クラストとエアバスは7月「ドイツ空軍向けに欧州製ミッションシステムを組み込んだXQ-58Aを開発する」と発表したが、同社のデマルコ最高経営責任者は最近「XQ-58Aが海兵隊の公式プログラムに指定された」「新しいバージョンのXQ-58Aは海兵隊が初めて取得する無人戦闘機になる」と明かした。
参考:New autonomous aircraft in development for Marines
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XQ-58Aは遠くない将来「YFQ-58A」に指定される可能性を秘めている
米空軍のNGAD、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、ウイングマンとの協調能力は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、既存の第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前台しされている。

出典:General Atomic
米国だけでもYFQ-42A、YFQ-44A、XQ-58A、XQ-67A、LongShot、Gambitなどが開発中だが、空軍主導の協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)は第2弾調達の入札が2026年に開始されるため、CCAの機種はどんどん増加する見込みで、海軍と海兵隊も独自要件に基づいたウイングマンの調達を検討中だ。
特に海兵隊は滑走路運用に依存しないF-35BとXQ-58Aの組み合わせに関心を示し、クラストのデマルコ最高経営責任者は2023年「オクラホマ・シティに完成した生産拠点でXQ-58Aの低率初期生産が始まっている」「現在はLOT2=XQ-58A Block2×12機を生産中」「Block2はBlock1と比較してより高い高度を長時間飛行できるようになった」「LOT2で生産される半分以上はBlock2Bに変更される」「Block2Bには顧客が要求した新たな追加機能が組み込まれる」と明かし、2025年7月には「エアバス製ミッションシステムを組み込んだドイツ空軍向けのXQ-58Aを開発する」と発表した。

出典:U.S. Air Force photo by Ilka Cole
元々、XQ-58A開発はウイングマンの実用化を目的にしたプログラムではなく、空軍研究所のLow Cost Attritable Aircraft TechnologyやLow-Cost Attritable Aircraft Platform Sharingを経て開発された技術検証機の性格が強く、無人戦闘機を意味する「FQ」ではなく無人機を意味する「Q」に分類されているものの、デマルコ最高経営責任者は8月「我々の無人機が海兵隊の公式プログラムに指定された」「新しいバージョンのXQ-58Aが海兵隊向けに製造される」「海兵隊が初めて取得するCCAはXQ-58Aになる」と明かして注目を集めている。
Defense NewsやWar Zoneも「海兵隊がXQ-58Aを正式に採用する」と報じており、どうやらXQ-58Aには4つの異なる顧客=米海兵隊、エアバスと共同開発する欧州バージョン、2つの異なる潜在的な顧客から受注案件を獲得し、滑走路に依存しないバージョン、滑走路運用に対応したバージョン、短距離離着陸に対応したバージョン、欧州バージョン、2つの異なる潜在的な顧客のニーズに特化したバージョンが生産されるらしい。

出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. John McRell
米海兵隊向けXQ-58A(XQ-58Bとも呼ばれている)の仕様は不明だが、War Zoneは「電子戦任務が中心になる」「機体内だけでなく機体外への弾薬や電子装置の携行能力が求められる」と指摘し、XQ-58AはCCAの第2弾調達にも参加することが見込まれ、米空軍は第2弾調達について「第1弾調達よりも安価でシンプルな設計を選ぶかもしれない」と発言しているため、XQ-58Aは遠くない将来「YFQ-58A」に指定される可能性を秘めている。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. John McRell





















今のCCAは発展途上だから、種類めっちゃ多いですけど、
成熟してきたら「いっぱいあって面倒くさい!空軍海軍海兵隊でCCAの機種統一せいや!!」みたいな、どっかで聞いた話になって行くのだろうか
用途の異なる機種の統合には「良いとこどり」が必要で、それはほぼ「高いとこどり」とイコールで、しかも相乗効果で雪だるま式に高額化を招きますからね、
有人機ならそれでも2機種3機種それぞれの必要機数揃えるよりはマルチロール機の方がトータルで安くなることもある、少なくとも計算上はそんな成算が立ったかもしれませんが、
無人機では「個別に作った方が安い、少なくとも損耗を許容しやすい」となるので、あんまり統合はされないんじゃないですかね。
代わりにGambitなんかに見られるような、共通プラットフォームからの派生やファミリー化で量産効果を確保する流れになるのではないかと。
今はまだ無人機は有人機のサポートが主ですけど、この先は無人機が主役になって有人機が脇役になる時代も遠くなさそうです。
そうなると今の空軍のパイロットが一番偉いというヒエラルキーも変わって、無人化出来ない整備の地位が向上しそうな気もします。
X-47はどこがダメだったんだろうか
他所に仕事回したい米軍のちゃぶ台返しでノースロップがやる気なくしたって話をどこかで聞いたような。ホントか知らないけど。
このニュースでもXQ-58を「無人戦闘機」と呼んでいますが、空対空兵装が無いので、実態は「無人攻撃機」だと思います
無人随伴機は、安く、量産しやすく、いざとなったら自爆ドローンとして使えるぐらいの開発しないと、無人化F35みたいな糞高い高級品になりそう。
てーか、アメリカ人は、高性能化、多機能化を言い出して、そういうアホなことしそう。
それは、危険な任務で損耗前提な無人随伴機としては本末転倒だ。
そうなると本体は共通で、任務ごとにアビオニクスや装備を変えたバージョンをそれぞれ量産しておく、みたいなスタイルになっていくと思う。
ただ、レシプロの超安価本体(ほぼ自爆ドローン専用)とジェットのまずまず安価な本体(数回の再利用を想定した偵察から軽攻撃可能な機体)、ぐらいの本体バリエーションは有りだと思うが。