米海軍のドネリー少将はSea Air Space2025で「F/A-XXの航続距離は現行戦闘機と比較して125%以上になる」「このプラットホームはMan in the loopではなくMan on the loopになる」と述べ、CCAの早期導入にそれほど力を入れていないことも示唆した。
参考:F/A-XX could be the Navy’s last piloted fighter, bring greater range
参考:F/A-XX Will Have Just 25% More Range Than Existing Navy Fighters
参考:Navy Won’t Scramble To Field Loyal Wingman Drones Like The Air Force
海軍は有人機に随伴可能な無人機戦闘機の統合について空軍と異なるアプローチを採用している
トランプ大統領は21日「空軍の次世代戦闘機(NGAD)=F-47の請負企業にBoeingが選ばれた」「F-47は誰も見たことがないものになる」「速度、機動性、ペイロードなどあらゆる特性においてF-47に匹敵するものはない」と発表したが、海軍が進めている次世代戦闘機=F/A-XXはNGADよりも公表されている情報が少なく、これまでに判明していることは「NGADとは異なる機体とエンジンになる」「海軍は2025年中にF/A-XX契約を締結する」「F/A-XXのEMD契約を争う競争からLockheed Martinが脱落した」ということだけだ。

出典:U.S. Air Force
Breaking Defenseは先月4日「F/A-XXの入札でLockheed Martinの提案は海軍のニーズを満たすことが出来なかった」「そのためF/A-18とEA-18Gを置き換えるための競争はBoeingとNorthrop Grummanの一騎打ちになった」と報じ、トランプ政権が海軍長官に指名したジョン・フェラン氏もF/A-XXについて「競争環境下で作戦範囲と能力に大幅な進歩をもたらす次世代戦闘機」と表現しただけだが、Reutersは先月25日「今週中に米海軍はF/A-XXを誰が製造するか発表する予定だ」と報じたものの、未だにF/A-XXの勝者は発表されていない。
それでもSea Air Space2025でドネリー海軍少将はF/A-XXについて「航続距離が現在の戦闘機と比較して125%以上になって柔軟な運用範囲が確保される」「この数字は空中給油を受ける前の航続距離を意味する」「F/A-XXはAIやその他の技術的優位性を統合することで戦闘空間の管理を強化することができる」「このプラットホームはMan in the loop(人間がシステムの処理ループの中で動作のトリガーを担う制御)ではなくMan on the loop(人間はいつでも処理ループに介入できるものの基本的にシステムが自律的に情報処理を行う制御)になり、無人システムと完全に統合されたアーキテクチャを実現させる」と言及。

出典:Boeing F/A-XX
海軍の戦闘機の中で最も戦闘半径が長いのはF-35C(推定670海里)なので、F/A-XXの戦闘半径は少なくとも837海里以上となり、ドネリー少将は航続距離の拡張がもたらす効果について「空母は1日あたり700マイル以上移動して150万平方マイルの不確実性を生み出すことができる。これは空母打撃群の生存性にとって極めて重要な要素であり、この範囲はF/A-XXやMQ-25の統合によってさらに拡張されるだろう」「F/A-18E/F、EA-18G、F-35Cと搭載兵器の組み合わせによって800万平方マイルを超える作戦行動範囲を提供できる」「これがF/A-XXやMQ-25の統合によって1,100万平方マイル以上に拡張されるだろう」とも指摘。
F/A-XXの航続距離は大幅に拡張されると予想されていため「25%以上」という数字には「正直なところ期待外れ」「コスト抑制の結果かもしれない」という声があり、さらに空母航空団へのCCA統合についても「MQ-25統合に注力してもCCAのコンセプト実証は空軍にまかせている」と述べたため、海軍はCCAの早期導入にそれほど力を入れていないことを示唆しており、有人機に随伴可能な無人機戦闘機の統合について空軍と異なるアプローチを採用しているのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Petty Officer 2nd Class Nicholas
航続距離が延びれば、空中給油機も組み合わせれば、より柔軟な運用が可能になりますからね。
F-22は使い捨て増槽をつけられましたが、これからの機体はどうなっていくのか少し気になっています。
