米国関連

米海軍が強く求める艦艇の対ドローン能力強化、迎撃ドローン搭載が拡大

米海軍は2025年夏に第12空母打撃群の護衛に加わったアーレイ・バーク級駆逐艦へ迎撃ドローン(CoyoteとRoadrunner)を搭載したが、パールハーバーで3月29日に撮影されたアーレイ・バーク級駆逐艦にも新しい対ドローン用兵器らしきものが搭載されており、海上での迎撃ドローン運用が拡大している。

参考:FEDOROV
参考:U.S. Navy Destroyer Equipped With New Launcher For Unknown Weapons
参考:Two Companies Selected to Support DIU’s Counter Unmanned Aerial Systems – NEXT Project
参考:дрон-перехватчик “Елка” ловит все типы беспилотников ВСУ

米海軍も艦艇の対ドローン能力強化を強く求めているため迎撃ドローンの艦艇普及=海上での運用は拡大していく可能性が高い

ウクライナのミハイロ・フェドロフ国防相は9日「迎撃ドローンはウクライナの発明品であり、既に我が国の防空にとって重要な要素になっている」「ウクライナ軍は迎撃ドローンを使用してShahed、Gerbera、Molniya、Zala(恐らくLancetのこと)、Orlanなど各種ドローンを3月に3万3,000機以上も撃墜した」「この戦果は2月と比べて2倍以上に相当する」と明かし、もうウクライナ製の迎撃ドローンは「対Shahed用」ではなく「低空、低速、小型ドローン(Low, Slow, Small Unmanned Aircraft )全般を迎撃する手段となっている」と裏付けられた格好だ。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Jacob Mattingly

米ディフェンスメディアのMilitary.comも2025年3月「今夏に展開予定の空母打撃群にCoyoteとRoadrunnerを配備する」と報じ、2025年8月にアーレイ・バーク級駆逐艦のベインブリッジとウィンストン・S・チャーチルにCoyoteランチャーが搭載されていると確認されていたが、今度は2026年3月29日にパールハーバーで撮影されたアーレイ・バーク級駆逐艦のカール・M・レヴィンへの新型ランチャー搭載が確認され、これを最初に報告した日本人(おるか)は「対ドローン用のヘルファイア・JAGMランチャーではないか」と推測。

War Zoneは「このランチャーが何を発射するのか、またどのような目的で使用されるのかは不明だが、Zone 5 Technologiesが開発して対ドローン用の低コスト迎撃ミサイル=White Spikeかもしれない」「Zone 5が公開したWhite Spikeのランチャーは4セルでカール・M・レヴィンで確認された新型ランチャーと異なる」「それでもランチャーの形状と機能の両方で非常に多くの類似点がある」と指摘し、White SpikeはAndurilのRoadrunnerと共に国防総省が実施したCounter Unmanned Aerial Systems-NEXT(Counter-NEXT)でテストを受けていた。

国防総省の国防イノベーションユニットはCounter-NEXTの取り組みについて「このプロジェクトの目的は民間技術とプロセスを活用し、前線部隊にとって不可欠な対ドローン迎撃兵器の開発、生産、部隊配備を加速させることにある」と述べ、Zone 5も「White Spikeは将来の設計変更、可能な限り市場から調達するサブシステムおよびコンポーネントの改良や変更を迅速に統合するためモジュラー・オープンシステム・アーキテクチャを採用し、最新の製造技術を用いた大量生産を前提とした設計となっている」と述べている。

カール・M・レヴィンで確認された新型ランチャーの搭載位置は、ベインブリッジとウィンストン・S・チャーチルで確認されたCoyoteランチャーの搭載位置と同じで、Lockheed Martinも同じ場所にJAGMランチャーを搭載するコンセプトを披露したことがあり、米海軍も艦艇の対ドローン能力強化を強く求めているため迎撃ドローンの艦艇普及=海上での運用は拡大していく可能性が高い。

ちなみに、ロシアは自爆型無人機による脅威に晒されるのがウクライナよりも遅かったため迎撃ドローンの開発で出遅れていたが、ロシア国営メディアは「ロシアでも迎撃ドローンが開発されている」「ロシア軍にも迎撃ドローンが配備されている」と繰り返し報告しているものの、まだ生産が本格的に立ち上がっていないためウクライナ軍ほど普及している印象は受けない。

中国企業も迎撃ドローンを急速に開発して製品化しており、既に人民解放軍が導入していても不思議ではなく、中国企業は海外向けにも民間向けの迎撃ドローン販売も開始している。

出典:Chinese state media

以上のことから、ロシアも中国も迎撃ドローン=低コストな対ドローン迎撃兵器に力していく可能性は非常に高く、いずれは艦艇への迎撃ドローン配備も一般化するかもしれない。

関連記事:迎撃ドローンの市場形成とシェア争い、西側企業の投資スピードは強烈
関連記事:軍上層部が全面的に支持するレーザー兵器、脅威と直面する兵士は信頼せず
関連記事:海上での無人機迎撃、米海軍が駆逐艦にCoyoteとRoadrunnerを導入

 

※アイキャッチ画像の出典:Zone 5 Technologies

ウクライナは弾道ミサイルを迎撃ミサイル1発で対処、IBCS採用で同じことが可能前のページ

ウクライナの迎撃ドローンはGeran-3の速度に対応、Geran-5も時間の問題次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米陸軍は空中発射効果を重視、次世代ヘリに対する高速性は優先度が低下

