米国関連

米空軍の次世代戦闘機、ネットワーク化された能力分散型になる可能性

ケンドール米空軍長官はNGADの調達コストについて「1機あたり数億ドル」から「1億ドル程度に抑えたい」と認識を変更、さらに自己完結タイプのスーパー戦闘機から「CCAに能力を分散させてネットワーク化したものになる可能性」を示唆し、これに対する業界関係者の反応は様々だ。

参考:Sixth-generation fighter at F-35 costs? ‘That’s not going to happen,’ industry predicts.

NGADとCCAの間で能力分散が行われる可能性は非常に高い

米空軍が開発を進めている次世代戦闘機プログラム=Next Generation Air Dominanceは有人戦闘機や無人戦闘機などで構成されたファミリーシステムの総称で、有人戦闘機(NGAD)のEMD契約はLockheed MartinとBoeingの間で争われ、無人戦闘機(CCA)のIncrement1についても「AndurilとGeneral Atomicが選定された」と発表されたばかりだが、米空軍のアルヴィン参謀総長は予算不足のため「効果的な空軍戦力=NGADとは何なのか根本的に問い直さなければならない」と言及。

出典:U.S. Air Force photo by Eric Dietrich

米空軍が求めているNGADの全体像は不明なものの「世代を越える技術的飛躍」「強化された攻撃性、生存性、持続性、適応性、相互運用」といった要素が含まれ、同時期に開発されるFCASやGCAPよりも高度な戦闘機システムになると予想されており、ケンドール空軍長官は2022年4月「NGADの価格は数億ドルになる」と下院軍事委員会の公聴会で言及し、DefenseNewsも「NGADの調達コストは少なくともF-35の2倍=1億6,000万ドル以上になる」と報じたことがある。

DefenseNewsの取材に応じたケンドール空軍長官も「次世代戦闘機を開発する取り組みは健在で放棄されていない」「NGADの価格は1機あたりF-35Aの3倍になると予想されているため少数しか購入できない」「理想を言えばF-35Aよりも安価か同程度に抑えたいもののF-35自体も決して安くない」「X-planeとアダプティブエンジンの開発から生まれたNGADは非常に高価だ」「次世代戦闘機は規模も数も時間も重要で、我々は早く何かを手に入れたいと考えている」「この設計コンセプトが正しいかどうか検討中だ」と明かしていたが、もしかするとNGADは当初構想から大きくかけ離れたものになるかもしれない。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Andrew Lee

ケンドール長官はAir Space&Cyber Conferenceで「まだNGADの調達単価を設定してしないものの、F-35は空軍が戦闘機1機に支払える金額の上限を示しておりF-15EXも大凡同じ価格帯だ。これをもっと低く抑えたいと私は考えている。NGADにCCAを統合して一部の機器や機能をCCAに移管すれば、これを制御する有人戦闘機の異なるコンセプトについて話すことができる。だからこそ本当に幅がある」と述べ、これを聞いた業界関係者は「生産数の多い旧型機と比べてパラメーター、素材、調達規模に決定的な差があるのに、NGADの調達コストを第5世代機と同じにするのは絶対に不可能」と指摘。

別の業界関係者も「NGADをF-35やF-15EXと同じ価格帯で実現するにはレーダーなど主要ミッションシステムを全て取り除きCCAに搭載することだけで、そうすればNGADは航続距離、ステルス、空力性能の最適化に注力できる。但し、NGADのコストが削減できてもCCAを含むシステム全体のコストに大きな変化はない。もしNGADがCCAに依存したものになるならCCAも相応の航続距離とステルスが必要になり、CCAの取得コストも高騰するだろう」「最大の欠点はCCAが失われるとNGADが任務を達成できなくなる点だ」と述べた。

出典:U.S. Air Force photo by Courtesy photo

エアロダイナミック・アドバイザリーズで航空宇宙分野のアナリストを務めるリチャード・アブラフィア氏は「長官のコストに関する言及にスポットが当たっているため、空軍はNGADのようなスーパー戦闘機を必要としておらず『能力を分散させてネットワーク化することに関心がある』という重要な認識が埋没してしまった」「NGADの能力をCCAを搭載できるなら『そもそも有人戦闘機が必要なのか?』という疑問が生じる」と述べ「もしかしたら空軍はNGAD計画を気づかれないうちに止めるかもしれない」とジョークを飛ばしたが、スーパー戦闘機は有用でも問題があると言う。

