国防総省が2027会計年度予算案に計上した18.5億ドルは「同盟国設計の戦闘艦艇採用」や「同盟国造船所での建造・部品製造」に関する大規模研究資金で、米海軍が日本や韓国に艦艇を発注するのではないかと予想されたが、下院軍事委員会は「米海軍向け戦闘艦艇の海外建造を阻止する条項」を可決した。
参考:EXCLUSIVE: OMB could use $1.9B in reconciliation to buy foreign-made ships
参考:Golden wins NDAA amendment to block Pentagon from sending U.S. shipbuilding jobs overseas
海外の造船所で建造される艦艇調達契約を締結するのにFY2027の予算を一切使用してはならない
国防総省が2027会計年度(FY2027)予算案に計上した18.5億ドルは「外国設計によるフリゲート艦と駆逐艦・巡洋艦の採用」や「同盟国の造船所における建造・部品製造」を含む大規模研究に関する資金で「国内造船所の造船能力を引き上げて追加艦艇を迅速に投入するための調達オプション」「同盟国の造船企業が艦艇本体や主要部品を建造する能力に関する研究も含む」と記述されているだけで、具体的に18.5億ドルも資金を何に使うのかは明かされていない。

出典:Department of War Fiscal Year (FY) 2027 Budget Estimates Navy
USNI Newsは「国防総省が海軍に日本と韓国の造船所・設計の活用を検討するよう指示した」「当時のジョン・フィラン海軍長官も『我々は外国製戦闘艦の可能性を検討するよう指示された』『もしその道を進むなら生産性が高く、素早く投入可能な艦艇に絞ることになる』『このような条件を考えると韓国や日本が他の国より優先されるだろう』と明言した」「3人の関係筋はフィラン海軍長官解任後『18.5億ドルの真の目的は米海軍に外国設計を導入し、少なくとも一部の作業を外国造船所で行うことだ』『この研究は海軍以外からの強い要請によるものだ』『韓国と日本の設計と造船所に重点が置かれている』と明かした」と言及。
実際に18.5億ドルの大規模研究を強く働きかけたのは予算編成を行う米行政管理予算局(OMB)で、Breaking Defenseは5月末「OMB当局者は国防総省が計上した18.5億ドルの資金について「外国設計によるフリゲート艦と駆逐艦・巡洋艦の採用、同盟国の造船所における建造・部品製造ができるかどうかを調査するだけでなく、日本または韓国で建造される最初の艦艇の資金提供を開始するためにも使用されるかもしれない」と明かした」と述べたが、このOMB主導の取り組みは議会や産業界と調整せずに行われているため実現の可能性は相当低い。

出典:海上自衛隊
日本と韓国の造船所で船体建造や部品製造を行うには米海軍艦艇の国外建造(上部構造の主要部品製造も含む)を禁止したバーンズ・トレフソン法が問題になり、これをバイパスするには大統領が国家安全保障上の理由で同法の適用を免除し、そして議会が承認する必要がある。
この議会承認を阻むのが国内雇用の問題、つまり選挙区に造船所や関連企業を抱える議員と国内造船産業界の猛反発で、既に造船所業界団体=Shipbuilders Council of Americaは「我々がすでに知っていることを確認するため数百万ドルの税金を費やす必要はない」「米国には十分な工業力、熟練労働力、技術的専門性があり、世界最高水準の海軍艦艇を時間通りに予算内で建造・維持できる」「一貫した投資と明確な方針があれば、国内造船産業は需要増大に十分対応し、国家安全保障を損なうことなく海軍の長期任務を支えられる」と声明を発表。

出典:대한민국 해군
これは声明の内容が事実かどうかは重要ではなく「どんな素晴らしいアイデアでも国内雇用という利害を無視すれば実現しない」という意味で、米海軍も(必要なのかどうかはさておき)要件を満たしていない外国設計の艦艇をそのまま受け入れる可能性は低く、米海軍、造船所業界、労働者、一部議員の全員が賛成するのは韓国企業や日本企業が米造船所業界に投資して造船所を整備し、サプライチェーンを構築し、米国人を雇用して現地建造を行う方法だけだろう。
