米国の対イラン作戦の戦費は290億ドルに達し、海軍作戦部長は5月「夏までに資金枯渇の影響が出る」「7月までに海軍の活動縮小を決断しなければならない」と証言していたが、国防総省は戦費補填が遅れているため軍事演習や訓練の縮小・中止、装備、施設、維持管理の予算削減を開始した。
参考:The Pentagon, sinking billions into Iran war, is quickly running short on cash
海軍と空軍の資金不足は「670億ドルの承認」と「2027年度予算の成立」まで根本的に解消される見込みはない
米軍は2月末に開始した対イラン作戦=エピック・フューリー作戦で膨大な資金を溶かし、Washington Postは3月9日「イラン攻撃の最初の2日間で56億ドル相当の弾薬を消費した」「この数字は希少な精密誘導兵器の備蓄を急速に使い果たしているという警戒感を浮き彫りにしている」「ダン・ケイン統合参謀本部議長はトランプ大統領に対して『イランとの紛争が長期化すればウクライナに対する数年間の支援、少なくともトランプ政権が世界7カ国で行っている軍事行動によって枯渇した精密誘導兵器の在庫が底をつく可能性がある』と警告していたが、政権はこの評価を軽視してきた」と言及。

出典:DoD photo by Benjamin Applebaum
ピート・ヘグセス国防長官とダン・ケイン統合参謀本部議長は2027会計年度予算審議に向けた公聴会の中で「エピック・フューリー作戦の戦費が290億ドルに達した」「この数字の大部分(240億ドル)は消耗した弾薬、ドローン、航空機装備の修理や交換費用に関連している」と、ジュールズ・ハースト国防総省会計監査官代行も「この見積もりには軍事施設への損害額は含まれていない」「将来の態勢がどうなのか分からないし、損傷した基地をどうやって再建するのか、同盟国やパートナー国が再建費用の何パーセントを負担するのかも分かっていない」と述べた。
下院歳出委員会国防小委員会のベティ・マッカラム議員は国防総省に対して「人件費、作戦費、作戦投入した艦艇の追加整備費、弾薬費、作戦で破壊された装備品の交換費用、消費した燃料の最新額、軍事施設への損害額の内訳など委員会が国防予算案を審議する6月11日まで提出しろ」と指示し、これはエピック・フューリー作戦の戦費を賄う補正予算を編成するためだが、ダリル・コードル作戦部長は下院歳出委員会の公聴会に出席した際「現在の作戦ペースで推移すればいつ資金が枯渇すると予想しているか」と質問され「夏までに影響が出る」と回答。

出典:U.S. Central Command
現在の作戦ペースとはエピック・フューリー作戦のことではなく、米海軍が通年を通して実施している海外展開、国内外の訓練、国内演習の実施や国外演習への参加、各種資格認定、イベントなどを指し、コードル作戦部長は「戦力維持のため7月までに作戦ペースの見直しを決断しなければならない」と述べた。
下院歳出委員会の国防小委員会で委員長を務めるケン・カルバート議員は「補正予算案を最終的に誰が可決させるかは分からないが、我々だけでなく上院でも補正予算案を検討しなければならないので時間がかかるだろう。我々は2027会計年度の国防予算も同時に審議しなければならないが、作戦部長の話を聞く限り補正予算案の可決を優先して、できるだけ早く資金を確保しなければならないように見える」と言及し、ホワイトハウスはイランとの戦争費用を賄うため議会に670億ドルの即時増額を要請したが、イランとの停戦合意が崩壊して戦闘が再開され、議会は670億ドルの支出について膠着状態のまま夏の休会に入る予定だ。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Matthew Arachik
ワシントン・ポストは21日「イランとの戦争費用を賄う合意は早くても数週間先になる見込みで、この戦争は中東地域に戦力を派遣している海軍と空軍に予想外の負担を強いている」「2人の議会関係者は『海軍と空軍の継続的な軍事作戦をカバーする2026年度予算の一部が7月末までに枯渇する見込みだ』と明かした」「国防総省は2027年度予算の資金が手に入るまで部隊の即応性維持に関わる軍事演習や訓練を制限もしくは中止した」「さらに不足分をカバーするため装備、施設、維持管理の予算も削減されている」「国防総省は訓練や武器購入に割り当てられた43億ドルの資金転用についても議会に許可を求めている」と報じた。
コードル作戦部長が5月に警告していた事態は現実化し、しかもイランとの停戦合意が崩壊して戦闘が再開されたため(対イラン作戦に転用可能な)手持ちの資金枯渇が加速している上、議会が670億ドルの支出を承認するのも9月以降の話で、国防総省は当てにならない「670億ドルの承認」ではなく「10月1日から始まる2027会計年度予算の資金」まで手持ちの資金でやりくりするため「イランとの戦争以外の支出を本格的に削減し始めている」となるが、2027年度予算が10月1日までに成立する可能性は限りなくゼロだ。