アブラフィア氏は「次世代のスーパー戦闘機から手を引くという考えは軍のDNAに反するものだ」「あらゆる軍事的シナリオにおいて(有人機の)有用性に疑いの余地はない」「これは常に機能してきたアプローチで欠点も全く見当たらないものの3億ドルの費用がかかる」「しかも必要な質量を絶対に揃えることが出来ないため大金を投資したくないのだ」と、ティールグループのジェレミア・ガートラー氏も「調達コストの引き下げ強調はNGADの生産やアップグレードがF-35よりも容易でなければならないことを示唆している」「これも潜在的な課題の1つだろう」と指摘。

出典:General Atomics Aeronautical Systems, Inc.

キャピタル・アルファ・パートナーズのバイロン・キャラン氏も投資家向けに「ミッション要件の一部をCCAに移管することは常に検討されてきたが、空軍は過去の評価よりも多くのことが可能になったと学んだ可能性がある」「調達コストの引き下げによって(機密性が高く輸出規制に引っかかるシステムを取り除いた)NGADを海外輸出できるかもしれない」と述べ、Breaking Defenseも「NGADの価格が1億ドルになれば第6世代機は第5世代のF-35と同じ土俵に立つことが出来る」と報じているのが興味深い。

これはケンドール長官の発言に対する業界筋の見解や解釈なので「空軍の本音」を言い当てているかどうかは不明だが、主要ミッションシステムの全要素を有人機に詰め込むなら計画自体を見直す必要がないため、NGADとCCAの間で能力分散が行われる可能性は非常に高く、自己完結するタイプの戦闘機で無くなってしまうことさえ否定出来ない状況になってきた。

関連記事:米空軍向けの無人戦闘機を披露、Lockheed Martinは現行のCCAに否定的
関連記事:米空軍が開発中の無人戦闘機、来週のイベントで実物大モックアップを披露
関連記事:米空軍、無人戦闘機の初回開発にAndurilとGeneral Atomicを選定
関連記事:米空軍、次世代戦闘機や無人戦闘機の開発に今後5年間で284億ドルを投資
関連記事:米空軍が1,000機調達予定の無人戦闘機、ボーイングなど5社で競争試作を実施
関連記事:米GA-ASIが提案するGambitのプロトタイプ、XQ-67Aが初飛行に成功
関連記事:米GA-ASI、共通コアを基づいた無人戦闘機ガンビットのプロトタイプ製造
関連記事:GA-ASIが無人戦闘機「Gambit」シリーズを発表、共通コア採用が目玉
関連記事:米空軍副参謀総長、小型ドローンの登場によって航空優勢の定義を見直す
関連記事:米空軍参謀総長、制空権の常時確保を要求する軍事作戦はコスト的に無理
関連記事:米空軍長官、NGADの設計コンセプトが正しいかどうかを検討中で見直しを示唆

 

※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin NGAD

ウクライナ空軍のF-16墜落原因、IFF不使用、ミサイルの破片、訓練不足前のページ

ウクライナ軍、トヴェリ州とクラスノダール地方で数千トンの弾薬を破壊次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    ウクライナ人パイロットは4ヶ月の訓練でF-16を操縦できるようになる?

