米陸軍はM777を置き換える機動戦術砲プログラムを開始したが、ダン・ドリスコル陸軍長官は議会で「M109A7は陣地展開に15分もかかる」「ウクライナの状況を見れば迅速な陣地展開が重要なのにパラディンにはそれを行う能力がない」と述べ、議員にM109A7調達中止と後継探しを支持するよう求めた。
参考:Army asks lawmakers to back production halt to Paladin line
砲塔システムの共通化を意識するなら機動戦術火砲プログラムの選定にも「M109A7の後継問題」は影響を及ぼす可能性が高い
米陸軍は大砲の射程拡張を目的にしたExtended Range Cannon Artillery=ERCAプログラムを立ち上げ、M109A7の車体、58口径155mm榴弾砲搭載の新型砲塔、射程延長弾の組み合わせで70km超の射程確保を狙っていたが、2025年度予算案の中で「ERCAの取り組みを停止した」と明かし、調達や兵站を担当するブッシュ陸軍次官補も「ERCAの試みは量産に移行できるほどの成果が得られなかったが、戦術火力の徹底的な研究において射程を拡張したプラットホームの必要性が再確認されている」「そのため開発済みのプラットホームや弾薬に関する情報提供依頼書(RFI)をまもなく発行する」と言及。

出典:Photo by Lance Cpl. Katherine Cottingham
米陸軍は2025年12月「新型自走砲の取得はM777を置き換えるためのもの」「まずはストライカー旅団戦闘団のM777を置き換え、機甲旅団および歩兵旅団戦闘団へと展開される」と説明し、メディアは「市場で入手できるものベースにする」「機動性はHIMARS並み」「防御力はM109A7並み」「制圧射撃の最大射程は58km」「精密射撃の最大射程は70km」「最小射程は4km」「最低でも3発以上のエクスカリバー砲弾を格納できること」「射撃速度は最低でも無誘導弾は分6発/誘導弾は分3発」といった条件を報じており、国内生産、米軍規格への対応、持続的な戦闘能力の保証、物流への負担とコストを削減する対策なども求められる。
米陸軍は機動戦術砲=Mobile Tactical Cannon(MTC)プログラムの試作提案要求を3月に公開し、この入札に参加する企業は「装輪式自走砲のプロトタイプ(6両~12両)納入契約」を争うことになったため、つまり「M777を置き換えるため新型自走砲は装輪式に限定された」という意味で、KNDS Deutschland提案のRCH155、Hanwha Defense USA提案のK9MH、Elbit America提案のSIGMA、Leonardo DRSとKNDS Franceのコンソーシアムが提案するCAESARに絞られた格好だ。

出典:KNDS Deutschland
トランプ政権の調達改革を反映して機動戦術火砲プログラムもスピードを重視しているため、夏までにM777を置き換える契約を誰が獲得するのかが判明する予定だが、ダン・ドリスコル陸軍長官は下院歳出委員会の公聴会で「我々は機動戦術砲を検討している。これはM109A7が陣地展開に15分かかる(弾薬給弾車=M992 FAASVを含めた部隊規模での完全な陣地構築にかかなる時間だと思われる)のに対して40秒で展開可能だ。これはドローンの脅威を考慮すると非常に重要だ」と言及。
“ウクライナでの戦闘を両陣営から見れば移動して射撃態勢を整えるのがいかに困難であるかが分かる。パラディンにはそれを迅速に行う能力がない。米国の納税者から与えられた資産の良き管理者でありたいという理由からパラディンは今後もしばらく我々と共にあり続けるだろうが、そのプラットフォームとのバランスを取るための新規調達はこれまでとは異なるものにすべきだと考えている”

出典:Hanwha Aerospace
米陸軍は2027会計年度の国防予算案の中でM109A7関連の要求資金を大幅削減(僅か8,400万ドル)しており、この資金もM109A7も追加購入に使用されない。Breaking Defenseも陸軍長官の発言を受けて「米陸軍は議員らにパラディンの生産停止を支持するよう要請した」「米陸軍の計画通りに進めば来年はM109A7パラディンの追加調達を見送り、その穴を埋める代替案を検討することになる」と報じ、これはM109A7の後継探しを始めるという意味になる。
現時点で機動戦術火砲プログラムで選定した装輪式自走砲をM109A7の後継として調達するのか、M109A7の後継は機動戦術火砲プログラムと別のプログラムになるのかは不明だが、仮にM109A7の後継として装軌式自走砲を市場から入手するならK9、PzH2000、RCH155-TRACKED辺りになり、砲塔システムの共通化を意識するなら機動戦術火砲プログラムの選定にも「M109A7の後継問題」は影響を及ぼす可能性が高く、そうなると米陸軍の砲兵システムはHanwhaとKNDSの争いになるのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Pfc. Gabriel Martinez





















RCH155の砲塔をM109の車体に載せれば良い。
M777の後継は、ピラーニャ10輪タイプにRCH155の砲塔を載せた物にすれば良い。
足回りが既存のシステムと共用化出来るので、導入し易い。
そのM109の車体設計が古くて拡張性に欠ける問題もあるので…
米軍は新しい戦争への適応に遅れてる印象
A7で一新したとはいえそれでもブラッドレーの足回りだしなぁ
流石にもう時代遅れだわ
ウクライナ戦争の戦訓が、それだけ強烈だったのでしょう。
米軍が別の戦争で主体になり、米兵が出血した(失敗した)後に気付くよりも、血を流さずに方針転換できたことに価値があるのかもしれませんね。
自前のMBT運用している国が他国設計の装軌車両を選定対象にせざるを得ないというのは何とも情けない。
次期歩兵戦闘車も、ドイツのリンクスとアメリカ国産案のコンペなんですよね
これにリンクスが選ばれたら、歩兵戦闘車と自走砲は海外設計の車両を使う事になります
…米陸軍は気にしてないでしょう
ストライカー装甲車も、たどればピラーニャですし
ドローンが来るなら対空車両を増やせば良いじゃない、、、とはいかないもんな
数という質が物を言う時代ってのはホント厄介
この話聞くと陸自の「19式装輪自走155mmりゅう弾砲」はあの形で良かったのかなぁと考えてしまいますね。
FH70の後継だから低コストで、比較すれば性能は上だからあれで良いんだよって意見もわかりますけど。
RCH155は乗員2名で自動装填、走行間射撃も出来るとなると何とも魅力的に感じます。(価格もコンセプトも全く違う物なのは承知の上で)
コンセプトというか車種が違うから、、、
自走砲と牽引砲比べても仕方ないというか、それでも牽引砲としては現代に合わせてる方なんじゃないかな?
泥にハマって擱座しそう
履帯でもそんなに陣地転換に時間かからなさそうだけどね
まさか時速100キロで走れってわけじゃないし
>これはM109A7が陣地展開に15分かかる
流石に部隊全体含めて15分だと流石には無いのでは?少なくとも単体で移動出来、航続距離も何百キロもあり、砲弾の搭載量は30発以上は確実でバースト射撃するにしても早々に補給が必要になるかなとは思う。補給をしたいならばある程度射耗したしたタイミングで安全な場所でやれば良いだけのような気がするし、射撃指揮所。補給含めた大所帯での展開時間が問題なら自走榴弾砲以外に時間が掛かっているポイントを改善すれば良いだけの話ではないだろうか。最近の榴弾砲の部隊編成を見るにそこまで時間が掛かる物なのかなとは思う。
大抵の自走砲での時間だと停止状態からの射撃、移動後の射撃が主で、部隊の展開時間と言うならカエサル自走砲のように自走速度や航空機による輸送に関してになるのではないか。
この発言をしている長官の経歴を見るに陸軍に籍を置いていたが砲兵畑の人ではない。所属していた時の榴弾砲はA6だがこれは改善された物で古い方より射撃に関する時間は短縮されている。可能性があるとすればA2以前のタイプに関しては停止状態からの射撃2分、移動後に射撃出来るまでの時間が10分以上掛かっていたので、何故かその情報を元にしている可能性。
今のA7まで続く射撃時における後方駐鋤展開とサスペンションロック機構にしても時間がかなりか掛かるかと言えば疑問。発言内容を見るにそんなに詳細が分かる感じでは無かったと思うが重要なワード見落としてるんだろか。時間が掛かるという詳細が知りたいな。
効力射までの時間も込みじゃないですかね?
移動状態→射撃態勢→試射→効力射→移動態勢→撤収の1サイクルの時間と思います
予算とかの制約があるんだろうけど、次に選んだ奴がまともに使えるのか?ってのをある程度先行配備して試験してからでも遅くは無いんじゃないのかね?
詳しくは無いのだけれど。
試しにグーグル検索で、「陸自 F H-70運用速度 設置/撤収」と引くと。
全文転記で。
”自走最高速度(補助動力装置:APU使用時): 時速約16km/h
設置/撤収時間: 射撃位置への展開(設置)から射撃、および射撃後の
撤収にかかる時間は約1分
最大射程: 通常弾で24km、ロケット補助推進弾(RAP弾)で30km
最大発射速度: 3発/15秒(6発/分)
操作人員: 9人
FH-70は牽引式の火砲ですが、ディーゼルエンジン(補助動力装置)を
搭載しており、短距離であれば自走可能です。
このAPUにより、牽引車(中砲けん引車)から切り離された後も、
射撃陣地内での微調整や、迅速な移動・撤収が1分程度で行えます。”
とあります。”迅速な移動・撤収が1分程度で行えます。”・・ホントかな???。
もしホントなら、米陸軍は、装備の性能云々より先に、何か?必要なのでは?。
M-777の場合はどうなのか知りたいところです。
あと、ウクライナでの動画を見ていると、ウクライナ側の自走砲がランセット
などの攻撃を受けているのは、走行中が多いような気がします。
つまり、撤収して陣地転換の移動中、ということでは?、と思います。
ガタイが大きいから目立つのだろうし。
運用上揃えたいよね。RCH155の装輪型と装軌型 vs K9&K9MHに事実上絞られた感じか。
普通にK9じゃないのかぁ?って感じ
しかし58口径砲のようなとにかく長射程の夢を見るのは諦めたのかな
米軍と議会がそれぞれイヤイヤし合ってるだけで、欲しいものは世界に購入可能な状態で有るっていうのが…
撃ち返されるのがGPS誘導砲弾なら行進間射撃も意味が有るのかも知れませんが、放り込まれて来るのが画像誘導のGeran-5だとまったく意味を成さないと思うんですが。
6分で60km飛んで1時間徘徊されたら逃げようが無いでしょう。