費用は……、費用はどうなるんだ。
大型化は良いけどコストはどうする
なんとなくですが。
海軍機は空軍機になれるけど、空軍機は海軍機にはなれない(笑)。
などと、勝手な意見を言います。
”CCAのコンセプト実証は空軍にまかせている”
これはある意味、コスト削減策?かな?、と想像します。
無人機に関しては、その発進/回収は、海/空でさほどの差は無い?のかな?。
有人機優先なら、海軍はパイロットを相当数(今までと同ペース)、育成するのでしょうね。
>海軍機は空軍機になれるけど、空軍機は海軍機にはなれない(笑)。
>などと、勝手な意見を言います。
「海軍機」を「艦上機」に置き換えると、かなり昔から言われていた事です。
何のことはない、空軍機は艦上で運用出来る必要は無いが、艦上機は「艦上」だけでは無く「陸上」でも運用出来る必要があるので、より要求が厳しいからそういう事が起こるのです。
航続距離と武器の積載量の性能を上げた結果、爆撃機と区別がつかなくなりそうですね。現代版ステルス性のあるF-111Bみたいになりそう。
F-3 「ん、俺?」
米中の第6世代戦闘機やGCAPも航続距離と武器の積載量向上が重点なので、各国の次世代戦闘機は実質戦闘爆撃機になると思います。
ただそれはかなりの大型化を伴うはずなので、艦載機でまんま同じことはできないと思うんですよね。
だからこそ「F-35の2倍だ3倍だ」だの「誰も見たことがない」だの景気のいい言葉の飛び交うGCAPやF-47と違って「125%」という地味な数字が出てくるんでしょう…、って「スパホ+CFTの125%」なら十分すげー気もしますが。
搭載量そんな増やすって具体的な話ありましたっけ?
F-47の話かな?
F-18に置き換わるのがF-35Cだと思ってました
F-35Cの後継機って訳でもないし・・・。
これとF-35Cの住み分けもわからん
どなたか、教えてください<(__)>
前から言ってる通り「空軍要求ほどのステルス要らんから中露から空母を守れる作戦半径の大きな要撃能力に優れた戦闘機が欲しい」ということじゃないですかね。
…だとするとやっぱり2030〜40年代に125%でいいのか、という感じもしますが。
英語版Wikipediaの解説ですが
F-35Cは老朽化したF/A18ホーネットを更新しスーパーホーネットを補完しますが、F-35Cの追加発注に代え、F/A-XXは2030年代初頭に老朽化するF/A-18スーパーホーネットを更新しF-35Cを補完するとしています。
F-35があるからじっくり開発できそう
ふざけた要求で開発が難航したF-35を踏まえて
まともな要求で作るのかな
F-35は良く練られているよ。
F/A-XXは、海軍単独で費用が爆発とか、無謀な要求性能でコケて、F-35CだらけかF/A-18E/Fの追加生産になりそう。
>F/A-XXの戦闘半径は少なくとも837海里以上となり
という事は、約1500Km以上ですか?
かなりのものですね!
837海里=約1550km。東京の横田基地から直線で山東半島の先端(威海市)くらいの距離か。スービック湾からだと深センに何かしらミサイルを撃って帰れるくらいの航続距離だな。
もう少し航続距離が欲しいのは分かるけど、パイロットの負担ががが。
増槽やらCFTやらバディポッドやら使って頑張ってこなしてる任務がちょっと楽になる、と考えればいいのでは。
ウエポンベイの容積で持って行ける武装の重量が制限される分、燃料を持って行けるようになるのですかね。
入間の航空医学実験隊がアラスカまで7時間ほど飛行した空自パイロットのデータをとったところ「2時間以上の飛行で倦怠感や疲労感が出始め、長時間飛行がパイロットにとって精神的,身体的にかなり高い負担となっていたこと,身体的負担よりも精神的負担がより強かったことが明らかとなった」そうなので、ステルス機からの指示出しに専念するにしても、戦闘したらもっと辛くなるかと。
また20年以上前の国際交通安全学会誌の記述ですが
『旅客機とファイター機とは両極にある航空機の共通項の一つは、テクノロジ
ーの進歩がワークロードの軽減に必ずしも繋がらない上、場合によっては新たなロードを課すことが
ある』とのことです
その面でも「(バディポッドでの)空中給油」なんつー特に神経使う任務から最低2人のスパホパイロットが解放されるのは大きな負担減でしょう。
そして自衛隊が把握してる負荷を米海軍が把握してないはずもないでしょう。「着艦の(半)自動化」を進めてきた米海軍が艦載機の対空時間延伸に伴って「単なる移動の(半)自動化」を検討しないとは考え難いです。
もしかしてなんですが、お互いの懸念する『負担』がズレてませんか?
