米国関連

米軍もShahed型無人機を導入、米中央軍が中東に配備したLUCASを公開

ヘグゼス国防長官は7月にSpektreWorksが開発したShahed型無人機の米軍バージョン=LUCASを視察していたが、米中央軍は3日「中東地域に一方通行の攻撃ドローン部隊=Task Force Scorpion Strikeを配備した」を発表し、米軍も遂にShahed型無人機を正式に配備した。

参考:U.S. Launches One-Way-Attack Drone Force in the Middle East
参考:American Shahed-136 Clones Sent To Middle East Have Satellite Datalinks, Swarming Capabilities
参考:U.S. Deploys Shahed-136 Clones To Middle East As A Warning To Iran

Shahed型無人機のような低コストで調達できるプラットフォームを持っていないと敵につけ込まれるだけなのだろう

軍事利用されるプロペラ推進の無人機について「低レベルな紛争向け」「正規軍同士の戦いには通用しない」「高度な防空システムの保護を突破することはできない」という評価が一般的だったが、有人機と比較してサイズの小さい無人機は低観測性に優れ、弾道ミサイルや巡航ミサイルよりも調達コストが安価なため量を揃えることができ、ウクライナとロシアは自爆型無人機を使用して互いの軍事施設やインフラを攻撃し合っている。

出典:ТЕЛЕКАНАЛ ЗВЕЗДА

特にイラン製自爆型無人機=Shahed-131/136の大量使用(もしくは他の攻撃手段との併用)は防空リソースに無視できない影響をもたらし「これを従来概念の防空アプローチでは対処できない」と証明され、米軍も産業界に「安価なShahed型無人機を開発して欲しい」と要請し、米軍と産業界は中東で鹵獲したShahed-136の設計や特徴を模倣してShahed型無人機=LUCASの開発を進め、ヘグゼス国防長官は7月にSpektreWorksが開発したLUCASを視察していたが、米中央軍は3日「中東地域に一方通行の攻撃ドローン部隊=Task Force Scorpion Strikeを配備した」を発表。

TFSSにはSpektreWorksが開発したLUCASが配備され、War Zoneの取材に応じた米軍関係者は「どれだけの数が配備されたかは言及しなくない」「それでも相当なレベルの能力を提供できる数が配備された」「この無人機は自律的な協調が可能な機能が含まれているためスウォーム戦術や協調攻撃に適している」と、別の関係者は「LUCASの調達コストは1機あたり3.5万ドルだ」「この拡張可能なシステムは従来の長距離攻撃兵器の比べて極めて安価で最新の機能を提供できる」と言及。

出典:U.S. Central Command

さらに米中央軍は配備したLUCASの画像を複数公開し「LUCASの機体後部には小型の衛星データリンクが搭載されていること」「ジンバル式カメラを搭載したタイプとそうではないタイプが存在すること」が判明、これはLUCASが発射後のMan-in-the-Loop制御に対応していること、特にジンバル式カメラを搭載したタイプは目標付近の状況を視覚的に認識することができ、War Zoneも「ジンバル式カメラを搭載したタイプとそうではないタイプをペアで使用すれば視覚的な状況認識力を共有できる」「これによりLUCASは静止目標だけでなく移動目標への攻撃が可能になる」と指摘している。

要するにLUCASはウクライナやロシアが採用している敵モバイルネットワークを利用した不安定なMan-in-the-Loop制御ではなく、衛星データリンクを使用した高品質なMan-in-the-Loop制御が可能で、LUCASの取得コストはShahed-136(2万ドル~5万ドル)よりも多少高価だが、それでも600万円未満で視界外の移動目標を攻撃できるのは、それを大量に調達できるのは米軍にとって魅力的だ。

出典:DoD photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Alexander Kubitza

Shahed型無人機は従来の長距離攻撃兵器を置き換える存在ではなく、検出さえできれば対処可能で、1機あたりの破壊力も非常に小さいが、Shahed型無人機は「同時に何百機も使用することで敵の防空リソースを飽和させる」「人口密集地に着弾すれば無視できない被害をもたらす」「撃墜しても残骸が人口密集地に落下することで無視できない被害をもたらす」「構成部品の中で高価なものを取り除いたダミーが同時に使用され区別がつかない」と問題を引き起こし、Shahed型無人機のような低コストで調達できるプラットフォームを持っていないと敵につけ込まれるだけなのだろう。

つまり「Shahed型無人機があれば従来の長距離攻撃兵器は要らない」となるのではなく、Shahed型無人機と従来の長距離攻撃兵器を組み合わせることで「長距離攻撃の効果を最大化できる」となり、安価で弱者の兵器という認識は改めなければならない。

関連記事:ロシア軍の自爆型無人機に新機能、移動目標への攻撃が可能なGeran-2が登場
関連記事:量という質を実現、空中発射兵器の主流に浮上した低コスト巡航ミサイル
関連記事:自爆型無人機が戦場にもたらす脅威、米軍も調達に関する入札を開始

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Central Command

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コメント

  • コメント (19)

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    • リンゴ
    • 2025年 12月 04日