    ボーイングは東欧最大の見本市=MSPO2025で「もう米陸軍はヘリの高…

  2. 米国関連

    米ミサイル防衛局、SPY-7とイージスシステムの組み合わせが性能基準を満たしたと発表

    米ミサイル防衛局は今月25日、米海軍の海洋システムコマンドと共同でAN…

  3. 米国関連

    米国、パトリオットシステム本体が含まれるウクライナ支援パッケージを発表

    米国は11日に2.25億ドル相当のウクライナ支援パッケージ(PDA経由…

  4. 米国関連

    将来の戦力設計にeVTOLを活用、米空軍が電動垂直離着陸機の評価テストを実施

    米空軍研究所は電動垂直離着陸機(eVTOL)の評価テストを進めており、…

  5. 米国関連

    米海軍、耐用年数を迎えるアーレイ・バーク級駆逐艦を維持するには奇跡が必要か

    米海軍は耐用年数を迎えるアーレイ・バーク級駆逐艦に対して大規模なオーバ…

コメント

  • コメント (13)

  • トラックバックは利用できません。

    • 白髪鬼
    • 2026年 4月 13日

    ヘルファイアであれば、USVの迎撃にも使えそうですね。
    黒海でのウクライナの専用のUSVによる攻撃映像を見ても、機関砲での迎撃が意外と当たらない様ですから、トップアタック気味に攻撃出来る対戦車ミサイル系は有効な気がします。

    4
      • nachteule
      • 2026年 4月 13日

       USV迎撃に関してはそもそもロシアが想定していたのかが照準システム的に十分だったのかて機関砲が当たらないで終わっちゃ駄目なヤツ。

       西側なら広く採用されているファランクスのブロック1Bだと光学射撃指揮装置追加、対水上射撃モード(Phalanx Surface Mode,)追加とかしてるんだし。それで不足と言うならより高性能なセンサー搭載とエアバースト弾が使用出来る大口径機関砲への換装も有り得るでしょう。それぞれの思惑があると思いますが。

      4
    • たむごん
    • 2026年 4月 13日

    安価なメリットは、多数配備することができることですね。

    最前線近く~より近い位置に配備して迎撃するだけでなく、重要拠点に配備して対応することもできそうです。

    迎撃ドローンは、サイズも小さいですから配備もしやすいですし、安く・小さいため補給のための運搬も容易そうですね。

    4
    • SB
    • 2026年 4月 13日

    しかしヘルファイアが対地対艦対空の万能ミサイルになるとは思ってもみなかった

    11
    • ななし
    • 2026年 4月 13日

    >中国企業は海外向けにも民間向けの迎撃ドローン販売も開始している。
    これ旅客機に対しても使えるのかな

    2
      • nachteule
      • 2026年 4月 13日

       旅客機に搭載すると言うならむしろ空港が装備すべき話では?離着陸時にヤバいと思ったら発射して迎撃とか、どうやって探知して自機の速度も考慮し、どこから安全に発射して迎撃スピードは問題無いのか色々あるし。

      2
    • AKI
    • 2026年 4月 13日

    APKWSは、自衛隊も陸海空問わず導入した方がいいんじゃないかな。
    対ドローンでも、かなり有効だろうし。

    8
    • せい
    • 2026年 4月 13日

    安価な迎撃ドローンって、具体的にどうやって敵ドローンに向かっていくんだろう?
    高度なセンサーやシーカーなんて積めば安くなるわけ無いが、それらもソフトウェアで何とかなる問題なのかな?
    イージス艦やAWACS、車載型レーダーがあれば撃ち出すハードに依存せず迎撃出来る体制になれば、防空ミサイルの低生産力にあえぐ必要も無くなるな

    2
      • 名無し
      • 2026年 4月 13日

      安くて実績あって簡単なのは、コマンド誘導じゃないですかね?ドローン側にシーカー載せなくていいから。

      3
      • 中村
      • 2026年 4月 14日

       昔の対空ミサイルは誘導を発射器側に頼って弾はラジコンロケット機って結構有りましたよ。初期の奴は本当に光学照準器とジョイスティック操作でした。

       シーキャットの縦置きに成ってる4連装ランチャーの画像なんか、まんま迎撃ドローンです。

      1
    • nachteule
    • 2026年 4月 13日

     今回のホルムズ海峡対応みたいな話があった場合、現有護衛艦を派遣しても脅威に対抗しきれないのが見えたと思うので仮に似たような無茶振りがあるとして対応の為に変化するなら護衛艦がどうなっていくんだろうかと思ったりする。

     新型FFMに対機雷戦が考慮されるならOZZ-5を複数搭載、ESSMで船舶護衛用の僚艦防空機能を与え、迎撃ドローンと固定式ソナーと対水上軽装甲目標とドローン対策用のRWS Mk.38 Mod 2+エアバースト弾、潜望鏡探知レーダー機能流用か専用の低空目標探知機能とかなければとてもじゃないが安心して派遣とか出来ない感じがする。

    10
      • ドゥ素人
      • 2026年 4月 14日

      確かにそういった装備は無いと不安ですよね。
      国内世論の問題から日本は有志国の撤退実績をつけさせるのにも狙われやすいかもしれませんし。

      あと話が少しずれますが、停泊中や補給中であっても派遣先ならそれらの装備で対処できるかもしれませんが、国内で駐機してる時にドローンによるテロ攻撃みたいなのにはどう対処してるんでしょうか?
      日本の基地防空って自動で迎撃できたとしても「破片が〜」とかで叩かれそうですが。
      この間、横須賀で居並ぶ水上艦や潜水艦見ながら思いました

      1
    • ななし
    • 2026年 4月 14日

    ファランクスじゃいかんのか?

    1

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
PAGE TOP