米空軍は戦闘機に随伴する無人戦闘機=CCAの第1弾調達としてAndurilとGeneral Atomicを選定、3月には両社のCCAをYFQ-42A/YFQ-44Aと命名したが、米空軍は1日「CCAプログラムの地上テストを開始した」「今年後半に初飛行する」と発表してYFQ-44Aの実機を公開した。
CCAは無人戦闘機と呼ばれても従来の戦闘機のような格闘能力は必要なく、先に発見して攻撃するという戦術の歯車でしかない
国防総省が進めている自律型無人機の開発は大まかに空軍研究所=AFRL主導、空軍=USAF主導、国防高等研究計画局=DARPA主導の3つ分かれ、AFRLは2014年にLow Cost Attritable Aircraft Technology=LCAATを立ち上げ、これが2018年にLow-Cost Attritable Aircraft Platform Sharing=LCAAPSに発展し、この過程でXQ-58Aが開発されたものの、LCAAPSはOff-Board Sensing Station drone program=OBSSに発展してXQ-67Aを開発。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE
USAFも戦闘機に随伴可能な無人機を開発するため2020年にSkyborg Programを、DARPAも複数の空対空ミサイルを運搬可能な空中発射型無人機を開発するため2021年にLongShot Programを開始、USAFのSkyborg Programは技術検証の意味合いが強く「実用機」の開発には至らなかったが、Skyborg Programを発展させた協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)のIncrement1にAndurilとGeneral Atomicを選定、昨年9月はGeneral AtomicのXQ-67AとAndurilとFuryのモックアップを公開。
もはや有人戦闘機に随伴する無人戦闘機の実用化は夢物語ではなく「目前に迫った現実」で、米空軍のアルヴィン参謀総長も今年3月「我々は既にCCAのプロトタイプを2機保有している」「数年前に空想上の産物でしかなったCCAは今夏に飛行可能になる予定だ」「どちらのプロトタイプも将来の制空権確保において極めて重要な存在になるだろう」「我が国の歴史上初めて(両プロトタイプを)戦闘機を意味するYFQ-42AとYFQ-44Aと指定した」と発表したが、遂にAndurilのFury=YFQ-44Aの実機が登場した。
Ground testing is officially underway for our Collaborative Combat Aircraft program! This is a huge milestone and another step toward first flight and rapid delivery to our warfighters… These unmanned fighters are going to be badass! (1/3) pic.twitter.com/HiuWMzmcc7
— General David Allvin (@OfficialCSAF) May 1, 2025
米空軍は1日「CCAプログラムの地上テストを開始した」「これは自律システムを空軍に供給する取り組みの大きなマイルストーンだ」「地上テストはYFQ-42AとYFQ-44Aの厳格な評価が含まれ、特に推進システム、アビオニクス、自律能力統合、地上管制インターフェイスが重点的にテストされて今後の設計案決定に役立てられ、今年後半に予定されている飛行テストに向けて準備を行う」「Increment1の生産決定は2026年度に予定され、同じ年にIncrement2の開発も開始される」と発表。
アルヴィン参謀総長も「CCAプログラムの地上テストが正式に開催された」「これは初飛行と迅速な納入へ向けた新たな1歩だ」「この無人戦闘機はきっと凄いものなるだろう」と述べ、YFQ-42Aの実機は公開されなかったもののGeneral Atomicsは新たなイメージ画像を公開している。

出典:General Atomics
因みに米空軍のCCAは特定機種を集中に調達するのではなく、開発を段階的に行って複数のプラットホームを一先ず1,000機調達する予定で、YFQ-42AとYFQ-44Aは第一弾調達分=Increment1に該当し、既にIncrement2に向けた動きも活発化している。
Increment2のCCAは当初「Increment1よりも優れたステルス性と能力を備える」「調達コストもIncrement1より20%~30%増加する」と言われていたが、米空軍関係者は最近「Increment2はIncrement1より洗練されたものになるのではなく、逆に簡素なもの=ローエンドになるかもしれない」「運用上の柔軟性と低コストを追求するため滑走路に依存した方法での投射=空中発射される可能性がある」と明かし、この問題はIncrement1と低コスト巡航ミサイルの間で「どこにIncrement2を位置づけるか」にかかっているらしい。

出典:U.S. Air Force
こういう言い方をすると顰蹙を買うかもしれないが、もはや空中戦の優位性は戦闘機のスペック、格闘戦能力、パイロットの腕に依存するロマン溢れたものから、CCAに搭載されたセンサー、収集したデータの統合・共有能力、CCAによって格段に強化される弾薬運搬力に左右され、有人戦闘機はCCAの管制能力と交戦空域における独立したローカルネットワークの構築、パイロットは統合された情報から任務達成のための的確な判断が求められるのだろう。
要するに「CCAの投入量がそのまま空中戦の優位性に直結する」という意味で、CCAは無人戦闘機と呼ばれても従来の戦闘機のような格闘能力は必要なく、先に発見して攻撃するという戦術の歯車でしかない。
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※アイキャッチ画像の出典:出典:U.S. Air Force
中国への機密j情報の漏洩だけは起きないでほしい
中国はエンジニアの数が違う
最近のEVや半導体、バッテリーの進化のスピード感を考えるとむしろ逆な気がする
特定の分野ではもう中国はアメリカを超えてると思うよ。中国が技術を盗むだけの国だったのはもう遠い昔。
どれだけ中国の技術力が向上しても、中国のスパイが世界にとって脅威なのは変わらない
防空網の高度化で有人機の投入が躊躇われ、無人機を先行させての情報収集から始まってミサイルの誘導、運搬も、となってくると、有人機は射程外での出張指揮所になりますよね?
