に参加し「我々はF-35にシンプルなアップグレードを行うつもりで、私はこれをF-55と呼ぶつもりだ。なぜならエンジンを2基搭載する大幅なアップグレードになるからで、私はシングルエンジンが好きではない」「世界で最も美しい戦闘機はF-22だと思うが、我々はスーパーF-22を開発する予定で、これはF-22の非常に現代的なバージョンになるだろう」と発言。

War Zoneの取材にLockheed Martinの広報担当者は「F-22やF-35に対するトランプ大統領の支持に感謝する」「引き続き政権と協力して空中優位の実現に努めていく」と述べるに留まり、F-55やスーパーF-22の具体的な詳細は一切不明だが、War Zoneは「F-35の双発化は様々なメリットをもたらすものの機体やサブシステムの大規模な再設計が必要で、さらに単発機から双発機への変更は重量とコストの増加を招き、サポートとメンテナンスの負担を増やすだろう」と指摘し、最も説得力があるのは「双発機を好む海軍向け」「双発化したF-35Cをベースにした新たな提案=F/A-XXの代替案かもしれない」と予想した。

F-35Aの双発化については「予算確保に苦戦している空軍にF-55を調達する余裕はない」「それでも同盟国の顧客らは陸上運用バージョンのF-55を好意的に受け止めるかもしれない」「トランプ大統領が中東訪問中にF-55の可能性に言及したもの潜在的な顧客の関心を高めるためのものだったかもしれない」と、スーパーF-22に関する言及についても「これは現在進められているBlock30/35へのアップグレードを大げさに説明しただけ」と予想したが、この話の全てがトランプ大統領の失言、思い違い、想像の産物である可能性も指摘し、2018年の失言(F-52とF-35をノルウェーに納品した)を思い出すよう促している。

出典:Video by Francis Foose

現実的に見てもトランプ大統領の構想は荒唐無稽なので本気で向き合う必要はないと思われるが、もしF-55の開発を強行すればF-35 Block4の開発に投入されているリソース(F-22 Block20をBlock30/35相当のアップグレードするにはF-35の開発リソースを引き抜く必要があると指摘されるほど)が奪われるため、全てのF-35導入国が被害を被るだろう。

関連記事:F-47の作戦半径は第5世代機のほぼ2倍、CCAの作戦半径もF-35A超え
関連記事:Lockheed Martinが第5世代+構想を披露、F-47向け技術でF-35を強化
関連記事:米空軍はF-22Aに約1.1兆円を投じてアップグレード、但しBlock20は処分

 

※アイキャッチ画像の出典:The White House

米国とカタールが420億ドル分の武器取引に署名、KC-46Aの売り込みにも成功前のページ

長距離攻撃兵器を手に入れれるUCAV、対地攻撃で復権する可能性次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米シンクタンク、欧州は米国を助けるため中国とは戦わないだろうと主張

    米国のシンクタンク「ケイトー研究所」でシニアフェローを務めるダグ・バン…

  2. 米国関連

    ズムウォルト級を見捨てない米海軍、新たなアップグレードのアイデアを募集

    米海軍の調達部門である海軍海上システム司令部は17日、Zumwalt …

  3. 米国関連

    米メディア、30万人以上に拡張されるNATO即応部隊の80%は欧州が負担すべき

    米ディフェンスメディアは28日、マドリードで開催されるNATO首脳会議…

  4. 米国関連

    トランプ大統領が豪州への原潜提供を保証、AUKUS協定の不確実に終止符を打つ

    トランプ大統領は豪首相との首脳会談後「豪州向けの原潜建造を全力で進めて…

  5. 米国関連

    ウクライナは条件付き停戦を受け入れ、米国は軍事援助と情報提供を即時再開

    トランプ政権はホワイトハウスでの口論を理由にウクライナ支援(軍事援助・…

  6. 米国関連

    米陸軍、無人航空機に対する対抗兵器「IM-SHORAD」の評価試験を開始

    ニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル実験場で、いよいよ暫定的な機動…

コメント

  • コメント (32)

  • トラックバックは利用できません。

    • 無印
    • 2025年 5月 16日

    「F/A-XXの名前はF-55に決まったのかー」

    …え?違う!?
    そんな気分

    15
    • minugle
    • 2025年 5月 16日

    F-52は単なる言い間違いです。資料上に52機とあるのを言い間違えただけであり、そのあと続けて52機と話していることから文脈上は言い間違えであることが聞き手に察しがつきました。

    今回の発言は、何も重要な軍事上の決定事項を発表している場面ではなく、トランプ大統領は発想したことやimpressionを自由に口にするスタイルの人ですから。あまりネガティブな見方をなさらないでお聴きになるのがよろしいでしょう。

    9
    • 2025年 5月 16日

    それでも商談とるのすごい

    15
    • NIVEA万能論
    • 2025年 5月 16日

    現職のアメリカ大統領の発言だから記事になっているだけで、その辺のオッチャンが同じ事言っても間違いだらけの妄言として相手にされないでしょうね。

    36
      • nachteule
      • 2025年 5月 16日

       至極当たり前の話過ぎてわざわざ書くほどの事かなんだけどね。

      5
    • POP84
    • 2025年 5月 16日

    F-35Cを改装して戦闘機よりの機体にでもに持ってゆくのかな?

