米国関連

F-35のウェポンベイに12発?米国、新型空対空ミサイル「ペレグリン」開発を発表

米国の大手防衛企業、レイセオンは新しい空対空ミサイル「Peregrine(ペレグリン)」の開発を発表した。

参考:Peregrine Air-to-Air Missile

レイセオンが発表した小型の中距離空対空ミサイル「ペレグリン」

米軍機が標準的に使用している空対空ミサイル「AIM-120 AMRAAM」を製造しているレイセオンは、戦闘機が搭載できる空対空ミサイルの数を2倍に引き上げるため、現行の中距離空対空ミサイルの半分のサイズで、より高速、より機動性が高い、さらに低価格な新型空対空ミサイル「Peregrine(ペレグリン)」を開発することを発表した。

引用:raytheon 新型空対空ミサイル「Peregrine(ペレグリン)」

レイセオンの副社長、トーマス・ブッシング氏は、この新型の空対空ミサイル「ペレグリン」について「米国と同盟国の戦闘機パイロットが、より多くのミサイルを戦闘に使用できるようになる。小型化されたミサイル本体には、高度なセンサーや誘導装置、推進システムが収められており、これは大きな技術的飛躍だ」と述べた。

ただし、この新型空対空ミサイル「ペレグリン」が、いつ完成し使用可能になるのか、いつ量産が始まるのかについては明らかにしなかった。

現在、ロッキード・マーティンは、中国が開発した長射程空対空ミサイル「PL-15」に対抗するため、AIM-120よりも射程が遥かに長い、新型空対空ミサイル「AIM-260 Joint Advanced Tactical Missile(JATM)」の開発を進めている。

AIM-260の性能について詳細は不明だが、AIM-260のサイズは、AIM-120とほぼ同サイズで、既存の空対空兵器のフォームファクタとの互換性が確保されているが、ラムジェット推進は採用されておらず、2021年に試射を行い、2022年には初期運用が開始されるだろうと言われており、米軍のミサイル・ロケットの命名規則に基づき「AIM-260」と命名されていることを考慮すれば、米軍が開発に関与している可能性を示唆している。

しかし、レイセオンが発表した新型空対空ミサイル「ペレグリン」は、同社が製造しているAIM-120の牙城を守るため、ロッキード・マーティンのAIM-260開発に対抗するため発表された可能性が高く、この新型空対空ミサイルの開発には、恐らく米軍は関与しておらず、レイセオンが独自に研究・開発を進めているものだろう。

出典:Public Domain AIM-120

レイセオンが今回言及した、空対空ミサイルの小型化や高速性、機動性への言及は非常に魅力的だが、射程距離については何一つ言及がなく、単純に現行のAIM-120を半分のサイズに小型化したものという印象が強い。

中国が開発した「PL-15」は、米国のAIM-120と比較しても遜色ない性能で、一部ではAIM-120の性能を上回り、射程だけで言えば、欧州のミーティアに匹敵すると言われており、アクティブ・フェーズドアレイレーダーを備える「PL-15」は、有視界外から発射が可能で、マッハ4に達するほどの高速なスピードで接近し、狙われた航空機は回避は困難だ。

この「PL-15」に対抗するためには、やはり空対空ミサイルの小型化よりも射程距離の延長の方が重要で、現行の中距離空対空ミサイル、恐らくAIM-120の小型化が、どれだけ米軍の関心を引けるのか、なんとも評価し難い。

ただし、このような考え方もある。

現状、F-35はウェポンベイにAIM-120を4発までしか携行できないが、ブロック4からは6発搭載することが可能で、AIM-120をペレグリンに置き換えれば、最大12発の中距離空対空ミサイルがウェポンベイに搭載出来るようになるため、特に、F-35には魅力的に映るかもしれない。

どちらにせよ、まだ詳しい性能について分からない点が多いので、正確な評価を下すことはできないが、米軍はロッキード・マーティンが開発する長距離空対空ミサイル「AIM-260」を採用するのか、それともレイセオンが開発を発表した小型の中距離空対空ミサイル「ペレグリン」を採用するのか、非常に興味深い状況になってきた。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air force Photo by Master Sgt. Michael Jackson

兵士にとっては地獄?米海軍、早期警戒機「E-2D」に空中給油用プローブを装着前のページ

韓国はF-35の重整備を何処で受ける?米国、韓国に対し「日本」の整備拠点利用を要請次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    KC-46AとLMXTの戦い、米空軍がKC-135後継機調達にRFIを発行予定

    KC-46Aの追加発注が禁止される可能性がある米空軍は「9月末までにK…

  2. 米国関連

    米国がウクライナ支援を発表予定、短射程のATACMSや155mm砲弾を供給

    米国のPOLITICOは12日「まもなくバイデン政権が3億ドル相当の武…

  3. 米国関連

    ハワイ配備のAH-1Zは廃止、米海兵隊が再編計画に従いヘリコプター戦力を削減

    米海兵隊は昨年3月に発表した大規模な部隊再編計画「Force Desi…

  4. 米国関連

    米メディア、何故これほど多くの国が韓国のK9を購入するのか?

    フォーブスやフォーリン・ポリシーに安全保障分野の記事を寄稿しているマイ…

  5. 米国関連

    米海軍のF/A-18E/F BlockⅢ、唯一の欠点はF-35Cとの情報共有能力

    米海軍は先週、ボーイングから新しいF/A-18E/F BlockⅢを2…

  6. 米国関連

    プーチンの狙い、冬の電力遮断でウクライナ人から妥協を引き出すこと

    ホワイトハウスのカービー報道官は「ロシア軍による大規模な都市攻撃は長い…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 17日

    Peregrineが初期のAIM-120と同じ射程70kmならAIM-9Xの射程延長モデルと同等なので、そっちとの競合も考えられますね。
    AIM-9Xの射程延長モデルが外部取り付けでもステルス性に影響ないとの話ですが、ウェポンベイに取り付けられるに越したことはないでしょう。
    AIM-260とPeregrineをウェポンベイに混載できればBVRからドッグファイトまでいけるので、アリだと思います

    • 匿名
    • 2019年 9月 17日

    隠密性というステルス戦闘機の特性を考えるなら、数と長射程を比較するなら長射程の方が有効に思えます。スナイパーに必要なのはサブマシンガンよりライフルですから。

    1
    • 匿名
    • 2019年 9月 17日

    ペレグリン?小林製薬あたりが商標とっててもおかしくない名前だな

    1
      • 匿名
      • 2019年 9月 22日

      指輪物語に出てくる、ホビットのピピンからではないでしょうか。近衛騎士かつ王代行であり華々しい戦果も挙げた登場人物です。主役のフロドは敵を討ち果たすようなキャラではありませんし、サイズ半分が特長のミサイルとしては気の利いた命名のように思われます。

    • 匿名
    • 2019年 9月 18日

    兵器運用においては多様性も必要なので、開発くらいはしておかないとね。
    先進小型無人機に載せるにも向いてそうだし。

    1
      • 匿名
      • 2019年 9月 19日

      無人機同士の暗殺合戦とかには向いてそうだよね
      SDBと同等のサイズだし、同じランチャーに混載出来たら、SDB 6発にペレグリン 2発とか出来て便利そう

      1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
PAGE TOP