出典:The White House
そのため10月1日以降は恒例のつなぎ予算で資金供給が行われ、こうなると基本的に前年度からの継続プログラムにしか資金が供給されないため、海軍と空軍の資金不足は「670億ドルの承認」と「2027年度予算の成立」まで根本的に解消される見込みはなく、2027会計年度国防予算の一部を占める義務的支出=3,500億ドルの問題まで加味すると今年の資金調達は本当にリスクが高すぎる。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Central Command





















「この見積もりには軍事施設への損害額は含まれていない」
なんかメッチャ高価なレーダーとかメッチャ高価な航空機とかあと同士討ちしちゃった戦闘機とかもあったよな。
被害額だけで100億ドルぐらいあったりする?
MQ-9なんてそろそろ被撃墜数40機以上いったんじゃないか?
日本円で1機30億〜50億と考えたら相当な損失いってそう
「戦争というものは、行うと勝敗に関係無く国力を消耗する」という事の実例だと思います。
国力が消耗したからといって、直ちに国が滅びる事を意味する訳ではないですが、色々と弊害が出てくる事でしょう。
まったく戦争してないのに
アメリカの70%から12%の規模までGDP落としてる日本
GDP自体は落ちてない。
アメリカや中国が大きく成長して相対的に下がっただけ。
戦争すれば軍産複合体が儲かるって言ったのに、嘘つき
アジアや欧州の同盟国も
トランプざまあと傍観してたら
結局自分の地域の米軍戦力がどんどん吸い取られてく
これだけの戦争やって議会が関わってないというのが民主国家として恐ろしい話で、上院も下院もそろそろトランプが王様じゃないって事を示して欲しいですね。
MAGAや急進左派ばかり予備選勝ってますよ
あなたが望む人は候補にもなれません
煽り?下の方で連投してるのもやめたら?
イラン戦争はアメリカがイスラエルに引きずられて始めた戦争だと思いますが、ここに来て米下院ではNDAAセクション224、米上院ではセクション622と、防衛技術開発や諜報の面でアメリカとイスラエルをほぼ不可逆的に統合する法案が出てきていますね。
これからますますイスラエルはアメリカにとって唯一の「特別な国」であり続けるのでしょうか。
しかし、あのアメリカの戦費が足りなくなるとは凄い時代になったもんだ
戦費だけの問題じゃないのが、厳しいですよね。
アメリカの弾薬在庫ですが、いくらお金をかけたとしても、短期では生産体制が追い付かないからです。
日本目線、極東~東南アジア~オセアニア情勢への影響が非常に心配であり、シーレーンへの影響を見守りたいと思います。
すでに極東~東南アジアは実質的覇権の交代でしょう。有事のホルムズ海峡を通れないアメリカ、有事の台湾海峡を通れるはずが無い。
日本の原油やガスもみんな太平洋ルート
中国は極東から東南アジアまで
商品売りつけるだけで買わない
最終的にアメリカが買うから極東から東南アジアまで食えてる
まず中国は売るより買うこと努力してほしい
そうすればドルより元を持ってくれるかもしれない
一番の問題は、物理的な戦争をしていない中国は、弾薬貯蓄も、新兵器開発もやり放題ってところですね。
軍事より内需拡大して欲しい
デフレ輸出の大洪水で貿易相手先はみんな困ってる
そんな暇があるなら、ガタガタの中国経済を立て直して欲しいですね
日本から集るのはやめてね、80兆円もなかったことにしてください
だって日本のシーレーン守れなかったんだし
台湾そのものが落ちなくても台湾海峡が短期間封鎖されて半導体工場のラインが止まるだけで、電子機器関係は、90日間麻痺するという話。やりたくなくても台湾有事のコストをつり上げるしかない。