    街ぐらいデカい工場に無数の米国製無人機が並んでる姿を、トップ絵で想像してしまった

    >衛星データリンクを使用した高品質なMan-in-the-Loop制御が可能で
    これだよな、これを量産し運用出来るのがアメリカの本当に怖い所だ

    30
    • たむごん
    • 2025年 12月 04日

    米軍でさえ、600万円未満の低コスト大量配備できるならば、コスパ抜群にいいですね。

    サプライチェーンもシンプルで分かりやすいでしょうから、多少高くとも自国・同盟国からの調達ルートを育てて、サプライチェーンも上手に強化できればいいですね。

    17
    • 名無
    • 2025年 12月 04日

    迎撃兵器より安い攻撃手段が役に立たないわけが無い

    20
    • 足柄
    • 2025年 12月 04日

    効くのは分かるんだがインフラテロ前提なのがな
    不利な側がNBC使用に移行しない理由無いし

    自由に使えるの大国と独裁汚職糞国家だけでしょ

    6
    • Authentic
    • 2025年 12月 04日

    >米軍と産業界は中東で鹵獲したShahed-136の設計や特徴を模倣してShahed型無人機=LUCASの開発を進め
    イランの兵器をアメリカがパクる時代か
    隔世の感がすごいな

    31
      • ras
      • 2025年 12月 04日

      本当にシャヘドがそこまでの兵器になるとは思いませんでしたね
      しかしどれだけ生き残ってるのでしょうね…実はアメリカが研究者をら…確保してた…とかありませんかね

      3
    • Xッター
    • 2025年 12月 04日

    ・普通の巡航ミサイル
    ・低コスト巡航ミサイル
    ・長距離自爆ドローン

    これらは最早全く別のカテゴリーに分類される兵器なんですよね
    何故かどれか一つに集約したがる人たちがいますけど
    現代の戦争では全部必要だと思います

    21
      •  
      • 2025年 12月 04日

      一般的な巡航ミサイルは兎も角、低価格帯の巡航ミサイルと長距離自爆ドローンはほぼ一体の物では?

      3
        • のー
        • 2025年 12月 04日

        ターボファンエンジンとレシプロでは、価格も量産性もだいぶ違うと思います。
        特にバイク用の2ストエンジンなんかは、本気出せば年間100万台でも余裕で作れそうですよ。

        12
    • あああ
    • 2025年 12月 04日

    日本は内燃機関大国なんだからエンジンドローンは得意分野の筈なんだが
    何故後れを取ってしまっているのか困ったもんだ

    12
      • 名無し3
      • 2025年 12月 04日

      そりゃ数年前前まで長距離対地攻撃兵器の存在自体が憚られる存在だったからだし
      無人兵器と言えば無慈悲な殺戮マシーンのカテゴリだったからだよ

      14
      • nachteule
      • 2025年 12月 05日

       何が困ったもんだなのか。シャヘドクラスの自爆無人機なんかエンジンに定評がある企業なんてマイナスイメージの方が強過ぎて作りたくなんかないでしょうよ。よしんば偵察用途にしたって需要が少な過ぎて参入する旨みがない。

       単独でエンジン内製出来て飛行する物を作っている企業なんて、ざっと考えてトヨタ・ホンダ・SUBARU・ヤマハ・川崎重工・三菱重工とかあるけど、素直に作るとしたら重工系2社ぐらいでしょ。エンジンと本体別なら更に選択肢は広がるけど自爆無人機素直に作りたいと思う会社なんて有るんかね。

      8
      • nednir
      • 2025年 12月 05日

      誰もエンジン技術に疑問はもってなくてソフトウェアと、米中と比べるなら衛星コンステが大きな問題では。あとドローンではあんま使われないけどターボプロップは弱い

      きっと優秀なイラン人がホンダのバイクもバラして研究してたんですね……。日本すごいというわけでないが、レシプロエンジン作るなら日本のブツもある程度は参考にするはず。ありがたいけどありがたくない

    •  
    • 2025年 12月 04日

    配備先は中東らしいが、個人的には欧州でも太平洋でも良いんじゃないかと。
    少なくとも某国や某国からの意図的な誤射や他国に向けての実験への抑止力になるんじゃないかな。もちろんイランみたいに矢鱈に撃つのでもなく、米国内での実験で実力を誇示して、同じ物を何時でも貴国に撃てるんですよ?と威嚇するだけで良い。

    5
    • p-tra
    • 2025年 12月 04日

    3.5万ドル!?
    この前導入していたローグ1とかいうちっちゃなFPVドローンが一機で
    9万ドルだったはずですよ。
    とんでもない量産効果が産まれているか計算が間違っているかのどっちかだ。
    個人的には、アメリカのバカ高い兵器のコストのかなりが開発費の元を取る
    為の価格設定なので、シャヘドをパクっただけという点がかなり効いてると
    考えますが。

    9
      • ras
      • 2025年 12月 04日

      以前ロシア産が13万ドル(ゲラン?)とハッキングして抜いたと西側から流れてましたが、そこから10万をアメリカの産業で…?
      テスラ工場並みに効率化して大量生産できるんですかね…

      4
    • Kaeru
    • 2025年 12月 04日

    なんかすごい時代になってきたな

    • paxai
    • 2025年 12月 04日

    「弱者の兵器」というよりも「強者への特効兵器」にも見えてくる。
    ドローンを大量に投げ続けられればインフラ及び重要拠点を守り切るのは困難でしょう。
    イスラエルの防衛成功事例は特殊条件の積み重なった結果によるものでそれすらも空港に着弾したりはしちゃってる。
    現代の大国にとって大型重要施設ってのは工場であれ空港であれ軍事施設であれ国力を産み出すメインエンジンですから。

    10
    • dd4
    • 2025年 12月 05日

    トルコが無人戦闘機で対空ミサイルで航空目標を撃破してたけど、アメリカでもその辺り動いてるんだろうなぁ

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