自分∶高Gや上空の大気に晒され続けるパイロットの肉体にかかる『負担』
バーナーキングさん∶索敵や攻撃、移動などパイロットがこなさなければならない作業量の『負担』
こんな風に感じるんですがどうでしょ。バーナーキングさんの仰るように七面倒くさいアレコレはAIや自動操縦に任せるだろうというのは自分も同意見です。
「アラスカまでの7時間の精神的、身体的負担」って話だったので「高G」は想定してなかったです。
高空環境についてはそれが深刻な問題になる状況なら航続距離が長い≒燃料に余裕があるなら同じ距離を飛ぶのにむしろ高度を落とす余裕ができます(もちろん「高度(≒見通し距離等)こそが必要な任務」の場合は別ですが)。
「航続距離が長くなったからその分同じ任務を同じやり方で長時間続けて身体に負担を掛かることになる(からテクノロジーの進化はいいことばかりではない)」には頷けないです。
というかF-47にしろGCAPにしろJ-36にしろ高高度志向が伺えるので、減圧対策は重要になってきそうな気はします。簡単な加圧服から対Gスーツの気密化やらSR-71ばりの与圧服やらパイロットをHOTASごと首まですっぽり包むコクーンポッドやらコックピットの与圧まで。
あんまり航続距離を伸ばすとストレス機になると(審議中)。
行き着く果てはストレスフォートレスですか…
F-22とF-35A/Cの機内燃料のみによる戦闘行動半径はほぼ同じで約1,200km余りですが、どちらも台湾周辺での作戦には航続力が不足するとされていました。従って空中給油が必須になります。
海軍も作戦要求上の事情は同じで、それが「MQ-25統合に注力」する理由なのかもしれません。
F/A-XXの戦闘行動半径1,500kmは母艦側の安全を確保しつつ無給油で作戦遂行が可能な最低限の値とも推測されます。あくまで推測ですが。
パイロットへの負荷にも平均的上限設定があるでしょうから。
艦載機は燃料満タンで射出すると機体の寿命が縮むらしいですが、おそらく新型機でも燃料を減らして離陸し、すぐに空中給油するルーチンは変わらないと思われます。
まあ有事にはそんな悠長なことできないから消耗覚悟で満タン状態での射出をするかもしれませんけど。
艦載機の場合、発艦重量が増すとその分必要なカタパルト出力も上がなきゃいけないでしょうからね。乗員に掛かるGは変わらなくても機体の一部に掛かる負荷は増大する、と。
ただ電磁カタパルトなら負荷はかなり軽減される様ですし、機体自身の離陸性能によっても条件は変わるでしょう。
当然米海軍はその辺トータルを考慮してF/A-XXの要求仕様を定めるでしょうから(無人給油機の導入の計画もあるとはいえ)空中給油を要する任務の比率は減るんじゃないですかね。
アメリカ経済の崩壊と、超大国からの脱落で殆どのプロジェクトが頓挫するのでは…
外国製の部品の調達もままならずにまともな価格で製造できないでしょうし。
さて、後続距離延伸との事だが、いたずらに喜ぶものでは無いと思う、先ず恐らく、この後続距離は、戦闘行動半径では無い。実際の物理的後続距離は、この限りでは無いという事だ。もう一つ、ガダルカナルの教訓がある。単座戦闘機の乗務時間は、二時間が限界とされる。なぜか?、簡単な話で単座戦闘機には、トイレが無いのである。ガダルカナルの時は、小はゴムの袋にして機外、廃棄、大は飛行服の中にしていたそうである。従って、実際は、戦闘行動時間は変わらないので、あまり大きな意味は無いのである。
まず上でも書いた空中給油が不要なら純粋に負担減、の話。
加えて「航続距離」って言い換えれば「余剰燃料」なんでやることが同じなら燃料に余裕がある方が速度上げて早くこなせるんですよ…
Su-34がトイレ付きという触れ込みだったのに実際はし尿瓶ががあるだけだったというオチ。
それでもストレッチ運動できるスペースはあるらしいのでなぜおまるを載せないのか?
航続距離では??