米国関連

米空軍がFQ-42AとFQ-44Aを正式発注、無人戦闘機の頭脳は2027年夏に決定

米空軍は無人戦闘機(CCA)の第1弾調達について17日「ジェネラル・アトミックス(FQ-42A)およびアンドゥリル(FQ-44A)と生産契約を締結した」と発表し、両機は試作機・開発機を意味する「Y」が取れたが、CCAにとって最重要のソフトウェアに関しては予想外の展開になっている。

参考:Air Force advances future of air superiority with CCA contracts
参考:Air Force picks General Atomics, Anduril to build first CCA drone wingmen
参考:U.S. Air Force Selects Anduril to Bring Mission Autonomy to Collaborative Combat Aircraft
参考:U.S Air Force Awards GA-ASI Production Contract for FQ-42A CCA

参考:Anduril Wins Production Contract for U.S. Air Force CCA Program
参考:Shield AI awarded U.S. Air Force production contract for Collaborative Combat Aircraft mission autonomy

無人戦闘機はハードウェア定義型兵器ではなくソフトウェア定義型兵器である

米国が開発を進めている無人戦闘機や自律型無人機は米空軍主導、米海軍主導、米海兵隊主導、米空軍研究所主導、国防高等研究計画局主導、防衛企業主導の6つに分かれ、米空軍は協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraftプログラムの第1弾調達=CCA Increment1としてジェネラル・アトミックスのYFQ-42A ダーク・メルリン、アンドゥリルのYFQ-44A フューリーを選定し、YFQ-42Aは2025年8月に、YFQ-44Aは2025年10月に初飛行を果たした。

CCA Increment1に選定されたYFQ-42AとYFQ-44Aは「正式採用」が確定した状態ではなく、2026年中に下される生産決定によってYFQ-44AとYFQ-42Aの両方を採用するのか、どちらか一方だけを採用するのかが決まり、米空軍は17日「CCA Increment1に関して技術・製造開発(EMD)および生産契約をジェネラル・アトミックス(FQ-42A)およびアンドゥリル(FQ-44A)と締結した」「予定より4か月前倒しで締結されたこれらの契約は、FQ-42およびFQ-44が厳格なミッション要件を満たし、本格的な製造段階に移行する準備が整っていることを意味している」と発表したが、CCAの頭脳については予想外の展開になっている。

CCA Increment1を巡る戦いはYFQ-42AとYFQ-44Aの争いに見えるものの、実際には「ハードウェア=機体」と「ソフトウェア=頭脳」を巡る戦いが独立しており、CCAに搭載する自律型ミッションソフトウェアは「シールドAI提案のHivemind」と「コリンズ・エアロスペース提案のSidekick」が争っていたが、米空軍は「シールドAI、コリンズ・エアロスペース、アンドゥリルの3社に対し、競争的な生産オプション契約(2段階に分かれた競争フェーズの第1段階分)授与した」と発表し、ハードウェアの選定とは完全に分離された新たな競争を実施するらしい。

出典:Shield AI

選定されたシールドAI、コリンズ・エアロスペース、アンドゥリルは6ヶ月間のパフォーマンス評価後に数が絞られ、2度目のパフォーマンス評価を経て2027年夏までに単一のソフトウェア供給企業が選定される見込みだが、ベンダーロックインを防ぐためシールドAI、コリンズ・エアロスペース、アンドゥリル、ジェネラル・アトミクス、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンで構成されたソフトウェア開発の枠組み(数量未確定・納期不定期契約=IDIQ)も発表し、CCAのソフトウェア開発・供給を1社に独占させない体制を打ち出してきた。

今回の発表でYFQ-42AとYFQ-44Aは試作機・開発機を意味する「Y」が取れ、両機のソフトウェアはシールドAI提案のHivemind、コリンズ・エアロスペース提案のSidekick、アンドゥリル提案のLattice for Mission Autonomyでもう1年争われることになり、さらにベンダーロックインを防ぐため今後6年間はシールドAI、コリンズ・エアロスペース、アンドゥリル、ジェネラル・アトミックス、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンをCCAのソフトウェア開発で常に競い合わせ、追加のソフトウェア開発が必要になっても1から募集するのではなくIDIQを締結した6社の何れかに発注することになる。