無人機の運用には複座の方が良いと思ってましたけど、いっその事B21 の弾薬庫をオペレーター室にした小型ステルス指揮機にしたり…と妄想します。しばらくは護衛にF35がいるんでしょうけど、単座の戦闘機は中途半端な存在になっていくのかな?…寂しい
航空機の軍事利用の歴史が巻き戻って、前線観測機になるんでしょうねえ。
砲兵から無人機部隊に通信先が変わるだけで。
> 無人機の運用には複座の方が良いと思ってましたけど
そう言えば追加予算で勝利したF-15EXも複座ですね
Su-57もS-70は複座型で運用するのではという話です
まあさすがにF-15EXは無人機に対応したとしても補助的な役目に留まると思いますが……
この辺のトレンドを見てると調達改革の波はF-35にも及ぶ可能性が高そうですね
日本も遅れないようにすべきです
対中国の鍵を握るのはどう考えても日本ですので
ファイターマフィアがいかに頑張ろうが、時代の流れは変えられないんだ。仕方ないんだ。
使い捨て&不良品が出る前提で整備面がおざなりでも、数が増えると保管と格納と輸送が面倒そうだな。それらも自動でやるとしても、確認やら何やらで面倒になりそう。
そのうち無人機が大型機に随伴して護衛して、最悪身代わりになってミサイルに突っ込むこという機能もつきそうですね。
ん?エスコン7にそんなのがあった気が。
[攻撃目標]———————-(ミサイル射程)——————–[CCA]—(安定通信距離)—[指示母機]
こんな感じでCCAは最悪使い捨てになるんでしょうね
指示母機さえ生き残れば、地上から追加のCCA・ミサイルを飛ばして合流させて次の作戦行動へというのも可能になるのでしょうし
むしろ護衛目的ならレイセオンのPeregrineミサイルを搭載させるとか、地上防御への展開含めて数を作る感じのAIM-9Xより安価でショートレンジ高機動なマイクロミサイル搭載とか考えた方が良いと思う。
着々と第六世代機の開発に着手してる様だ。中露欧米との開発競争は熾烈を極めるだろうね。ただ無人機分野では中東が目覚ましい発展を遂げているらしい。イラン、イスラエル、トルコこの3カ国はもしかすれば重要な国に成るかもしれないね。
随伴する無人機の数がモノを言う流れが予想できますね。観測および前線での指揮統制を行う有人機はある程度のスペックとコストを掛けるが、無人機はそこそこの性能でコストが安く、数を揃えるという形でしょうか。
自律AIの進歩や戦術の進化で前線で必要な有人機は減り、無人機は増えるという形に行き着いたら金が掛かる消耗戦となりコストの面で大変になりそう。
単純な疑問なんだが、無人機随伴攻撃って有人母機離陸と随伴無人機が揃って作戦空域に達するまでめちゃくちゃ時間かかるんじゃねえの?
そんな悠長な代物でいつ何が来るか分からん実戦に対応できるのかね?
とくに日本じゃ初撃で壊滅して離陸できずにおしまい
先制攻撃ならありだけど防衛戦には向かないと思うんだわ
そこんとこネット軍師様たちは誰も言及しないよね
?
だから日本は有人機で従来の空対空戦闘をせい、と?
敵が有人機と随伴無人機の群れで迫り来るのに対してこちらは有人機のみでの従来通りの戦い方じゃ、数と戦闘効率の面で敵に圧殺されますぜ?
分かりやすく言えばこちらの戦闘機が一機撃墜されるまでに撃墜した敵の航空機は随伴無人機が2〜3機でした、とかになる可能性の話
これじゃあ敵の戦闘機飛行隊に打撃を与えたとはならんし長期的に空の戦いを続けるのは無理でしょ
それに初撃で飛行場を叩かれて壊滅するケースまで考えたらもはや有人無人関係ないし
そうなる可能性があるからといって要らんとはならん
ずっと飛ばしておくという選択肢があるじゃないか?
もちろんそういう滞空型のを。
別に迎撃するなら地上配備の防空網でも良いし。
管理人さんの言うシステム化された空戦と言うのは、地上、有人機、無人機、ステルス機、非ステルス機、大型機全てが協調する戦い方なんではないかと。
日本の最近の軍事に関する研究計画見てると面白い開発計画も結構ありますからねー。
UAV発艦用の母艦型のUSVの研究とか、全翼機型のステルス無人給油機の研究とかも現在動いてますからねー。
戦闘機を揃えるより、基地と滑走路を守る投資の方が優先順位としては上じゃね?という指摘は正しく仰る通りだと思います〜
先日ロシアがウクライナによるクリミア半島への大規模なドローン攻撃をほぼ完封したとニュースになってました
ロシアが執拗にドローンの製造施設を攻撃していた成果だと思います
これ、ロシアがウクライナにしたことを日本が中国にできるとはどうしても考えられないのですよね
どう考えても日本はやられる側だろうと……
光学兵器とかでとにかく安価に、大量に撃墜できるようにならないと厳しいでしょうな
目的の応じて、サイズも種類も様々なのが出てくるんじゃないかな。
戦闘機の小型版みたいのから、ミサイルのブースター代わりや、センサーやデコイ、スマートミサイルみたいな対空型突撃自爆機などを積むドローンキャリアなドローンとか。
アンチドロン用のハンタードローンとかも出てくるかも。
ファンネルに近い使い方になるのかもね
「揃って」なんて条件が存在しないからでしょう。
2030年代の防衛戦なら滞空型のセンサー機なんてローテで24時間何機か飛んでるでしょうから有人機より先に現地着いてる可能性が高いですし、ミサイルキャリア機は多少遅れても弾切れまでに間に合えばいい訳で。
むしろ貴方のその展開は無人機なんて関係無いと思いますけどね、なんで無理矢理に無人機を絡めるのかが分からない。初撃でお終いなら有人機だけでも何も変らないでしょう。それとも有人機だけなら極めてスピーディで初撃は回避出来るという話になりますか。
有人無人機編隊の展開に時間が掛かると言う貴方の根拠は何ですか?政治的な判断なのか飛行速度的な話なのか離陸時の問題なのか協調性の話なのかが全く見えない。
中国想定でそれなりのステルスを発揮するなら日本のバッジ・システムがそこまで機能せずに近づくまで対応が遅れるとかあるかもしれない。でも戦争準備するなら何かしらの兆候はあるはずだし、それすら警告されない検知出来ないなら国防なんて無理げーだと思いますよ。いつ始まるか分からないなんてさすがに言い過ぎでしょう何かしらの兆候はある。
ぶっちゃけた話、日本のスクランブル対応は下命されてから5分らしいので無人機を伴うにしても2機位は24時間スクランブル待機にしておくでしょう。マジの緊急時、明るい時間で滑走路に問題無いなら有人機→無人機の編隊離陸はするだろうし有人機の速度をいくら出せようがアフターバーナーを限界まで使う事なんてありません基本巡行速度しか出しませんから無人機がそこまで速度的に劣勢になるとは思えない。
個人的に初撃対応はスクランブルでするだろうし、そのスクランブルをすり抜けられたら機体がいくらあろうが何も出来ないと思います。F-15やF-35のシステム起動にかかる時間は分かりませんがエンジン始動→各システムが正常動作状態に移行するまでには恐らく10分単位の時間がかかる。
何故かそのスクランブル含めたあらゆる任務に「有人機無人機同じ基地から揃って離陸して足並み揃えてエッホエッホ駆けつけなきゃいけない」という謎の思い込みをしてる方々が存在する様なんですよね。
多分「随伴」機って言葉に捉われてるんだと思われますが…
>いつ何が来るか分からん実戦
そうならないように「国家防衛戦略」において2027年度までの「領域横断作戦能力」基盤整備、及び概ね10年後を目処に安定運用に必要な能力強化を謳っているわけでしょ。
簡単に言えば宇宙からの情報収集、通信、測位等を含む早期監視能力の構築・強化です。これによって相応の対応時間を獲得する構想なわけです。
個人的にはかなり懐疑的だ
無人機の時代といっても活躍してるのは巡航ミサイルの派生形みたいなものばかりだし、戦闘機の代わりに前線に出て戦う戦闘機のようなものがコストパフォーマンスに優れるとは思えない
戦闘機で一番高く付くのはパイロットなんですけど、10年〜15年位でGや反射神経に体が付いて来れなくなって引退を迎えますからね。
今のアメリカで安くそこそこで沢山のコンセプト出来るのかな?
アイキャッチのYFQ-44画像、
空気取り入れ口が口に、
胴体上部前面左右にある窪みが(垂れ)目に、
全体のイメージが愛嬌のある笑顔に見えた。
YFQ-44、単垂直尾翼と水平尾翼の組合せになってて、レーダーリフレクターの効果を生んでる筈だけど、ステルス性能軽視なのかな?
あと、YFQ-44の水平尾翼は主翼より高い位置に配置されており、高迎角でのピッチアップを誘発し易い形態を採っている様だけど、機動性は捨てているのかな?
水平尾翼上面にわずかながら下反角がついてるので来た方向に綺麗に連続的に反射する完全なコーナーリフレクタにはなってないので現時点ではそこまで問題にはならないのでは。
>水平尾翼上面にわずかながら下反角がついてるので
アイキャッチの画像を見ての印象論ですが、概ね水平と見えたので『レーダーリフレクターの効果』云々の話しをしました。
元々尾翼はこの方向から見ると凸面を形成しているから、完全なリフレクターは形成していないと解釈しています。
しかし、そのまま反射する箇所があると、レーダー方程式の前提(※注)が崩れて、部分的にであれ到来波の6dB落ちで送信元に届くので、
完全なリフレクターを形成していなくても『リフレクターの効果』は無視できない、
との考えです。
=-=-=-=
※注:
標的で散乱界が形成され、それが信号源と化すので、往路・復路それぞれで自由空間損失(距離二乗比で減衰)が起きる。
そのため、レーダー方程式では距離四乗比で減衰するとして処理している。
=-=-=-=
垂直尾翼と水平尾翼がなす角度が直交から乖離する程、『レーダーリフレクターの効果』が薄れ『散乱界』の影響が大きくなるけど、
YFQ-44程度だと『レーダーリフレクターの効果』は無視できないと考えた次第です。
90°とそれ以上では決定的な差がありますよ。
90°の完全なコーナーリフレクタのステルスにおける問題点はRCSの数値的な大小よりも「ある範囲内のセンサーからの電波を来た方向に反射してしまう」こと(「合わせ鏡に目が映る」と例えられる現象)ですね。
マネジメントされたエッジによる強反射と違い、線でも面でもなく、ある程度の広さを持った空間に対してこの現象が起きてしまうので「連続的に探知される」ことになります。
そして片方あるいは両方が凸面の場合、90°弱だと「ほぼ90°の面」が部分的にできてしまいますが、90°強ならこの面はできません。
>90°とそれ以上では決定的な差がありますよ。
レーザーなら決定的な差になるでしょうし、無線ですからそこまで決定的にはならないかと。
アンテナの指向性を示す半値角って3dB落ちを目安にしていますが、メインビーム自体はそれよりも何倍こ太かったりするし。
>ある範囲内のセンサーからの電波を来た方向に反射してしまう」こと(「合わせ鏡に目が映る」と例えられる現象)ですね。
これについては、上で説明した内容です。
例えば、10GHz・10kmでの自由空間は約132dBです。
仰る現象が起きると、距離二倍換算なので、往復での自由空間損失は約138dBとなります。
一方、一般的な散乱界が発生するケースだと、往路の約132dBとは別に復路でも約132dBの自由空間損失が生じるので、
往復での自由空間損失は約265dBとなります。
RCSの影響は、上記とは別枠で加わりRCS1㎡で0dB=損失変化無し、RCS0.01㎡で損失20dBアップといった所だったかと。
そして尾翼は平面ではなく、曲面を描いているので、
自由空間損失約138dBから約265dBへの遷移は、比較的緩やかだと考えています。
(曲面同士での実験データって見掛けた事が無いので、単なる推測ですが)