    ウクライナ人パイロットは約2週間のシミュレーターテストで技量の高さ示し…

  2. 米国関連

    モノポリー状態の米防衛産業界、言い値での調達を強要される国防総省

    米CBSの番組に出演した元国防次官は「ロッキード・マーティンも、ボーイ…

  3. 米国関連

    米国防総省、ロシア軍はバフムート地域の戦闘で10万人の死傷者を出した

    米国防総省のジョン・カービー報道官は1日「ロシアがドンバスで試みた攻勢…

  4. 米国関連

    NATOの常設海軍部隊を参考? 国防総省が太平洋地域に常設の海軍機動部隊創設を検討

    国防総省は中国の脅威に対抗するため太平洋地域に常設の海軍機動部隊を創設…

  5. 米国関連

    HIMARSで500km先の目標を攻撃可能、米陸軍へのPrSM納入が始まる

    米陸軍は8日「11月に実施したテスト結果を受け、初期運用能力を獲得した…

  6. 米国関連

    ロシアや中国の妨害に耐性を備えたGPS軍用Mコード、2021年に提供開始か

    スプーフィング(なりすまし)攻撃や妨害電波に対する耐性が強化されたGP…

コメント

    • 天城
    • 2024年 9月 21日

    なーんか迷走してスターウォーズ化してません?
    大丈夫か米軍・・・

    19
      • あばばばば
      • 2024年 9月 22日

      それはD社買収後のスターウォーズ的な意味で? それともジェダイ的な意味で?

      米軍が幻想的なアイディアを技術がないのに実行しようとしたり、重要なテストを省略したり、いつの間にか開発中止になっていたり、何とか形になっても大炎上してるのはいつものことだしヘーキヘーキ
      そんな状態だから中国に先を越されてるけど

      8
        • kasugi
        • 2024年 9月 22日

        壮大すぎてスター・ウォーズと揶揄された戦略防衛構想のことじゃろ

        6
    • bbb
    • 2024年 9月 21日

    単純に機体単価の問題であり、仮に予定通りに実現しても政治側に機体が高すぎると叩かれるのでは調達目標が達せられない。
    そこで安価な機体の数で機能分散化をするとして、NGADに同じ能力の獲得には結局は同じ費用が掛かるのでは?という話です。
    逆に分散化でステルス給油機までもが必要となるがこれが戦時でも予定通りに機能しなければNGADに同じにはならない。
    そこで浮上するのはむしろ残存性では数が小であるほうが有利ではと。運用基地がより後方に秘匿かのうなほうが有利。
    NGADを数で代替する場合の運用基地の拡張と防御の観点でミサイル防衛が増強となれば費用は逆に過大になるのでは。

    2
    • 無印
    • 2024年 9月 21日

    一体アメリカ空軍はどんな機体が造りたいんだ?
    まだGCAPの方が「こんなの造りたい」像がハッキリしてるような

    17
      • いずれ
      • 2024年 9月 22日

      いずれ議会からF−3買ったほうがマシ(本当に買うわけではなく煽り文句)という話が出てきそう

    • たむごん
    • 2024年 9月 21日

    まずは、納期に間に合い、稼働率が高いものを考えるべきと思うんですよね。

    最近の米軍は、開発コスト・運用コストが高騰しながら、稼働率も下がっている傾向があるように感じています。

    11
    • F/A
    • 2024年 9月 21日

    最初はFとAで別れて、途中で統合されてF/Aになって、最終的に名前がシンプルにFになったりして。

    2
    • SB
    • 2024年 9月 21日

    正直アメリカはネットワーク中心の戦いに移行しつつあるから、NGADやCCA単体であれこれ言っても意味無いと思うんだよな
    F-35だって仮想イージスシステムによって単なる戦闘機でなく、その戦域内に配備された友軍のセンサーやランチャー化するんだし

    10
    • ブルーピーコック
    • 2024年 9月 21日

    自分でも何がしたいのか分からん内は、お母ちゃん(議会)はお小遣いくれないよ。
    てか無人機を随伴するならマルチロール機に拘る必要も無いような。

    15
    • MK
    • 2024年 9月 21日

    これはあれですね、B-52のようにF15やF35があと数十年飛び続けるのですね・・・

    19
      • 戦闘機
      • 2024年 9月 22日

      有人機を無人機化して、運用する計画も動いてるから、退役する既存の戦闘機、爆撃機を無人機化して運用すると思う。

      4
    • バーナーキング
    • 2024年 9月 21日

    >「調達コストの引き下げによって(機密性が高く輸出規制に引っかかるシステムを取り除いた)NGADを海外輸出できるかもしれない」

    いやそれ(機密部分の移譲先の)CCAとセットでなきゃ買っても使えないんじゃw
    まあCCA側は輸出用モンキー兼ねたロー機を用意する手もあるけど、商材として有望には見えないなぁ。