    2
    • ブルーピーコック
    • 2025年 5月 16日

    F-35の双発化は電力問題を解決してくれるかと思うが、設計してるかも怪しい。
    大統領の失言を正当化する事例としてはカーターが「SR-71」と発言したので正式名称にしたってのがあるが、今回のコレは何を指してるんだか

    9
    •  
    • 2025年 5月 16日

    いつまでも完成しないF-35が嫌いなんだろうな
    まあ実際F-35の問題は再設計でもしないと解決しないと思うよそれこそ双発にするくらいの抜本的な
    そもそも論としてF-35の諸問題の根源はエンジンの出力不足から電力需要に応えるために常時高負荷運転を強いられ機体設計段階で想定されていた排熱性能をオーバーしていることなわけで、Block4が実現したところでおそらく将来性はないだろう
    しかしF-22にリソース集中するのは熱い、あっちの方がいい戦闘機だしそうあってほしい

    8
    • 58式素人
    • 2025年 5月 16日

    ボーイングの次はロックマート対策なのか?、と疑いたくなったりして(笑)。
    トランプ大統領は、一期目の時にF35を激推し(?)してたし。
    F35の双発化とは、F22のことかしら?、と思ったりして。
    F22の延命は、出来ればした方が良い、とは思いますが。
    同列に考えられないでしょうが、さらに古いF15をEXで延命しているのだし。

    1
    • 匿名ちゃん
    • 2025年 5月 16日

    「言葉の意味は分からんが、とにかく凄い自信だ!」
    って好意的(?)に受け止めよう

    13
    • たむごん
    • 2025年 5月 16日

    エンジン10個積んでみよう、なんて話にそのうちなるかもしれませんね。

    2
      • kitty
      • 2025年 5月 16日

      トランプおやじ「なにい?!中国が次期戦闘機にエンジン3発だとぉ!よぉし、こっちは10発のせろお!」

      11
        • たむごん
        • 2025年 5月 16日

        なんかありそうですよね…

        5
      • イーロンマスク
      • 2025年 5月 16日

      空中空母ドナルドトランプ爆誕

      4
        • たむごん
        • 2025年 5月 16日

        空母を10個繋げて、金色にしました。

      • daishi
      • 2025年 5月 16日

      おじいちゃん、既に八発機のB-52おじいちゃんがあいるでしょ
      と言いたいところではありますが、トランプ大統領の方がB-52より年上なんですよね。
      もちろん設計開始まで遡ればほぼ同年齢なのですが。

      1
        • たむごん
        • 2025年 5月 16日

        改めて、ほんと名機ですよね。

        8を10にしろ、いや20だ!みたいなノリを期待してしまいます。

        1
      • 半分の軍事費の国から
      • 2025年 5月 16日

      何故、何故か、みんな、先代ライトニングのエンジン縦二基配置2つ並べて四基にしようと言ってくれないんだ‥

      3
    • にーたろー
    • 2025年 5月 16日

    LMは「F35を〜するつもりだ」の未来話をする前にTR3が訓練以外のことをできるようにしようよ

    22
    • SB
    • 2025年 5月 16日

    「世界で最も美しい戦闘機はF-22」だけは大いに賛同する

    30
    • ばく
    • 2025年 5月 16日

    双発のF-35…そういう見た目のやつなら確か中国に()

    12
    • 七面鳥
    • 2025年 5月 16日

    >エンジンを2基搭載する大幅なアップグレード

    エンジンを縦に二基積むのですね、わかります。

    「さすがライトニングだ!なんともな……」

    13
      • kitty
      • 2025年 5月 16日

      英国面のあふれた単なる駄ッ作機ではないのがなんともはや。

      8
    • DEEPBLUE
    • 2025年 5月 16日

    ツインライトニング2ですね分かります

    2
    •    
    • 2025年 5月 16日

    アメリカ大統領の発言に全く信用がおけない時代になりました
    たった数ヶ月でアメリカの威信と信用は失墜
    経済も大丈夫なのか
    まるでアメリカ崩壊RTAを見ているようだ

    1
    • daishi
    • 2025年 5月 16日

    SNSではツインマスタングことP-82式の可能性もありましたね。
    ハードワークなF-35にWSOを載せられる方法ではありますが、ステルスではないですよね

    2
    • masa
    • 2025年 5月 16日

    トランプの発言を額面通りに受け取ればF-47=現在のF-22、スーパーF22=現在のF-15、F-55=F-18の立ち位置と見るべきですかね

    • AKI
    • 2025年 5月 16日

    これにはイーロンマスクも激おこでは?
    はよ、ロイヤルウイングマンを完成させろよ。
    そっちのが第六世代の肝でしょ。

    • hoge
    • 2025年 5月 16日

    トランプの中東訪問の裏でイスタンブールではついにロシアとウクライナが直接交渉に入った。
    実際の戦線ではポクロウシクの東で防衛線に穴があいた。T-504の再開通はもはや絶望だろう。
    コンスタンティノフカとどちらが先になるかわからないが、アウディーイウカと同じ陥落の気配が漂ってきた。
    なおウクライナは未だクルスクへの侵入を諦めておらず、北方の戦線でリソースを溶かし続けている。

    3
    • ヒュー
    • 2025年 5月 16日

    もうB-1ランサーを戦闘機にしようぜ
    あのシルエットなら戦闘機と言い張ってもトランプぐらい騙せるやろ

    4
    • nachteule
    • 2025年 5月 16日

     仮に作るとしてもシングルエンジン故のF-135の出力と寿命の短さだと思うのでF-135の2基積みって話に単純になるんだろうか。ツインエンジンなら低出力・高寿命で小型のF414ベースのエンジンとか作った方が長期で見たらマシって感じはする。仮に2基積みだとしたらSTOVLどうなるんだろう。

    • P
    • 2025年 5月 17日

    F-35の双発ってそれもうJ-35やん

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP