米空軍の爆撃機戦力はB-52H×76機、B-1B×45機、B-2A×19機で構成され、将来的にB-21とB-52Jの組み合わせに移行予定だが、米空軍はFY2027予算文書の中で「新型重爆撃機に関する代替案分析作業を開始する」と言及し、新型重爆撃機はB-52Jの後継機になる可能性がある。
参考:New Heavy Bomber Study Appears In U.S. Air Force Spending Plans
参考:B-52 Engine Replacement Program Holds Critical Design Review, Paves Way for B-52J Upgrade
米空軍はB-52Jの後継機を検討している可能性が高く、B-52JをB-21で更新しない可能性が高い
米空軍の爆撃機戦力はB-52H×76機、B-1B×45機、B-2A×19機の142機で構成され、B-1BとB-2Aを開発中のB-21を100機調達し、B-52Hのエンジンとレーダーを更新したB-52Jで更新し、アップグレードされたB-52Jは2060年代(以前は2050年代)まで爆撃機戦力の一角を担う予定だが、米空軍はFY2027予算文書の中で「新型重爆撃機に関する代替案分析作業(主要性能パラメータ、主要システム特性、その他の性能特性など)を開始する」「2025会計年度にB-52を用いた実証試験で概念実証作業が終了している」と言及。

出典:Rolls-Royce
これは代替案分析(Analysis of Alternatives)研究の一環で、新たな運用要求を正式に定義して検証した後に着手される標準的なプロセス、軍上部に対して正式な調達プロセスが始まる前に選択肢を提示することを目的にしているが、新型重爆撃機に関する代替案分析作業が米空軍の長距離攻撃能力取得にどのような影響を及ぼすのか、B-52Jの後継爆撃機を想定した動きなのかは不明だ。
B-52HはP&W製TF33-P-3をロールス・ロイス製F130(BR700ベースのミリタリーバージョン)に換装するCommercial Engine Replacement Program=CERP、 1960年代の技術で開発されたAN/APQ-166をAN/APG-82ベースのAESAレーダーに換装するRadar Modernization Program=RMPが同時並行で動いており、政府説明責任局(GAO)は2024年6月に発表した報告書の中で「米空軍はCERPを実装したB-52の配備を2030年に予定していたが、資金不足も重なって詳細設計審査(CDR)が約2年遅れの2025年8月、初期運用能力の獲得も2033年度半ばまで延期された」と言及。

出典:Photo by Airman 1st Class Benjamin Gonsier
米空軍も2024年8月「CERPのプログラムコストが125億ドルから約150億ドルに膨れ上がった」「この数字はマイルストーンBを通過後に策定される正式な見積もりで変わる可能性がある」「MTAからMCAに移行する過程で現行契約の多くの作業を統合する必要があり、プライムにコスト引き上げの機会を与えてしまった」と報告。
CERPの開発体制を研究段階から正式な能力開発に移行した際、一気に必要な作業(法的要件を満たすのに必要な作業を含む)が増加して「元請け企業のボーイングにコスト引き上げの口実を与えてしまった」という意味だが、米空軍もエアインテークの要求要件を見直して変更を加えたため、CERPは風洞試験からやり直さなければならず、コスト増加の責任はボーイングだけに原因があるわけではない。

出典:Photo by 94th Airlift Wing
さらに国防総省の運用試験評価局=DOT&Eも2025年1月末「RMPのマイルストーンCは2026年度の第2四半期~第4四半期の間に予定されているが、技術的およびスケジュール上のリスクによって正確な時期は不確定である」「RMP遅延の原因は統合の問題(レドームの設計修正)」と報告しており、RMPのマイルストーンCは2025年度の第4四半期に予定されていたため「最大1年の遅れ」を暗示し、RMPのプログラムコストも23億ドルから33億ドルに跳ね上がるらしい。
要するにB-52HをB-52Jに指定するのに必要なCERPとRMPのコストが35億ドル=約5,400億円も上昇し、この数字は今後も増加する可能性が高く、当初予定よりも戦力化が遅れる見込みだが、米空軍は今月4日「CERPプログラムが詳細設計審査をパスした」「これはボーイング、ロールス・ロイス、空軍による膨大な量のエンジニアリングと統合作業の集大成であり、B-52Jが将来の世代においても戦い続けることを可能にするものだ」と、ボーイングも「今年後半にサンアントニオで最初の2機をB-52HからB-52J仕様に改修する目標に一歩近づいた」と言及した。

出典:U.S. Air Force photo by Airman Alysa Knott
B-52Hのアップグレードは困難に直面しつつも2033年度半の初期運用能力獲得に向けて前進しているが、これをB-21で更新しないのは運搬できるペイロードがB-52Hよりも少なく、B-21に搭載する兵器もウェポンベイのサイズに制限され、爆撃機戦力を1機種運用にするとインフラ等の運用効率が向上しても不具合等の問題で運用停止になれば「爆撃機戦力の空白」が生じるためで、AviationWeekは「新型重爆撃機に関する代替案分析作業はB-52Hのアップグレード項目の中に含まれているため、この位置づけは新型重爆撃機がB-52Jの後継機になることを示唆しているかもしれない」と指摘している。
ちなみにステルス機はマーケティング上の都合上「レーダーに映らない」と過剰に宣伝されすぎ、F-22、F-35、B-2について「レーダーに映らないので敵地奥深くへの侵入が容易で重要目標を攻撃できる」と考えがちだが、対抗手段はいくらでも存在するためステルス性能に依存した敵地奥深くへの侵入は容易ではなく、2025年6月に実施されたイランの核施設攻撃作戦=Operation Midnight Hammerではフォルドとナタンズの核地下施設攻撃にB-2を7機投入したものの、防空能力が劣るイラン領空に7機のB-2だけが侵入してスマートに攻撃を実施したわけではない。

出典:DoD
ミズーリ州ホワイトマン空軍基地を出発した7機のB-2は大西洋横断ルートでイランに向かい、途中で第4世代機と第5世代機で構成された護衛戦闘機グループと合流、この護衛戦闘機グループはB-2の前方を飛んで敵戦闘機と地対空ミサイルの脅威を制圧し、第4世代機と第5世代機が切り開いたルートでフォルドとナタンズの目標に計14発のバンカーバスターを投下している。
つまり7機のB-2をフォルドとナタンズの上空に到達させるため125機以上の航空機と数十機の空中給油機が投入されており、ステルス機はレーダーに映らないので「敵地奥深くに侵入して簡単に重要目標を攻撃できるだろうというイメージ」はマーケティング上の産物で、ステルスは航空機が備える技術的特性の1つに過ぎないため「これだけで戦場の優位性を決定づける驚異的な能力」でもなく、ステルス機も非ステルス機も作戦目標に応じて様々な能力特性を組み合わせなければ戦場で生き残れない。
関連記事:イランの核施設攻撃、米国はバンカーバスター14発とトマホーク30発を使用
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関連記事:米国、B-2に後継機が必要なようにB-52にも後継機が必要か?
※アイキャッチ画像の出典:Boeing





















B-52に後継機の可能性ですか
B-21は搭載力が小さくなったので、その逆を行く機体ですかね?
ステルス爆撃機なのか、搭載力第一でステルス性は重視しないのか、仕様を決めるのにすったもんだしそうだ
M2「ところで、俺の後釜はいつ生まれるんだろう」
仮に10kgくらいになったとして担ぐのか?
落下傘降下とかにしても無人機みたいなので運べばいいんだから今のままで困ってないでしょ
なんかここ最近ステルス性って微妙な気がしてしまうんですけど実際どうなんですかね…?
何ならミッドナイトハンマーも非ステルス機で達成出来たのでは?とさえ思ってしまう
幾らでも情報が転がっているんですから、B-52でミッドナイトハンマーを実行した場合にB-2と変らないかそれ以上のメリットがあったかどうか大まかにシミュレーションしてみたら良いじゃないですか?達成出来るのとそれが最良の選択肢であるのかは天と地のほどの差があります。
一つの要素としてオープンソースのざっくりしたRCSを比較した場合B-52はB-2の5.6倍位の距離で探知されます。イラン防空網の詳細は分からないが新旧含め射程100~300kmの射程を持つミサイル部隊が100以上有る。
B-52だと古いミサイルのセミアクティブシーカーでも探知が容易なのと探知される距離が増えるなら排除すべきターゲットは増える可能性の方が高い。排除する手間が増えるなら啓開する機数もそれをサポートする機体も増えるし、それらが墜落/撃墜されるリスクも増える。
貴重で運用コストが2倍位のB-2を使用しなくても作戦は出来るメリットはあるけど、それ以外のデメリットが増えるならそれは正解なのかと思いますね。
達成はできたでしょうけど、被撃墜が何倍か増えてその分救出作戦も増えて未帰還者が出た可能性も高いかと…
GBU-57はB-2しか運用できないで無理です
GBU-57はB-52Hでも運用出来ますよ?ネットで探したら投下画像なども普通に出てきますし。
まあ、ミッドナイトハンマー作戦だとB-2にGBU-57を2発搭載して、本来の積載量の11tオーバーした状態で速度の低下を招いて作戦を実行してるのでやる価値があるかは別ですが。
その画像は開発・試験段階で改修を受けたB-52Hがテスト用に投下したもので、GBU-57の運用能力があるのはB-2(と将来的にB-21)だけです
あと「本来の積載量の11tオーバーした状態で速度の低下を招いて作戦を実行」の意味が分かりません
B-2の空虚重量は72tで最大離陸重量は171tなので、別にGBU-57を2発積もうが航続距離は変わっても速度は大して変わらないし、そもそもB-2の公称ペイロードは60000ポンド(GBU-57×2)ですよ?
普通にデータ取りの為の改修しただけで爆弾倉を改造したわけでも無いB-52Hを利用してるので、使おうとするならペイロード的には20t以上の容量があるので普通に使用可能だと思うのですが。
あと、巡航速度が本来マッハ0.8程度なのにマッハ0.6程度まで落ちていて、本来の公称ペイロードの40,000ポンド越えると、燃料を分散させて積むの違うので勝手が違うのでしょう。
もう一度書きますがB-2の公称ペイロードは60,000ポンドです
リンク
次にB-52のデータパスはJDAMなどには対応していないMIL-STD-1553で、IWBUプログラムによって回転ランチャーを改造しMIL-STD-1760に対応させています
回転ランチャーにはどう見てもGBU-57は搭載出来そうにないし、GBU-57は誘導爆弾なので無改造でデータパスが合わずGBU-57を運用するのは普通に考えて無理です
最後にB-52の公称の最大ペイロードは50,000ポンドですが、機内のペイロードは25,000ポンドでGBU-57には足りません
スペースがあるなら運べるだろうという問題ではなく、機内のラックなりアダプターなり回転ランチャーに接続する必要があり、それらの搭載可能な最大重量は分かりませんが、少なくともB53核爆弾の8,900ポンドかAGM-86の3,100ポンドが基準でしょう
30,000ポンドに耐えられるとは思いません
画像とか調べた感じ現在B-52H等にALCMを8発纏めて装填可能な回転ランチャーがB-52に付いてるのでコレが25000ポンドのペイロードの理由なんでしょうけど、このランチャーがどれくらいの汎用性があり荷重に耐えられるかですかね?とりあえずAGM-86C (1,429kg)×8で回転ランチャーが11t以上の加重に耐えれるのは確実なんでしょうけど。
あとはCONECT改修が2014年辺りにされてるのでどれくらいの改修が施されたのかですかね?
B-52のCONECTはデジタル通信の改修であってデータパスの改修じゃないし、ランチャーが11t以上の荷重に耐えられるから何?としか
あなたは両手で3,40kgのものを持てるから指1本で同じ重量のものを持てるんですか?
あと、スルーしてましたけどどこ探してもB-2の巡航速度がマッハ0.6に低下するという情報がなかったんですけどどこの情報です?
機内に格納するので寄生抵抗は増えないと思うのですが
ちなみにその写真に写っているB-52Hだがこの機体(60-0050) は第412試験航空団所属の飛行試験機であるため爆弾倉周辺に実戦配備機とは異なる大改造が施されている可能性が極めて高いと思われ
余計な事はしないでまずB-52Jを真っ当に生産出来てから考えた方がいいと思うんですがね
夢みたいな事を次々に思い付いて現在の職じゃダメなんだと転職を繰り返してるアカン人を彷彿とさせられます
ようやくB-52も退役が見えてきたと思う反面、2150年頃にもB-52X-IIIみたいな感じで飛んでてほしいという気持ちもある
B-52のJ型改修が終わらない内から後継機の開発に予算が付くあたり、流石の米空車や議会も60年以上前に製造されたB-52を改修しながら使い続ける事に限界を感じているのかも知れませんね。
冷戦期のアメリカの元気さでたくさん生産できたけど
今からB-52ライクの機体を作ったとして製造コストや訓練等の配備にかかるコストは莫大なんじゃないかなぁって感じ
というか爆撃機だけじゃなく輸送機や給油機だって母体が古いから更新機体の研究考えないとならない時代じゃないのか
Bー52互換機みたいなの作るんですかねえ。
今のPCが全く中身が別物になってもAT互換機と言われてるみたいな。
下手するとC-5とC-17後継とDC-10の後継とB-52の後継をセットにして大規模炎上させるに一票
しかも欲張って給油機能をつけてさらに炎上させるに一票
商用機への転用もセットにして♥
コンテナ何段積めるかな♪
ラビドラを適用してC-5後継機とセットで(そして開発炎上もセット)
新型機の開発に、リソースを割いてる場合じゃないですよね。
『納期+稼働率(部品調達)+兵器備蓄』まずは原点に帰って着実にやって欲しいものですね。
陸海空どこもですが、製造しているものの納期が守られるものが遅延だらけですから、少しでも早くなることを優先すべきかなと。
ついにアーセナルバードの開発かな?(そうじゃないw
B-52の後継機ってステルスとかB21みたいにするんかな?
ステルスが万能ではないのは言われている通りだけど、高すぎて敵陣に突っ込めない、護衛モリモリ必要なのもどうかなと思うので、意外とB-52から姿形は変わらないんじゃないかなと思ったり
ボーイングがコスパ優先でB-777M(ミリタリー)M(モデル)USAFを出してきそう
B-21があるにも関わらず新規で爆撃機を開発する訳ですからステルス性は求められないか最小限に留められる可能性はあると思います。
B-52にあってB-21に無い能力を継承させるようですし。
本当にB-52の後継を作れたらミリタリー界隈に激震が走るな
まあしかし、アメリカのやることは驚くほど変わってないんだなと実感するね。
爆撃機による敵本土への戦略爆撃というアイディアをずーっとやってる。
周知のようにナチス日帝を負かした勝利の秘訣だけど…
現代じゃイランにすら決定的ではないというのは何だかね。
疑問を一つ。
B-52H→B52J・・・。なんで(I)を抜かすのかな?。
(I)国に提供予定があるわけではないだろうし。
どうせなら、B-52L?にすれば?と思ったり。
単に数字との混同を嫌ってIやOは避ける事が一般的なだけではないですかね。
例えばF-111IやA-10Oなんて紛らわしいですし。
なるほど、です。
あれー、B-21で全部置き換え予定かと思っていたけど違ったのか。
B-52は退役するまで永遠に改修を続けるものかと。
F-111のステルス後継を作っておけば良かった。FB-22あたりで
是非とも本当に艦載機型を作ってみて欲しいw。
それは冗談として、
エンジン8発→4発あるいは可能なら2発
乗員5人→2人
ステルス性は追求しない代わりに、安い
無人機母機、ラピッドドラゴン含めた多種多様な兵装
とかあたりなんでしょうかね。
生きるか死ぬかの戦いだけ想定するなら巡航ミサイルを輸送機から落とせば良いんだろうけど
防空能力が空にAK撃つだけみたいなザコ敵に安価に爆弾落としたいケースも考えると爆撃機が要るのかな?
アフガンでB-1を通常爆撃に使い潰したのには魂消ましたねえ。
失効した戦略兵器削減条約 (START)での重爆撃機の定義は以下のいずれか、または両方を満たす爆撃機です。
(a) 航続距離8000㎞以上
(b) 長距離核ALCM (空中発射核巡航ミサイル) を運用可能
条約の縛りがなくなったため「重爆撃機」という概念そのものが変わる可能性もあり、B-52Jの役割が将来的にどのように変わり、どのような要件になるかわかりませんが、B-52Jの退役に間に合わせるためにこの時期に基礎研究を始めるのはちょうど良いのかもしれません。