    10
    • マダコ
    • 2024年 9月 22日

    なんか、現実味の無い話が増えてきている気がしますね。
    その難度の高い設計を製造する技術そのものに関しても少々心配です。
    F-35の安定化も難しい状況だというのに。

    7
    • daishi
    • 2024年 9月 22日

    「ネットワーク中心の戦い」はアメリカ軍の長期的な方向性ではありますが、アーセナル・シップのような極端さは必要とされていないですし、NGADがCCAのコンセプトに引きずられて共倒れしそうな感じですね。
    NGADは航続距離とステルスは必須としても情報収集・認識・武装・機動力までCCAに依存するようなことはまだ難しいでしょう。
    CCAにも航続距離が求められる状況であれば、CCA自体の取得単価が上がるので完全分散は無理だと思うのですが。

    9
      • バーナーキング
      • 2024年 9月 24日

      CCAにNGADの様なF-22以上の航続距離なんてのは求めないんじゃないですかね。
      NGADはグァムからCCAは分散配備した在日・韓米軍基地から、みたいな運用すれば良いんですから。
      何かしらの技術革新とかで絶対無いと断念はできませんがまずないだろうし、少なくとも「『NGADと同等の航続距離が必要だとすれば』単価が上がる」という論立ては全否定できるかと。

      1
    • 投石器
    • 2024年 9月 22日

    とことん強さと合理性を追求すれば、理論上は戦闘機のあらゆる機能をとことん分散、最小化しネットワークで結ぶのが一番ですからね

    例えば、コックピットと指揮機能のみの機体、電波照射のみの機体、電波検知のみの機体、それらレーダー関係の機体も更に小型多数に分散、ミサイルは一発ずつに輸送機体を、各機体の燃料タンクも最小サイズとし多数の小型給油機に随時補充させる..等々
    現代の戦闘機をバラバラにし、航空に支障をきたさない限界重量まで小分けにした様な機体群を構築し
    それら全てをステルス仕様にすれば、極端な小ささと相まって極めて発見が難しく
    もし一定数が墜とされても残ったユニットの連携で継戦は容易
    敵との距離も、必要なユニットだけが必要分接近すれば良く、全機能を危険に晒さず済み
    また全てのユニットが他のどのユニットとも連携出来るから、編隊の機能運用効率も良い
    「戦闘機一機」という概念のない、クラウド戦闘群的な在り方

    無論こんなものは、開発も製造も整備も天文学的なコストのかかる絵空事です
    ただ目指す方向性として、単機の自己完結性を捨てネットワーク化された能力分散型というのは
    戦闘機の世代進歩の中で、少しずつでも、必ず向かう事になる方角でしょうね

    3
      • バーナーキング
      • 2024年 9月 23日

      >航空に支障をきたさない限界重量まで小分けに

      「こうしたら最強だけどコスト的に無理」という例え話に噛みつくのもなんだけど、機体重量(≒サイズ)と航続距離・ペイロードには強い相関があるので小分けにし過ぎるのはコスト以前に性能面でもマイナスですよ。
      速度面でもロケットモーターにでもしない限り極端な小型機は有人機に全く追従できないですし。

      2
    • ku
    • 2024年 9月 22日

    予想どうりでした
    軍全体のネットワーク化は米軍の方向性なので、その規格さえ一緒なら目的ごとに細分化した方がアップデートしやすい。
    軍が群として機能するのが理想

    1
    • 58式素人
    • 2024年 9月 22日

    全てを一機種の有人機に詰め込まないのなら。
    必ずしも戦闘機である必要もないのかな。”超音速で飛ぶスパコン”で良いのかな?。
    AWACSで良いと思うのですが、大きいし、遅いし、目標になり易い。
    現在のF35は全てを詰め込もうとしているように見えますが、これを改良かな?
    F35の複座機から自衛用以外の兵装をおろして、コンピュータを載せ替え、
    後席に搭乗する編隊(部隊?)指揮官に全ての指示をさせるのかな?。
    今のF35をステルス面でさらに洗練させ、エンジンを改良して超音速巡航の速度を上げ、
    搭載燃料を増やして滞空時間を増やせば良いのかな?。
    それで良ければ、F35D?を開発で良いし、お安いのでは?。
    随伴機は目的毎にパッケージ化して、コンテナ封印して、前進配備。途中で合流する形で。
    簡易なカタパルトで発進する感じでしょうか?。なんだかミサイルみたいですが。
    であれば、随伴機はその所属(陸/海/空/海兵)を問わなくなりますね。
    空軍による、他軍(陸/海/海兵)の乗っ取りだったりして?(笑)。