下院軍事委員会は下院バージョンのFY2027国防権限法案(予算の具体的な使い道や各計画の上限額などを決める『議会が国防政策の方向性を毎年確認して政策を盛り込むための法案』で、実際に国防支出で動く資金額は歳出法で決まるものの、この国防権限法が成立しないと歳出法も成立しない)採決前にジャレッド・ゴールデン議員が提出した修正案を承認、これは「海外の造船所で建造される艦艇調達契約を締結するのにFY2027の予算を一切使用してはならない」という内容で、事実上「米海軍向け戦闘艦艇の海外建造を阻止する条項」と言っても過言ではない。

出典:Representative Jared Golden
国防権限法案は上院と下院の軍事委員会が別々のバージョンを作成して可決、上院と下院の本会議でそれぞれのバージョンの国防権限法案を採決、上院バージョンと下院バージョンを1本化した両院協議会報告書=Conference Reportを上院と下院の本会議が採決、これを大統領が署名すれば国防権限法案が成立する仕組みで、ジャレッド・ゴールデン議員が提出した修正案が両院協議会報告書まで生き残れば「米海軍向け戦闘艦艇の海外建造を阻止する条項」は確実にFY2027国防権限法案として成立するだろう。
ジャレッド・ゴールデン議員は「米国の軍事費は米国の雇用を支えるべきだ」「水上艦隊の一部を外国で外国人労働者を使って建造するなど言語道断だ」「この計画が米国の産業、雇用、国家安全保障に対する脅威であることを理解してくれた委員会の同僚たちに感謝する」と述べており、日本では防衛分野の投資を産業や雇用に結びつけて考える意識があまりないが、米国を含む諸外国ではこの点が非常に重要視されているためOMB主導の取り組みは異端とも言えるものだった。

出典:Hanwha
米海軍向け戦闘艦艇の海外建造を阻止する条項を国防権限法案から除外すべきだという動きは出てこないと思われ、米国の造船能力強化は韓国企業や日本企業が米造船所業界に投資して造船所を整備し、サプライチェーンを構築し、米国人を雇用して現地建造を進める方向で話が進むのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo Lt. Sydney Sisler





















>世界最高水準の海軍艦艇を時間通りに予算内で建造・維持できる
それが出来てないから、、、
民主主義国家においては、正論より票のほうが強いんで。
そりゃあ、選挙区の造船雇用を海外に流出させます。こんな公約を口にできるはずがない
民主主義国家では票こそ正論です
現実には駆逐艦1隻造るのに5年もかかってるんですが…
えらく気の長い「時間内」ですね。
アメリカに能力がないのはもちろんだが日韓が必ずへし折れて在米工場を建てることを前提にしすぎてるのがね
資本主義社会では当然あり得る「ロシアなりフィリピンなりオーストラリアなりよそがよりよい条件で競り落としたので進出しません」で切られる可能性を一切考慮してない
怖いねえ
『米国には十分な工業力、熟練労働力が(以下略)······』
それなら良いんですよ別に。その話が本当なら我々も大歓迎ですよ
それは分かるから早く日韓の造船業をアメリカに引き込んでもろて
面白いジョークがお得意なようで。
現実を直視しろよ
もうほかっとけばよくないか?
そもそも我々はまだアプローチされる前に袖にされてるので何も出来ないというか…
何かしたいなら米本土にこっちから切り込んでいく話になる
票田を無視して政策を進める事が出来る議員なんていませんからね
それに例えば日本で外国で軍艦を建造しようとか外国人労働者を大量に雇って軍艦を建造しようなんて主張する議員がいたら国賊扱いされるみたいに、州の産業を軽視して国策の為に政策を進めようとする議員が現れても州に対する反逆者扱いされて、産業界や住民から反発をくらい落選するでしょうね。
アメリカ納税者のカネで日本や韓国から軍艦買って
その軍艦で日本や韓国のシーレーン守るとか
アメリカ人の誰が納得するんよ
まあ国内産業の保護という名目自体は間違いとは言い難いし、反対する議員も少ないでしょうね。
ただこれで米海軍の艦艇調達が上手くいくかどうかは知りませんが。
もともと、日本の造船所は人手不足でアメリカ海軍向けの艦艇建造を新たに受注する余力はないと思います。なぜ勝手に日本の造船所に艦艇建造を発注するかどうかを米国内で議論しているのでしょうか?