このような米空軍の方針は「無人戦闘機がハードウェア定義型兵器ではなくソフトウェア定義型兵器である」と強く示唆しており、CCAの作戦効果は機体の性能や特性よりも「ソフトウェアの完成度で決まる」という意味だ。

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※アイキャッチ画像の出典:Anduril 

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コメント

  • コメント (10)

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    • 名無し
    • 2026年 6月 18日

    戦闘機とセンサー類と戦闘システムはセットで作られるのが常だったけど、AIともなると脳だけ別でってのが可能なのか

    5
    • ドゥ素人
    • 2026年 6月 18日

    F-35のソフトウェア更新で痛い目にあっているので、リスク分散と言うか、3人寄らば文殊の知恵…ということでしょうか?
    今からでもF-35もこの方式に出来たら良いのに。ある程度、アウトソーシンしないと何時迄も出来なさそう。

    3
      • 航空万能論GF管理人
      • 2026年 6月 18日

      ロッキード・マーティンと締結した契約的に不可能です。

      F-35プログラムの技術データは国防総省ではなくロッキード・マーティンに帰属しているので、仮にアウトソーシングする場合にはロッキード・マーティンが技術データの開示に同意する必要があり、さらに言えば他の企業もF-35のソフトウェア更新に食い込めると思っていない=その分野に投資していないので、F-35のソフトウェア更新をロッキード・マーティン以外にやらせると言い出した途端大混乱です。

      開発プログラムを受注した請負企業がプログラム全体を所有できる権利がベンダーロックインの原因で、産業界は競争の中で生き残って株主のために利益を上げることを優先するので「産業界は政府の利益のため最善を尽くしてくれる」という善意に期待するのは無意味です。

      22
        • ドゥ素人
        • 2026年 6月 18日

        ありがとうございます。
        ここの記事をいつも読ませてもらっていて管理人さんのお話も承知していますので、あくまで希望と言うか妄想です。「…だったら良かったのに」ですね。
        今回はこれを受けて次は失敗しないように、ということかと思っています。

        5
        • YF
        • 2026年 6月 18日

        そうやって考えるといかにイスラエルが特別な国なのかわかりますね。F-35のコンピュータシステムを直接いじることができる=F-35Iに独自のカスタマイズを自由に施せるようになるってのは共同開発国を超えた厚遇ですよね。

        14
    • 朴秀
    • 2026年 6月 18日

    失敗(F-35)しても
    ちゃんと対策するのがアメリカらしいですね

    統一して安くあげようとしたはずなんですけどね…

    1
    • daishi
    • 2026年 6月 18日

    ATFでは
    ・エアフレーム(YF-22とYF-23)
    ・エンジン(P&W YF119とGE YF120)
    の組み合わせでコンペを行いましたが、CCAでは
    ・エアフレーム
    ・ソフトウェア
    がコンペ対象ということですね。
    CCAにおいては「エアフレームを飛ばす」ソフトウェアと「ミッションを実行する」ソフトウェアが分離されるのは自然なことですが、ミッション周りの開発工数が膨大になりそうです。

    各国の防衛情報システムともリンクが必要なため、イージスシステムの標準ライブラリ化のような部品化を行い、その組み合わせも極力最小化するなどの工夫が必要そうです。

    3
    • u
    • 2026年 6月 18日

    ウクライナ戦争でソフトウェアのバージョンアップが日常的に発生する事が分かったので米軍もそれに対応出来るように契約段階から準備しておこうという事ですね

    1
    • ファッツ
    • 2026年 6月 19日

    そういやFQ-42とFQ-44ってハードの性能的に両者採用される程の違いってどんなのが有るんかな?最近の米軍ってトライアルしたら片方しか採用しない事が大半だから。バーローとデファイアントの時みたいな差ってのがかなり分かり難い。

    • ユーロビート大好き
    • 2026年 6月 19日

    単座の戦闘機はCCAを上手く管制できるのでしょうかね。
    CCAの取得、維持保守のコストが有人機よりも安く費用対効果が高ければ管制機一機で膨大な数を制御する必要に迫られそうですし。

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