      • バーナーキング
      • 2024年 9月 23日

      まず陸海海兵隊が仰る通りに受け取るので良い顔をしないでしょう。
      そもそもF-35に複座型がないので有人機の話は全て空論。
      そして随伴機はコンテナ封印して前身配備、って組立式にしろ展開翼にしろ大型機にとってはかなりの性能的な縛りになるし、
      小型機を地表から発進させて随伴できる高高度まで上昇させるのはそれだけでかなりの負担になりますから一体何分随伴できるのやらです。

        • 58式素人
        • 2024年 9月 24日

        ほとんど”暴走気味の妄想”ですから。
        でも、妄想ついでに言うと、将来、
        随伴機の先行配置はあるのでは。
        XQ-58 だったと覚えていますが、
        RATOを使った離陸の写真があったと覚えています。
        F35ベースの複座の指揮機も、
        将来あっても良いのでは、と思います。
        既存機体の改造で良いので。
        機体の寿命については知識がありませんが、

          • バーナーキング
          • 2024年 9月 25日

          前進配置もコンテナ封印もRATOも目的やタイプによる「適材適所の選択肢として」なら大アリだと思いますよ。
          ただ大型機はバラしたり畳んだりしてコンテナにねじ込むと失う物が多いし、非力な小型機を滞空に使うなら空発の方が効率がいいだろうし、RATOはコスパ悪いから恒常的運用には向かないし、でその辺無視して雑にコンテナに詰めて前進配置、は違うんじゃないの?というお話です。

    •  
    • 2024年 9月 22日

    これほど非接触戦能力が強化された時代に数を揃えての大規模運用なんて夢見ても、全機にバンカーを整備出来るわけでなし、地上撃破されまくることになるのでは
    とするとやはり戦闘機においてはNGADにもCCAにもスーパー戦闘機的な性質が求められることになると思います
    ただ個人的にはステルスである必要があるのかなあと
    ようはいかに航空戦力を維持するのかという話で、そのために消耗に耐えうる数を揃えるだとか、ステルスで生存性を上げるだとか、そういった方策をとっているわけです
    しかしステルス化とライフサイクルコスト低減は二律背反ですし、何より生存性の向上を企図した時にステルスは唯一無二の選択肢ではありません
    例えば非ステルスの旧世代機にもかかわらず湾岸戦争やイラク戦争で米軍が展開した航空撃滅戦に対して優れた生存性を示した機体がいます、MiG-25です
    また、この機体の発展型であるMiG-31はロシア軍にとってCCAのポジションで用いられており、ウクライナ戦争ではR-37でもって空戦を支配しました
    十分に高エネルギーな機体を撃破することはAAMだろうとSAMだろうと難しく、そして十分な高エネルギーから放たれる攻撃は威力を大にする、とはエネルギー空戦理論の基本的な考え方ですよね
    とはいえその高速性の代償に色々失ったものの多い機体ではありますが、今なら可変サイクルエンジンやウェポンベイなど技術を活用してよりその設計思想に叶う機体を作れるのでは?
    ですが空力特性を求めるならステルスにこだわることは枷になります

    3
      • バーナーキング
      • 2024年 9月 22日

      >とはいえその高速性の代償に色々失ったものの多い機体ではありますが、今なら可変サイクルエンジンやウェポンベイなど技術を活用してよりその設計思想に叶う機体を作れるのでは?