月刊正規空母・週刊護衛空母・日刊駆逐艦と言われた米国建艦能力も冷戦終了とともにサプライチェーンごと国内から消し飛ばし、現在は中韓日で世界の5割3割1割(だったかな)の製造シェアですがまさか中国に発注するわけもなく…。
まぁある程度は予測出来た流れではある
取り敢えず日本としては豪州・NZ、カナダ・フィリピン辺りでの軍艦のシェア伸ばして外堀埋めるしか無いでしょうなぁ
現実に起きていることと主張とのギャップの落差が凄い。
まあそう仰るなら別にいいんだけどね、と言いたいところだが、アメリカの軍事力低下は、そのまま日本の国防力の低下に他ならないから、いらないんなら良いんですよ?と上から目線で言ってる場合でもない。
これで問題なのは米海軍の衰退が確定した訳で、我が国への影響も避けられないだろう。
更には否決したとこで問題は何も解決してないが無理矢理な解決策として我が国に投資&技術移転を強要してくる可能性がある。
進出した韓国企業は作業員の質の低さや教育を施しても仕事を覚えると転職して出て行ってしまうらしくかなり苦戦してる様子。
当然日本の造船各社もその辺の情報は知ってるだろうからやりたくないだろう。
しかし日本の「やりたくない」にトランプが納得するとも思えず、今後の展開を考えると頭が痛いねぇ・・・。
業種は異なりますが、USスチールを買収した日本製鉄は100名以上の技術者を派遣し工場の「カイゼン」を行っており、品質向上などの成果が出てきているので、やり方があるような気がします
US鉄の子会社の造船所でも作りますか?
USスチールの場合、現場の労働者は元々買収容認でしたよね。
それ故に、「カイゼン」を受け入れる覚悟や余地もあったのかも。
一方の造船業界は、どうなのでしょうね?
(能天気ぽい組合や団体はこの際横に置いて)現場の危機感について知らないので、予想も出来ない出来ないですが。
最高に「民主主義」って感じだ・・・
これ上手くいけばアメリカがアジアを見捨てる事が出来なくなる手札になると思ったんですけどね。日本や韓国がアメリカに造船所作っても意味ないんですよ。
ほおほぉ、建造はダメだと。
でも修理や点検は駄目と言っていないねぇ⋯
「海外の造船所で建造される艦艇調達契約を締結するのにFY2027の予算を一切使用してはならない」
それにしてもなんというか…逆に考えると米国の造船業界はとことん投資先として美味しくないんでしょうねぇ…
日本はどれだけ生産能力あっても中国反発怖いから
ダイレクトに台湾に武器売れないわけで
アメリカの造船所で通常潜水艦作れたらなあ
こんなこといいな できたらいいな
あんなゆめ こんなゆめ いっぱいあるけど
みんなみんなみんな かなえてくれる
ふしぎなロビー活動が かなえてくれる
つよいぐんかん もちたいな
「ハイ!トランプ級原子力戦艦」
アンアンアン とってもだいすき MAGAえもん
木造船の時代には良質な木材、とりわけメインマストに使えるような良質で太い針葉樹を産出する山林を保有することが海洋覇権の一つの条件でした。そして、海上帝国と呼ばれるような国でもしばしば木材の産地を失陥することで海軍力を大きく減じることがありました。アメリカの場合は製造業部門の体力低下がついに軍需部門にまで波及してきたという構造的要因ですが、背景にある製造業の退潮は半世紀もの時間をかけて少しずつ進行してきたものなので、正直これを打開して造船能力をV字回復させるのも、製造業救済は諦めて造船能力だけ増強するのも相応に難易度の高い選択肢だと思います。アメリカがかつてのビザンツ帝国のように人も土地も失って金融や商取引だけの国に今すぐなるとは思わないですが、自身の衰退を認めず隣人を受け入れることも拒む姿勢は遠い未来でそういった変化を招来するものに見えますね。
たくさん艦船売って儲けた上に
しっかりアメリカに守ってもらう日本のゆめは崩壊
(安全保障面は別ですが)日韓どちらも、造船ビジネスの観点からは、なあんにも困らないんですよね。
ホルムズ海峡封鎖により、シーレーンが伸びた(輸送日数が増えた)ということは、それだけ多くの船舶が必要になるからです。
『造船業界は絶好調(!)』ドッグは数年単位で予定が埋まっていって、受注がドンドン積みあがってますから、アメリカが1年後に後悔してもどうにもならないだろうなあと。
とりあえず対中国戦ではピカピカ海上自衛隊のはるか後ろにボロボロの米海軍ですな
台湾でも決して前には出てこないと
仰る点、なんだか確率上がってる気がしますね…。
南西諸島の対艦ミサイル、ドンドン強化しときたいものですね。
ならAIに投資ばかりしないで、少しは自前で造船業などの製造業に投資しなさいよ、としか言えませんね……。
そら自国の労働者優先する気持ちは分かりますが、だからこそ自助努力を。
本当にアメリカ、大丈夫なんでしょうか。
頭脳はアメリカ
手足動かすのは同盟国て役割分担
まあ中国にAI競争で負けるとそれ以上にヤバいからしゃあない
議会主導となると調達からして以前のような官僚組織主導で硬直した調達方法に船舶については戻すという事でしょうか?
中国に建造能力で負けるのが早まりすですね。
>「米国には十分な工業力、熟練労働力、技術的専門性があり、世界最高水準の海軍艦艇を時間通りに予算内で建造・維持できる」
米国さん契約社会なのだし、
個々の案件で「時間通りに予算内で建造」する事を造船所業界団体などと契約して、
納期や予算を遵守出来ない場合は、団体の構成員が破産するレベルの違約金を払わせるとかしないと、状況改まらないかも。
航空機でボーイングがやらかしてるんですけど。
罰則でどうにかなるレベルじゃないから大変な訳で。
老いた人に鞭打っても仕事が早く出来るようになる訳じゃないので。足腰から鍛えなきゃいけないレベル。
アメリカさんもっと強い海軍作って
日本の海や国際航路を守ってください
お金くれたらフネ作ります
実際日韓にしろ他の国にしろ、アメリカの造船に投資したところで見合うリターンってあるんかな?
韓国さんが人柱になってくれたから見守るしかないね
こちらとしては海自用、オーストラリア用、ニュージーランド用のフリゲートと潜水艦の製造で手一杯です。あんたらに構ってる余裕はございません。
”米海軍向け戦闘艦艇の海外建造を阻止する”
これは修理やオーバーホールを含むのかな?。
日本の造船産業にも余力があるわけではないと思うし、
新規業者がいるとしても、俄かに軍艦を扱える訳ではないし。
扱えるのは、海自の大型艦を手掛けた造船所だけ、かな?。
機密保持を含めて?。
現状で、修理やオーバーホールなら余裕はあるのかな?。
きっと、ドックを長期間占用されるのは困るだろうし。
「横須賀海軍施設ドック」みたいなのは見ない振りなんでしょうかねえ。
多分、修理/OH予定で満杯、と想像します。
米海軍を維持するには修理/OHの作業も必要でしょう。
多分、現役米空母の必需品(笑)ですね。
原子炉関連は米本国の指導が入るようですが。
”建造”では、米海軍の”隠し球” の可能性はある?かな?。
”建造”をするなら、ドックの数を増やさないと、ですね。
その時には、日本政府に何かしら要求?を出してくるのでは。
まあこうなりますよね。アメリカ造船業のフォローは余力のある韓国に頑張ってもらって、
日本はフィリピン、豪州、NZら太平洋諸国への艦船供給で手一杯だからアメリカの介護してる余裕はないと
小泉大臣からオブラートに包んで伝えてもらいましょう。
≫米国の造船能力強化は韓国企業や日本企業が米造船所業界に投資して造船所を整備し、サプライチェーンを構築し、米国人を雇用して現地建造を進める方向で話が進むのだろう。
日本のシッピングメーカーに米国同業者を買収するほどの「余力」はないと思うが。
やはり、米帝の主敵は米国議会。
「米海軍向け戦闘艦艇」でなければ問題ないということですか。
どこかの民間企業が特別な仕様の民間ヨットを韓国の造船所に発注して進水・艤装
韓国の領海外で乗員が全員米国籍の民間人と入れ替わり、グアンタナモに入港
その後になぜか同船が米海軍に徴用されてグアンタナモで武装すれば、OK
という方向になりそうな可能性も
>明確な方針があれば
ないが?
もうアメリカは造船のトップテンにすら入ってないからなあ
自国で生産するのは大事なのはその通りだけど、そんな能力がないわけでして
WW2のリバティ船みたいに一から造船所作って未経験労働者を速成マニュアルで戦力化なんてことはもう無理ですからねぇ(-_-;)
令和の時代に「造船王ヘンリー・カイザー」がいたとしても匙投げるレベル(-_-;)