      「可変サイクルエンジン」や「ウェポンベイ」も金食い虫ですよ。
      熱の壁への対策にも金が掛かるし重量もかさんで性能面でもネガになる。
      MiG-25/31が「ウェポンベイを備え、機内タンクで長い航続距離を有し9G旋回に耐えるF-22」より重いのはソ連/ロシアの技術力の問題ではないでしょう。
      それに湾岸戦争やイラク戦争ってPAC-3MSEの配備前ですよね?
      MSEやAIM-174B、あるいは40N6の様な弾道弾にも対処可能な対空ミサイルを相手に速度/高度による生存性はどこまでアテになるんでしょう。
      私の感覚では「ステルス機よりコスパが良い」という感じはしないですね。

      1
    • 有人戦闘機なくして
    • 2024年 9月 22日

    無人子機の要撃機と攻撃機、親機としての無人AWACSと有人の地上施設にしたほうがよさそう。

    2
      •  
      • 2024年 9月 22日

      AWACSは航空管制が最も重大な任務ですから無人化から最も遠い位置にあると思います

        • 高価値目標
        • 2024年 9月 22日

        AWACSの人員は貴重で落とされると痛いから、管制要員は地上に配置して、AWACSの機体は無人化する。
        AWACSは比較的後方にいるとはいえ、地上との通信を妨害されることは想定されるので、無人でも管制できるようにはする。

          • 戦闘機
          • 2024年 9月 22日

          AWACSの値段分かっていってます?鈍重
          なくせに、少なくとも一機あたり300億から600億円くらいするんで無人機化して容易に失える機体でないのですが?

          1
            • ku
            • 2024年 9月 22日

            将来的にはAWACSはお役御免になると思われます
            各航空機、衛星、イージス艦等々が得た情報は統合され共有されます
            一部を失っても総体として機能するシステム、まさに軍が開発したインターネットがそのコンセプトから産まれました。
            1機が落とされると機能不全に陥る現在のシステムはとても脆弱と言わざるを得ません

            • バーナーキング
            • 2024年 9月 22日

            有人にすれば損失しない、ってもんじゃないでしょう。
            仰る通り鈍重ですし盛大な電波発信源でどうしたって生存性が低いから欧米でも代替手段が模索されてる訳で。

      • ネコ歩き
      • 2024年 9月 22日

      米空軍は将来航空戦システムに所謂モザイク戦を構想の核に据えていると思われ、コストを含めた構成アセットの機能分散再考察もその脈絡で検討されているのだろうと思います。

      モザイク戦では、NGAD有人機も既存AWACSも地上指揮所も、情報を限りなくリアルタイム共有する指揮システム構成アセットの一つであり、それらの主要な役割は作戦或いは戦術上の意思決定です。意思決定による無人アセットの行動は高度なAIシステムにより自律的に遂行されます。基本的に、NGAD有人機の一部、AWACS、地上指揮所いずれかの機能喪失は作戦遂行能力の喪失を意味しません。
      ですから、AWACSの無人化や意思決定機能の一元化は構想外だと思われます。

    • ド素人
    • 2024年 9月 22日

    航続距離と搭載量、発電&冷却能力向上の為の、F35の大型双発化じゃダメなんでしょうか…?

    1
      • 戦闘機
      • 2024年 9月 22日

      西側の他の国はアメリカが第六世代機を売らないと言い出したから、諦めて金が掛かっても良いから其方に舵を切ったのだが、アメリカは他国に売らなくなった分、機体に金をかけすぎる事に疑問符が出て紛糾してる感じ。

      1
    • イーロンマスク
    • 2024年 9月 22日

    米空軍が求めているNGADの全体像は不明なものの「世代を越える技術的飛躍」「強化された攻撃性、生存性、持続性、適応性、相互運用」

    コンサルが書いたような夢いっぱいのパワポみたいw

    2
    • DEEPBLUE
    • 2024年 9月 22日

    下手するとどっちもお星様になって、F-35を引っ張る事になるぞこの迷走っぷり・・・

    3
    • モック
    • 2024年 9月 22日

    無人機だろうが有人機だろうがエンジン開発は進めなきゃだし、高価な戦闘機用エンジンを簡単にロストする訳にもいかないだろうから結局はエリート級の戦闘機は必要だと思うけどなぁ。
    エリート戦闘機が不要となる未来といえば、米軍の千以上の軍事衛星ミサイル付で覆われた地球をイメージしてしまう。そこまでを構築出来れば確かに高価な戦闘機は不要かもな。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  2. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  3. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP